イメージ・マジック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イメージ・マジック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イメージ・マジックは、東京証券取引所グロース市場に上場するITを活用したモノづくりのDX企業です。インターネットを利用したアパレルや雑貨等へのオンデマンドプリントサービスと、生産管理システム等を提供するソリューション事業を展開しています。直近の業績は増収増益と好調に推移しています。


※本記事は、株式会社イメージ・マジックの有価証券報告書(第31期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イメージ・マジックってどんな会社?


同社は、ITを活用したモノづくりのDXを推進し、オンデマンドプリントサービスやソリューションを提供しています。

(1) 会社概要


1995年5月に設立され、2010年1月にオンデマンドプリント受注サイト「オリジナルプリント.jp」を開設しました。2019年2月には「オンデマンドプリントソリューションズ(ODPS)」をリリースし、事業の効率化と拡大を進め、2022年3月に東京証券取引所マザーズに上場(同年4月にグロース市場へ移行)しました。

従業員数は単体で224名です。筆頭株主は事業会社である日本創発グループで、第2位は創業者の山川誠氏、第3位は経営陣である京田諭氏です。

氏名 持株比率
日本創発グループ 28.25%
山川誠 14.25%
京田諭 8.36%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山川誠氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山川誠 代表取締役社長兼製造本部長兼ソリューション&オートメーション本部長 1984年パロマ工業入社、1995年同社設立および代表取締役社長就任。2025年7月より現職。
京田諭 取締役情報コミュニケーション本部長 1995年フォーバル入社、2003年サイバード入社を経て2008年に同社入社。2020年7月より現職。
坊野寛 取締役開発本部長 1997年テクマトリックス入社、2005年サイバード入社を経て2009年に同社入社。2022年7月より現職。
栗原俊幸 取締役管理本部長 2006年みすず監査法人入所、2010年公認会計士登録。2020年に同社へ入社し、同年7月より現職。


社外取締役は、栢森加里矢(元リキッドグループ社長)、野崎陽介(公認会計士)、尾﨑充(公認会計士・税理士)、大井哲也(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オンデマンドプリントソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) オンデマンドプリントサービス


インターネットを通じた自社サイト「オリジナルプリント.jp」等により、顧客が入稿したデータを短納期で印刷加工し納品するサービスです。個人のギフトや法人のノベルティ、無駄な在庫を持たずに受注生産を行いたいアパレルメーカー等のニーズに対応し、余剰在庫や廃棄ロスの削減に貢献しています。

自社販売ではエンドユーザーから直接注文を受け代金を回収します。また、パートナー企業からの受注では、同社にて製品のプリント加工を行い、パートナー企業やそのユーザーに直接納品することで収益を得ています。運営は同社が行っています。

(2) ソリューション(ODPS)


同社のDX化ノウハウで改良した生産管理システムをクラウドサービスとして提供するとともに、プリンターや梱包出荷機などのハードウェアを販売しています。これにより顧客企業は、短期間でオンデマンドプリントの生産ラインを構築でき、工数削減による効率的なオペレーションが可能となります。

システム開発受託や保守による売上、SaaS型ソフトウェアの利用料、およびハードウェアの販売代金を顧客企業から受け取ります。デザインシミュレーター付クラウド型オンデマンドEC「maker town」等も提供しており、運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、決算期変更に伴う変則決算の期を除き、概ね拡大傾向にあります。特に直近の事業年度では、オンデマンドプリントサービスやソリューション事業の需要増加が寄与し、売上・利益ともに大きく成長して過去最高を更新しています。利益率も安定して推移しています。

項目 2022年4月期 2023年4月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 49億円 53億円 44億円 78億円 94億円
経常利益 3億円 1億円 3億円 4億円 6億円
利益率(%) 5.9% 1.5% 7.8% 5.8% 5.9%
当期純利益 2億円 0.5億円 2億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に拡大しています。ハードウェア等の高利益率商品の販売増加や材料費の抑制効果により、売上総利益率および営業利益率のいずれも前期間から改善し、収益性の向上が確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 78億円 94億円
売上総利益 30億円 38億円
売上総利益率(%) 38.1% 40.4%
営業利益 4億円 6億円
営業利益率(%) 5.7% 5.9%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が8億円(構成比25.2%)、給料及び手当が7億円(同21.6%)、荷造運送費が4億円(同13.2%)を占めています。また、売上原価については、材料費が22億円(構成比39.8%)、経費が20億円(同36.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、サービス別の売上高は主力であるオンデマンドプリントサービスが全体の大部分を占めています。既存顧客の購入頻度向上や新規顧客の獲得により売上を大きく伸ばしたほか、ソリューションサービスもプリンター販売等の好調により大きく伸長しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
オンデマンドプリントサービス 71億円 85億円
ソリューションサービス 7億円 9億円
合計 78億円 94億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業であるといえます。

企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.6%で、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 6億円 8億円
投資CF -4億円 -4億円
財務CF -1億円 -2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「個性と創造性溢れる豊かな社会作りに貢献します。」を経営理念に掲げ、ITを利活用したモノづくりの会社として社会への貢献を目指しています。また、ビジョンとして「お客様が簡単・便利にモノづくりができ、欲しいタイミングで届くこと」「工場のモノづくりのDX化をサポートし、オンデマンド生産市場拡大に貢献すること」等を掲げています。

(2) 企業文化


同社は、SDGsの「つくる責任、つかう責任」に積極的に取り組み、持続可能なサービスの提供を目指す文化を重視しています。無駄な在庫を作らない受注生産のプラットフォームをアパレル・雑貨業界に広げることで、環境負荷の少ないモノづくりや余剰生産・廃棄ロスの削減を推進し、社会課題の解決を図る行動様式が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的な成長と企業価値向上を図るため、重要な経営指標を定めて各経営課題に取り組んでいます。積極的な投資の資金源泉となる安定した利益を確保し、経営判断に活用しています。

* 売上高成長率
* 売上高経常利益率

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、オンデマンドプリントの普及とプラットフォームの強化に向けて、取り扱い商品の拡充や、リアル店舗を通じたOMO施策(オンラインとオフラインの情報を融合する施策)、AI技術を活用したデザインアシスト機能の導入を進めています。また、受注から出荷までの全工程のIoT化、ハードウェア連携による加工・印刷工程の自動化を推進し、労働力不足への対応と品質の安定化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の持続的な成長に向け、IT人材を中心とした優秀なシステムエンジニアや機械エンジニアの育成と確保を最重要課題としています。生成AIなどの先端技術の実装に精通した即戦力人材の採用を強化するとともに、公正な人事評価制度や体系的な研修、ITスキル学習の全額助成等を通じて、次世代を担う専門人材のキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 36.2歳 4.9年 5,047,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.7%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.2%
男女賃金差異(正規雇用) 65.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 89.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(20.0%)、男性育児休業取得率目標(80.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) オンデマンドプリントサービス市場の成長鈍化


オンデマンドプリントサービス市場が想定どおりに拡大しなかった場合、または同社サービスの認知度向上が進まない場合、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同社は積極的なマーケティング活動等を通じて、市場拡大と利用者の裾野を広げることに努めています。

(2) 競合他社の動向と価格競争


国内には複数のオンデマンドプリントサービス事業者が存在し、競争環境にさらされています。同社はITを活用した差別化や効率化を進めていますが、優れた競合企業の台頭によって価格競争や販売数量の減少が生じた場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 特定仕入先への依存


同社はTシャツ等の衣類の仕入れにおいて、品質の安定性や納期の遵守等の理由から特定の取引先への依存度が高まっています。取引先との安定的な関係構築に努め、調達先の分散を進めていますが、何らかの事情により取引が継続できなくなった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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