エスネットワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エスネットワークス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エスネットワークスは東京証券取引所グロース市場に上場し、国内外でCFO機能をワンストップで提供するコンサルティング事業を主力としています。近年はM&AやIPO等による企業の変革ニーズを背景に需要が拡大しており、直近の業績では旺盛なマーケット需要を取り込むことで増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、株式会社エスネットワークス の有価証券報告書(第27期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エスネットワークスってどんな会社?


エスネットワークスは、変革フェーズにある企業に対してCFO機能を提供するコンサルティング事業を展開しています。

(1) 会社概要


1999年に会計コンサルティング会社として設立されました。2000年に常駐型IPO支援案件を受託し、常駐型経営支援コンサルティングサービスを開始しました。2008年のベトナム子会社設立を皮切りにアジア展開を進め、2023年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。2025年にはBPOサービス展開のため子会社を設立しています。

従業員数は連結で279名、単体で155名です。筆頭株主は同社の資産管理会社である58で、第2位は須原屋、第3位は代表取締役社長の資産管理会社であるセキュア・ベースとなっています。

氏名 持株比率
58 33.40%
須原屋 16.46%
セキュア・ベース 5.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は高畠義紀氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
高畠義紀 代表取締役社長 1998年インテリジェンス入社。2000年同社入社。ベトナム法人やアジア拠点のDirector、同社執行役員等を経て、2021年1月より現職。
武林聡 取締役 1987年リクルート入社。インテリジェンス取締役、UCOM代表取締役社長、インターワークス代表取締役などを経て、2016年3月より現職。
宮部賢一 取締役監査等委員 1992年松下電器産業入社。複数の会計事務所等を経て、1999年10月同社取締役就任。監査役を経て、2022年3月より現職。


社外取締役は、江連裕子氏(セント・フォース所属フリーアナウンサー)、若林義人氏(西村あさひ法律事務所パートナー)、竹内在氏(セレンディップ・ホールディングス代表取締役社長兼CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、コンサルティング事業およびその他事業を展開しています。

(1) コンサルティング事業


国内外のM&AやIPO等で成長フェーズの転換期を迎える企業や、再生フェーズの企業に対して、経営状況の可視化やオペレーションの仕組化等のCFO機能をワンストップで提供しています。また、企業のコーポレート部門における定型的業務を受託するBPOサービスや、東南アジア等への海外進出支援も行っています。

収益は、顧客企業に常駐して実務実行支援を行うPMIコンサルティング等の一定期間のサービス提供に対する報酬や、M&A実行支援等の完了時に受け取る報酬から得ています。事業の運営はエスネットワークスおよびエスコーポレートソリューションズなどの連結子会社が行っています。

(2) その他事業


成長可能性のある企業に対して投資を行う投資事業を展開しています。経営人材の派遣や経営支援を行うことで対象企業の企業価値向上を図ることを目的としています。

有価証券の売却や投資事業組合からの分配等を通じて収益を獲得しています。事業の運営はパラダイムシフトグループやイーエスピーシーワンなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、企業の変革ニーズを背景としたコンサルティング需要の拡大により売上高が右肩上がりで推移し、継続的な増収を達成しています。経常利益も売上規模の拡大に伴い順調に増加しており、安定した収益基盤を確立しています。当期純利益については投資有価証券売却益の有無により一時的な変動が見られます。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 23億円 26億円 27億円 30億円 34億円
経常利益 2億円 2億円 3億円 3億円 3億円
利益率(%) 7.0% 8.9% 9.3% 10.0% 9.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 2億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は旺盛なマーケット需要の取り込みにより増加傾向にあり、それに伴い売上総利益も順調に拡大しています。営業利益率も安定して推移しており、コンサルタントの人員増強に向けた投資を行いながらも着実な利益成長を実現しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 30億円 34億円
売上総利益 13億円 15億円
売上総利益率(%) 45.5% 44.4%
営業利益 3億円 3億円
営業利益率(%) 10.2% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が3億円(構成比26%)、採用教育費が2億円(同14%)、支払手数料が2億円(同14%)を占めています。売上原価では、案件遂行のための外注費等の経費が4億円(構成比27%)、労務費が12億円(同73%)を占めています。

(3) セグメント収益


コンサルティング事業においては、旺盛なマーケット需要を積極的に取り込んだことにより前年同期比で大幅な増収となっています。その他事業についても、当期は投資事業組合運用益が発生したことで新たに収益を計上しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
コンサルティング事業 30億円 34億円
その他 - 0.2億円
連結(合計) 30億円 34億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、コンサルティング事業の拡大と人的投資の強化を推進しつつ、BPOサービス展開のため給与計算事業を譲受しました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡や投資事業組合からの分配による収入があったものの、事業譲受による支出が主な要因となり支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済や配当金の支払いがあったものの、長期借入れによる収入がそれを上回り、支出となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4億円 2億円
投資CF 2億円 -0.7億円
財務CF -4億円 -0.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「経営者の支援と輩出を通じて、日本国経済に貢献する。」というMISSIONを掲げています。また、このMISSIONを実現するために目指す姿として、「挑戦者たちとパートナーとなり、相互の成長と広がりを実現する場。」というVISIONを定めており、顧客企業との価値共有を重視した経営を行っています。

(2) 企業文化


同社グループは、行動指針として「経営に科学を、組織に熱量を、企業に変革を。」というVALUEを定めています。特定の分野に限定されず、企業の変革期に関する幅広い知識と経験を有する高度なコンサルタントを育成し、顧客の現場に入り込んで企業変革を推進する文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、持続的な成長と収益性を追求し、企業価値の極大化を図る観点から、資本効率を計る尺度として以下の指標を中長期の目標に掲げています。

* ROE20%

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、人的投資の拡大を起点として中長期的に事業を拡大していく方針です。コンサルティング体制を増強するため、採用活動への投資や給与水準の向上などの人的投資を継続的に強化し、顧客の旺盛な変革需要を取り込むことで収益と利益の拡大を図ります。得られた利益をさらに人的投資へ振り向けることで、継続的な企業価値向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、人材こそが持続的な成長のための最も重要な経営資源であると認識しています。多様な領域の専門家や、複数領域にわたってサービスを提供できる優秀なコンサルタントの採用と育成に注力しており、人事評価制度や賃金制度の見直し、多様な働き方を支える業務環境や福利厚生の改善、実践型研修の充実などを積極的に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 33.2歳 4.6年 9,262,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全) -
男女賃金差異(正規) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社は公表義務の対象ではないため、女性管理職比率および男女の賃金の差異については有報に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(21.3%)、外国籍社員比率(3.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人的リソースに関するリスク


同社グループが提供するコンサルティングサービスは、個々のコンサルタントが保有する知識と専門性が付加価値の源泉です。人材の採用や育成が計画どおりに進捗しなかった場合や、優秀な人材が社外へ流出して十分な人的リソースを確保できなかった場合には、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 常駐支援に伴うレピュテーションリスク


同社グループは顧客現場に常駐してコンサルティングサービスを提供していますが、顧客企業で不祥事が発生した場合、同社のコンサルタントが関与したかのような風評や誤解が生じるリスクがあります。また、偽装請負と誤認されるリスクを回避するため、専門家への事前確認や運用状況の定期的な確認を実施しています。

(3) 情報セキュリティやシステム障害のリスク


事業運営において顧客情報の漏洩やクラウドサービス利用によるシステム障害が発生するリスクがあります。役職員への情報管理の徹底やセキュリティツールの導入を行っていますが、サイバー攻撃や通信網の遮断などで大規模な障害や情報漏洩が発生した場合、同社グループの信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。