マーソ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マーソ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マーソは東京証券取引所グロース市場に上場し、人間ドック・健診予約サイト等のヘルスケア・プラットフォーム事業を展開しています。直近の業績は、個人予約が検索エンジンのアルゴリズム変更等の影響を受けたことで売上高11億円と減収になり、法人予約本格化等の負担から営業損失を計上し赤字転落となっています。


記事タイトル:「マーソ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、マーソ株式会社の有価証券報告書(第11期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マーソってどんな会社?


予防医療へのアクセスを向上させるプラットフォーム事業を主力とし、医療機関のDXを推進する企業です。

(1) 会社概要


マーソは2015年に設立され、三和システムから人間ドック・健診予約サイト等の事業を譲受してサービスを開始しました。2021年にはワクチン接種のWEB予約サービスを展開し、2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。2024年にベトナムへ開発拠点として子会社を設立しています。

同社グループは連結で25名、単体で19名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の西野恒五郎氏となっており、第2位は事業の譲受元である三和システム、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
西野 恒五郎 41.01%
三和システム 15.04%
神田 有宏 8.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長 CEOは西野恒五郎氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
西野 恒五郎 代表取締役社長 CEO クレアティフ・コンサルティング取締役副社長、三和システム代表取締役を経て2015年に同社を設立し取締役会長に就任。その後代表取締役を務め、2025年より現職。
阿部 順一 取締役副社長 COO Y.I.T.C.代表取締役、三和システム取締役CTO等を経て2018年に同社取締役に就任。取締役経営管理本部長などを歴任し、2025年より現職。
菅生 淳一 取締役 ヘルステック事業本部長 三和システムを経て2015年に同社入社。翌年に取締役へ就任し、事業推進部長や事業推進本部長などの要職を歴任。2017年より現職。
井口 聖一朗 取締役 CFO 管理本部長兼経営企画室長 SMBC日興証券、リニューアブル・ジャパン、アイリスなどを経て2025年に執行役員経営企画室長として同社入社。同年取締役に就任し、2026年より現職。
吉田 弘 取締役 アークランズ、アクセス、ゴルフパートナーなどを経て2019年に経営管理部長として同社入社。管理本部長等を経て2026年より現職。


社外取締役は、菊地英樹(エナジー代表取締役社長)、西山修平(KOTOBUKI会計代表)、堀越充子(熊谷綜合法律事務所入所)、渡邉孝江(渡邉公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、ヘルステック事業を展開しています。

(1) 予約サービス


人間ドック・健診予約サイトを通じ、医療施設の予約数拡大に向けたマーケティング支援と、利用者に対する予約促進の情報提供を行っています。利用者のニーズに合った施設やプランの比較・検討が可能で、近年は法人向けの予約サービスも展開しています。

収益は、受診者がサイトを通じて予約し、実際に受診した場合に医療施設から受領する成果報酬型のサービス利用料が柱です。運営は同社が主体となって行っています。

(2) 広告サービス


予約サイトのトップページ等に設けた特集ページを通じた医療施設の露出量増加や、企業との提携によるプロモーション実施などを提供しています。また、予防医療の啓蒙を目指す情報メディアの運営も行っています。

収益は、医療施設や一般企業からの広告掲載料として受領しています。これらのサービス運営は同社が行っています。

(3) DXサービス


医療施設向けに予約業務の省力化を可能にするクラウド型システムや、法人向けに健診予約からデータ管理までを一気通貫で行うサービス、行政向けに住民健診のWEB予約システムなどを提供し、業務効率化を支援しています。

収益は、システムの初期導入費用や、契約期間に応じた継続的なシステム利用料などから構成されています。運営は同社およびベトナムの開発子会社が連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上高は13億円台から11億円台へと減少傾向にあります。利益面でも、経常利益が1.6億円の黒字から0.3億円の赤字へと転落しており、収益性の改善と事業の再成長が急務となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 13.3億円 10.8億円
経常利益 1.6億円 -0.3億円
利益率(%) 11.8% -3.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.0億円 -0.2億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益も縮小しています。営業利益も赤字となっており、コスト構造の見直しや今後の成長領域である法人予約の早期収益化が課題となっています。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 13.3億円 10.8億円
売上総利益 10.3億円 8.2億円
売上総利益率(%) 77.2% 76.4%
営業利益 1.6億円 -0.3億円
営業利益率(%) 11.8% -3.1%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が3.9億円(構成比45%)、役員報酬が1.1億円(同13%)を占めています。売上原価の主な内訳は、労務費とシステム運用などの経費で構成されています。

(3) セグメント収益


主力である予約サービスは法人向けが拡大したものの、個人予約の自然流入減により微減となりました。また、ワクチンサービスは国の接種方針変更により実質的に終了したため、売上が大幅に減少しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
予約 6.3億円 6.1億円
広告 3.0億円 3.0億円
DX 2.4億円 1.6億円
ワクチン 1.6億円 -
連結(合計) 13.3億円 10.8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、ヘルステック事業を展開しており、売上高は予約、広告、DX、ワクチンで構成されています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失の計上や売上債権の減少等により、使用超過となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出により、使用超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出により、前年同期から一転して使用超過となりました。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF -0.8億円 -0.3億円
投資CF -0.6億円 -0.5億円
財務CF 0.2億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


予防医療を切り口としたヘルスケアDXを通じて健康寿命の延伸(+8Y)に寄与し、一人一人が健康で幸せに過ごせる時間を創造することを目指しています。予防医療にアクセスしやすい環境を創ることで健康長寿イノベーションの実現を掲げています。

(2) 企業文化


わたしに合わせた人間ドック予約をコンセプトに、受診者ファーストとなるサービスの提供を重視しています。アナログ業務からデジタル業務への移行を支援し、組織間の垣根を越えて治療偏重から予防医療の強化へのシフトを促す価値観が根付いています。

(3) 経営計画・目標


継続的な企業価値向上を達成するための重要な経営指標として売上高と営業利益を設定しています。また、プラットフォームとしての価値向上に資する指標として以下を掲げています。

・人間ドック・健診の予約取扱高
・掲載医療施設数
・会員数

(4) 成長戦略と重点施策


外部環境の影響を受けやすい個人予約依存からの転換を図り、市場規模の大きい法人予約を持続的な成長が見込まれる中核領域として本格展開しています。

・持続的成長基盤(法人予約市場)の拡大
・業務プロセス全般のデジタル化を支援するDXサービスの拡充
・エンジニア等の優秀な新規人材採用および既存社員の育成

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


少規模な組織であるため、事業展開と継続的な成長を実現するためには、エンジニア等の優秀な新規人材の採用と既存社員のスキル向上が重要課題であるとしています。ソーシャルメディアを活用した採用強化や、多様で有益な研修体制の整備、公正な評価制度に基づく人事制度の構築に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 37.5歳 5.4年 6842000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 外部検索エンジン及びAI検索の影響


予約サイトへの流入は検索エンジン経由が一定割合を占めており、アルゴリズムの変更やAI検索機能の拡充等により自然流入数が減少した場合、集客効果が低下して業績に影響を及ぼすリスクがあります。対策としてSEO対策や法人予約の拡大を進めています。

(2) システムトラブルおよび外部クラウドへの依存


提供するサービスはクラウドベースのシステムと通信ネットワークに依存しており、インフラ基盤で障害が発生した場合、サービスの中断により信用低下や損害賠償が生じる可能性があります。サーバーの負荷分散や定期的なバックアップにより障害回避を図っています。

(3) 情報管理とセキュリティ


受診者の健診結果など要配慮個人情報を含む大量のデータを保有しているため、外部からのサイバー攻撃や人為的ミスによる情報漏洩が発生した場合、訴訟や社会的信用の失墜を招くリスクがあります。セキュリティ認証を取得し、厳格な管理体制を敷いています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。