※本記事は、株式会社Synspective の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Synspectiveは、衛星コンステレーションとデータ解析技術を用いた衛星データ事業を展開しています。同社グループは、次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラ構築を目指しています。
単体従業員数は219名、連結従業員数は228名です。同社グループの事業セグメントは衛星データ事業の単一セグメントです。
Synspectiveグループは、2025年3月に北米・中南米地域での事業拠点として米国子会社を設立し、グローバル展開を加速しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社Synspectiveは、宇宙技術を活用して社会課題解決を目指す企業として、専門性の高い人材をグローバルに採用し、多様なバックグラウンドを持つ従業員が活躍できる環境を重視しています。給与水準は、その専門性と事業の成長性を反映したものとなっています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が比較的短く、平均年齢も30代後半であることから、活発な人材の流動性と成長フェーズにある組織の特性がうかがえます。多様な専門性を持つ人材が、それぞれの経験を活かしながらキャリアを築いている傾向があると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,021,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.2年 |
| 平均年齢 | 39.7歳 |
| 単体従業員数 | 219人 |
| 連結従業員数 | 228人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.1% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことをミッションに掲げ、社会課題の解決に貢献することを目指しています。小型SAR衛星の開発・製造、データ販売、ソリューション事業を展開しており、他社と比較して幅広い技能を持つ人材を必要としています。
このため、宇宙業界に限らず様々な専門知識・技能を持つ人材をグローバルに採用し、役員・管理職には国籍・性別を問わず登用しています。多様なバックグラウンドを持つ役職員がミッションを達成できるよう、CREDOを設定し、人事評価制度の評価項目に組み込むことで、その徹底と浸透を図っています。
また、言語、宗教、文化の異なる様々な人材が活躍できるよう、社風の構築、労務サポート、語学学習の奨励等に注力しています。従業員の衛生管理と健康の保持増進を図るため、安全衛生委員会にて安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社及び連結子会社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Synspectiveは、衛星コンステレーションとデータ解析技術を活用し、地球観測データを基盤とした事業を展開しています。次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラ構築を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
Synspectiveグループは、SAR衛星の開発・製造・運用を通じて、衛星データ事業を推進しています。同社グループの小型SAR衛星「StriX」は、天候や時間帯に左右されずにデータ取得が可能であり、地形や構造物の変化を捉えるのに強みを持っています。
ビジネスは主に「データ販売」と「ソリューション提供」の二つの柱で構成されています。データ販売では、SAR衛星「StriX」から取得した画像データを、高い専門性を持つ各国政府(特に防衛関連省庁)に提供しています。安全保障や防災、インフラ開発といった官需が中心です。
ソリューション提供では、SAR衛星データをデータサイエンスで自動解析し、業務に直結する情報として提供しています。これにより、SARデータ分析の専門知識を持たない民間企業(損害保険、インフラ開発、資源エネルギー開発など)にも価値を提供しています。地盤変動モニタリングや洪水被害分析、物体検知・分類分析など、多様なソリューションを展開しています。
同社グループのビジネスモデルは、データ販売とソリューション提供の相乗効果を重視しており、リカーリング収益の獲得を目指しています。特に、自社コンステレーションから得られるSAR衛星データをソリューション提供にも活用することで、拡大する民間市場への参入、余剰データの高収益化、データ値崩れリスクのヘッジ、グローバル展開におけるパートナーシップ形成を図っています。収益は主に国内の顧客から得られており、特定の官公庁への集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
Synspectiveグループの業績は、衛星の開発・製造への先行投資を背景に、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失が続いています。直近の連結会計年度では、売上高は増加傾向にあり、親会社株主に帰属する当期純損失は大幅に改善しました。一方で、営業損失は拡大し、経常損失も引き続き計上しています。
営業活動によるキャッシュ・フローはプラスに転じましたが、衛星製造部品の購入など投資活動によるキャッシュ・フローは引き続き大きなマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、増資や借入により大幅な資金獲得を継続しています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 4.9億円 | 13.9億円 | 23.2億円 | 23.8億円 |
| 経常利益 | - | △43.4億円 | △19.5億円 | △35.9億円 | △10.7億円 |
| 経常利益率 | - | △881.5% | △140.8% | △155.2% | △45.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | △62.7億円 | △15.2億円 | △35.9億円 | △3.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | △88.42 | △20.60 | △42.78 | △3.21 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
Synspectiveグループの従業員1人あたり売上高は、前期から減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益は、前期に比べて損失額が拡大しています。
これは、売上高の増加率が従業員数の増加率を下回った一方で、営業損失の拡大が進んだことを示しています。同社グループは事業拡大に伴い人員採用を積極的に行っており、今後の事業成長と生産性向上が注目されます。
| 指標 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 12.1百万円 | 10.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △16.0百万円 | △18.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
株式会社Synspectiveは、事業拡大に向けた積極的な投資を行っており、成長フェーズにあります。財務基盤や資金の流れから、同社グループの現在の経営状況を把握できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は、プライム市場の製造業平均や非製造業平均を上回る水準にあります。これは、財務の安定性を示す一つの指標です。ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっていますが、これは先行投資フェーズにある同社グループの現状を反映しています。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業活動に必要な資金を確保している状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を考える上で重要な要素となります。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 199億円 | 388億円 |
| 自己資本比率 | 68.9% | 76.2% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △1.3% |
| 現金及び預金 | 142億円 | 245億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において資金の獲得となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を計上した一方で、減価償却費1,609,881千円や株式報酬費用754,524千円等を計上したことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、衛星製造部品等の購入による有形固定資産の取得に10,907,909千円を使用しており、事業拡大に向けた積極的な投資が継続していることを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による収入5,928,314千円や新株予約権の行使による株式の発行による収入12,531,824千円等により、資金の獲得となりました。フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっていますが、これは本業で得た資金を上回る規模で、将来の成長に向けた投資を行っている状況です。このような資金の流れは、同社グループが成長フェーズにあり、将来の収益拡大に向けた基盤を構築していることを示しています。これは、雇用や給与の安定性を考える上で重要な要素となります。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △18.0億円 | 16.6億円 |
| 投資CF | △74.6億円 | △116.3億円 |
| 財務CF | 190.3億円 | 202.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △92.6億円 | △99.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社グループは継続的な営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在していると認識しています。しかし、当連結会計年度末に多額の現金及び預金を保有しており、既存の借入枠や防衛省との契約、補助金収入を踏まえると、少なくとも1年間の資金繰りについて重要な懸念は認められないと判断しています。これにより、継続企業の前提に重要な不確実性は認められないとされています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループはSAR衛星データ市場の立ち上げ期にあり、市場シェア獲得のため継続的な先行投資を実施する方針です。今後一定期間は黒字化よりも売上高成長率を重視する経営方針であり、先行投資が想定通りの成果に繋がらなかった場合、黒字化しない可能性があります。また、連結売上高の約9割を官公庁への販売が占めており、特定の販売先への取引依存度が高い状況です。取引関係が継続できない場合や入札条件の変更等が生じた場合、事業運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、SAR衛星システムの開発やソリューションサービス提供に関わる専門性の高い技術者の獲得と育成が課題であると認識しています。労働市場での絶対数が少なく、育成も容易ではないため、想定どおりの人材獲得及び育成ができない場合、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Synspectiveは、「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことを目指し、衛星コンステレーションとデータ解析技術を用いた衛星データ事業を展開しています。地球規模のリスクを定量的に可視化し、理解することで、人類が自然環境や次世代を思いやりながら安心して生きていく社会の実現を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「次世代の人々が地球を理解し、レジリエントな未来を実現するための新たなインフラをつくる」ことをミッションに掲げています。
このミッションを実現するため、自社SAR衛星「StriX」のコンステレーションの衛星機数を増やし、継続的なデータ販売で収益を積み上げていく方針です。
また、SAR衛星が強みを持つ自然災害、安全保障、環境リスクを軸にソリューションのラインナップを拡大し、新規衛星データ市場を開拓していくことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、多様なバックグラウンドを持つ役職員がミッションを達成するためにCREDOを設定し、人事評価制度に組み込んでいます。
全社会議ではトップマネジメントから全社員に向けてCREDOの説明を行い、その徹底と浸透を図るとともに、言語、宗教、文化の異なる様々な人材が活躍できるよう、社風の構築、労務サポート、語学学習の奨励に注力しています。
同社グループは、日本発のスタートアップから世界中の才能が結集する「グローバルカンパニー」への変貌を目指しており、専門家同士が自由に議論し、試行錯誤を組織の知恵に変える「自律型学習組織」の構築に注力している会社です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、組織戦略として、日本国内に留まらず世界各地での直接採用や多様な雇用形態を積極的に導入し、グローバルに最適な体制を構築しています。
「自律型学習組織」の構築に注力し、国際的な発信を通じてグローバルでのプレゼンスを高め、世界中の優れた人材を惹きつける好循環を創出することで、組織力のさらなる強化を図っています。
また、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律や電波法への対応、およびコーポレート・ガバナンス、内部統制、情報管理・セキュリティの継続的な強化を重要な課題として認識し、取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Synspectiveは、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。経営の意思決定と監督機能、業務執行機能の分離を図ることで、迅速な経営と適切なガバナンスを両立させています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Synspectiveの株主構成を見ると、筆頭株主はヒューリック、次いで三菱電機といった事業会社が上位を占めています。また、代表取締役CEOである新井元行氏も主要株主の一人として名を連ねています。複数の事業会社や投資事業有限責任組合、信託銀行が名を連ねる構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヒューリック | 12.17% |
| 三菱電機 | 9.50% |
| 新井 元行 | 6.85% |
| スペース・エースタート1号投資事業有限責任組合 | 6.54% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 6.28% |
なお、ヒューリックは2025年12月1日に同社が第三者割当増資のため発行した株式を100%引き受けたことにより、主要株主となっています。これに伴い三菱電機は主要株主でなくなっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
Synspectiveの役員は9名(男性7名・女性2名)で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役CEOは新井元行氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新井 元行 | 代表取締役CEO | 2004年4月 BearingPointinc.(現 PwCコンサルティング合同会社)入社。2018年2月 同社創業代表取締役CEOより現職。 |
| 小畑 俊裕 | 取締役 | 1997年4月 三菱電機株式会社入社。2019年4月 同社入社取締役より現職。 |
| 志藤 篤 | 取締役CFO | 2004年11月 明和監査法人(現 仰星監査法人)入所。2021年4月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、海老澤観氏(モバイル・インターネットキャピタル取締役会長)、渥美優子氏(Kollectパートナーズ法律事務所パートナー弁護士)、榎本亮氏(EY Japanチーフ・ブランディング・オフィサー)です。
同社は監査役会設置会社であり、株主総会、取締役会、監査役会、内部監査担当による内部監査機能を適切に機能させる体制をとっています。取締役6名のうち3名が社外取締役、監査役3名全員が社外監査役で構成されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
Synspectiveの役員報酬は、固定報酬とストックオプションを組み合わせた体系です。業務執行取締役および社外取締役には固定報酬が支給され、業績連動報酬は採用していません。中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして、一部業績連動型のストックオプションを付与しています。監査役の報酬は、独立性を考慮し、常勤・社外の別や業務分担を勘案して決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 81百万円 | 27.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 27百万円 | 4.5百万円 |
なお、当事業年度末現在の役員は取締役6名、監査役3名です。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示はありません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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