※本記事は、グラッドキューブの有価証券報告書(第19期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. グラッドキューブってどんな会社?
同社は、AIを活用したSaaSやネット広告のマーケティング支援とスポーツメディア運営を展開しています。
■(1) 会社概要
2007年に合同会社GLAD CUBEとして設立され、翌2008年にグラッドキューブへ組織変更してインターネット広告事業を開始しました。2013年にSaaS事業(SiTest)、2016年にSPAIA事業を立ち上げ、事業を多角化してきました。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2025年には米国に子会社を設立しています。
同社グループは連結で106名、単体で106名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるゴールドアイランドで、第2位は創業者の金島弘樹氏、第3位は投資事業組合です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ゴールドアイランド | 46.24% |
| 金島 弘樹 | 17.43% |
| MICイノベーション4号投資事業有限責任組合 | 4.47% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.5%です。代表取締役CEOは金島弘樹氏が務めており、取締役の57.1%を社外取締役が占めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金島 弘樹 | 代表取締役CEO | 2002年エイワ入社。2007年合同会社GLAD CUBE設立。2008年組織変更に伴い代表取締役。2014年より現職。2025年SPAIA, Inc.CEO就任。 |
| 財部 友希 | 専務取締役CFOコーポレート本部長 | イケアジャパン等を経て2012年Catch設立、代表取締役。2014年同社入社。取締役COOや取締役CFO等を経て2025年8月より現職。 |
| 金島 由樹 | 取締役COOプロモーション統括本部長 | 2011年同社入社。プロモーション統括本部執行役員、取締役プロモーション統括本部長を経て、2023年3月より現職。 |
| 上杉 辰夫 | 取締役 | Apple Computer、IBM等を経て1993年Global Micro Solutions設立、代表取締役社長。2015年同社社外取締役を経て、2025年5月より現職。 |
社外取締役は、久保田匡美(久保田匡美公認会計士事務所開業)、池原浩一(池原公認会計士事務所開業)、樋口宣人(天地人執行役員COO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「マーケティングDX事業」および「テクノロジー事業」を展開しています。
■マーケティングDX事業
AIを活用したSaaSプロダクト「SiTest」をはじめとするウェブ解析ツールの提供や、インターネット広告の企画提案・運用代行を展開しています。ヒートマップ分析やAIアバター動画接客機能を備えたツールなど、包括的なデジタルマーケティング施策を法人顧客に提供しています。
主に法人顧客からSaaSのサブスクリプション利用料や、インターネット広告の運用代行手数料を収益として受け取ります。運営は同社が行っています。
■テクノロジー事業
スポーツデータを活用したメディアプラットフォーム「SPAIA」の運営をはじめ、プロ野球・競馬のデータ提供やAIアバター等のプロダクト開発、企画提案型の受託開発を顧客に提供しています。
一般ユーザーからのSPAIA競馬の有料会員サブスクリプション利用料や、企業からの受託開発費用を収益として受け取ります。運営は同社および米国子会社SPAIA, Inc.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期から連結決算に移行しています。売上高は約17.6億円を計上したものの、先行投資等により各利益段階で赤字となりました。新たな収益基盤の構築に向けた過渡期にあります。
| 項目 | 2025年12月期 |
|---|---|
| 売上高 | 17.6億円 |
| 経常利益 | -0.4億円 |
| 利益率(%) | -2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | - |
■(2) 損益計算書
当期から連結財務諸表を作成しています。粗利率は比較的高水準を維持していますが、販売費及び一般管理費が先行し、営業利益は赤字となっています。
| 項目 | 2025年12月期 |
|---|---|
| 売上高 | 17.6億円 |
| 売上総利益 | 12.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.3% |
| 営業利益 | -0.3億円 |
| 営業利益率(%) | -1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.2億円(構成比40.8%)と最も大きな割合を占めています。
■(3) セグメント収益
マーケティングDX事業が全体の売上高の大部分を占めており、安定した事業基盤となっています。テクノロジー事業は新サービスの展開や米国市場向けの開発に注力しており、事業領域の拡張を進めています。
| 区分 | 売上(2025年12月期) |
|---|---|
| マーケティングDX事業 | 15.0億円 |
| テクノロジー事業 | 2.6億円 |
| 連結(合計) | 17.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
グラッドキューブは、金融機関からの借入金を主な運転資金としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失の計上等により、資金を使用する結果となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出等により、資金を使用する結果となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純減少、長期借入れによる収入、及び長期借入金の返済による支出等により、資金を使用する結果となりました。
| 項目 | 2025年12月期 |
|---|---|
| 営業CF | -0.2億円 |
| 投資CF | -0.1億円 |
| 財務CF | -2.6億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「最先端の技術を追求し、世界で価値創造できる企業にする」をミッションに、「世界中の人々に笑顔と喜び(glad)を届ける」をビジョンに掲げています。先進的な技術やテクノロジーを用いて、お客様やユーザーに寄り添った人間中心のサービスやプロダクトを開発し、世界に立ち向かえるテックカンパニーを目指しています。
■(2) 企業文化
「変化を愉しみ、新しい技術やアイデアに挑戦する」をバリューとし、現状に満足せず改善を続ける文化があります。また、行動指針として10項目の「GC WAY(グラッドキューブウェイ)」を定め、「プロ意識を持とう」「分析オタクになろう」「考えながら走り、走りながら考えろ」といった価値観を全社員で共有しています。
■(3) 経営計画・目標
より高い成長性および収益性を確保する視点から、売上成長率および経常利益を重視する経営指標と捉えています。具体的な中長期の数値目標は有価証券報告書には記載されていませんが、各事業の収益基盤強化を通じて継続的な成長を目指す方針が示されています。
■(4) 成長戦略と重点施策
マーケティングDX事業では、対話型AIエンジンなどのデジタル顧客接点領域に注力し、既存顧客へのクロスセルを進めています。テクノロジー事業では、生成AIアバター動画の展開によるSaaS型ビジネスへの拡張や、米国競馬市場向けAI予想システム「StableGenius」の開発など、新規事業の創出に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業活動を取り巻く社会情勢の変動に備え、人的資本の重要性を認識しています。社員一人ひとりが自走し必要な決断ができる状態を目指し、独自の透明性の高い評価制度を導入しています。また、多様性(DE&I)を推進し、性別や国籍にとらわれない管理職登用やリーダー育成など、人材が適材適所で活躍できる環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 34.2歳 | 4.2年 | 5,448,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.8% |
| 男性育児休業取得率 | 25.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※男女の賃金の差異については、同社は公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) メディア運営会社への依存
インターネット広告事業において、GoogleやMeta、LINEヤフーなどの特定メディア運営会社に大きく依存しています。これらの企業との取引関係が継続されない事態や取引条件の変更等が生じた場合、同社の事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) プライバシー規制強化の影響
国内外で個人情報保護を目的とした法規制が強化される傾向にあり、大手プラットフォーム事業者によるサードパーティCookieの利用制限等が急速に進んでいます。想定を超える法規制の強化が導入された場合、広告のターゲティング精度等に制約が生じ、収益性に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定クラウドインフラへの依存
同社が提供するSaaSサービス等は、特定の企業向けクラウドプラットフォーム上に構築されています。インフラ提供事業者側で予期せぬ大規模なサービス障害が発生した場合や、利用料金体系の大幅な変更等が生じた場合、想定外のコスト増加やシステム再構築の必要が生じる可能性があります。



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