※本記事は、オープンワーク株式会社の有価証券報告書(第19期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オープンワークってどんな会社?
社員クチコミを基盤とした転職・就職のためのワーキングデータプラットフォーム事業を展開しています。
■(1) 会社概要
2007年に設立し、転職・就職のための情報プラットフォームとして社員クチコミサイト(現在の「OpenWork」)を開設しました。2016年に企業向け求人サービスを開始し、2018年にはリンクアンドモチベーションの資本参加を受けました。その後順調にユーザー数を拡大し、2022年に上場を果たしています。
現在の従業員数は単体で148名です。筆頭株主は人材コンサルティング事業を展開するリンクアンドモチベーションで、過半数の株式を保有する親会社となっています。第2位株主は創業者の増井慎二郎氏、第3位株主は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| リンクアンドモチベーション | 52.70% |
| 増井慎二郎 | 17.90% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.59% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は大澤陽樹氏が務めており、取締役4名のうち社外取締役は2名となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大澤陽樹 | 代表取締役社長 | 2009年リンクアンドモチベーション入社。2018年同社出向、2019年取締役副社長等を経て、2020年より現職。 |
| 池内駿介 | 取締役兼執行役員 | 2009年ワークスアプリケーションズ入社。2016年同社入社、執行役員等を経て、2019年より現職。 |
社外取締役は、若月貴子(クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン代表取締役社長)、小野塚浩二(クロス・マーケティンググループ取締役CFO)です。
2. 事業内容
同社グループは、ワーキングデータプラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) OpenWork
社員クチコミデータを基盤とした転職・就職のための会社情報サイトです。ワーク・ライフ・バランスなどの評価スコアや月間残業時間などの数値データを提供し、転職活動等を支援しています。
ユーザーの有料会員登録や、提携サービスへの送客に伴う紹介料を収益源としています。運営は同社が行っています。
■(2) OpenWorkリクルーティング
自社の働きがいを採用力に変える企業向け採用支援サービスです。求人企業はサイト上に求人を掲載し、求職者に対してスカウトメールを送信することができます。
求人企業や人材紹介エージェントからの採用成功報酬、および一定期間の基本利用料を収益源としています。運営は同社が行っています。
■(3) オルタナティブデータサービス
社員クチコミデータを資本市場の予測や組織課題の可視化といった課題解決に活用する新たなサービスです。投資判断のためのデータ提供や、従業員クチコミレポートなどを展開しています。
顧客への社員クチコミデータ提供に伴うデータ提供料を収益源としています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、利益は一貫して右肩上がりで成長を続けています。毎期着実に利益を積み上げており、安定した成長軌道に乗っていることが伺えます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 3億円 | 6億円 | 9億円 | 10億円 | 12億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 4億円 | 6億円 | 8億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
各段階利益は前期から堅調に増加しており、主力の採用支援サービス等の事業拡大に伴い、本業の収益力が着実に向上しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 10億円 | 12億円 |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が11億円、給料及び手当が8億円を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である採用支援サービスが求人数や登録数の増加により好調に推移し、全社の成長を牽引しました。また、クチコミサイトやデータ提供サービスも堅調に伸びており、全サービスで増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| OpenWork | 10億円 | 12億円 |
| OpenWorkリクルーティング | 24億円 | 32億円 |
| オルタナティブデータサービス | 1億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 35億円 | 47億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、積極的なマーケティング投資により新規Web履歴書登録数を増加させ、営業収益を大きく伸ばしました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前利益の計上や契約負債の増加により、前事業年度から大幅に増加しました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出が大きくなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出がありました。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 14億円 |
| 投資CF | -0.2億円 | -30億円 |
| 財務CF | -1億円 | -4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「さあ、自由に生きよう。働きがいをすべての人へ」というコーポレートスローガンのもと、「ひとりひとりが輝く、ジョブマーケットを創る。」ことをミッションとして掲げています。働く個人の声を蓄積、公開することで、雇用の透明性向上を目指しています。
■(2) 企業文化
役職員ひとりひとりがプロフェッショナルとして成長し成果を上げるため、「Act for All」「Be Honest」「Create the Next」「Direct Yourself」の4要素からなる「Action Style」を導入し、日々の判断や行動、評価の指針として活用しています。
■(3) 経営計画・目標
2030年12月期までの中期成長目標において、継続的な事業拡大と収益成長を見込んでいます。利益成長に沿った安定的かつ持続的な配当を行う方針とし、株主還元と成長投資を両立させる体制を目指しています。
* 連結配当性向:20%目安
■(4) 成長戦略と重点施策
ワーキングデータプラットフォームの拡充を基軸とし、主力サービスの安定運用と採用支援サービスの成長加速を基本方針としています。また、AIを活用した情報審査の強化や、データ基盤を活用した求職者と企業のマッチング最適化を進め、特定サービスに依存しない事業の多角化を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ミッション実現に向けて共感と行動力を持つ人材を厳選採用し、多様な視点を理解できる組織づくりを推進しています。フレックスタイム制度や短時間勤務制度、リモートワークなどを整備し、個々が能力を最大限に発揮できる環境とプロフェッショナル人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 33.0歳 | 2.9年 | 7,346,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 22.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 75.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 219.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 検索エンジンへの集客依存
ユーザー獲得は検索エンジンからの自然検索流入が主な経路であり、検索エンジンの仕様変更によりサイト訪問者数が減少した場合や、競合他社の認知度が向上した場合、新規ユーザー獲得のペースに影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 採用市場の変化と競争激化
雇用環境や企業の人員計画の変化により、採用支援サービスの業績が大きく変動するリスクがあります。また、人材サービス業界は新規参入障壁が低く、競合他社との競争が激化して顧客獲得効率が低下する可能性があります。
■(3) 不適切なクチコミ投稿への対応
ユーザーによって第三者の権利を侵害するような不適切なクチコミが投稿される可能性があります。同社はAIと専任スタッフによる審査体制を構築しトラブルの未然防止に努めていますが、予期せぬトラブルが発生した場合は社会的信用が低下する懸念があります。



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