※本記事は、株式会社I-ne の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年5月15日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
I-neは、ヘアケア製品、美容家電、スキンケア製品などのブランド開発と販売を手掛けています。国内事業と海外事業の2つのセグメントでグローバルに展開しています。
単体従業員数は408名、連結従業員数は433名です。セグメントは国内事業、海外事業の2つです。
主な国内グループ会社は、Dr.SYUWAN(国内事業)、Endeavour(同)、Artemis(同)、トゥヴェール(同)などです。
2024年10月には株式会社トゥヴェールをM&Aでグループに迎え入れ、スキンケア事業を強化しました。また、艾恩伊(上海)化粧品有限公司の清算手続きを開始し、海外事業の再編を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社I-neは、美と健康をテーマに革新的な事業を展開しており、その働き方や給与水準は転職を考える上で重要な要素となります。同社グループは、多様な人材が活躍できる環境整備と、個々の成長を支援する制度に力を入れています。ここでは、具体的なデータに基づき、同社グループの給与水準や働き方の特徴について詳しく見ていきます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的若い年齢層の従業員が多く、平均勤続年数も短めであることから、活発な組織であることがうかがえます。新しい挑戦を歓迎し、変化に対応できる人材が活躍しやすい環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,122,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.7年 |
| 平均年齢 | 36.7歳 |
| 単体従業員数 | 408人 |
| 連結従業員数 | 433人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.2% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「We are Social Beauty Innovators for Chain of Happiness」というミッションを掲げ、人材を競争優位の源泉と位置付けています。従業員と会社が共に成長することで、持続的な企業価値向上を目指す方針です。
具体的には、「多様な人材が活動・活躍できる環境作り(働きやすさ)」、「人材の可能性を最大限引き出す機会の提供(働きがい)」、「企業カルチャーの浸透(Philosophy共感)」の3つを重要な戦略として推進しています。報酬制度においては、労働市場での競争力を意識した昇給率の改定や、成果と連動した公正な評価・報酬の実現を目指しています。
また、次世代経営人材の育成を目的とした「人材開発会議」を実施し、個々のキャリアに合わせた育成方針を組織全体で検討しています。柔軟な働き方を支援するため、フレックス勤務やリモートワークの導入、さらには人事制度の改定により、多様な家族形態にも対応した福利厚生の適用範囲を拡充しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務の対象ではないため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性従業員の割合 | 33.3% |
| 男性従業員の育児休業取得率 | 73.0% |
| 従業員の男女の賃金の差異(全従業員) | 68.1% |
| 従業員の男女の賃金の差異(雇用期間の定めのない従業員) | 69.2% |
| 従業員の男女の賃金の差異(臨時従業員) | 130.0% |
多様性・登用
提出会社の従業員全体における多様性に関する指標です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 提出会社の従業員全体にしめる女性従業員の割合 | 57.3% |
| 課長職にしめる女性従業員の割合 | 45.5% |
| 部長職以上にしめる女性従業員の割合 | 21.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
I-neグループは、ヘアケア製品、美容家電、スキンケア製品などのブランド開発と販売を手掛けています。製造は外部委託し、国内外で多様なチャネルを通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ヘアケア製品、美容家電、スキンケア製品、健康食品、柔軟剤など、幅広いカテゴリーのブランドを展開しています。市場のニーズを先取りした商品を迅速にリリースする独自の開発モデルを強みとしています。
販売地域を基礎とした「国内事業」と「海外事業」の2つの事業セグメントに分類されています。国内事業が同社グループの収益の大部分を占めています。
国内事業
主な事業内容は、同社グループが開発したブランド商品の日本国内の卸売事業者を通じた小売店及び量販店運営事業者への卸売販売、インターネットを活用した日本国内の一般消費者への直接販売です。持続的な成長に向けて、ヘアケア系、美容家電、スキンケア他カテゴリーへの継続的な投資と新たなトレンド発掘に注力しています。収益は、日本国内での商品販売から得ています。運営は、I-ne、Dr.SYUWAN、Endeavour、Artemis、トゥヴェールが行っています。
海外事業
主な事業内容は、同社グループが開発したブランド商品のインターネットを活用した海外の一般消費者への直接販売、並びに海外のインターネット販売事業者、販売代理事業者、美容専門店、ドラッグストアへの卸売販売です。香港、台湾、シンガポール、マレーシア、韓国などアジアエリアを中心に展開しています。収益は、海外での商品販売から得ています。運営は、I-ne、艾恩伊(上海)化粧品有限公司、I-ne US Co., Ltd.が行っています。
同社グループの売上高は国内の外部顧客への販売が90%を超えており、国内事業への収益集中が見られます。また、特定の卸売事業者への売上が一定の割合を占める傾向があります。
| セグメント | 売上高(2024年12月期) | 売上高(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 国内事業 | 437億円 | 477億円 |
| 海外事業 | 13.4億円 | 12.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5期にわたり一貫して増加傾向を示しています。直近の当連結会計年度においても、前期から売上高が伸びています。
一方で、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、過去数期で成長を見せた後、直近の当連結会計年度では前期から減少に転じています。この利益の減少は、主にM&A関連費用の負担や、新領域の人材拡充に伴う人件費の上昇が影響しています。しかし、営業活動によるキャッシュ・フローは直近の当連結会計年度で大幅に増加しており、本業での資金創出能力は高まっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 284億円 | 353億円 | 416億円 | 450億円 | 490億円 |
| 経常利益 | 23.3億円 | 34.7億円 | 43.4億円 | 45.7億円 | 38.3億円 |
| 経常利益率 | 8.2% | 9.8% | 10.4% | 10.2% | 7.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 12.4億円 | 19.3億円 | 39.5億円 | 29.5億円 | 21.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 71.49 | 110.23 | 224.37 | 167.77 | 119.64 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期から増加しており、組織全体の収益創出力が向上していることを示しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から減少しており、これはM&A関連費用や人件費増加が影響していると考えられます。これらの指標は、同社グループが事業拡大と効率化を両立させながら、持続的な成長を目指している状況を反映しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 103.7百万円 | 113.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 10.4百万円 | 9.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を元手に投資も行い、手元資金を増やしている状態を示しています。安定した財務基盤を築いていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は49.8%と、プライム市場の製造業平均や非製造業平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)も12.0%と、プライム市場平均を上回る水準を示しています。手元資金である現金及び預金も85.3億円と、前連結会計年度末から増加しており、財務基盤の安定性がうかがえます。これらの指標は、事業の安定性や将来の成長に向けた基盤が整っていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 178億円 | 201億円 |
| 自己資本比率 | 42.9% | 49.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 19.2% | 12.0% |
| 現金及び預金 | 83.9億円 | 85.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは40.6億円の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、のれん償却額、売上債権の減少額、未払金の増加額などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは8.0億円の獲得となり、定期預金の減少による収入が主な要因となっています。その結果、フリーキャッシュ・フローは48.6億円のプラスを示しており、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出している状況です。
財務活動によるキャッシュ・フローは35.9億円の使用となり、短期借入金の純減額や長期借入金の返済による支出が主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業活動を通じて資金を創出し、財務体質の健全化を進めていることを示しており、入社後の雇用や給与の安定性、そして事業の持続的な成長に繋がる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 38百万円 | 40.6億円 |
| 投資CF | △103.6億円 | 8.0億円 |
| 財務CF | 92.3億円 | △35.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △103.2億円 | 48.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主力ブランドである「BOTANIST」「YOLU」「SALONIA」において、類似コンセプトの商品や同価格帯での商品リリースが相次ぎ、競争が激化している状況です。消費者の嗜好の変化などにより、主力ブランドへの支持が変動する可能性がリスクとして挙げられています。
また、収益の大部分を日本国内及びアジア地域で得ているため、これらの地域の経済情勢や景気動向の変化、少子高齢化の進展、中国経済の動向などが、同社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、グローバル展開を含めた今後の成長を推進するにあたり、優秀で熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しています。労働市場の競争激化などにより、十分な人材の確保や人材育成が計画通りに進捗しなかった場合、同社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
I-neグループは、「幸せの連鎖」が溢れる社会の実現を目指し、美しく革新的な方法で挑戦し続けることをMissionに掲げています。このMissionを軸に、顧客体験の向上と持続可能な社会の実現を追求する企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
I-neグループは、「We are Social Beauty Innovators for Chain of Happiness 私たちは、美しく革新的な方法で、“幸せの連鎖”が溢れる社会の実現に挑戦し続けます。」をMissionに掲げています。
同社グループは、このMissionのもと、商品を通じて顧客に幸せな体験を届け、喜びや笑顔を生み出すことを大切にしています。
お客様、取引先、社会・地球、そして従業員に広がる幸せの連鎖の最大化を目指し、企業経営を行っている会社です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
I-neグループは、Missionを追求するために「Innovate」「Commit」「Respect」の3つのValues(価値観)を大切にしています。
これらの価値観に沿った8つのCredo(行動指針)も明示されており、I-ne Philosophyを軸とした採用活動や人材育成を通じて、統制のとれた組織運営を実現しています。
Credoには「ボス目線(顧客及び最終ユーザーの視点)」や「Ownership」「Speedful」「Feedback is a Gift」などが含まれており、イノベーションと顧客志向を重視する企業風土がうかがえます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
I-neグループは、優先的に対処すべき課題として、内部統制及びガバナンスの改善を挙げています。
経営層の意識改革と企業風土の醸成、取締役会の監督機能の実効性確保、関連当事者取引の管理体制強化に取り組む方針です。
また、優秀な人材の確保と育成も重要なテーマであり、Missionに共感する人材の採用・育成強化、従業員がモチベーション高く働ける環境整備を進めています。
さらに、環境問題や社会課題への取り組みも重視しており、温室効果ガス排出量削減や持続可能な原材料調達、社会貢献活動などを推進しています。
事業拡大と社会的責任を果たすため、内部管理体制の強化も図っており、専門人材の採用・育成や継続的な啓蒙活動を通じて、コンプライアンス体制及び内部統制の充実・強化に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
I-neは監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、監督機能の強化と経営の意思決定の迅速化を図っています。独立社外取締役を中心とする指名報酬委員会も設置し、ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
I-neの筆頭株主は事業会社であるCOHであり、代表取締役社長である大西洋平氏も個人として上位株主に名を連ねています。大西洋平氏の所有株式数には、資産管理会社であるCOHの所有株式数も合算して記載されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| COH | 41.78% |
| 大西 洋平 | 10.37% |
| THE BANK OF NEW YORK 133652 | 3.83% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は大西洋平氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大西 洋平 | 代表取締役社長 | 2005年3月 Y.B.O設立(個人事業主)、2007年3月 同社設立 代表取締役社長、2024年1月 同社 代表取締役社長CEOより現職。 |
| 原 義典 | 取締役 | 2007年4月 P&Gジャパン合同会社入社、2022年6月 同社入社、2024年3月 同社 取締役執行役員 CFOより現職。 |
社外取締役は、笹俣弘志氏(A.T. カーニー シニアパートナー)、水留浩一氏(FOOD & LIFE COMPANIES 元代表取締役社長)、堀川健氏(ポーラ・オルビスホールディングス 元執行役員・常勤監査等委員)、山中典子氏(山中公認会計士事務所 公認会計士・監査等委員)、古本結子氏(三菱商事 元コーポレートスタッフ部門コンプライアンス・オフィサー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役の職務執行の監査等を担う監査等委員を取締役会の構成員とすることで、監督機能の強化と経営の意思決定の迅速化を図っています。独立社外取締役を中心とする指名報酬委員会も設置し、ガバナンスの充実を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
業務執行取締役の報酬は、中長期的な成長と企業価値向上を重視し、基本報酬(金銭報酬)と非金銭報酬(株式報酬)で構成されています。一方、経営の監督機能を担う社外取締役等には基本報酬のみが支払われます。報酬等の内容と決定プロセスは、客観性と透明性を確保するため、独立社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会への諮問を経て決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 84百万円 | 42.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 41百万円 | 8.2百万円 |
同社グループの役員報酬総額は1.25億円であり、対象となる役員は合計7名です。なお、上記の報酬とは別に、公正価値にて払込がなされる有償ストック・オプションが発行されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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