※本記事は、株式会社ビーイングホールディングスの有価証券報告書(第40期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ビーイングホールディングスってどんな会社?
3PL事業を主軸に生活物資の物流センター運営と輸配送管理システムを提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1986年に設立され、鶏肉の卸売配送から事業を開始しました。2000年にアクティーへ商号変更後、2012年に現在のビーイングホールディングスへ商号変更し持株会社化しました。2020年に東証二部に上場し、2022年にスタンダード市場へ移行しています。近年は関東や東北などへも事業エリアを拡大しています。
従業員数は連結で1,012名、単体で47名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の喜多甚一氏の資産管理会社である喜多商店で、第2位は喜多甚一氏本人、第3位は金融機関であるSBI証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 喜多商店 | 47.05% |
| 喜多甚一 | 11.37% |
| SBI証券 | 5.41% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は喜多甚一氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 喜多甚一 | 代表取締役社長 | 1986年同社設立、代表取締役社長に就任。以後、グループ各社の代表取締役を歴任し、現在に至る。 |
| 喜多和行 | 取締役副社長営業部管掌 | 1990年同社入社。グループ各社の代表取締役や同社専務取締役を経て、2021年より現職。 |
| 高桑和浩 | 専務取締役物流事業本部長・事業開発部管掌 | 1990年同社入社。グループ各社の代表取締役や同社常務取締役などを経て、2024年より現職。 |
| 松木正康 | 常務取締役総務部・経営管理部・広報部管掌 | 2009年同社入社。経営企画室長や経営管理部長などを歴任し、2021年より現職。 |
社外取締役は、川本剛生(川本行政書士事務所代表)、長谷川博和(早稲田大学大学院教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「物流事業」および「その他」事業を展開しています。
■物流事業
顧客のロジスティクスを企画・提案し、物流センターの運営や輸配送管理を一貫して担う3PL事業を主軸としています。主に食品や医薬品、日用雑貨などの生活物資を取り扱い、卸売企業や小売店向けに独自のシステムを活用した「運ばない物流」を提供しています。
収益は、取引先からの物流センター運営業務や配送業務の受託料などから得ています。運営は同社のほか、アクティー、東京アクティー、コラビス、A2ロジなどのグループ子会社が各エリアで分担して事業を展開しています。
■その他
物流事業の補完や事業の多角化を目的として、旅客事業(タクシー・バス)、不動産業、システム開発、保険代理業、自動車整備業、燃料販売業など幅広い事業を展開しています。グループ全体のインフラを支える役割も担っています。
収益は、旅客運賃、システム開発・保守料、保険代理店手数料、車両整備料、燃料販売代金などから得ています。運営は、オリエンタル、Gappa、田川自動車などの各事業を専門とするグループ子会社がそれぞれ行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の直近5年間の業績は、経常利益および当期利益ともに概ね右肩上がりで成長を続けています。特に物流拠点の拡大や新規受託業務の稼働が寄与し、着実な利益拡大を実現していることが伺えます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 12億円 | 14億円 | 18億円 | 23億円 | 23億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 5億円 | 6億円 | 8億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
営業利益は前年から引き続き堅調な水準を維持しており、安定した本業の稼ぐ力を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 22億円 | 23億円 |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3億円(構成比23%)、役員報酬が3億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は物流事業が収益の大部分を占めており、当期は新規拠点の稼働等により順調に売上を伸ばしました。その他事業も堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 物流事業 | - | 327億円 |
| その他 | - | 9億円 |
| 連結(合計) | - | 335億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で得た資金を投資に振り向けつつ借入金の返済も進める「健全型」のキャッシュ・フローです。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 25億円 | 22億円 |
| 投資CF | -8億円 | -21億円 |
| 財務CF | -10億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「-BEING-存在しつづける」を企業理念に掲げ、「会社をつくる。人間をつくる。社会をつくる。」という経営目的のもと、時代や文明とともに進化するロジスティクス事業を探求しています。時代にあわせた社会インフラの提供を通じて、社会システムにイノベーションを起こす「リアルロジスティクス」の体現を目指しています。
■(2) 企業文化
マーケティングコンセプトとして「ロジスティクスのプロフェッショナルたれ」「必要を発見し、本質を発見する」「価値あるものしか、価格はつけない」を掲げています。また、マネジメントコンセプトとして「雇用は最大の社会貢献」を掲げ、誰もが働ける企業グループとして雇用を守り抜くことを命題としています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な経営目標として、顧客数、拠点数、輸送力の3点を客観的な指標として掲げています。既存エリア内のシェア拡大や全国展開に向けた基盤拡大を推進し、事業の持続的な成長を目指しています。
* 顧客数
* 拠点数
* 輸送力
■(4) 成長戦略と重点施策
「卸売・小売業者向けの3PL事業者」への移行を進め、全体最適な物流サービスの提供を展開します。また、サプライチェーンのデータを管理・分析する「データネットワークセンター」を構築し、小売ビジネスの物流プラットフォーマーを目指します。利益率の向上や技術革新への対応、2024年問題への対策にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「自ら育つことを教える」という教育理念のもと、社員が成長する機会を惜しまず提供する方針です。多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、性別に関係なく全社員が働きやすい制度面の充実や、ワークライフバランスに配慮した職場環境の整備を進め、女性管理職比率の向上などダイバーシティ推進に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 47.2歳 | 12.5年 | 6,573,823円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.1% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 59.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 78.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 81.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国籍従業員数(333名)、有給休暇取得率(69.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 人材確保と労働人口減少への対応
同社は労働集約型の事業を展開しているため、質の高い人材の確保が不可欠です。将来的な労働人口の減少に備え、物流センターの自動化やトラックの自動運転技術の導入など省人化に向けた準備を進めていますが、人材確保が難航した場合や人件費が大幅に増加した場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定取引先への依存
同社は小売・卸売企業から物流業務を受託する3PL事業を主力としており、特定の取引先に対する依存度が高くなる傾向があります。直近では上位2社で売上高の約半数を占めており、競争力の維持・強化に努めているものの、取引先の事業戦略変更などにより取扱物量が減少した場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 法的規制と行政処分リスク
公道を利用してトラックで商品配送を行う事業の特性上、貨物自動車運送事業法など各種法令の規制を受けています。安全運転教育や運行管理システムを用いた安全品質の向上に努めていますが、万一重大な交通事故や法令違反が発生し、車両の使用停止や事業停止、認可取消などの行政処分を受けた場合、業績に影響が及ぶリスクがあります。



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