セキュア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

セキュア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場するセキュアは、入退室管理システムや監視カメラシステムを中心としたセキュリティシステムの構築から運用までをワンストップで提供しています。直近の業績は、売上高が68億円で増収、経常利益が3億円で微増となった一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は2億円の減益となりました。


※本記事は、株式会社セキュアの有価証券報告書(第24期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. セキュアってどんな会社?


同社は、最新のAI技術と物理セキュリティを組み合わせた付加価値の高いソリューションを提供しています。

(1) 会社概要


2002年に設立された同社は、2010年に法人向け事業へ転換し入退室管理や監視カメラシステムの販売を開始しました。2021年に東京証券取引所マザーズ市場に上場しています。近年は事業領域の拡大を推進し、2024年にジェイ・ティー・エヌ、2025年にメディアシステムを相次いで子会社化しました。

同社グループの従業員数は連結で199名、単体で171名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社である合同会社LYONで、第2位は資本業務提携先のバッファロー、第3位には創業社長の谷口辰成氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
合同会社LYON 18.01%
バッファロー 14.19%
谷口 辰成 7.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は谷口辰成氏が務めています。社外取締役は2名選任されており、取締役全体の構成に対して独立した監視体制を整えています。

氏名 役職 主な経歴
谷口 辰成 代表取締役社長 1999年にネクサス入社。2000年にジェイネクステルへ入社し、2002年に同社を設立して代表取締役社長に就任。2014年に合同会社LYONを設立して代表社員を務め、2022年より現職。
横井 文昭 取締役副社長 1985年に東京海上火災保険へ入社。2019年に同社常務執行役員を経て、2022年に同社に入社し専務執行役員に就任。2023年に取締役兼専務執行役員を務め、2025年より現職。
平本 洋輔 取締役AI Store事業部長 2008年にせんどうに入社後、2014年に同社へ入社。画像プラットフォーム事業部長などを経て、2022年に取締役執行役員CBDOに就任。2025年より現職。
佐藤 仁美 取締役経営管理部長 1996年に杉本商事に入社。複数の企業を経て2014年に同社へ入社。2018年に執行役員経営管理部長に就任し、取締役経理財務部長などを務め、2024年より現職。


社外取締役は、芦澤光二(元キヤノンマーケティングジャパン取締役副社長)、倉林聡子(アプリックス代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「セキュリティソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) SECURE AC(入退室管理システム)


同事業では、オフィスや工場、商業施設などを対象に、顔認証や指紋、カードなど多様な認証デバイスを一元管理する入退室管理システムを提供しています。オンプレミス型からクラウド型まで規模に応じた柔軟な拡張が可能であり、勤怠管理システムなどとの連携によってセキュリティレベルと利便性を両立させています。

顧客企業からシステムの導入費用およびクラウドサービスのサブスクリプション利用料、アフターフォローに伴う保守費用を受け取ります。代理店などの販売パートナー経由での提供が中心となっており、事業の運営は同社が行っています。

(2) SECURE VS(監視カメラシステム)


中小企業から大企業までを対象に、オンプレミス型やクラウド型の監視カメラシステムを提供しています。多様な規格のカメラを統合管理できるほか、AIを活用して特定の人物の検出や混雑状況の把握、危険行動の検知などを実現し、防犯用途にとどまらず従業員の安全性向上や店舗の省人化といった課題解決に貢献しています。

システムの構築・導入に伴う販売収益や、クラウド型映像監視サービスの継続的な利用料、保守サポート費用を収益源としています。警備会社やオフィスデザイン会社などの販売パートナーを通じた間接販売が主流であり、同社が事業運営を担っています。

(3) SECURE Analytics(画像解析サービス等)


商業施設や公共施設などの多様な空間を対象に、AI専用ステレオカメラを用いた画像解析サービスを提供しています。施設の入退場者や滞留人数を正確に計測する機能や、混雑具合をリアルタイムで可視化・予測する機能を通じて、顧客企業のマーケティングリサーチや店舗運営の最適化を支援しています。

施設運営者などの顧客から、専用カメラ等のデバイス導入費用や、蓄積されたデータを解析してダッシュボードで一括管理するソフトウェアの利用料を受け取ります。多様なニーズに合わせた付加価値の高いソリューションとして、同社が事業を展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実な成長を遂げており、特に直近3年間で事業規模が大きく拡大しています。利益面では2022年12月期に先行投資による一時的な赤字を計上しましたが、翌期以降は安定して黒字を確保しており、強固な収益基盤を確立しつつあります。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 34億円 34億円 52億円 62億円 68億円
経常利益 1億円 -2億円 2億円 3億円 3億円
利益率(%) 4.4% -5.4% 3.4% 4.7% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 -2億円 2億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は40%台で安定して推移しています。AI技術を用いた付加価値の高いソリューションの提供により、収益性が着実に向上していることがうかがえます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 62億円 68億円
売上総利益 25億円 28億円
売上総利益率(%) 40.5% 41.3%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 4.9% 4.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9億円(構成比35%)、賞与引当金繰入額が1億円(同2%)を占めています。売上原価は40億円で、売上原価合計に対する構成比は59%となっています。

(3) セグメント収益


主力の監視カメラシステムおよび入退室管理システムを中心に、全てのサービス分野で前年を上回る売上を記録しています。特にエンジニアリングサービスが大きく伸長し、監視カメラシステムも大型案件の導入が進んだことで、全体の収益拡大を力強く牽引しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
入退室管理システム 17億円 19億円
監視カメラシステム 39億円 42億円
画像解析サービス等 2億円 2億円
エンジニアリングサービス 4億円 6億円
連結(合計) 62億円 68億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは営業活動で得た資金と外部からの調達資金を元に積極的な投資を行う「積極型」の傾向を示しています。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も55.7%で市場平均を上回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 3億円 2億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF 6億円 11億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「AI×セキュリティで新しい価値を創る」をビジョンに掲げています。入退室管理や監視カメラなどの物理セキュリティシステムにAI技術を掛け合わせ、あらゆるシーンに安心・安全のソリューションを提供することを使命としています。「Make place Secure upgrade place Smart」というコンセプトのもと、空間のデータ化を通じたスマートな社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、企業理念への深い共感を重視しており、『セキュアが大切にする5つのこと』という独自の価値観を社内に浸透させています。また、「人が育ち 人が育てる SECURE」という人材育成方針を掲げ、自ら学ぶ環境の構築や主体的なキャリア形成を支援することで、社員同士が尊重し合い共に成長していく風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業活動の成果を測る客観的な指標として、事業規模の拡張性を示す「売上高成長率」、収益性を判断する「売上総利益率」、および「営業利益」を掲げています。また、将来の収益基盤強化につながる重要な非財務指標として、入退室管理システムおよび監視カメラシステムの「導入件数」を設定し、その持続的な拡大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、継続的な事業成長に向けて、販売パートナーの深掘りや新規開拓による顧客接点の拡大を重点施策としています。さらに、高度化するニーズに対応するためのAI実装力の強化や、ストック型サービスの拡充による収益基盤の安定化を図っています。中長期的には、無人決済店舗の事業化や韓国子会社を起点とした海外展開など、新たな事業領域の開拓にも注力する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人的資本」への投資を重要な成長戦略と位置付けています。人材開発センターを中心に、社内独自資格制度である『星認定制度』の運用やe-Learningによる自己啓発支援を通じて、従業員一人ひとりの自律的なキャリア形成を後押ししています。また、新卒社員に対するバディ制度を導入し、組織全体で人材育成を推進する体制を整えています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 38.3歳 4.4年 5,882,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.0%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 67.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 67.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 100.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(26.4%)、新卒採用における女性比率(66.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) AI・IoT領域の技術開発の遅れ


同社の事業領域であるAIおよびIoT分野は技術革新のスピードが非常に速く、新技術への対応に遅れが生じた場合、提供するソリューションが陳腐化するリスクがあります。これに対し、同社は市場動向の変化を分析しながら常に最新のテクノロジーを収集し、継続的な研究開発と新規サービスの創出に取り組むことで競争力の維持に努めています。

(2) 特定の海外仕入先への依存


同社が取り扱う監視カメラなどのセキュリティ機器は、グローバルに展開する韓国の特定のメーカーからの仕入額が全体の4割を占めています。当該メーカーの事業戦略の変更等により取引が縮小した場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。そのため、同社は仕入先の分散化を図るとともに、最適なデバイス調達体制の構築を進めてリスク軽減を図っています。

(3) 特定の販売パートナーへの依存


同社のソリューションは販売代理店を通じた間接販売が中心であり、上位5社による売上シェアが過半数を占めています。パートナー企業の販売方針の変更や業績不振により取引が継続できなくなった場合、業績に影響を与える可能性があります。同社は既存パートナーとの連携強化を図る一方で、新規パートナーの積極的な開拓を推し進めて営業基盤の拡大に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。