AVILEN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AVILEN 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AVILENは東京証券取引所グロース市場に上場し、企業のAI推進を一気通貫で支援するAIソリューション事業を展開しています。独自開発の技術コアモジュールを活用したAIソフトウエアの開発・実装や、組織開発・人材育成コンテンツを提供します。直近の業績は大幅な増収増益を達成し、成長を続けています。


※本記事は、AVILENの有価証券報告書(第8期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. AVILENってどんな会社?


同社は独自開発のAI技術を活用し、ソフトウエア開発と組織・人材育成の両面から企業のAI推進を支援します。

(1) 会社概要


同社は2018年に創業し、2019年にディープラーニングに関するE資格講座の提供を開始しました。2023年には自社開発モジュールと生成AIを組み合わせたSaaSプロダクトの販売を開始し、同年9月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。2024年にはLangCoreを連結子会社化しています。

現在の従業員数は連結で70名、単体で68名体制です。大株主については、筆頭株主が資本業務提携先である事業会社の日本郵政キャピタルで、第2位も同様に提携先の大塚商会となっています。第3位には創業期からのメンバーである崔一鳴氏が名を連ねており、強力なパートナー企業とともに事業を推進しています。

氏名 持株比率
日本郵政キャピタル 21.61%
大塚商会 18.66%
崔一鳴 5.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役は高橋光太郎氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
高橋 光太郎 代表取締役 2019年8月に同社へ入社し、同年11月より取締役に就任。2020年12月より現職。
松倉 怜 取締役CEO 経済産業省やBain&Companyを経て、2023年4月に同社執行役員COOとして入社。2025年3月より現職。
錦 拓男 取締役CSO 三井住友銀行やSMBC日興証券などを経て、2021年8月に同社執行役員CFOとして入社。2024年7月より現職。


社外取締役は、小野種紀(元日本郵政専務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「AIソリューション事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

AIソフトウエアユニット


企業の経営課題を特定し、AIやデータサイエンスの観点で業務効率化や業務プロセスの再構築を行うソリューションを提供しています。製造業や金融業など様々な業界に対し、独自開発のコアモジュールを活用したカスタマイズ型のソフトウエアや生成AIソリューションを法人顧客向けに開発しています。

主にプロジェクトごとのフロー型収益を得ていますが、パッケージ型ソフトウエアである「ChatMee」などのSaaSプロダクトにおいては、利用料によるストック型収益も獲得しています。事業の運営は同社のほか、生成AI関連ソフトウエアの受託開発などに特化した連結子会社のLangCoreが担っています。

ビルドアップユニット


顧客企業におけるAIやDXに関わる組織および人材の現状評価から、要件定義やデータ基盤の設計・実装、必要な人材の育成までを一気通貫で支援するサービスです。法人および個人向けに、独自に制作したeラーニングをベースとするパッケージ化された研修サービスなどを提供し、デジタル組織開発を推進しています。

組織のアセスメントやロードマップ策定、経営層からエンジニアまで部門横断的な人材育成コンテンツを提供することで、顧客から主にフロー型収益を獲得しています。この事業の運営は同社が行っており、AI推進に着手している企業だけでなく、これから着手する企業に対しても潜在的な市場を創出しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高および各利益項目は順調に拡大しています。顧客基盤の拡充やパッケージ型ソフトウエアの販売増が寄与し、大幅な増収を達成しました。また、利益面でも増益を維持しており、経常利益率は安定して推移しています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 12億円 17億円
経常利益 2億円 3億円
利益率(%) 15.2% 15.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率は高い水準を保っており、付加価値の高いサービス提供が継続できていることがうかがえます。営業利益も大幅に伸長しており、収益性の向上が確認できます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 12億円 17億円
売上総利益 9億円 12億円
売上総利益率(%) 69.9% 69.6%
営業利益 2億円 3億円
営業利益率(%) 15.3% 16.4%


販売費および一般管理費のうち、給料及び賃金が3億円(構成比31%)、支払手数料が0.9億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、提供するサービス単位で売上高を開示しています。AIソフトウエアユニットは生成AI関連の開発プロジェクトやSaaSプロダクトの販売が堅調に推移し、大きく伸長しました。ビルドアップユニットも組織開発の支援などが順調に拡大し、両サービスともに増収を達成しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
AIソフトウエアユニット 8億円 11億円
ビルドアップユニット 5億円 6億円
連結(合計) 12億円 17億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 2億円 2億円
投資CF -4億円 -0.1億円
財務CF 4億円 -1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.3%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.6%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」をパーパスに掲げ、「企業と人がAIを自在に使いこなし、発展し続ける豊かな未来」の実現を目指しています。様々な業界の顧客企業と協働・提携することで、多様な産業や社会課題を解決し、その革新を継続的に実現することを経営方針としています。

(2) 企業文化


同社は、新たな付加価値を創出するビジネスに継続的に取り組むとともに、自身を変革し続けることを重視しています。多様な属性、スキルや経験を有した人材の採用や能力開発の支援に積極的に取り組み、社会課題を解決し続けることで持続的な成長と企業価値向上を図る文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、より高い成長性および収益性を確保する観点から、売上高成長率ならびに営業利益率を重要な経営指標と捉えています。また、幅広い業界への事業展開や売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、顧客の継続率も重要な指標として設定し、これらの比率の上昇に努めています。

(4) 成長戦略と重点施策


大手企業を中心とした大口顧客にターゲットを絞り込み、真の顧客課題を掘り起こすアカウント戦略を推進しています。また、開発力と事業理解の深さを活かしたテクノロジーとビジネスの融合による差別化を図り、AIエージェントなどの獲得に向けたM&Aを推進することで非連続的な成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長に向け、技術面とビジネス面の双方で優れた人材の確保と育成に取り組んでいます。AIアルゴリズム構築などの知見を有するデータサイエンティストやエンジニアに加え、ビジネス面での執行能力を持つコンサルタントを育成し、独自組織「DS-Hub」を通じた採用も積極的に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 31.8歳 2.7年 7,504,000円

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 急速な技術革新への対応遅れ


AIに関する知見や独自のアルゴリズムが競争力の源泉となっています。そのため、急速な技術革新が起きた場合、変化に対応するための開発費や工数が大幅に増加し、競争力が低下することで事業進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) AI市場拡大スピードの鈍化


世界のAI市場は拡大が予測されていますが、市場拡大スピードが急速に鈍化した場合や、同社のビジネスの競争優位性が発揮されない場合には、市場の成長と連動して同社が成長できないリスクがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) AI関連領域での競争激化


AI関連領域はその成長性から多くの企業が参入しており、競争が激化しています。同社は最新のテクノロジーを早期にサービス活用するなどの施策を行っていますが、競争力が低下した場合には事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) プロジェクト進捗の遅延と工数超過


同社はAIソリューション導入前の課題特定からシステム開発、運用保守までを行っています。各フェーズにおいて想定以上に工数がかかる場合や早期終了するプロジェクトが増加した場合、採算の悪化や売上計上の後ろ倒しが発生するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。