※本記事は、Sun Asteriskの有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Sun Asteriskってどんな会社?
同社は、事業構想からプロダクト開発、IT人材の育成・紹介までを一気通貫で支援する企業です。
■(1) 会社概要
2012年7月に旧フランジア・ジャパンとして創業し、同年10月にベトナム子会社を設立しました。2019年3月にSun Asteriskへ社名変更し、2020年7月に東京証券取引所マザーズへ上場しています。その後もNEWhの設立やTrysの子会社化などにより、事業開発やエンターテインメント領域へ事業を拡大しています。
従業員数は連結で2,006名、単体で459名体制です。筆頭株主は創業者の平井誠人氏で、第2位は役員の服部裕輔氏、第3位は金融機関の常任代理人である大和証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 平井誠人 | 30.57% |
| 服部裕輔 | 14.15% |
| FUJIMOTO KAZUNARI-DAIWA CM SINGAPORE LTD-NOMINEE(常任代理人 大和証券) | 8.45% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役は小林泰平氏が務めており、社外取締役比率は42.9%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林泰平 | 代表取締役 | インタープリズムを経て、ベトナム法人の代表取締役に就任。2017年12月より現職。 |
| 服部裕輔 | 取締役 | インテリジェンス(現パーソルキャリア)を経て、2013年3月の設立時に取締役就任。その後、複数子会社の取締役を歴任し現職。 |
| 平井誠人 | 取締役 | 三菱商事、インテリジェンス、アトラエなどを経て、2012年7月に旧フランジア・ジャパンを設立し代表取締役に就任。2017年12月より現職。 |
| 二本柳健 | 取締役(監査等委員) | TAC、あずさ監査法人を経て、2019年4月に取締役(常勤監査等委員)に就任。複数子会社の監査役を兼任し現職。 |
社外取締役は、小澤稔弘(元パーソルプロセス&テクノロジー代表取締役)、石井絵梨子(弁護士)、石渡万希子(Natural Leadership Coaching Owner)です。
2. 事業内容
同社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業を展開しています。
■(1) クリエイティブ&エンジニアリング
顧客の事業アイデア創出からプロダクト開発、継続的な成長支援までをクリエイティブとエンジニアリングの両面から支援するサービスです。デザイン思考を取り入れた独自フレームワークを活用し、事業構想や価値検証からMVP開発、サービス運用までを一貫して提供しています。
収益は、顧客との準委任契約または請負契約に基づく開発支援やコンサルティング費用から発生します。運営は主にSun Asteriskおよびベトナム子会社であるSun Asterisk Vietnamが行い、グローバルITチームを編成して対応しています。
■(2) タレントプラットフォーム
顧客のDX推進に必要となるIT人材の発掘・育成から紹介・派遣までを支援するサービスです。日本国内の即戦力人材の紹介や採用支援を行うほか、アジア各国のトップ大学と産学連携した教育プログラムを運営し、日本での就業を希望する優秀な学生を育成・紹介しています。
収益は、人材紹介手数料、人材派遣料、採用業務のアウトソーシング費用のほか、採用選考プラットフォームの利用料などから発生します。運営はSun Asteriskおよび子会社のSun terrasを含めたグループ全体で行っています。
■(3) インキュベーションその他
既存事業で培った知見やクリエイティブ人材を活用し、新たな事業領域への参入や自社サービスの企画・開発・運営を行うサービスです。主にエンターテインメント領域において、ファンクラブアプリの運用システムやスマートフォン向けカジュアルゲームなどを展開しています。
収益は、ファンクラブ会員からの月額・スポット課金、デジタルコンテンツの受託制作費、スマートフォンゲームの広告収入などから発生します。運営は主に子会社のTrysおよびグローバルギアが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は80億円から148億円へと毎期連続して増加しており、事業規模の順調な拡大が伺えます。一方、経常利益は開発体制の強化や事業投資等の影響で増減を繰り返しており、直近の2025年12月期は10億円に減少しました。また、当期利益も減益傾向にあり、直近では6億円の赤字となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 80億円 | 107億円 | 125億円 | 136億円 | 148億円 |
| 経常利益 | 16億円 | 11億円 | 23億円 | 15億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 19.6% | 10.6% | 18.2% | 10.7% | 6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 0.9億円 | 3億円 | 4億円 | -6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加したものの、人員増強や外注費の増加などにより売上原価および販売費及び一般管理費が上昇しました。その結果、売上総利益率は51.3%から48.5%へと低下し、営業利益も14億円から11億円へと減少しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 136億円 | 148億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 72億円 |
| 売上総利益率(%) | 51.3% | 48.5% |
| 営業利益 | 14億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 10.6% | 7.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が29億円(構成比48%)、賞与引当金繰入額が2億円(同3%)を占めています。売上原価については、サービス提供に伴う外注費や労務費が主要なコスト要因となっています。
■(3) セグメント収益
各サービスともに増収を達成しています。クリエイティブ&エンジニアリングは既存顧客からの安定した受注が継続し増収を牽引しました。タレントプラットフォームも人材紹介や派遣が順調に推移しています。また、インキュベーションその他はグローバルギアの子会社化などが寄与し、大きく売上を伸ばしました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| クリエイティブ&エンジニアリング | 104億円 | 112億円 |
| タレントプラットフォーム | 20億円 | 21億円 |
| インキュベーションその他 | 12億円 | 15億円 |
| 連結(合計) | 136億円 | 148億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 14億円 |
| 投資CF | -3億円 | -5億円 |
| 財務CF | 7億円 | 6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションに掲げています。また、全人類が生まれた時から持っているクリエイティブへの情熱を呼び起こし、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンの実現を目指し、価値創造のインフラとなる存在を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、ビジョン・ミッションを体現する行動指針(コアバリュー)として「Aim High」「Be Agile」「Wasshoi」の3つを掲げています。既存の枠組みに捉われず高みを目指し、テクノロジーや時代の変化を柔軟に受け入れてトライアンドエラーを繰り返すとともに、チームワークの精神で一致団結して価値創造に向き合う文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、具体的な中期計画の開示は行っていませんが、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として、クリエイティブ&エンジニアリング事業における「ユニーク顧客数」と「月額平均顧客売上」を定めています。外部環境の変化に柔軟に対応しながら、顧客基盤の拡大と顧客単価の向上を通じて中長期的な事業成長を目指しています。
* 2026年12月期 ユニーク顧客数:301社
* 2026年12月期 月額平均顧客売上:5,411千円
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は今後の更なる成長に向け、既存事業の拡大と新規事業の成長、組織能力の拡充・強化と人材の発掘・育成、技術力の更なる強化を重点施策に掲げています。特にAI等の先端テクノロジーの活用やデータに基づく設計・開発力の高度化に注力し、自社で蓄積した知見を顧客支援へ展開することで、高付加価値な案件の創出と持続的な事業成長を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「誰もが価値創造に夢中になれる世界」の実現に向け、人的資本の増大を重要視しています。AI等の技術を使いこなし顧客価値向上に結び付ける優秀な人材の確保・育成に注力するとともに、海外大学との産学連携を通じた高度IT人材の発掘・輩出を推進しています。また、エンゲージメントサーベイを活用した組織開発や、多様な働き方を支援する環境整備を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 32.7歳 | 2.5年 | 6,263,475円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 31.3% |
| 男性育児休業取得率 | 78.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※パート・有期労働者の男女の賃金の差異については、データが公開されていません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、国内グローバル社員比率(13.1%)、障がい者雇用率(0.8%)、エンゲージメントスコア国内(60.0)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 情報セキュリティに関するリスク
同社グループは、事業遂行において顧客の企業情報や個人情報などの機密情報を取り扱います。不正アクセスやコンピュータウイルス、内部不正等による情報漏洩が発生した場合、損害賠償責任の負担や社会的信用の低下により、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、厳格な情報管理に努めています。
■(2) 人材の確保と育成に関するリスク
同社の事業推進には高度な専門知識と経験を持つ人材の確保が不可欠ですが、採用や育成が計画通りに進まない場合や社外流出が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、パートナーや外注先の確保が滞りプロジェクトが遅延した場合にも採算が悪化するリスクがあります。対策として、ストックオプション等のインセンティブ付与や福利厚生の拡充により優秀な人材の定着を図っています。
■(3) 景気動向や業界動向の変動リスク
企業のDX投資やIT人材への投資需要は経済情勢の影響を受けやすいため、景気悪化により顧客のIT投資が抑制された場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、情報サービス産業における競争激化により優位性の確保が困難になるリスクに対しては、サービスの高付加価値化や大手からスタートアップまで幅広い顧客との取引実績を積み重ねることで競争力の向上に努めています。
■(4) 技術革新への対応リスク
情報サービス産業は技術革新のスピードが速く、新たな言語や技術によるサービスの導入が加速しています。これらの技術革新への対応が遅れた場合、競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。同社ではR&D専門組織を設置して最新技術の調査・研究を不断に進めており、ブロックチェーンやAIなどのコア技術を社内プロジェクトで試験的に活用しながら迅速な対応を図っています。



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