※本記事は、株式会社カウリス の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
カウリスは、「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと、先端技術を活用した法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」を提供しています。また、2025年9月には本人確認・顧客管理領域に対応する「Grid Data KYC」をリリースしました。同社は顧客横断・業界横断でのデータ活用により、日本全体の犯罪データプラットフォーム化を目指しています。
単体従業員数は53名です。同社の事業セグメントは、マネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の1つです。
カウリスは、マネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業を単一セグメントとして展開しており、法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」や本人確認・顧客管理サービス「Grid Data KYC」を直接提供しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社カウリスは、サイバーセキュリティ対策事業を展開する企業です。専門性の高い事業領域において、従業員の成長と働きやすい環境づくりに力を入れていることがうかがえます。
同社では、柔軟な働き方を推進しながら、人材育成にも積極的に取り組むことで、従業員が能力を発揮できる環境を整備していると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社の従業員は比較的若い年齢層で構成されており、平均勤続年数も短めであることから、成長フェーズにある企業の特徴が見られます。新しい人材が継続的に加わり、組織が活性化している傾向があると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,523,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.0年 |
| 平均年齢 | 37.8歳 |
| 単体従業員数 | 53人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、営業やエンジニアを中心とした人材の採用を積極的に進める方針を掲げており、通常の採用活動に加えてリファラル採用も取り入れています。従業員の継続的な人材育成にも注力しており、ビジネス研修やマネージャー研修プログラムの導入、資格手当による資格取得の促進などを行っています。
また、従業員が働きやすい環境を整備するため、テレワーク勤務を基本とした就業形態やフレックスタイム制を導入しています。自己啓発目的の書籍購入補助やテレワーク環境整備のための物品購入補助といった福利厚生制度も充実させています。
経営理念に基づき、従業員一人ひとりの資質の向上と能力開発を推進し、キャリアアップを目指した専門的な教育や研修機会の提供、キャリア形成に即した配置や雇用管理にも配慮しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
カウリスは、情報インフラを共創し、世界をより良くするというミッションのもと、先端技術を活用したサービスを提供しています。主に法人向けに、不正アクセス検知や本人確認・顧客管理といった犯罪・不正対策分野で事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションを掲げ、犯罪のビッグデータをアルゴリズムと組み合わせた法人向けクラウド型不正アクセス検知サービス「Fraud Alert」を提供しています。また、2025年9月には、本人確認・顧客管理領域に対応する新規事業「Grid Data KYC」をリリースしました。同社のアプローチは、個社ごとのモニタリングではなく、顧客横断・業界横断でデータを流通させ、日本全体の犯罪データをプラットフォーム化することを目指しています。
主力サービスである「Fraud Alert」は、銀行、証券会社等の資金移動業、通信キャリア、ガス等のインフラ事業者、その他のサービス事業者に対して提供されています。個人ユーザーが顧客のウェブサイトやスマホアプリで口座開設や送金などの取引を行う際に、不正利用の可能性をモニタリングするものです。具体的には、端末から取得される情報を独自のアルゴリズムで算出し、なりすましではないか、不正利用履歴がないかなどをリアルタイムで法人顧客にアラートを上げています。
「Fraud Alert」は、WebサイトにJavaScriptコードを数行埋め込むことでアクセス解析データを取得し、解析結果を元にした追加認証やメール通知など、ログイン後の挙動をカスタマイズできるサービスです。エンドユーザーの個人情報を用いず、端末から取得する250以上の各種パラメータから行動履歴をデータベース化し、「本人らしさ」を判定します。リスクがあると判断された場合にのみ追加認証を要求する「リスクベース認証」により、エンドユーザーに負荷をかけずにセキュリティを確保しています。
また、同社独自の「ホワイトリスト」や「ブラックリスト」を作成し、顧客ネットワーク全体で共有することで、業界全体で不正アクセスを防ぐ仕組みを構築しています。導入コストが抑えられ、短期間での導入が可能である点も特徴です。同社のビジネスモデルは、利用者のインプレッション数やユニークユーザー数を基に契約金額を決定するモデルであり、コンサルティングサービスも提供しています。
「Fraud Alert」は、「ログイン検知サービス」「入出金検知サービス」「新規口座開設検知サービス」の3つのサービスで構成されています。新規事業の「Grid Data KYC」は、全国10社の送配電事業者と連携し、電力契約情報を活用した不正口座開設防止や継続的顧客管理の高度化、管理コストの低減を実現するサービスです。同社はマネー・ローンダリング及びサイバーセキュリティ対策事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にある一方で、営業利益は前期からわずかに減少しています。経常利益と当期純利益は前期から増加しており、全体としては堅調な推移を示しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員数は53人であり、平均年齢は37.8歳、平均勤続年数は3.0年となっています。平均年間給与は6,523千円です。従業員1人あたりの売上高や利益に関する具体的な数値は開示されていませんが、これらのデータは同社の組織規模や人材構成を示すものとなっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の財務状況は、事業の成長を支えるための投資が活発に行われている状況を示しています。本業で得た資金を将来に向けた投資に充てている傾向が見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
カウリスの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から当期にかけて増加しています。ROE(自己資本利益率)は前期から減少しているものの、引き続き高い水準を維持しています。手元資金である現金及び預金等は前期から減少しており、資金の使途が変化していることがうかがえます。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.2億円 | 16.6億円 |
| 自己資本比率 | 65.0% | 76.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 21.0% | 16.7% |
| 現金及び預金等 | 17.3億円 | 14.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当期における同社の営業活動によるキャッシュフローはプラスとなっていますが、前期と比較すると減少しています。これは主に法人税等の支払いや契約負債の減少により資金が減少した一方で、税引前当期純利益により資金が増加したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、投資有価証券の取得や無形固定資産の取得により、資金が大きく減少しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済による支出があった一方で、株式の発行による収入があり、全体としては資金が減少しています。
フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。これは、事業拡大に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.7億円 | 2.1億円 |
| 投資CF | △0百万円 | △3.7億円 |
| 財務CF | 5.1億円 | △0.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 2.7億円 | △1.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、マネー・ローンダリング対策事業に特化しているため、市場の需要が低迷した場合には事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、主要取引先上位10社の売上高合計が全体の63.0%を占めており、特定の業界・顧客企業への依存度が高い状況にあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社が属するマネー・ローンダリング対策業界では、専門知識を有する人材の不足が共通課題とされています。業容が拡大する中で十分な人材を確保できない場合、サービス提供の遅れや生産性の低下等により、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
カウリスは、「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションのもと、安心・安全なデジタル社会の実現を目指しています。同社は、顧客との直接的な対話や政府機関との連携を重視し、社会に貢献する企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
カウリスは、「情報インフラを共創し、世界をより良くする」というミッションを掲げています。このミッションのもと、誰もが安心・安全なデジタル社会での利益を享受できる情報インフラの構築を目指しています。
同社は、この取り組みを通じて企業価値の最大化を図ることを経営方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、顧客との直接的なコミュニケーションを通じて市場ニーズをサービス改善に繋げる顧客志向の姿勢を大切にしています。また、顧客企業間でデータを相互に共有するビジネスモデルを確立しており、共創と連携を重視する文化があります。
さらに、金融庁や経済産業省、警察庁などの政府機関とのリレーションを構築し、サービス開発を進めることで、社会的な信頼と公共性を重視する企業風土が特徴です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
カウリスは、事業上の課題として製品の強化に取り組んでいます。マネー・ローンダリング対策分野のニーズ変化に対応するため、新たな技術開発と顧客満足度向上に努めています。
また、組織体制の整備として、管理層の人員不足解消と開発体制の充実を図り、健全な組織作りを進めています。人材の採用・育成では、専門知識を持つ人材の確保と育成、情報管理の徹底による情報セキュリティ体制の強化も重点テーマです。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
カウリスは取締役会設置会社・監査役会設置会社であり、取締役と監査役が選任されています。経営の効率性・透明性を高め、リスク管理・コンプライアンス体制を強化するため、実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の構築に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
カウリスの筆頭株主はrhizomeであり、同社の代表取締役である島津敦好氏の資産管理会社です。島津敦好氏個人も上位株主として名を連ねており、創業者が安定的に経営を支える資本構成となっています。また、GMOインターネットグループも主要株主の一社です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| rhizome | 46.17% |
| 島津敦好 | 6.89% |
| GMOインターネットグループ | 4.35% |
| 造田洋典 | 3.06% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 2.91% |
なお、筆頭株主であるrhizomeは、同社代表取締役である島津敦好氏の資産管理会社です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は島津敦好氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 島津 敦好 | 代表取締役社長 | 2005年11月株式会社ドリコム入社、2015年12月同社設立 代表取締役社長就任、2023年3月株式会社rhizome設立 代表取締役就任より現職。 |
| 造田 洋典 | 取締役 | 1996年10月監査法人トーマツ入所、2007年10月造田公認会計士事務所所長就任、2011年11月株式会社バリューアップ代表取締役就任、2019年1月同社取締役就任より現職。 |
| 眞武 信和 | 取締役 | 2007年4月株式会社ドリコム入社、2016年3月YAuth.jp合同会社代表社員就任、2019年3月同社取締役就任、2022年6月株式会社マネーフォワード入社より現職。 |
社外取締役は、伊東寛氏(国立研究開発法人情報通信研究機構主席研究員・任意の指名・報酬委員会委員長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役の相互監督と監査役による経営監視機能を通じて、経営の適正性・健全性を確保しています。独立性の高い社外取締役および社外監査役を選任し、客観的な視点からの監督・監査を重視しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
カウリスの役員報酬は、固定報酬のみで構成されています。報酬額は、任意の指名・報酬委員会での審議を経て、役位、職責、在任年数、他社水準、同社の業績、従業員給与の水準を総合的に考慮して決定されます。取締役報酬の限度額は年額100百万円以内、監査役報酬の限度額は年額30百万円以内と定められています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 18百万円 | 6.0百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 5百万円 | 5.4百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 13百万円 | 4.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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