※本記事は、株式会社グローバルインフォメーションの有価証券報告書(第31期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. グローバルインフォメーションってどんな会社?
世界の市場・技術動向に関する情報商品を提供するプラットフォームを運営し、企業の意思決定を支援しています。
■(1) 会社概要
1995年1月に設立され、日本語と英語による市場調査レポートの販売WEBサイトを開設しました。2020年1月にはIoT関連事業を行うギブテックを設立し、同年12月に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場へ上場しました。
現在の従業員数は連結で51名、単体で49名です。筆頭株主は創業者一族の小野優子氏で、第2位は創業者であり現取締役会長の小野悟氏、第3位は田野聡美氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 小野優子 | 21.06% |
| 小野悟 | 17.52% |
| 田野聡美 | 5.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は樋口荘祐氏です。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 樋口荘祐 | 代表取締役社長 | 2014年ENEOS入社。2018年同社入社後、経営企画部長やマーケティング部長等を歴任し、2023年7月より現職。 |
| 小野悟 | 取締役会長 | 1970年同時通訳業を開業。1995年1月に同社を設立し代表取締役社長に就任。2023年7月より現職。 |
| 杜山悦郎 | 取締役CFO兼 管理部長 | 日興証券等を経て、レントラックジャパンやフルッタフルッタで取締役等を歴任。2018年同社取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、久富有道(元三井住友海上火災保険経理部副部長)、船山雅史(船山公認会計士事務所代表)、岡田尚人(岡田・今西・山本法律事務所パートナー)、元田達弥(元田会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「市場・技術動向に関する情報提供事業」および「その他」事業を展開しています。
■市場・技術動向に関する情報提供事業
海外の調査出版会社のアナリストによる市場規模や技術動向の調査レポート、年間情報サービス、委託調査、国際会議・展示会の取扱いを提供しています。国内外の製造業やシンクタンク等が主な顧客です。
顧客から商品代金やサービス利用料、イベント参加費等を受け取る受託販売モデルです。運営はグローバルインフォメーションが行っており、言語の壁や時差を解消するサポートも提供しています。
■その他事業
IoT向け無線通信LPWAの規格「ZETA」に関連する通信機器やスマートセンサーの開発・製造・販売、およびIoTネットワークの構築・管理の受託を行っています。
通信機器等の製品販売代金や受託開発費用が主な収益源です。運営は連結子会社であるギブテックが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は30億円規模で推移していましたが、直近ではやや減少傾向にあります。経常利益も売上の減少に伴い縮小しており、利益率も13%台へと低下しています。市場環境の変化による受注の低迷や販管費の増加が影響しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 30億円 | 29億円 | 27億円 | 26億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 6億円 | 6億円 | 5億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 20.8% | 21.7% | 19.4% | 16.9% | 13.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 5億円 | 3億円 | 3億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い売上総利益も減少しています。一方で販売費及び一般管理費は増加傾向にあり、これが営業利益を圧迫する要因となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 26億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 47.5% | 48.0% |
| 営業利益 | 4億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 15.9% | 12.4% |
販売費及び一般管理費(当期9.2億円)のうち、給料及び手当が3.5億円(構成比38%)、役員報酬が1.0億円(同11%)を占めています。売上原価(当期13.3億円)については、商品仕入高が主な内容となっています。
■(3) セグメント収益
情報提供事業は、米国関税政策への懸念や検索アルゴリズム変更の影響等から市場調査レポートの受注が低迷し、減収となりました。その他事業のIoT関連は製品販売が順調に進み増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 市場・技術動向に関する情報提供事業 | 27億円 | 25億円 |
| その他事業 | 0.5億円 | 0.5億円 |
| 連結(合計) | 27億円 | 26億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローを主な資金源泉として、運転資金や税金等の支払いに充てています。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や一部の勘定科目の増減が資金の増加に寄与しました。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が資金の減少要因となりました。財務活動では、配当金の支払いが資金の減少を招きました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 2億円 |
| 投資CF | -8億円 | - |
| 財務CF | -2億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「最適な市場情報をタイムリーに提供することにより、お客様の意思決定を支援し、各業界・産業界の活性化に“情報”というフェイズから貢献し、ひいては社会の発展に寄与する」ことを経営理念に掲げています。持続的な企業価値の向上を目指し、社会全体の発展に寄与することを存在意義として事業を運営しています。
■(2) 企業文化
同社は、従業員の多様性を重視し、年齢・性別・国籍を問わず多様な背景や専門性を持つ人材が、一人ひとり責任と誇りを持ちながら満足して働ける環境の創出を掲げています。従業員の個性を尊重し、個々の能力を最大限に発揮できる職場環境のもとで企業価値の向上に努める文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2026年12月期を初年度とする3か年の中期経営計画「GII Vision 2028」を策定し、多様化する顧客の情報ニーズに全方位的に対応できる「総合市場情報プロバイダーへの進化」を目指しています。最終年度となる2028年12月期の目標として以下の数値を掲げています。
* 売上高:30.8億円
* 営業利益:3.8億円
* 営業利益率:12.4%
* DOE:6%以上
* 配当性向:40%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は収益拡大と企業価値の最大化に向け、従来のレポート販売を超えた委託調査やAI搭載型情報プラットフォーム製品の提案など、ソリューション提供力の強化を図ります。また、顧客訪問やオンライン接点を軸とした集客チャネルの多様化、生成AIを活用した社内プロセスの効率化、AIを使いこなすプロフェッショナル人材の育成、さらに既存事業と相乗効果が見込める領域への戦略的投資やM&Aを推進する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人的資本を最も重要な経営資本と捉え、年齢・性別・国籍を問わず多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境づくりを推進しています。事業構造の転換に伴い、AIを活用しながら人間ならではの深いインサイトを提供できるプロフェッショナル集団への変革を目指し、高度なスキルを備えた人材の獲得と育成に注力する方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 47.7歳 | 9.8年 | 7,232,088円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 46.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 64.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 50.9% |
※男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではないため有報には記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客企業の参入意欲減退
国内外の経済情勢や景気動向の影響により、顧客企業である製造業等の海外市場や新製品市場への参入意欲が減退した場合、新規顧客の獲得や既存顧客からの受注が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 新興企業等との競争激化
情報提供事業において、国内外の同業他社の出現や、安価な新興調査出版会社の台頭、仕入先調査出版会社の直販強化等により価格競争が激化しています。意図せず価格競争に巻き込まれた場合、収益が低下する可能性があります。
■(3) 検索エンジンへの集客依存
同社の新規顧客獲得は、検索エンジン経由でのWEBサイトへの流入に大きく依存しています。検索エンジンのアルゴリズムに大幅な変更が生じ、検索結果の表示順位が下落して集客数が減少した場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(4) 市場調査レポートへの依存
同社の売上の約79%は市場調査レポートの販売が占めています。レパートリー拡大に努めているものの依存度は高く、競合商品の出現等により市場調査レポートに対する顧客需要が減退した場合、事業基盤や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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