ビズメイツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビズメイツ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビズメイツは東京証券取引所グロース市場に上場しており、ビジネス特化型オンライン英会話や外国人向け日本語レッスンを提供するランゲージソリューション事業と、グローバル人材の紹介を行うタレントソリューション事業を展開しています。直近の業績は、法人顧客の拡大等により増収となった一方、採用費等の増加により減益となりました。


※本記事は、ビズメイツ株式会社の有価証券報告書(第14期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビズメイツってどんな会社?


ビジネスに特化したオンライン英会話レッスンと、グローバル人材の紹介サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2012年にオンライン英会話レッスンの提供を目的に設立され、同年ビジネス特化型オンライン英会話「Bizmates」をリリースしました。2018年には外国人ITエンジニアの人材紹介事業を開始し、2019年には外国人向けオンライン日本語修得サービス「Zipan」の提供を始めました。2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場しています。

従業員数は連結で189名、単体で101名です。筆頭株主はSUZで、第2位は創業者の鈴木伸明氏、第3位は日加です。

氏名 持株比率
SUZ 42.30%
鈴木 伸明 9.34%
日加 8.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。
代表取締役社長は鈴木伸明氏が務めています。
社外取締役比率は50%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木 伸明 代表取締役社長 2000年三貴商事入社。2007年ヤフー入社。2009年ベルリッツジャパン入社。2012年同社設立、代表取締役社長に就任し現在に至る。
伊藤 日加 取締役ランゲージソリューション事業部長 1996年ベルリッツジャパン入社。2012年同社設立に伴い取締役に就任。2019年より取締役ランゲージソリューション事業部長を務める。


社外取締役は、須田騎一朗(ユナイトアンドグロウ代表取締役社長)、高木政秋(メディカル・データ・ビジョン常勤監査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ランゲージソリューション事業」および「タレントソリューション事業」を展開しています。

ランゲージソリューション事業


ビジネス特化型のオンライン英会話レッスン「Bizmates」を中心に展開し、主に個人および法人のビジネスパーソンを顧客としています。また、外国人向けのビジネス日本語レッスン「Zipan」も提供しており、幅広い言語学習のニーズに対応しています。レッスンは独自の通信システムを使用し、場所や時間を問わず受講できる環境を整えています。

収益源は、サービスの利用者である個人や法人から受け取る月額定額の利用料です。オンラインレッスンに加えて、日本人コンサルタントによる英語学習コーチングなども提供しています。事業の運営はビズメイツが行うとともに、トレーナーの管理等はフィリピンの連結子会社であるBizmates Philippines, Inc.が担っています。

タレントソリューション事業


グローバル人材にフォーカスした人材紹介サービス「G Talent」および、採用マッチングサイト「GitTap」を展開しています。主に日本国内で多国籍な環境を求めるIT・機電エンジニアなどの求職者と、高度な専門スキルを持つ外国人人材の採用を希望する求人先企業を対象としてサービスを提供しています。

収益源は、求人先企業から受け取る成功報酬型の手数料です。同社のコンサルタントを介した人材紹介や、プラットフォームを通じたマッチングにより、登録者が求人先企業に入社した時点で売上が発生するビジネスモデルとなっています。本事業の運営はビズメイツが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は右肩上がりで成長を続けており、5期前と比較して規模が順調に拡大しています。一方で利益水準は期によって変動があり、直近では採用活動の強化などに伴うコスト増加の影響で減益となっています。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 24.5億円 28.4億円 31.4億円 34.7億円 34.9億円
経常利益 2.6億円 3.3億円 3.2億円 3.4億円 2.7億円
利益率(%) 10.7% 11.6% 10.1% 9.8% 7.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.7億円 2.0億円 1.8億円 2.2億円 1.7億円

(2) 損益計算書


売上高は前年と同水準を維持していますが、採用費や人件費の増加により営業利益は減少しています。売上総利益率は高い水準を保っていますが、販管費の増加が利益率の低下に影響を及ぼしています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 34.7億円 34.9億円
売上総利益 26.4億円 26.5億円
売上総利益率(%) 76.0% 76.0%
営業利益 3.8億円 2.8億円
営業利益率(%) 10.9% 8.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.6億円(構成比32%)、広告宣伝費が3.9億円(同16%)を占めています。売上原価については、オンライン英会話レッスンの提供回数増加に伴い、トレーナーへの業務委託費が大部分を占める構造となっています。

(3) セグメント収益


ランゲージソリューション事業は、法人向けのコンサルティング営業強化により増収となりました。一方、タレントソリューション事業は営業体制の再構築による影響等で減収となり、損失を計上しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
ランゲージソリューション事業 32.5億円 33.2億円
タレントソリューション事業 2.2億円 1.7億円
連結(合計) 34.7億円 34.9億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは健全型の傾向を示しています。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 4.3億円 2.2億円
投資CF -3.7億円 -1.0億円
財務CF 1.1億円 -0.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は71.3%で、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「もっと多くのビジネスパーソンが世界で活躍するために」をミッションに掲げています。言語や文化の壁を越えた相互理解を促進し、多様な人材の活躍を支援することで、人と企業をつなぐ懸け橋となることを目指しています。これにより、グローバルタレントと企業の成長をトータルサポートするソリューションを提供し、多様性のある豊かな社会の実現を追求しています。

(2) 企業文化


同社では、国籍や年齢、性別にとらわれず、多様な価値観を持つ従業員が働ける環境を重視しています。従業員一人ひとりの成長がミッションやビジョンの実現に不可欠であると考え、個々の能力を最大限に発揮できる制度づくりや職場環境の整備を推進しています。また、従業員に対して自社の語学サービスを無償提供するなど、継続的な能力開発やキャリア形成を支援する取り組みを行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、安定的な成長を図るため、成長性、収益性および効率性を重視した経営を推進しています。経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益、営業利益、売上総利益率、営業利益率を設定しています。また、連結売上高の大部分を占める主力事業の「Bizmates」における累積有料会員数を、事業の成長を測る重要な指標として位置づけています。

(4) 成長戦略と重点施策


ランゲージソリューション事業では、初心者層へのアプローチ拡大や台湾市場への本格展開を通じて国内外の市場シェア拡大を目指します。また、コーチングサービスの強化やビジネス特化型学習アプリの機能拡充により、学習効果を最大化して顧客生涯価値(LTV)の向上を図ります。タレントソリューション事業では、機電エンジニアへの対象拡大や海外居住者へのアプローチ強化を進め、総合プラットフォームへの進化を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社の持続的な成長の源泉は「人材」にあると位置づけ、人材への投資と組織力の最大化を図っています。優秀な人材の確保に加え、入社後の早期戦力化やエンゲージメントの向上に重点的に取り組んでいます。特に、新規顧客獲得の鍵となるマーケティング等の専門人材の採用や育成を加速させています。個々の社員が専門性を最大限に発揮できる環境を整備することで、組織全体の生産性と市場適応力を高めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 35.7歳 2.2年 4,575,643円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異に関する有報への記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(28.2%)、平均勤続年数(2.7年)、有給休暇取得率(81.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合の激化と代替サービスの普及


オンライン英会話業界は参入障壁が比較的低く、新規参入による競争が激化しています。また、生成AIを活用した言語学習サービスや高精度な同時通訳ツールの進化により、英会話学習そのものの需要が減退する可能性があります。独自の付加価値や優位性を維持できない場合、同社の業績に影響を及ぼすおそれがあります。

(2) インターネット通信網やシステム障害


同社は自社開発した通信システムを利用し、インターネット経由でレッスンを提供しています。自然災害やサイバー攻撃、電力供給の逼迫、ソフトウェアの不具合などにより通信ネットワークやサーバーが長期間停止した場合、サービスの提供が困難となり、事業運営や業績に重大な影響を与えるリスクがあります。

(3) トレーナーの確保と品質維持


ビジネス英会話に特化した高品質なレッスンを提供するため、同社は高いスキルを持つトレーナーの確保と教育に努めています。しかし、拠点であるフィリピン国内の経済環境の変化や人材獲得競争の激化により、優秀なトレーナーを計画通りに採用・維持できずレッスン品質が低下した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) フィリピンのカントリーリスク


同社はフィリピンの在外子会社を通じてトレーナーの管理やシステム開発を行っています。同国の法令改正、政治・経済情勢の変化、インフラの脆弱性、人件費の上昇、あるいは自然災害等が発生し、現地での事業活動に支障が生じた場合、サービスの安定的な提供が困難になり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。