※本記事は、株式会社オートサーバーの有価証券報告書(第11期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オートサーバーってどんな会社?
インターネット中古車流通サイト「ASNET」を通じて、業者間の車両売買を支援しています。
■(1) 会社概要
オートサーバーは1997年に設立され、1998年に中古車流通サイト「ASNET」の運営と業者間売買仲介「ASワンプラ」を開始しました。1999年にはオークション代行サービスを開始しています。2014年に台湾市場へ上場しましたが、国内への経営資源集中のため2016年にMBOを実施して上場廃止し、その後2023年に東京証券取引所スタンダード市場等へ再上場を果たしました。
現在の同社の従業員数は単体で114名となっています。筆頭株主は代表取締役会長の資産管理会社である朝日ホールディングスで、第2位は光通信KK投資事業有限責任組合、第3位はUH Partners 2投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 朝日ホールディングス | 62.95% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.53% |
| UH Partners 2投資事業有限責任組合 | 3.38% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は髙田典明氏、代表取締役会長は萩原外志仁氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙田典明 | 代表取締役社長 | 三井信託銀行入行後、リクルートエイブリック等を経て、2014年旧オートサーバー代表取締役社長に就任。2016年より現職。 |
| 萩原外志仁 | 代表取締役会長 | 朝日自動車販売入社、朝日通商代表取締役等を経て、1997年旧オートサーバーを設立し代表取締役に就任。2016年より現職。 |
| 山本林 | 常務取締役管理本部長兼審査部長 | 豊川信用金庫を経て、2009年旧オートサーバー入社。管理本部長や審査部長を務め、2017年に取締役就任。2022年より現職。 |
社外取締役は、澤田英幹(元太田昭和監査法人)、井熊芽久美(めぐみ会計事務所代表)、中川彩子(元秋田法律事務所)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ASNET運営」の単一セグメントで事業を展開しています。
■ASNET運営事業
同社は、国内の中古車取扱事業者を対象とした会員制のインターネット中古車流通サイト「ASNET」の運営を行っています。主なサービスとして、全国の提携オートオークション会場に出品された車両への入札等を可能にする「オークション代行サービス」と、会員間で店頭在庫等の業販価格が付された車両を直接売買できる「ASワンプラサービス」を提供しています。
収益源は、サービス利用の都度にASNET会員から受け取る落札手数料や成約手数料等の各種手数料です。「オークション代行サービス」では取引オークション会場ごとに定めた手数料を、「ASワンプラサービス」では売買成立時に買い手等から手数料を受領します。事業の運営はオートサーバーが行い、子会社が一部システム開発を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績推移を見ると、売上高は一時期の減少を経て堅調な拡大傾向にあり、順調にトップラインを伸ばしています。一方、経常利益や当期純利益は増減を繰り返しており、直近の期では増収ながらも減益となっています。利益率は概ね35%から40%の高い水準で推移しており、安定した収益性を維持していることが分かります。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 57億円 | 54億円 | 58億円 | 63億円 | 65億円 |
| 経常利益 | 22億円 | 20億円 | 21億円 | 25億円 | 24億円 |
| 利益率(%) | 39.2% | 36.7% | 35.7% | 39.5% | 37.0% |
| 当期純利益 | 14億円 | 12億円 | 13億円 | 16億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も拡大していますが、売上総利益率は微減しています。また、販売費及び一般管理費の増加が影響し、営業利益は減少に転じ、営業利益率も低下しています。それでもなお、利益率自体は高い水準を保っています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 65億円 |
| 売上総利益 | 46億円 | 47億円 |
| 売上総利益率(%) | 73.0% | 72.0% |
| 営業利益 | 25億円 | 24億円 |
| 営業利益率(%) | 39.7% | 36.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.9億円(構成比26.1%)、のれん償却額が2.4億円(同10.4%)を占めています。一方、売上原価においては、支払手数料が18.1億円(構成比100.0%)と大半を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況となっています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 27億円 |
| 投資CF | -14億円 | -6億円 |
| 財務CF | -10億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「全ての会員様に利便性を提供すること」を基本理念に掲げ、自動車流通支援サービスをコアビジネスとして中古車流通に関わる総合的なサービスや情報を取り扱っています。また、「顧客満足度向上並びに中古車流通に関わる全ての企業・ユーザーに使いやすく頼られる企業」であり続けることを信念とし、新規サービスの事業化に積極的に取り組むことで、事業成長と企業価値向上の実現に努めています。
■(2) 企業文化
同社は、経営の効率性と高い収益性を確保するとともに、コンプライアンス経営を重視する文化を持っています。企業の社会的責任を果たすことで持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、透明性の高い企業統治体制の整備に努めています。これにより、ステークホルダーからの信頼を獲得し、質の高い経営を実践することを大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「ASNET」における「取引台数」を用いています。これは、事業において顧客による車両の落札や出品、成約の都度に手数料を受領しており、その手数料が売上高の大部分を構成しているためです。この指標の最大化に向けて、サービスの利便性向上や機能拡充に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は事業拡大のための経営戦略として、ASNET会員数の拡大と取引台数の拡大を掲げています。会員数の獲得に向けては、中古車販売店や新車ディーラーなどあらゆる中古車取扱事業者を対象に営業活動を展開しています。また、取引台数の拡大に向けては、システムの機能改良や掲載データの活用、外部連携による利用拡大を図り、大手オートオークション会場等との提携関係維持と新規獲得に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、より利便性のあるサービスを提供するため、人材の採用と育成に注力しています。多様性の観点から中途採用や女性の採用を積極的に行うとともに、年に2回の人事考課における面談を通じて、従業員のキャリア形成と公正な人事評価が行われる仕組みを構築しています。また、採用した人材がより成果を発揮できるよう、残業の抑制や育児休業制度の整備など、安心して働ける労働環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 43.2歳 | 10.3年 | 5,309,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 中古車流通市場の混乱リスク
同社が扱う中古車の販売動向は、消費者の需要動向や経済情勢、為替の変動等の外部要因によって大きく変動します。新車供給の減少による中古車流通市場への供給減や、円高に伴う輸出需要の減少、あるいは円安による国内需要の減退などが生じた場合、中古車の流通が停滞して取引が低迷し、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 中古車流通構造の変化と競合出現リスク
国内の中古車流通市場は成熟しており安定的に推移すると見込まれていますが、異業種の参入などにより競争が激化する可能性があります。また、新たな中古車流通モデルの出現によってASNETの価値が相対的に低下し、同社が競合他社に対する市場シェアの維持・拡大を図ることができなかった場合、業績に大きな影響が及ぶリスクがあります。
■(3) サイバー攻撃等による情報流出リスク
同社の運営するASNETは、会員制のインターネットサービスであり、会員登録時の個人情報を含めた適切な情報管理が求められます。情報セキュリティ確保体制の構築に努めているものの、サイバー攻撃による外部からの不正アクセスによって個人情報等が流出し、業務遂行に支障をきたした場合には、同社の社会的信用の失墜や業績への悪影響が生じる可能性があります。



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