※本記事は、ニューラルグループの有価証券報告書(第8期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ニューラルグループってどんな会社?
同社グループは、AIエンジニアリング事業を通じて、リアル空間のデジタル化による社会課題の解決を目指す企業です。
■(1) 会社概要
2018年1月にファッションポケットとして設立され、同年8月にアパレル企業向けファッショントレンド解析サービスを開始しました。2019年3月にニューラルポケットに社名変更し、2020年8月に東京証券取引所マザーズに上場しました。その後、サイネージ広告や電子看板業界への参入などを経て、2023年6月に現在のニューラルグループに社名変更しています。
現在の従業員数は連結で204名、単体で36名です。筆頭株主は創業者の重松路威氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は資本業務提携先であるソニーです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 重松路威 | 50.41% |
| 特定金外信託受託者 SMBC信託銀行 | 4.06% |
| ソニー | 4.01% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は重松路威氏が務めており、社外取締役の比率は66.7%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 重松路威 | 代表取締役社長 | マッキンゼー・アンド・カンパニー入社、同社パートナーを経て、2018年1月に同社を設立し、代表取締役社長に就任。2020年11月より現職。 |
| 山本正晃 | 取締役グループアライアンス事業本部 本部長 | ソニー入社後、2019年に同社に入社し、執行役員、常務執行役員を歴任。ネットテンの代表取締役社長兼CEOを経て、2023年3月より現職。 |
社外取締役は、蓮見麻衣子(有限会社エバーリッチアセットマネジメント入社)、竹村実穂(公認会計士)、若松俊樹(弁護士)、山岸洋一(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、AIエンジニアリング事業の単一セグメントですが、「イノベーション領域」および「コアサービス領域」の事業を展開しています。
■イノベーション領域
同社グループは、AIエージェントや大規模言語モデル等の先端技術領域の研究活動を企業と共同で推進し、AIアルゴリズムの研究をはじめとしたAI技術の研究・開発を行っています。駐車場向けの満空把握ソリューションや人流・防犯サービス、ファッショントレンド解析などを提供し、リアル空間のデジタル化を支援しています。
収益は、AIカメラに搭載するソフトウェアの提供や機能更新、データレポーティング、導入に関するコンサルティングなどの対価として顧客から受け取ります。運営は主に同社およびニューラルエンジニアリングが行っており、AIライセンスの提供から機器の設置、保守運用までを一気通貫で提供できる体制を整えています。
■コアサービス領域
同社グループ内で開発・獲得した新技術を取り込みつつ、成熟したAI技術や関連技術をサービスやプロダクトとして提供・販売し、AIの社会活用を推進しています。ソニーの音声関連技術と組み合わせた1on1支援ツールや、LEDサイネージの開発・販売などを展開し、全国の企業や施設向けにマーケティングや人材活用を支援しています。
収益は、サイネージ筐体の販売や設置、広告枠の販売、SaaS型のソフトウェア利用料として顧客企業から受け取ります。運営は主に同社およびニューラルマーケティングが担っており、強固な営業販売網と販売ノウハウにより、小売店舗や商業施設、地方自治体など幅広い顧客に対して安定的なサービス提供を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2021年12月期の10.1億円から2024年12月期には35.6億円まで拡大しましたが、当期は事業ポートフォリオの見直しなどにより33.0億円に減少しました。利益面では2022年12月期以降、先行投資等により経常損失が続いていましたが、当期は構造改革の進展により赤字幅が縮小傾向にあります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10.1億円 | 28.8億円 | 31.8億円 | 35.6億円 | 33.0億円 |
| 経常利益 | 0.1億円 | -3.1億円 | -6.9億円 | 0.1億円 | -0.5億円 |
| 利益率(%) | 1.4% | -10.7% | -21.6% | 0.3% | -1.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.1億円 | -9.1億円 | -6.5億円 | -0.6億円 | -1.2億円 |
■(2) 損益計算書
当期は事業の構造改革により売上高が33.0億円となりました。これに伴い売上総利益も減少しましたが、販売費及び一般管理費を圧縮したことで、営業損失は0.1億円にとどまっており、損益分岐点の改善が進んでいます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 35.6億円 | 33.0億円 |
| 売上総利益 | 23.7億円 | 21.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 66.4% | 65.0% |
| 営業利益 | 0.4億円 | -0.1億円 |
| 営業利益率(%) | 1.0% | -0.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.9億円(構成比37%)、研究開発費が1.1億円(同5%)、役員報酬が0.9億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はAIエンジニアリング事業の単一セグメントですが、不採算案件の整理を含むポートフォリオの最適化を進めた結果、売上高は33.0億円となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| AIエンジニアリング事業 | 35.6億円 | 33.0億円 |
| 連結(合計) | 35.6億円 | 33.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ニューラルグループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保するため、自己資金、金融機関からの借入、エクイティファイナンス等をバランスよく調達することを基本方針としています。
当連結会計年度は、営業活動により資金が増加しましたが、これは主にのれん償却や棚卸資産・売上債権の減少等によるものです。投資活動では、定期預金の預入により資金が減少しました。財務活動では、株式の発行による収入が大幅に増加し、資金を大きく増加させました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.9億円 | 1.5億円 |
| 投資CF | 0.0億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | -3.4億円 | 14.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「AIで心躍る未来を」をミッションとして掲げています。近年、デジタル技術の進展が社会構造に大きな変化をもたらすなか、独自開発のAIアルゴリズムによる画像・動画解析技術やエッジコンピューティング技術を活用し、リアル空間のデジタル化を通じた社会課題の解決を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、持続可能な社会の実現に向け、省資源・省エネルギーで運用可能なエッジAI技術の社会実装や、安心・快適な街づくりへの貢献を重視しています。また、卓越した人材を引き付け、育て、夢中にさせることや、チームメンバーを一体となって夢を実現する仲間と考えることなどを行動指針としています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益性を維持しながら中長期的な成長を図るため、成長性、収益性および効率性を重視した経営が必要と認識しており、売上高およびEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を重要な経営指標と位置づけています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、研究開発を通じたイノベーション領域の継続的な強化に加え、全国規模の顧客基盤を有するコアサービス領域の拡大を推進し、収益性と成長性の両立を目指しています。また、周辺領域におけるM&Aやアライアンスを通じてグループシナジーを高め、サービスラインアップの拡充と事業ポートフォリオの強化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、事業の推進には多様な人材が必要不可欠であり、人材こそが競争力の源泉だと考えています。性別・国籍・年齢等にとらわれない多様なバックグラウンドを持った人材の採用・育成を図るとともに、ワークライフ・バランスを整え働きがいを持って能力を発揮できる環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 37.5歳 | 3.3年 | 7,369,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は常時雇用する労働者数が少ないことなどにより公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) AIビジネス市場の成長鈍化や競争激化
国内外におけるAI関連市場やスマートシティ分野は急速に拡大していますが、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合や、大手企業による新規参入等により市場シェアの構成が急激に変化した場合、同社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新への対応遅れ
同社グループは独自のAIアルゴリズムによる画像・動画解析技術を軸に事業を展開しています。新技術の積極的な展開や優秀なエンジニアの採用・育成を進めていますが、技術革新への対応が遅れたり、開発費等の予想を超える多額の費用が発生したりした場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 法規制等の変更と情報管理
画像データを収集・分析する上で、著作権法等の法規制が改正されデータ利活用が制限された場合や、国内外の個人情報保護に関する法規制の強化がなされた場合、事業に影響が及ぶ可能性があります。また、不測の事態により情報漏洩が発生した場合には、信用失墜につながる恐れがあります。



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