※本記事は、バルミューダ株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
バルミューダは、製品の企画、デザイン、設計、開発、国内外での販売を軸に家電事業を展開するファブレスメーカーです。同社グループは、自社工場を持たず外部に生産を委託し、消費者にコンセプトを的確に伝えるためプロモーションコンテンツも社内で制作しています。
単体従業員数は104名、連結従業員数は104名です。セグメントは家電事業の1つです。
国内においてはバルミューダが製品の企画、デザイン、設計、開発、販売を一手に担い、海外2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
バルミューダは、家電事業を主軸に、卓越した創意工夫と科学技術で新たな価値を創造している企業です。同社は、従業員一人ひとりの専門性を高め、多様な働き方を支援することで、持続的な成長を目指しています。ここでは、同社の給与水準や働き方に関する具体的なデータと、人材育成・環境整備への取り組みについてご紹介します。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着と成長を重視しており、平均勤続年数や平均年齢から、一定の経験を積んだ人材が活躍している傾向が見られます。従業員数は連結・単体ともに同水準であり、グループ全体で一体感のある組織体制がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,143,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.5年 |
| 平均年齢 | 43.0歳 |
| 単体従業員数 | 104人 |
| 連結従業員数 | 104人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人々の役に立つ」という企業理念のもと、家電等の道具を通して素晴らしい体験を社会に届けることをミッションとしています。このミッションに共感する優秀な人材の採用と育成、定着、及び多様な人材が活躍できる社内環境の整備が、持続的な成長には不可欠であると考えています。
具体的には、専門性の高い優秀人材の採用と育成に注力しており、カルチャーフィットを重視した複数回の面接を通じて、入社後の早期活躍と定着を図っています。育成においては、新規入社者への人事部門による定期面談、所属長と管轄メンバーのコミュニケーションを強化する1on1ミーティング、新任管理職向けのマネジメント基礎研修、全従業員を対象としたeラーニングによるコンプライアンス・ハラスメント学習などを実施しています。また、毎月の全社ミーティングを通じて価値観の共有や経営状況の相互理解を促進しています。
人材の多様性の確保にも取り組んでおり、年齢、性別、国籍、前職での経験業種等、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用と登用を進めています。管理職後継者の早期選抜と育成も行っています。社内環境の整備としては、安全衛生・健康に配慮したモノづくり環境の整備、定期健康診断の100%受診徹底、ストレスチェックの実施、超過労働社員に対する産業医面談の実施などがあります。柔軟な働き方を実現するため、ノー残業デーの設定、裁量労働制、フレックスタイム制度、時短勤務制度、リモートワーク制度、育児や介護に伴う休業制度の充実、有給休暇取得奨励日の設定による取得推進も行われています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の数値は本記事では取得できていません。男性労働者の育児休業取得率は有価証券報告書に記載があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 150.0% |
人材育成及び社内環境整備に関する指標及び目標
同社グループは、従業員の定着施策などを進め、2027年12月期に平均勤続年数を4.6年とすることを目標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均勤続年数 | 4.5年 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
バルミューダは、家電製品の企画、デザイン、設計、開発、そして国内外での販売を一貫して手掛ける企業です。自社工場を持たないファブレスメーカーとして、高付加価値な製品を通じて市場に新たな価値を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、バルミューダと連結子会社2社(BALMUDA Europe GmbH、BALMUDA North America, Inc.)で構成され、家電事業の単一セグメントで事業を展開しています。製品の企画から開発、国内外での販売までを自社で行い、製造は外部に委託するファブレスモデルを採用しています。消費者に製品コンセプトを的確に伝えるため、プロモーション用の写真や動画コンテンツも社内で制作しています。
主力製品は、自然界の風を再現する扇風機「The GreenFan」をはじめとする空調関連製品です。また、独自のスチームテクノロジーで美味しいトーストを実現する「BALMUDA The Toaster」に代表されるキッチン関連製品も幅広く展開しています。その他にも、太陽光LEDデスクライト「BALMUDA The Light」やポータブルLEDランタン、ワイヤレススピーカーなど、生活を豊かにする製品を提供しています。
収益は、これらの家電製品の販売から得ています。同社グループは、独自のデザインと技術で新たな市場を創造し、高価格帯の製品を展開することで収益を上げてきました。中長期の経営戦略として「グローバルブランドへの進化」を掲げ、北米市場での事業展開を強化しており、新製品の投入やブランドショップの開設を進めています。一方で、円安基調が続く外部環境や米国関税政策の影響、国内の消費マインド低迷が経営に影響を与えています。主要な販売先としては、THE LIMO Co., Ltd.と株式会社ミツバがあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は変動しながらも直近の期では減少傾向にあります。利益面では、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、前期にわずかながら利益を計上したものの、当期は損失に転じています。
当期は、国内における流通在庫の適正化のための出荷抑制や、米国関税政策の影響、消費マインドの低迷が売上高の減少に繋がりました。また、収益構造の改善に向けた製品・部材等の評価減に伴う事業構造改善費用を特別損失として計上しており、これが親会社株主に帰属する当期純損失に大きく影響しています。営業活動によるキャッシュ・フローは当期は資金の使用に転じており、仕入債務の減少や棚卸資産の増加が主な要因となっています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 184億円 | 176億円 | 130億円 | 125億円 | 101億円 |
| 経常利益 | 14.6億円 | 14百万円 | △12.4億円 | 94百万円 | △9.0億円 |
| 経常利益率 | 8.0% | 0.1% | △9.5% | 0.8% | △8.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 10.2億円 | 3百万円 | △20.7億円 | 67百万円 | △16.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 122.81 | 0.36 | △245.68 | 7.92 | △187.82 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して当期は減少しています。また、従業員1人あたりの営業利益についても、前期はわずかながら利益を計上していましたが、当期は損失に転じている状況です。これは、売上高の減少と営業損失の計上が影響しており、同社グループ全体の生産性が低下傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 124.6百万円 | 97.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.1百万円 | △8.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、現在の財務状況において、事業活動や投資活動で資金を使用している状況です。今後の事業計画の進捗が、財務基盤の安定性や成長性に影響を与える可能性があります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から減少しています。ROEは当期に大きくマイナスとなっており、プライム市場平均と比較して低い水準です。手元資金である現金及び預金も減少傾向にあります。これらの状況は、今後の事業運営や雇用・給与の安定性を考える上で注目すべき点です。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 43.5億円 | 28.1億円 |
| 自己資本比率 | 70.4% | 60.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 1.6% | △44.6% |
| 現金及び預金 | 13.4億円 | 6.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、フリーキャッシュフローがいずれもマイナスとなっています。本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは前期に資金を獲得していましたが、当期は資金を使用する状況に転じています。投資活動でも資金を使用しており、財務活動で資金を調達している状況です。
これは、事業活動と投資活動で資金が流出していることを示しており、今後の事業計画の実行と収益改善が、雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にとって重要な要素となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.5億円 | △5.8億円 |
| 投資CF | △2.1億円 | △4.3億円 |
| 財務CF | △10.1億円 | 3.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 11.4億円 | △10.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは、当連結会計年度において営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。また、取引銀行との当座貸越契約の財務制限条項に抵触し、マイナスの営業キャッシュ・フローを計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しています。
同社グループは状況解消に向けた対応策を進めていますが、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる状況です。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、独自の機能やデザインを有する新製品の開発を目指していますが、開発の断念や遅延、市場に受け入れられないなどのリスクがあります。また、海外売上高比率が33.1%を占める中で、海外の販売代理店における販売戦略の変更や取扱いの中止が生じた場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の新製品開発や事業拡大のために、製品開発・量産技術に関する豊富な経験を有する優秀な人材の確保と育成が急務となっています。人材の確保及び育成が不十分である場合には、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
事業構造改善費用687百万円を当連結会計年度に計上しています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
バルミューダは、卓越した創意工夫と最良の科学技術を追求し、人々に素晴らしい体験を届けることを目指す企業です。家電という道具を通じて、社会に新たな価値を提供することに注力しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「卓越した創意工夫と最良の科学技術によって、どこにもなかった素晴らしい方法を創出し、人々の役に立つ」という企業理念(The Vision)を掲げています。家電という道具を通して、素晴らしい体験を社会にお届けすべく事業活動に取り組んでいます。これらの活動が株主価値及び企業価値の最大化につながると考えており、中長期の経営戦略として「グローバルブランドへの進化」を掲げ、持続的な成長の実現に取り組む方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、礼節・誠実さ・道徳を重んじることができるプロフェッショナルの集団であることを目指しています。この価値観に基づき、多様な人材の採用と登用に取り組んでいます。また、卓越した創意工夫と最良の科学技術による革新的なプロダクトの実現を通じて、強い企業ブランドを構築していくことを重視しています。採用においては、能力や経験といった専門性の高さだけでなく、カルチャーフィットも重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営環境の変化に対応するため、コーポレートガバナンス体制の強化を課題としています。経営の意思決定の迅速化と取締役の業務執行に対する監督機能の強化に取り組んでいます。また、企業ブランドの構築、製品の開発・品質管理体制の強化、内部管理体制の強化も重点テーマです。有能な人材の確保と育成も重要な課題であり、教育研修制度の整備や福利厚生の充実、外部ノウハウの活用を通じて、適切な人材リソースの確保に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
バルミューダは監査等委員会設置会社であり、社外取締役で構成される監査等委員会を設置しています。これにより、経営の監視・監督機能の強化と迅速な意思決定を両立する体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
バルミューダの株主構成を見ると、代表取締役社長である寺尾玄氏が筆頭株主となっています。これにより、創業者が経営に対して強い影響力を持つ資本構成であることが特徴です。その他、海外の証券保管振替機関や事業会社が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 寺尾 玄 | 67.86% |
| KOREA SECURITIES DEPOSITORY-SAMSUNG (常任代理人 シティバンク、エヌ・エイ東京支店) | 3.06% |
| ミツバ | 1.47% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は寺尾玄氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 寺尾 玄 | 代表取締役社長 | 2003年3月 同社設立、代表取締役社長に就任。2013年2月 BALMUDA Europe GmbH Managing Director、2024年7月 BALMUDA North America, Inc. Director & CEOに就任し現職。 |
| 佐藤 雅史 | 取締役 | 1996年4月 あさひ銀行(現:りそな銀行)入行。2015年6月 同社入社後、管理本部長、管理部長を経て2017年3月 取締役管理部長に就任。2025年1月より取締役コーポレート部門統括として現職。 |
社外取締役は、片山礼子氏(ミクリード代表取締役社長)、中嶋清昭氏(元大和ヨーロッパ社長・監査等委員)、森満彦氏(森満彦税理士事務所所長・監査等委員)、永井公成氏(法律事務所ネクシード代表弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が取締役会の過半数を占めることで経営の監視・監督機能を強化しています。社外取締役は、企業経営、会計、法務などの専門知識に基づき、独立した客観的な立場から経営への助言と監査を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
バルミューダの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして、各役員の職責に応じた適正な水準の固定報酬を基本方針としています。業績連動報酬や株式関連報酬、退職慰労金は支給されていません。監査等委員である取締役の報酬も固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 57百万円 | 28.5百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 20百万円 | 5.0百万円 |
取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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