※本記事は、株式会社キッズスターの有価証券報告書(第12期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. キッズスターってどんな会社?
同社は「ごっこランド」を中心としたファミリー向けデジタルコンテンツを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2013年5月にアイフリークモバイルの知育アプリ事業部門にて主力サービス「ごっこランド」の配信を開始し、2014年10月にクックパッドの出資を受けて設立されました。2016年6月にMBOにより独立を果たし、その後にくふうカンパニーホールディングスの連結子会社となりました。2024年9月に東京証券取引所グロース市場へ株式を上場しています。
従業員数は連結で72名、単体で72名です。筆頭株主は親会社のくふうカンパニーホールディングスで、第2位は主要株主の穐田誉輝氏、第3位はSBI証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| くふうカンパニーホールディングス | 33.40% |
| 穐田 誉輝 | 26.94% |
| SBI証券 | 7.73% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役は平田全広氏が務め、社外取締役は3名(50.0%)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 平田 全広 | 代表取締役 | 1997年バウコミュニケーションズ入社。サイバーエージェント、アイフリーク(現アイフリークモバイル)執行役員等を経て、2014年10月より現職。 |
| 松本 健太郎 | 取締役 | 2002年有線ブロードネットワークス(現U-NEXT HOLDINGS)入社。ソフトバンクBB等を経て2014年10月より現職。KIDS STAR Vietnam社長を兼務。 |
| 金城 永典 | 取締役 | 2004年モバイルプロダクション入社。アイフリーク(現アイフリークモバイル)等を経て2014年10月に同社入社、2016年11月より現職。 |
社外取締役は、村田吉隆(元くふうカンパニーホールディングス経営管理部長)、谷内進(元アイフリークモバイル代表取締役)、細川紀子(元STORESリーガル・コンプライアンス部門長執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、インターネットメディア事業の単一セグメントです。
■社会体験アプリ「ごっこランド」
子どもたちが楽しみながら社会体験(ごっこ遊び)ができるファミリー向けの無料知育アプリです。大手BtoC企業からBtoB、社会インフラ企業まで幅広い企業・団体が出店し、子ども向け職業疑似体験型の知育ゲームを通じて、社会性や想像力を育むコンテンツを提供しています。
ユーザーの利用は無料とする一方、パビリオンを出店する企業・団体から出店料を収受するストック型のビジネスモデルです。ファミリー層のファン獲得やプロモーション効果を期待する企業に対し、ブランディングの場として同社がサービスの運営を行っています。
■リアルイベント「ごっこランドEXPO」
大規模なモールや商業施設で開催されるファミリー向け体験型イベントです。アプリで慣れ親しんだ世界観をリアルな場で体験でき、ワークショップやクイズラリーなどを通じて、企業ブランドや製品の理解を深める機会を提供しています。
出店企業および開催施設の双方から収益を得るビジネスモデルです。デジタルとリアルを一体とするサービス展開を進めており、イベントの企画・運営は同社が行っています。
■その他サービス
海外版アプリ「Gokko World」のアジア展開のほか、地域体験ガイドブック「ジモトガイド」の提供や、企業が持つキャラクター等のコンテンツ資産を活用した事業開発支援・受託開発「サービスデザイン」などを展開しています。
地方自治体や地場企業から出店料を収受するほか、アプリ化や受託開発等を通じた開発支援契約に基づく収益を得ています。運営は同社および連結子会社のKIDS STAR Vietnamが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高および経常利益は順調に拡大しており、増収増益の傾向が続いています。主力サービスの累計ダウンロード数やプレイ回数が過去最高を記録したことなどが寄与し、利益率も向上して安定的な収益性を確保していることがうかがえます。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9.1億円 | 11.6億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | 2.5億円 |
| 利益率(%) | 18.6% | 21.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.0億円 | 1.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い、売上総利益や営業利益も拡大しています。売上総利益率は60%台の安定した水準を維持しており、営業利益率も20%を超えるなど、効率的な事業運営による高い収益性を確保していることがわかります。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 9.1億円 | 11.6億円 |
| 売上総利益 | 5.7億円 | 7.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 62.3% | 61.8% |
| 営業利益 | 1.7億円 | 2.5億円 |
| 営業利益率(%) | 18.6% | 21.5% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が2.1億円(構成比45%)、広告宣伝費が0.5億円(同11%)を占めています。また、製造費用における当期売上原価としては、労務費が2.8億円(構成比59%)、経費が1.2億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは、インターネットメディア事業の単一セグメントであり、サービスごとの収益は開示していません。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、ソフトウエア開発費用や販売費及び一般管理費等の営業費用について、営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金で充当する方針です。
営業活動では、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上、売上債権の減少等により資金を得ました。一方、投資活動では、無形固定資産の取得による支出がありました。財務活動では、新株予約権の行使による株式の発行により資金を得ました。
| 項目 | 2025年12月期 |
|---|---|
| 営業CF | 3.9億円 |
| 投資CF | -2.5億円 |
| 財務CF | 0.3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「子どもの夢中を育て、応援する」というミッションを掲げています。人は何かに夢中になる経験を通して自分の能力を伸ばすことができるという考えに基づき、子どもの夢中に寄り添い、育て、活性化することで成長をサポートすることを目的としています。楽しいからこそ何度でもチャレンジしたくなるプロダクトを作り続けることで、夢中になる体験の創出を目指しています。
■(2) 企業文化
社名に込められた「子どもが主役」であるとの強い思いを根幹として事業を展開しています。子どもが夢中になることで発せられる熱量が家族や友達へ伝搬し、企業への共感へと繋がることでファンの創出に結びつくと確信しており、ファミリー層に向けたビジネスの性質上、社会的信用を得るための健全性の高い組織の構築と維持を重視する文化が醸成されています。
■(3) 経営計画・目標
中期ビジョンとして「アジアの子どもたちの『なりたい』を育てるNo.1社会体験プラットフォームになる」を掲げ、事業ポートフォリオの多様化と安定的な収益基盤の構築を図りながら、持続的な成長企業となることを目指しています。
* 売上高:25.0億円(2028年12月期目標)
* 営業利益:5.0億円(2028年12月期目標)
* 営業利益率:20.0%(2028年12月期目標)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存のデジタル事業の安定成長と収益性向上を図りつつ、リアル事業および海外事業を次の成長ドライバーとして育成していく方針です。国内・海外、デジタル・リアルの4象限で事業機会を捉え、リアルイベントの本格展開や、タイ・インドネシアなど東南アジア市場への展開加速を重点施策としています。また、M&Aやアライアンスを推進し、新たな収益機会の開拓にも取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
優秀な人材の確保、育成および定着を、持続的な事業成長を実現するための重要課題と位置付けています。事業拡大に伴い組織の複雑性が増す中で、専門性の高い人材の確保や権限委譲を進め、スケーラブルな組織体制の構築を目指しています。生産性の高い組織を実現するため、役割と成果に基づく評価制度の整備や柔軟な働き方を取り入れながら、人材基盤の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 39.9歳 | 3.6年 | 5,661,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は法令等により公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定のサービスへの依存
同社の収益は、主要サービスである「ごっこランド」の出店料が全体の約8割を占めています。新たな法規制の制定や市場環境の変化、その他予期せぬ要因により同サービスに係る収益構造に重大な変化が生じた場合、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) リアルイベントにおける安全管理・運営
リアルイベント「ごっこランドEXPO」等の開催において、会場での混雑対応や衛生管理等に起因する安全上の事故が発生するリスクがあります。万一重大な事故が発生した場合、損害賠償責任や信用毀損、イベントの中止・縮小に繋がり、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) アジア市場を中心とした海外展開
ベトナムをはじめ、インドネシア、タイなどのアジア諸国への展開を進める中で、各国の法規制の変更や行政対応の遅延、地政学的要因や現地での不確実性などにより、事業計画の遅延や見直しを迫られ、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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