※本記事は、株式会社コアコンセプト・テクノロジーの有価証券報告書(第17期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コアコンセプト・テクノロジーってどんな会社?
同社は製造業や建設業などのDX支援と、独自のネットワークを活用したIT人材調達支援を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2009年にコンサルティングおよびシステム開発事業を目的に設立されました。2016年に製造業向けDX開発基盤「Orizuru」をリリースし、2021年にはビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」の提供を開始しています。同年9月に東京証券取引所マザーズへ上場し、近年はM&Aにより事業領域を拡大しています。
現在の従業員数は連結で584名、単体で416名体制です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長CEOの金子武史氏で、第2位はBIPED、第3位は事業会社の芸陽線材となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 金子武史 | 14.42% |
| BIPED | 8.63% |
| 芸陽線材 | 5.59% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長CEOは金子武史氏が務めており、取締役の過半数となる4名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金子武史 | 代表取締役社長CEO | 2000年インクス入社。ラグナ設立等を経て2010年同社入社。2013年取締役副社長を経て2015年より現職。 |
| 中島数晃 | 取締役副社長CFO | 1995年日本興業銀行入行。ヒューマンホールディングス執行役員等を経て2018年同社入社。2020年取締役CFOを経て2025年より現職。 |
社外取締役は、上田昌平氏(元パナソニック常務執行役員)、廣瀬卓生氏(アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー)、鈴木雅也氏(鈴木雅也公認会計士事務所代表)、中島恵理氏(元長野県副知事)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX関連事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) DX支援
主に製造業・建設業・物流業向けに、DX開発基盤「Orizuru」や独自の支援手法「CCT-DX Method」を活用したDX支援を提供しています。DX後のあるべき姿の策定から技術検証、システム構築、運用・保守、さらには顧客企業の内製化まで一気通貫で伴走支援を行うことが特徴です。
顧客となる事業会社などからコンサルティングやシステム開発の対価として収益を得ています。プロジェクト期間に応じた準委任契約を中心に安定的な収益基盤を構築しており、本事業は同社および連結子会社が主体となって運営しています。
■(2) IT人材調達支援
大手システムインテグレーターやコンサルティングファーム、事業会社を対象に、システム開発の各フェーズに必要なIT人材の調達支援を行っています。全国の中小IT企業やフリーランスのエンジニアをネットワーク化したプラットフォーム「Ohgi」を活用し、最適な人材をワンストップで迅速に提供しています。
顧客が必要とするITエンジニアの技術を提供し、その対価として収益を得るモデルです。多重請負構造を縮小し、中間マージンを省くことで顧客とエンジニア双方に価値を提供しており、本事業は同社が運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近3期間の連結業績は、DX市場の拡大を背景に順調な成長を続けています。売上高は毎期増収を達成しており、経常利益も順調に規模を拡大させています。利益率も安定して10%台を維持しており、強固な収益基盤を確立しています。
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 159億円 | 192億円 | 209億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 20億円 | 22億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 10.7% | 10.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 13億円 | 15億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
収益性の推移を見ると、売上高の成長にともない売上総利益・営業利益ともに増加しています。事業の拡大により採用等による人件費や外注費が増加しているものの、売上総利益率および営業利益率は前年度と同水準を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 192億円 | 209億円 |
| 売上総利益 | 50億円 | 57億円 |
| 売上総利益率(%) | 26.2% | 27.2% |
| 営業利益 | 20億円 | 22億円 |
| 営業利益率(%) | 10.5% | 10.5% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が12億円(構成比35.3%)、支払報酬料が3億円(同9.1%)、地代家賃が3億円(同8.7%)を占めています。また、売上原価のうち、外注費等を含む経費が121億円(構成比86.6%)、労務費が19億円(同13.3%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
コアコンセプト・テクノロジーのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社は、営業活動により潤沢な資金を確保し、その一部を借入金の返済や自己株式の取得に充てています。投資活動では、将来の成長を見据えた有価証券への投資を行っています。これらの活動の結果、当連結会計年度末の資金は増加しました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 18億円 |
| 投資CF | -10億円 | -3億円 |
| 財務CF | 2億円 | -13億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「テクノロジーと人の力で産業のサステナブルな発展に貢献します」というパーパスを掲げています。製品と人の進化により各産業が持続可能な形で発展する未来を描き、それを実現する仕組みを構築することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
「Think Big, Act Together.」という価値観(バリュー)を定めています。常識や固定観念を取り払って自由に発想し、顧客や社員など多くの関係者に支えられているという理解を日々の行動に結びつける精神を貫いています。また、あらゆることに当事者意識を持つことなどを「CCT WAY」として行動指針に据えています。
■(3) 経営計画・目標
事業の継続的な拡大と企業価値の向上を図ることが重要だと認識しており、事業の成長性を表す「売上高成長率」と、収益力を表す「売上高営業利益率」を重要な客観的指標として設定しています。付加価値の高いサービスを提供し続けることで、安定的な高成長の持続を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
製造業・建設業・物流業向けDX支援において既存ノウハウを他社へ横展開するとともに、M&A等を通じて産業領域の拡大とDX開発基盤「Orizuru」の機能拡充を図ります。また、IT人材調達ネットワーク「Ohgi」の展開エリアを東京都以外にも拡大し、案件と人材の両方を継続的に増大させる好循環を形成していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
コア人材となる社員の積極的な採用・定着・育成を重要課題と位置づけています。魅力的な案件の獲得や比較的自由な開発体制に加え、給与水準の向上、公平・透明な人事評価制度の整備を行っています。また、独自カリキュラムによる新入社員研修や行動指針研修など、自発的な学びとスキルアップを支援する教育制度の充実を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.5歳 | 3.9年 | 6,873,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 55.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 79.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 45.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) AI技術や技術革新への対応
生成AIをはじめとする技術革新は、システム開発の在り方や業務プロセスに大きな影響を与えます。同社グループが想定する以上のスピードで技術革新や市場環境の変化が生じた場合、提供サービスの相対的な付加価値や競争力が低下し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) DX市場の動向と投資縮小
国内のDX市場は継続的な拡大が見込まれていますが、国内外の経済情勢や景気動向の悪化により企業がIT投資額を大幅に縮小した場合、あるいは予期せぬ事態で市場規模が縮小した場合には、受注計画に支障が生じ、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) IT人材の確保と外注体制の維持
継続的な事業拡大には優秀なIT人材の確保と定着が不可欠です。採用市場の競争激化により想定通りに人材を確保できない場合や、外注先であるビジネスパートナーの調達難および外注単価の上昇が生じた場合、最適なプロジェクト体制の構築が困難となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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