※本記事は、Appier Group株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
Appier Groupは純粋持株会社であり、グループ連結従業員数は791名です。
同社グループは、マーケティング分野においてAIソリューションを提供するパイオニアとして、企業の収益最大化に貢献しています。近年ではAaaS(Agentic AI as a Service)を提供するAIネイティブ企業として、自律型AIを活用したオムニチャネルマーケティングを提供しています。連結子会社19社を中心にグローバルに事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、Appier Japan(AaaS事業)などです。
また、2025年3月にはフランスのADYOUNEED SASを買収し、最適な広告クリエイティブを自動生成できるAI搭載プラットフォーム「AdCreative.ai」をプロダクトラインに追加しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Appier Groupは、AI技術を核としたデジタルソリューションを提供する企業グループであり、従業員を最も大切な資産と位置づけています。グローバルに展開し、多様な人材が活躍できる環境を重視しており、個人の能力や実績に基づいた機会提供を企業文化としています。AI分野の専門知識を持つ人材の採用と育成に注力し、従業員の福祉にも配慮した働き方を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
Appier Groupは純粋持株会社であり、提出会社単体での従業員は存在しないとされています。そのため、平均年間給与、平均勤続年数、平均年齢といった単体での従業員に関するデータは開示されていません。同社グループ全体としては、従業員数が着実に増加しており、事業拡大に伴う組織の成長が見られます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 連結従業員数 | 791人 |
同社グループは確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を導入しています。この制度は台湾で設立された子会社において台湾籍を持つ正社員に適用され、毎月給与の少なくとも6%を拠出しています。その他の子会社や台湾以外の主要子会社でも、法令に従った確定拠出型年金制度が導入されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Appier Groupは、デジタルソリューションプロバイダーとして、AIに関する専門知識を持つ従業員を最も重要な資産と位置づけています。競争の激しいハイテク業界において、スキルの高い人材の採用と維持を最優先課題とし、AI研究の発展を後押しするため教育機関との連携も行っています。
同社グループは、従業員一人ひとりを尊重し、性別、国籍、人種など個人の能力に関係のない属性にかかわらず、均等な機会を提供する企業文化を重視しています。報酬については、個人の実績に基づいて競争力のある水準を提供しています。
人材育成においては、社内研修を継続的に実施し、従業員のスキル向上を支援しています。多様性、公平性、一体性(DE&I)をコアバリューとし、15カ国に17のオフィスを展開し、現地雇用を通じて多様な人材が活躍できる環境を整備しています。
また、従業員の福祉・健康・安全にも配慮し、団体医療保険、従業員紹介ボーナス、年次有給休暇制度、柔軟な職場環境、実地研修(OJT)、レクリエーションなど、多岐にわたる支援と福利厚生を提供しています。行動規範にはリスクのない環境での労働も含まれ、報告窓口も設けています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
2025年12月末時点のグループ全体の集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全従業員に占める女性の割合 | 42.2% |
| 研究開発部門における女性の割合 | 24.2% |
| 取締役会の女性比率 | 25.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Appier Groupは、「自律型AIでROIを向上させる」ことをミッションに掲げ、マーケティング分野に特化したAIソリューションを提供する企業です。AI技術を活用し、顧客企業の投資リターン(ROI)最大化に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、AI時代における企業の「データの断片化」と「AI人材の不足」という課題を解決するAIプラットフォームを提供しています。深層学習技術で多様なデータを統合し、最先端のAIモデルを自動で構築するソフトウェアを通じて、顧客企業のマーケティング活動の効率性を高め、ROI向上を実現しています。予測AI、生成AI、そして自律型AIを統合し、消費者行動の予測からクリエイティブの自動生成、業務のリアルタイム遂行までを支援しています。
同社グループのソリューションは、主に「広告クラウド」「パーソナライゼーションクラウド」「データクラウド」の3つのカテゴリーに分類されています。広告クラウドは、ユーザーの生涯価値(LTV)を予測し、高価値ユーザーの獲得を支援する「CrossX」や、最適な広告クリエイティブを自動生成する「AdCreative.ai」などがあります。パーソナライゼーションクラウドは、AIがパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで配信する「AIQUA」や、購入をためらうユーザーに限定してインセンティブを提供する「AiDeal」などを提供しています。データクラウドは、様々な消費者データをリアルタイムに統合し、ユーザー行動を総合的に予測する「AIXON」や、次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)である「AIRIS」などを展開しています。
これらのソリューションは、利用量に基づく価格体系やサブスクリプション方式で提供されており、顧客企業が利用すればするほどAIが学習するデータ量が増加し、予測精度が高まることで、顧客ロイヤルティの強化につながるビジネスモデルです。同社グループは、東京のほか、ソウル、台北、香港、北京、カリフォルニア、アムステルダム、パリ、シンガポールなど15ヵ国・地域に17のオフィスを構え、グローバルに事業を展開しています。
地域別売上収益では、北東アジア地域が最も大きな割合を占めており、米国、EMEA及びその他地域、グレーターチャイナ地域、東南アジア地域がこれに続いています。また、特定の顧客への収益集中が見られ、Coupang, Inc.が当連結会計年度の売上収益の約3割を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、過去5期にわたり継続的に増加しています。税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、第4期に将来的な事業拡大のための先行投資により損失を計上しましたが、その後は黒字に転換し、順調に成長を続けています。当連結会計年度においても、売上収益、税引前利益ともに増加傾向を示しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 127億円 | 194億円 | 264億円 | 341億円 | 437億円 |
| 税引前利益 | △11.7億円 | 1.1億円 | 10.6億円 | 20.6億円 | 26.7億円 |
| 税引前利益率 | △9.2% | 0.6% | 4.0% | 6.1% | 6.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △11.8億円 | 21百万円 | 10.0億円 | 29.3億円 | 25.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △11.97 | 0.21 | 9.85 | 28.70 | 25.14 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も同様に増加しており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。これは、事業規模の拡大と効率性の改善が同時に進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 48.1百万円 | 55.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.8百万円 | 3.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Appier Groupは、本業で着実に資金を生み出しつつも、将来の成長に向けた積極的な投資を継続している状況です。財務基盤を強化しながら事業拡大を進めていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から低下しているものの、プライム市場の非製造業平均(24.2%)と比較して高い水準を維持しています。ROEは前期から低下しており、プライム市場平均(9.4%)を下回る水準となっています。現金及び現金同等物は増加しており、手元資金の厚みが増している状況です。これらの状況は、同社グループが事業拡大のための投資を進めつつ、一定の財務的な安定性を保っていることを示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 343億円 | 371億円 |
| 自己資本比率 | 76.9% | 61.4% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.2% | 7.2% |
| 現金及び現金同等物 | 55.0億円 | 117億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
営業活動によるキャッシュ・フローは前期から増加し、32.7億円の収入となりました。これは主に非資金損益調整後の税引前利益の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは前期から支出が増加し、43.3億円の支出となりました。M&Aに伴う子会社の取得や無形資産の取得による支出が主な要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローは前期から収入が増加し、70.4億円の収入となりました。長期借入れによる収入の増加が主な要因です。
フリーキャッシュ・フローは前期に引き続きマイナスであり、10.6億円の支出となっています。同社グループは本業で着実に資金を生み出していますが、M&Aや無形資産の取得といった成長投資を積極的に行っているため、フリーキャッシュ・フローはマイナスで推移しています。この投資を財務活動による借入れで賄っている状況は、今後の事業成長への期待を示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 19.3億円 | 32.7億円 |
| 投資CF | △22.4億円 | △43.3億円 |
| 財務CF | △7.9億円 | 70.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.1億円 | △10.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの成長戦略は、マーケティング領域におけるAaaS(Agentic AI as a Service)ソリューションに対する需要の伸びに大きく依存しています。しかし、この市場は新しいため、規制や景気動向、企業の意識などにより期待通りに成長しない可能性があります。
また、同社グループが事業を営むAIマーケティング市場は未だ成熟しておらず、既存または新規の競合他社との競争が激化することが予想されます。競合他社が同社グループよりも長い事業歴や豊富な財源、技術力を持つ可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループのプロダクトはAIアルゴリズムを用いているため、営業人員にもAI等に関する一定の知識が求められます。そのため、知識や経験のある人材の採用に努めていますが、そのような人材は数が限られており、十分な人数を採用できない可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Appier Groupは、AI技術を核に顧客企業のビジネス変革を支援する企業です。革新的なAIソリューションを通じて、顧客のROI向上と収益最大化を目指す、未来志向の企業文化が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Appier Groupのミッションは、「自律型AIでROIを向上させる」ことです。同社グループは、AI時代における大きな変革の機会を捉え、マーケティング分野において顧客企業のROI(投資リターン)向上を実現してきました。
マーケティングからセールス活動まで顧客接点の全領域を支援するAIソリューションを提供するパイオニアとして、企業の収益最大化に貢献しています。近年では、AaaS(Agentic AI as a Service)を提供するAIネイティブ企業として、自律型AIによるオムニチャネルマーケティングを提供し、顧客企業の自律的なマーケティングパートナーとなることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Appier Groupでは、AI業界の課題に立ち向かうための向上心、オープンマインド、ダイレクトコミュニケーションを重視する企業文化が根付いています。同社グループの人的資本管理は従業員一人ひとりを尊重し、性別、国籍、人種等の個人の能力とは関係のない属性にかかわらず、コミュニティの全員に均等な機会を提供する企業文化を有しています。
多様性、公平性、一体性(DE&I)をコアバリューとしており、行動規範においても強調されています。長期的な成長と持続可能性を重視する企業文化の構築に取り組んでおり、未来志向の人材の確保を独自の価値と考えています。行動規範では、採用や昇進等において国籍、性別、年齢等による差別を行わないことを定めており、安全かつ健康的で思いやりのある労働条件の提供も重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
Appier Groupが優先的に対処すべき課題として、研究開発体制の強化を挙げています。優秀な人材の確保と育成、研究開発への継続的な投資、社内でのノウハウ共有や教育体制の強化に努めています。
また、営業体制の強化も重点テーマであり、優秀なマーケティング・営業・カスタマーサクセス人材の採用とトレーニングを通じて営業生産性の向上を目指しています。多国間での事業運営に対応するため、内部管理体制の構築・強化、財務報告の適切性確保、リスク管理及び内部統制の強化に取り組んでいます。顧客企業の機密情報やユーザー情報の管理を徹底するため、情報管理体制の強化も進めており、社内教育・研修を継続しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Appier Groupは、監査等委員会設置会社として、取締役会と監査等委員会を設置しています。取締役会は複数の取締役で構成され、監査等委員会は社外取締役が中心となって監査・監視を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Appier Groupの株主構成を見ると、筆頭株主はPLAXIE INCであり、同社の代表取締役CEOと取締役COOが支配する会社です。上位には複数の機関投資家や信託銀行が名を連ねており、多様な株主によって支えられていることがうかがえます。創業家が関連会社を通じて上位株主となっている点が特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| PLAXIE INC(常任代理人 SMBC日興証券) | 16.81% |
| PEAK XV PARTNERS INVESTMENTS IV(常任代理人 SMBC日興証券) | 9.79% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.61% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) | 5.04% |
| CHIA-YUNG SU(常任代理人 SMBC日興証券) | 3.89% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
Appier Groupの役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役CEOは游直翰氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 游 直翰 | 代表取締役CEO | 2012年6月Appier, Inc. Director、2013年10月Appier Pte. Ltd. Director就任、2014年7月Appier Japan取締役就任、2019年2月同社代表取締役就任より現職。 |
| 李 婉菱 | 取締役COO | 2012年12月Appier, Inc. Director就任、2013年10月Appier Pte. Ltd. Director就任、2019年2月同社取締役就任より現職。 |
| 蘇 家永 | 取締役CIO | 2012年6月Appier, Inc. Director、2013年10月Appier Pte. Ltd. Director就任、2019年2月同社取締役就任より現職。 |
| 涂 正廷 | 取締役 | 2004年1月SpringSoft Inc.入社、2008年11月HTC Corporation入社、2016年9月Appier, Inc.入社、2019年8月同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、簡立峰氏(元Google LLC台湾オフィスManaging Director・監査等委員)、本村天氏(TGVest Capital代表取締役・監査等委員)、何經華氏(元UFSoft, Inc. CEO・監査等委員)、余若凡氏(Taiwan Network Information Center CEO・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役は全員が社外取締役で構成されています。これにより、業務執行の妥当性監査を含む実効性ある監督機能の確保を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
Appier Groupの役員報酬は、監査等委員でない取締役に対しては基本報酬を基本とし、業績連動報酬や株式報酬を付与する場合があります。一方、監査等委員である取締役の報酬は、その職責に鑑みて基本報酬のみで構成されています。これにより、経営陣の責任とインセンティブのバランスを図っています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 96百万円 | 24.0百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 34百万円 | 6.8百万円 |
なお、報酬等の総額には同社子会社から支給される役員及び従業員としての報酬も含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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