※本記事は、株式会社L is Bの有価証券報告書(第16期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. L is Bってどんな会社?
現場向けビジネスチャット等のDXソリューションと投資事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
2010年9月に設立され、2014年10月に現場向けビジネスチャット「direct」の提供を開始しました。2024年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。その後、同年11月にシステム・エムズを、2025年10月にIU BIM STUDIOを子会社化し、事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で185名、単体で117名となっています。筆頭株主は創業者である横井太輔氏の資産管理会社とみられるWell Sideで、第2位は創業者の横井太輔氏、第3位は事業会社のチェンジホールディングスとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Well Side | 29.73% |
| 横井 太輔 | 5.85% |
| チェンジホールディングス | 5.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長CEOは横井 太輔氏です。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 横井 太輔 | 代表取締役社長CEO | CFJ入社後、ジャストシステムを経て、2010年に同社を設立し代表取締役社長CEOに就任。directX Ventures等の取締役も兼任。 |
| 加納 正喜 | 取締役COO商品戦略本部長 | 富士通ビジネスシステム、ジャストシステム等を経て、2010年に同社へ入社。2011年より現職。 |
| 北嶋 正樹 | 取締役CFOコーポレート本部長 | 大和総研、KPMGビジネスアシュアランス等を経て、2020年に同社へ入社。2022年より現職。 |
| 城戸 猛 | 取締役DXコンサルティング本部長 | 情報処理研究所、ジャストシステム等を経て、2011年に同社へ入社。2011年に取締役CTOに就任し、現在は現職。 |
| 渡辺 龍二 | 取締役新成長戦略担当 | 大塚商会、ジャストシステム、日本オラクル等を経て、2015年に同社へ入社。2017年より現職。 |
社外取締役は、地福 三郎(元大和証券グループ本社取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DXソリューション事業」および「投資事業」を展開しています。
■DXソリューション事業
現場向けビジネスチャット「direct」を中心に、現場を持つ企業の業務課題を解決するSaaS型のデジタルサービスを提供しています。建設業や流通小売業などを主な顧客とし、タスク管理や写真管理、ナレッジ動画等の連携ソリューションに加え、システム受託開発やBIM領域のソリューションも展開しています。
主な収益源は、顧客にデジタルサービスを提供することで毎月経常的に得られる月額利用料(ストック収益)です。また、初期設定やDXコンサルティング等によるスポット収益も得ています。運営は同社や、子会社のシステム・エムズ、IU BIM STUDIOなどが行っています。
■投資事業
中長期的な成長に向けた新たな事業機会の創出を目指し、同社グループとのシナジー創出や財務的なリターンが見込まれるスタートアップ企業の発掘・投資を行っています。
収益は投資先企業の価値向上によるリターン等から得られるモデルです。運営は同社の子会社であるdirectX Venturesや、同社が組成したdirectX Ventures1号有限責任事業組合が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社は2024年12月期より連結財務諸表を作成しているため、売上高や利益のデータは直近2期分のみとなります。直近2期では、主力サービスの契約拡大や子会社化の影響により売上高が順調に伸長し、利益面でも大幅な黒字拡大を達成しています。利益率も1.2%から6.9%へと大きく改善しており、収益基盤の強化が進んでいます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 16億円 | 21億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 1.5億円 |
| 利益率(%) | 1.2% | 6.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.1億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も順調に増加しています。売上総利益率は約63%と高水準を維持しており、販売費及び一般管理費の増加を吸収して営業利益の大幅な増益を実現しました。営業利益率も3.0%から7.9%へと大きく向上しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 16億円 | 21億円 |
| 売上総利益 | 10億円 | 13億円 |
| 売上総利益率(%) | 64.7% | 62.9% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 3.0% | 7.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が4.7億円(構成比40%)、役員報酬が1.2億円(同10%)、広告宣伝費が0.7億円(同6%)を占めています。売上原価を構成する製造原価のうち、労務費が3.9億円(構成比58%)、経費が2.8億円(同42%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は当期より投資事業を開始したことに伴い、セグメント区分を変更しています。主力のDXソリューション事業では、現場向けビジネスチャット等の利用拡大や連携サービスのクロスセルが進み、売上・利益ともに大きく貢献しています。一方、新設された投資事業はファンド運営費用の計上が先行し、損失となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) | 利益(2024年12月期) | 利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| DXソリューション事業 | - | 21億円 | - | 1.8億円 | 8.4% |
| 投資事業 | - | - | - | -0.1億円 | - |
| 連結(合計) | 16億円 | 21億円 | 0.5億円 | 1.7億円 | 7.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業拡大に伴う人件費、プロダクト開発費、広告宣伝費等の運転資金需要に対応しています。投資活動によるキャッシュ・フローについては、テキストからの直接的な言及はありません。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己資金に加え、銀行からの借入金や当座貸越枠を活用し、必要資金を確保しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.3億円 | 1.8億円 |
| 投資CF | -3.8億円 | -10.8億円 |
| 財務CF | 12.1億円 | 4.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「アイデアとテクノロジーで人々を笑顔にする!」をミッション(経営理念)に掲げています。徹底した顧客志向のもと、現場業務を深く理解し、利用シーンを明確にしたうえでデジタルサービスを開発・提供することで、顧客の課題解決と持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、社員の行動指針(バリュー)として「顧客志向」「チャレンジ」「スピード」「チームワーク」「尊重・信頼」「プロフェッショナル」の6つを定義しています。また、「ココロ踊るチャレンジと心からの感謝にあふれる会社であり続ける」をビジョンに掲げ、顧客からのフィードバックを真摯に受け止めて継続的にサービスを改善する文化を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、主力サービスを月額利用料という形態で提供する収益基盤であるため、毎月経常的に得られる月額利用料の積み上がり状況を示す「ARR(Annual Recurring Revenue)」の拡大を経営上の重要な目標としています。その達成状況を判断するための重要な客観的指標として、ストック売上高、売上高全体に占めるストック売上比率、および契約社数を設定し、収益基盤の安定性と成長性を追求しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、強固な顧客基盤と深い業務理解力を活かし、単なるコミュニケーションツールの提供にとどまらず、現場業務のプロセス全体をデジタル化する「現場DXの総合プラットフォーム」への進化を成長戦略として掲げています。生成AIなどの先端テクノロジーの活用による付加価値向上を進めるとともに、投資事業やM&Aを積極的に活用して提供価値の領域を拡張し、グループ企業価値の最大化を図っていく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループが持続的に成長するためには、優秀な人材の確保と育成が重要であると位置づけています。同社のミッション、ビジョン、バリューに共感し、高い意欲を持った人材を数多く採用・育成するため、積極的な採用活動を進めるとともに、リモートワーク制度やフレックス制度、時短勤務制度の導入など、ライフステージの変化に対応した働きやすい環境の整備や教育・研修制度の充実化を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 36.3歳 | 4.3年 | 6,891,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.7% |
| 男性育児休業取得率 | 150.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※男女賃金差異については公表項目として選択していないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設業界を中心とした顧客業界の投資動向
同社のDXソリューション事業は、建設業をはじめとする現場を持つ業界の顧客が大きな割合を占めています。そのため、景気動向の悪化等により建設業界のソフトウェア投資が大幅に抑制された場合、同社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対策として、顧客開拓の強化や他業界への展開によるリスク分散を図っています。
■(2) システムトラブルおよび特定サービスへの依存
同社の事業はインターネットを介して提供されており、かつ特定の主力サービス「direct」に依存した収益構造となっています。予測不能なシステム障害やネットワーク切断が発生した場合、あるいは競合との競争激化により同サービスへの需要が低下した場合、社会的信用の失墜や解約の増加により業績に影響が及ぶリスクがあります。
■(3) パートナー経由の販売とOEM提供に関するリスク
同社は直販に加えて、販売パートナーを通じた再販や、OEMパートナーのブランドでのサービス提供を行っています。これらのパートナーの営業活動は同社のコントロールが及ばないため、新規顧客の獲得が想定より進まない場合や、パートナーとの関係が悪化した場合には、同社の収益基盤に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 投資事業およびM&Aによる事業拡大の不確実性
同社は事業拡大の手段として、スタートアップやベンチャーキャピタルへの出資、およびM&Aを積極的に行っています。しかし、投資先企業の事業計画未達や将来の業績見通し悪化、あるいは買収後に認識されなかった問題が判明した場合、投下資本の回収困難や減損処理が発生し、同社の財務状況に影響を与える可能性があります。



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