※本記事は、Recovery International株式会社の有価証券報告書(第13期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Recovery Internationalってどんな会社?
Recovery Internationalは、訪問看護サービスと医療領域に特化した人材紹介事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2013年11月に訪問看護サービスの提供を目的に設立されました。2014年1月に東京都新宿区に訪問看護ステーションを開設し、サービス提供を開始しています。その後、沖縄県、兵庫県、高知県など地方へも拠点を拡大し、2022年2月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース)へ上場を果たしました。2025年3月には子会社を通じてコメディカル人材紹介事業を譲受し、事業領域を広げています。
従業員数は連結で349名、単体で334名です。筆頭株主は同社創業者で取締役の大河原峻氏であり、第2位は代表取締役社長の柴田旬也氏、第3位は新保光栄氏となっています。経営陣が上位株主として名を連ねており、経営と所有が一致しやすい体制が構築されています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 大河原峻 | 35.10% |
| 柴田旬也 | 6.83% |
| 新保光栄 | 4.13% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は柴田旬也氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴田旬也 | 代表取締役社長 | あずさ監査法人入所。公認会計士登録。同社経営管理部部長、取締役などを経て、2024年3月より現職。 |
| 大河原峻 | 取締役(業務部部長) | 組合立榛原総合病院等に入職。同社設立時に代表取締役社長に就任し、2024年3月より現職。 |
| 若田真 | 取締役(経営企画部部長) | 医療法人鉄蕉会亀田総合病院入職。同社経営管理部副部長などを経て、2024年3月より現職。 |
社外取締役は、沼田功(ファイブアイズ・ネットワークス代表取締役)、橋本祐造(RECOMO代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「訪問看護サービス事業」および「コメディカル人材紹介事業」を展開しています。
■訪問看護サービス事業
看護師や理学療法士などの専門職が利用者様の自宅等を訪問し、主治医の指示に基づく医療処置やリハビリを提供する事業です。系列に属さない独立系の強みを活かし、地域の医療機関やケアマネージャー等と密に連携することで、新規利用者様を継続的に獲得しています。
収益は、医療保険制度および介護保険制度に基づき、健康保険組合や国民健康保険団体連合会などの保険者および利用者様からサービス提供料として受け取っています。運営は主にRecovery Internationalが担っています。
■コメディカル人材紹介事業
看護師やリハビリ職などの専門スキルを有する人材を、病院や介護施設などの医療機関等へ紹介する医療・介護業界に特化した有料職業紹介サービスです。専用の登録サイトを通じて求職者を募り、医療機関等の求人条件と精緻にマッチングします。
収益は、求職者が医療機関等に入職した際に、成功報酬として紹介手数料を当該医療機関等から受け取っています。運営は連結子会社であるRePathが主に行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期の売上高は26.9億円、経常利益は2.1億円となりました。当期利益は過去5期間にわたって安定して黒字を計上しており、継続的な成長基調が見て取れます。当期より連結決算へ移行し、さらなる事業規模の拡大を図っています。
| 項目 | 第9期 | 第10期 | 第11期 | 第12期 | 第13期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 26.9億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 2.1億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | 7.7% |
| 当期利益 | 1.0億円 | 1.1億円 | 1.1億円 | 1.5億円 | 1.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益および営業利益は前期から着実に増加しており、安定した収益確保の傾向が確認できます。事業所網の拡大に伴い、増収増益のトレンドを維持しています。
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | 26.9億円 |
| 売上総利益 | 8.6億円 | 11.7億円 |
| 売上総利益率(%) | - | 43.4% |
| 営業利益 | 1.8億円 | 2.0億円 |
| 営業利益率(%) | - | 7.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.9億円(構成比19.6%)、採用関係費が1.2億円(同12.8%)を占めています。また売上原価においては、人件費が14.8億円(構成比97.1%)を占めています。
■(3) セグメント収益
当期は、主力の訪問看護サービス事業が売上の大半を占め、全体業績を牽引しています。また、当期より新規事業として開始したコメディカル人材紹介事業も立ち上がり、収益基盤の多様化が進んでいます。
| 区分 | 売上(前期) | 売上(当期) |
|---|---|---|
| 訪問看護サービス事業 | - | 26.0億円 |
| コメディカル人材紹介事業 | - | 0.9億円 |
| 連結(合計) | - | 26.9億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
Recovery Internationalは、事業活動を通じて資金を生み出し、投資活動で事業基盤を強化し、財務活動で資金調達を行うことで事業運営を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上や未払費用の増加により収入となりましたが、売上債権の増加や法人税等の支払いにより減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲受や固定資産取得等により支出となりましたが、短期貸付金の返済により一部収入もありました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入があったものの、長期借入金の返済や自己株式の取得により支出となりました。
| 項目 | 前期 | 当期 |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 0.7億円 |
| 投資CF | - | -0.7億円 |
| 財務CF | - | 0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「もう一人のあたたかい家族」を理念に掲げ、在宅医療領域で最大限に時間を活かす仕組みを提供し、チームでいきいきと働く人を増やすことを目指しています。在宅での看取りを増やし、利用者様の健康寿命を延伸すること、医療従事者が働きやすい職場環境を提供することを使命としています。
■(2) 企業文化
「もう一人のあたたかい家族」という理念に基づき、利用者目線のサービスを追求すること、および自発的な相互扶助を推進することで主体的に社会課題へ挑戦することを基本的な価値観としています。人材を最も重要な経営資源と位置づけ、チームで協力しながらいきいきと働ける組織風土の構築を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、経営上の目標を達成するための重要な客観的指標として「延べ訪問件数」を掲げています。訪問看護サービスの売上は訪問件数と単価の掛け合わせであるため、母数となる「延べ介入利用者数」の増加を重視しています。経営陣のみならず役職者全員がこの指標を意識した事業所運営を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、訪問看護を軸とした在宅医療インフラを担うべく、ドミナント戦略に基づく新規拠点の開設を継続し市場シェア拡大を図ります。また、各拠点における訪問効率の最適化やITを活用した運営管理体制の強化を通じて利益を確保します。さらに、新規事業のコメディカル人材紹介事業を定着させ、採用ノウハウの活用と優秀な専門人材の確保・育成を進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、労働集約型である訪問看護サービス事業の拡大には人材確保と定着が不可欠と考えています。そのため、SNSを活用した情報発信等で採用を強化する一方、9割以上が未経験であることを踏まえ、入社後約3ヶ月で独り立ちできる早期育成プログラムを整備しています。また、ITツールの活用や複数担当制による業務効率化を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 第13期 | 31.7歳 | 2.8年 | 4,868,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 52.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 84.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 190.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員の女性比率(70.7%)、男性の平均勤続年数に対する女性の平均勤続年数割合(58.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 専門人材の確保と定着
訪問看護サービス事業の拡大には、看護師やリハビリ職などの専門人材の継続的な確保と定着が不可欠です。計画通りの人材確保が困難な場合や、マネジメント人材が不足し人員配置に支障が生じた場合には、新規利用者の獲得が進まず、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 法的規制や各種報酬改定による影響
同社の訪問看護サービスは、医療保険制度および介護保険制度に基づき運営されており、定期的に行われる診療報酬や介護報酬の改定内容が同社の業績に影響を与えます。また、法令に基づく指定要件を満たさなくなり事業停止等の処分を受けた場合、業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) サービス提供時の事故や訴訟リスク
従業員が訪問移動中に交通事故に遭遇した場合や、サービス提供に伴う医療事故等により利用者から訴訟を提起され、損害賠償責任を問われたり社会的信用が低下したりした場合には、同社の財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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