※本記事は、株式会社エフ・コードの有価証券報告書(第20期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. エフ・コードってどんな会社?
顧客体験を改善するSaaSを軸に、デジタルマーケティングやクリエイティブ領域で企業のDX支援を展開しています。
■(1) 会社概要
2006年3月にWEBコンサルティング事業として創業し、2013年にエントリーフォーム最適化ツール等の提供を開始しました。2018年7月にWeb接客ツール「CODE Marketing Cloud」をリリースし、2021年12月に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。その後は積極的なM&Aにより、SaaS事業やAI・テクノロジー事業への参入を果たし、事業領域を急速に拡大しています。
同社グループは、連結従業員数489名、単体従業員数44名の体制で運営されています。筆頭株主は創業者の工藤勉氏で、第2位は事業会社のSBI証券、第3位は個人の梅澤康二氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 工藤勉 | 39.26% |
| SBI証券 | 4.26% |
| 梅澤康二 | 3.68% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.1%です。代表取締役社長は工藤勉氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 工藤勉 | 代表取締役社長 | 免許オンデマンド取締役を経て、2006年3月同社設立に参画し取締役に就任。2011年3月より現職。 |
| 荒井裕希 | 取締役 | カスケードを経て、2007年5月同社に入社。2008年2月より現職。 |
| 衣笠槙吾 | 取締役CFO | 有限責任監査法人トーマツ、ユナイテッド等を経て、2021年4月同社執行役員に就任。2025年3月より現職。 |
| 山崎晋一 | 取締役 | リクルート、エン・ジャパン等を経て、2018年6月同社に入社。2021年1月より現職。 |
社外取締役は、原田充(元リクルートスタッフィング執行役員)、雨宮玲於奈(スマートエージェンシー代表取締役)、加藤扶美子(KATOコンサルティング代表取締役)、高橋壮介(かなめ総合法律事務所開設)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX事業」の単一セグメントで以下のサービスを展開しています。
■(1) デジタルマーケティング支援事業
Webサイトの顧客体験(CX)を向上させ、購買活動を促進するSaaS型ソフトウェアの提供に加え、戦略立案から広告運用、Webサイト改善までを包括的に支援しています。データ解析やAI技術を活用し、顧客企業のROI最適化を実現しています。
主な収益源はSaaSの利用料やマーケティング支援業務の手数料です。エフ・コードおよびグループ各社が運営主体となり、幅広い規模・業種の企業に対してサービスを提供しています。
■(2) AI・テクノロジー支援事業
企業のAI活用やテクノロジー領域の課題に対し、システム開発やエンジニアリングによる伴走支援を行っています。Webサイト制作やCMS開発・導入をはじめ、高度なセキュリティが求められる金融機関のインフラ構築などにも対応しています。
主な収益源は、エンジニア常駐型のシステム開発支援や内製化支援によるサービス提供対価です。エフ・コードおよび専門性を持つ連結子会社が事業を推進しています。
■(3) オンラインスクール・人材教育事業
労働人口の減少を背景に、DX人材育成、リスキリング、法人研修などの教育サービスを提供しています。Webデザイン、動画編集、プログラミングなどのデジタルスキルを短期間で習得できるプログラムを展開しています。
主な収益源は、教材などのデジタルコンテンツ販売およびスクールの受講料や法人研修費です。グループ内の教育・メディア事業を手掛ける子会社が主体となって運営しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社はM&Aを成長戦略の軸に据えており、直近3年間で事業規模が急拡大しています。積極的な企業買収によりサービス領域を広げたことで、売上収益および利益ともに力強い右肩上がりのトレンドを描いています。
| 項目 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 25億円 | 51億円 | 119億円 |
| 税引前利益 | 6億円 | 12億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 24.4% | 23.8% | 17.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 8億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
前連結会計年度から当連結会計年度にかけて、売上規模が2.3倍以上に拡大し、それに伴い各利益項目も大きく伸びています。増収に伴いコストも増加していますが、高い利益率を維持しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 51億円 | 119億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 71億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.4% | 59.7% |
| 営業利益 | 13億円 | 23億円 |
| 営業利益率(%) | 25.9% | 19.3% |
販売費及び一般管理費のうち、業務委託料が26億円(構成比50%)と最も大きく、次いで従業員給付費用が7億円(同14%)、支払手数料が4億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はDX事業の単一セグメントで事業を展開しており、テクノロジー・SaaSおよび各種プロフェッショナルサービスの受注が好調に推移しました。加えて、M&Aによる連結子会社の業績寄与が大きく貢献し、大幅な増収増益となりました。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 連結(合計) | 51億円 | 119億円 | 13億円 | 23億円 | 19.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
エフ・コードは、DX事業を単一セグメントとして展開しており、そのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、これは主に税引前当期利益や減損損失、金融費用によるものです。一方、その他の収益や営業債権の増加が減少要因となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得による支出が主な要因となり、前連結会計年度に引き続き支出超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行や長期借入による収入が大幅に増加した一方で、社債の償還や長期借入金の返済、非支配持分からの子会社持分取得による支出も行われました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 12億円 |
| 投資CF | -31億円 | -35億円 |
| 財務CF | 44億円 | 41億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「マーケティングテクノロジーで世界を豊かに」というミッションを掲げています。経験を有するコンサルタントによる人的支援と、その知見を具現化したテクノロジー・SaaSをハブとして、企業とその先にいる生活者との豊かな関係をつなぎ、より豊かな情報社会の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、深いインサイトに基づいたコミュニケーション設計と、それを実現するための高度な技術設計を兼ね備えた「マーケティングテクノロジスト」集団としての文化を重視しています。多様性に富んだ優秀な人材を採用し、事業やサービスの前進に取り組める環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
より高い成長性と収益性を確保する観点から、客観的な経営指標として「売上収益」および「営業利益」を重視しています。また、DX推進をワンストップで支援する事業特性から、「顧客数」と「顧客単価」の向上を重要な目標として掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
成長戦略の一環として、クリエイティブ、マーケティング、テクノロジー・SaaS、データマーケティングなどの各DX領域におけるケイパビリティ拡張と、データ・人材の充実を図るためのM&Aを積極的に推進します。また、サービス間のクロスセルによるシナジー創出を通じて収益性の向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、持続的な発展と企業価値向上において人材を最も重要な経営資源と位置付けています。優秀な人材獲得に向けた採用活動の展開に加え、事業戦略と連携した教育内容による人材育成体制の確立により、継続性と安定性を備えた組織体制の構築を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 35.8歳 | 2.6年 | 5,508,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 33.3% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 90.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 92.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 88.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場への依存リスク
同社はDX市場およびインターネット広告市場を主たる事業領域としています。法規制の導入や技術革新、景気動向の影響により、企業のオンライン購買活動や広告費用が縮小した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新スピードへの対応リスク
マーケティングテクノロジー関連市場は技術革新のスピードが速く、サービス拡充や事業戦略の迅速な修正が求められます。予期せぬ技術革新にタイムリーに対応できない場合、競争力が低下し、業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) M&Aのシナジー創出リスク
同社は事業拡大を目的として積極的にM&Aを実施しています。しかし、買収後の市場環境の変化や想定外のコスト発生により、当初期待したシナジー効果や投資リターンが得られない場合、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 優秀な人材の獲得・育成リスク
サービスの品質向上や新規開発のためには、専門知識を有する優秀な人材の採用と定着が不可欠です。人材獲得競争の激化により、事業拡大のスピードに必要な人材供給が追いつかない場合、事業運営が非効率となり業績に影響する恐れがあります。



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