※本記事は、株式会社東京通信グループの有価証券報告書(第11期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東京通信グループってどんな会社?
東京通信グループは、スマートフォン向けアプリメディアや電話占いサービス等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2015年にスマートフォンメディア事業を開始するために設立されました。2020年に東京証券取引所マザーズに上場を果たし、2021年にはティファレトを完全子会社化してプラットフォーム事業を開始しました。その後、2023年に持株会社体制へ移行し、現在の社名に変更してグループ経営を強化しています。
従業員数は連結で122名、単体で23名体制で事業を運営しています。筆頭株主は同社の取締役会長である外川氏の資産管理会社とみられるトラストホールディングスで、第2位は金融機関、第3位は代表取締役社長CEOである古屋氏の資産管理会社とみられるmonoliceとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トラストホールディングス | 21.46% |
| BNP PARIBAS SYDNEY/2S/JASDEC/DIVERSIFIED GLOBAL SHARE TRUST/TAXABLE | 4.97% |
| monolice | 4.53% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEOは古屋佑樹氏が務めています。社外取締役比率は57.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古屋 佑樹 | 代表取締役社長CEO | 2009年シーエー・モバイル(現CAM)に入社し、2015年に同社を設立して代表取締役社長に就任。以降同社の経営を牽引し、持株会社移行後も現職。 |
| 外川 穣 | 取締役会長 | 1994年博報堂入社後、サイバーエージェントやシーエー・モバイルを経て2015年に同社代表取締役会長に就任。2022年より現職。 |
| 赤堀 政彦 | 取締役CFO | 2009年シーエー・モバイル(現CAM)入社後、複数企業で取締役や監査役を歴任。2022年に同社取締役に就任し、同年7月より現職。 |
社外取締役は、塚本信二(元アマゾンバイスプレジデント)、芝﨑香琴(芝﨑香琴公認会計士事務所代表)、髙橋由人(元野村総合研究所取締役副社長)、串田規明(法律事務所スタートライン代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「メディア事業」および「プラットフォーム事業」、その他の事業を展開しています。
■メディア事業
スマートフォン向けのアプリメディアを企画・開発し、世界中のユーザーに提供しています。主要サービスとして、国内・海外向けのカジュアルゲームアプリやハイパーカジュアルゲームアプリなどの無料ゲームアプリに加え、ポイント獲得機能を加えたポイ活ゲームアプリを展開しています。
収益源は、アプリ内の一部スペースを広告枠として広告主へ提供することによる広告収益です。運営は主に東京通信グループの子会社であるTTやテトラクローマ、MASK、Babangida、ftyなどが担当し、アドネットワークを介してユーザーのクリック数等を獲得しています。
■プラットフォーム事業
ユーザーとそのニーズを満たすサービス関係者をつなぐプラットフォームを構築し、サービスを提供しています。主要サービスとして、悩みを持つユーザーと鑑定師をマッチングする電話占いカリスやSATORI電話占い、推し活メッセージアプリのB4NDを展開しています。
電話占いサービスは通話時間に応じた従量課金、エンタメテックサービスは月額課金および応援アイテム販売を収益源としています。電話占いサービスはティファレトが、エンタメテックサービスはパルマがそれぞれ運営を行っています。
■その他
報告セグメントに含まれない新規領域として、メタバースプラットフォームの企画・開発やデジタルサイネージの販売、ファンクラブサービスの企画・運営、投資関連事業など、多様な事業に取り組んでいます。
ファンクラブサービス等は会員からの課金収益、投資事業は投資有価証券の売却益などを収益源としています。運営はアミザやDigital Vision Industries、TeT、東京通信キャピタル、TT1有限責任事業組合などの関連会社が担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績を見ると、売上高は概ね拡大傾向にありますが、新規事業への先行投資等により利益面は変動を伴っています。しかし直近の当期においては、主力事業への経営資源集中や投資事業での売却益計上などにより、経常利益および当期利益ともに大幅な黒字転換を果たし、収益性が大きく改善しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 47億円 | 51億円 | 62億円 | 59億円 | 62億円 |
| 経常利益 | 4億円 | -0.5億円 | 4億円 | -2億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 9.0% | -0.9% | 5.7% | -3.6% | 10.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.8億円 | -3億円 | 2億円 | -5億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2年間の損益構造を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。また、前期は営業赤字となっていましたが、当期は主力事業のゲームアプリが好調に推移し、エンタメテック領域での収益構造の見直しも奏功した結果、営業利益段階から黒字に転換し、本業の稼ぐ力が回復していることが伺えます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 59億円 | 62億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 48億円 |
| 売上総利益率(%) | 79.2% | 77.7% |
| 営業利益 | -2億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | -3.9% | 3.1% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が26億円(構成比56%)、給与手当が7億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上高は、主力であるメディア事業がスマートフォンゲームアプリのヒット等により前年を上回っています。プラットフォーム事業は電話占いサービスが堅調に推移して横ばいを維持しました。また、その他事業はファンクラブビジネスや投資事業などが寄与し、前年から大きく増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| メディア事業 | 33億円 | 34億円 |
| プラットフォーム事業 | 22億円 | 22億円 |
| その他 | 3億円 | 6億円 |
| 連結(合計) | 59億円 | 62億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益や資産売却等によって得た資金で借入金の返済を進める改善型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 4億円 |
| 投資CF | 0.7億円 | 6億円 |
| 財務CF | -9億円 | -6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は35.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「創造によって世界中のエモーショナルを刺激する」というパーパス(存在意義)の実現に向けて、ビジョンに「Digital Well-Being」を掲げています。インターネットを通じて人々の心を豊かにするサービスを創造し続けることによって、企業価値の持続的な向上を図ることを使命として事業を展開しています。
■(2) 企業文化
既存事業の拡大とM&Aの戦略的活用を図り、世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリット経営を追求し続ける文化を重んじています。インターネット業界における絶え間ない技術革新に適切に対応し、新技術を活用できる人材獲得や研究活動に注力するなど、変化に機敏に対応して成長を目指す姿勢が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は企業価値の最大化を図るための客観的な経営指標として、営業利益およびEBITDA(税引前利益に支払利息や減価償却費などを加えた利益指標)を重視した事業運営を行っています。2025年12月期を初年度とする3ヶ年計画を策定し、中長期的な成長と株式価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業の連続的な成長に加え、M&Aを用いた継続的・非連続な成長戦略を推進しています。主力事業へのリソース最適化や既存事業のオーガニックグロース、フリーキャッシュ・フローを重視した財務基盤の強化に取り組んでいます。今後は成長加速領域への戦略的投資や海外展開を重点的に推進する方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
他社との競争に打ち勝つ独自サービスを提供し、事業ポートフォリオ拡充を実現するため、専門性に優れた優秀な人材の確保と育成を重要方針としています。経営理念に賛同し、意欲と行動力を持つ人材の採用を進めるとともに、階層別研修などの社内教育制度を充実させ、社員の成長を後押しする環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 41.7歳 | 4.4年 | 6,932,000円 |
※平均年間給与は臨時従業員を除く従業員の賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境と技術革新の変化
スマートフォンやインターネット広告の市場動向、および急激な技術革新が事業基盤となります。新たな法的規制の導入や通信事業者の動向、新技術への対応遅れ等が生じた場合、サービスの競争力が低下し、追加的なシステム・人件費の負担が増加することで業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) ユーザー嗜好の変化と海外展開
主力であるスマートフォンゲームアプリは海外でも展開しており、ユーザーの嗜好変化が激しい特徴があります。現地の言語や文化に合わせたローカライズに努めていますが、ユーザーニーズに対応したコンテンツ開発が困難になった場合や想定外の法規制リスクが生じた場合、広告収益が減少し業績に影響する恐れがあります。
■(3) 所属鑑定師・アーティストのブランドイメージ
電話占いサービスや推し活メッセージアプリ等において、業務委託契約を結ぶ鑑定師やアーティスト、および所属事務所のブランドイメージは重要です。万が一、彼らのイメージ悪化につながる事象が発生した場合、プラットフォームへの信頼低下やユーザー離れを招き、事業全体に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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