※本記事は、セーフィー株式会社の有価証券報告書(第12期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. セーフィーってどんな会社?
クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」を展開し、あらゆる業界の「現場DX」を支援する企業です。
■(1) 会社概要
2014年、モーションポートレートより関連事業を譲り受けセーフィーを設立し、2015年にクラウド録画型防犯カメラサービスを開始しました。2017年よりキヤノンマーケティングジャパンやNTT東日本、セコムなどへのOEM提供を開始し、2021年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たしています。
従業員数は連結で548名、単体で534名です。大株主の筆頭は創業者の佐渡島隆平氏で、第2位は創業メンバーの下崎守朗氏、第3位は資本・業務提携を行う事業会社のソニーネットワークコミュニケーションズです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐渡島 隆平 | 23.82% |
| 下崎 守朗 | 8.43% |
| ソニーネットワークコミュニケーションズ | 8.33% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長CEOは佐渡島隆平氏です。社外取締役比率は57%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐渡島 隆平 | 代表取締役社長CEO | 2002年ソネット(現ソニーネットワークコミュニケーションズ)入社。2014年同社設立、代表取締役社長CEO就任。MUSVI社外取締役。 |
| 森本 数馬 | 取締役 開発本部本部長兼 CTO | 2001年ソニー(現ソニーグループ)入社。グリーを経て、2014年同社設立に参画し、取締役開発本部長兼CTOに就任。 |
| 古田 哲晴 | 取締役 兼 COO | マッキンゼー、産業革新機構を経て、2017年同社入社。経営管理本部長兼CFO等を経て、2026年1月より現職。 |
社外取締役は、岩田彰一郎(元アスクル代表取締役社長)、中島早香(元イグニス取締役常勤監査等委員長)、工藤克己(元ソニーコミュニケーションネットワーク取締役執行役員SVP)、岡田淳(森・濱田松本法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「映像プラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■映像プラットフォーム事業
同社グループは、家から街まであらゆるビジネスシーンで活用される映像をデータ化し、人々の意思決定を支援するクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」を開発・提供しています。小売・飲食・建設・インフラなど幅広い業界の法人および個人顧客に対して、高画質・安全かつ安価な防犯カメラサービスを展開しています。
収益は、カメラ機器等の販売や設置工事費によるスポット収益と、クラウド録画サービスや画像解析サービスなどの継続課金によるリカーリング収益から構成されています。事業運営は主に同社が行い、子会社のセーフィーフィールドワークスが設置工事や保守を、セーフィーセキュリティが遠隔見守りサービスを提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高はクラウドカメラの稼働台数増加により、毎期順調な増収を続けています。経常利益は先行投資により赤字が継続していましたが、増収による利益貢献が拡大し、直近では赤字幅が大幅に縮小するとともに、補助金収入の計上等により当期利益は黒字転換を果たしています。
| 項目 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 93億円 | 118億円 | 150億円 | 190億円 |
| 経常利益 | -13億円 | -11億円 | -6億円 | -1億円 |
| 利益率(%) | -14.0% | -9.4% | -4.1% | -0.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -14億円 | -14億円 | -15億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い売上総利益も順調に増加しており、売上総利益率は50%を維持しています。成長に向けた研究開発や人員増強への先行投資を継続しているものの、増収効果により営業赤字の幅は大きく縮小しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 150億円 | 190億円 |
| 売上総利益 | 73億円 | 95億円 |
| 売上総利益率(%) | 48.7% | 50.0% |
| 営業利益 | -6億円 | -1億円 |
| 営業利益率(%) | -3.9% | -0.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が29億円(構成比31%)、研究開発費が16億円(同17%)を占めています。売上原価の主な内訳として、通信費が32億円(構成比33%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は映像プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、事業別のセグメント情報は記載されていませんが、課金カメラ台数の増加やエンタープライズ顧客の開拓が進んだことで、全社的に大幅な増収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 映像プラットフォーム事業 | 150億円 | 190億円 |
| 連結(合計) | 150億円 | 190億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
セーフィーは、エンタープライズ顧客への課金カメラ導入拡大が、売上総利益の増加に貢献しました。営業活動による資金は増加し、これは税金等調整前当期純利益の発生や投資有価証券評価損の計上などが主な要因です。投資活動では、定期預金の預入などにより資金を使用しました。財務活動では、非支配株主からの払込みや新株予約権の行使による収入がありました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.0億円 | 1.2億円 |
| 投資CF | -2.7億円 | -12億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | 1.0億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「映像から未来をつくる」をビジョンに掲げています。家から街まであらゆるビジネスシーンの映像をデータ化することで、人々の意思決定を迅速かつ効果的に行える世界の実現を目指し、小売、飲食、建設、インフラなど幅広い業界の「現場DX」を支援するクラウド録画型映像プラットフォームの開発・提供を推進しています。
■(2) 企業文化
ビジョンの実現に向けて、7つの「Safie Culture」を行動指針として定義しています。このカルチャーに共感する多様なバックグラウンドを持つ異才が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも、強い一体感と心理的安全性のある組織風土を築いています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的に安定して売上収益を拡大させることを重要視しており、達成状況を判断するための経営上の指標として「ARR(Annual Recurring Revenue)」を重視しています。また、ARRに関連する指標として「MRR(Monthly Recurring Revenue)」および「課金カメラ台数」の増加を目標に掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
日本が直面する労働力不足という社会課題に対し、AIの社会実装を通じた「現場AX(AI Transformation)」の推進を成長戦略の柱としています。既設カメラのクラウド化を促進する新製品の投入や、多様なニーズに応じたAIソリューションを効率的に開発・実装する環境の提供により、顧客のビジネスモデル変革を支援します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「異才が集い、常に挑み、顧客とともに未来をつくる」という組織ビジョンを定めています。顧客の課題解決に向けて多様なバックグラウンドを持つ人材を採用し、社員同士のコミュニケーションを活性化させる制度や新しいことにチャレンジできる環境を整備することで、個々の強みを活かした成長と新規事業の創出を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.4歳 | 2.9年 | 7,671,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 11.1% |
| 男性育児休業取得率 | 107.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 75.2% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、心理的安全性に関する従業員サーベイの回答平均値(7.8点)、チャレンジに関する従業員サーベイの回答平均値(7.7点)、従業員一人当たり粗利額(20.5百万円)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 先行投資と事業拡大に伴うリスク
同社グループは新たな顧客開拓や将来の収益拡大を目指し、研究開発や広告宣伝、人材採用等へ積極的な先行投資を行っています。しかし、新機能の拡充や新機種対応などの開発費用が予想以上にかさむ場合や、収益化が想定通りに進まない場合、短期的・中長期的な業績やキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 情報流出およびシステム障害に関するリスク
顧客の膨大な録画映像や個人情報をクラウド上で管理しているため、外部からの不正アクセスや内部の過失等により情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜につながります。また、大規模な自然災害や人的ミスによるシステム障害によりクラウドサービスやネットワークの利用に支障が生じた場合、サービスの停止を余儀なくされるリスクがあります。
■(3) 特定の販売パートナーへの依存リスク
同社グループの売上高の一定割合は、大手通信事業者や警備会社などの主要な販売パートナーを経由して獲得されています。これらの販売パートナーにおける経営方針、販売方針や施策の変更、取引条件の変更が生じた場合、事業計画の進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 大規模な感染症や自然災害による影響
新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が再び発生し、経済活動の停滞によって飲食・小売業などの休業や閉店が相次いだ場合、受注の減少を通じて業績に影響が及ぶ可能性があります。また、商品の在庫を保管する倉庫周辺で大規模な自然災害が発生した場合、事業継続に支障をきたすリスクがあります。



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