ビジュアル・プロセッシング・ジャパン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビジュアル・プロセッシング・ジャパン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ビジュアル・プロセッシング・ジャパンは、東京証券取引所グロース市場に上場し、企業の販促媒体やコンテンツの制作・管理・配信を支援するDXソリューション事業を展開しています。主力製品のデジタルアセットマネジメントシステム「CIERTO」の提供等により、直近の業績は売上高13.7億円、経常利益2.5億円と増収増益のトレンドです。


※本記事は、株式会社ビジュアル・プロセッシング・ジャパンの有価証券報告書(第32期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ビジュアル・プロセッシング・ジャパンってどんな会社?


企業のコンテンツ制作・管理・配信を支援するDXソリューションを主力とし、業務効率化に貢献しています。

(1) 会社概要


同社は1994年1月に設立され、1997年8月にデジタルアセットマネジメント(DAM)システムの販売を開始しました。その後、2016年10月に自社開発のDXソリューション「CIERTO DAM」の販売を開始し、2021年7月には商品情報を管理する「CIERTO PIM」をリリースしました。事業の拡大を背景に、2025年3月に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。

現在の従業員数は単体で66名です。筆頭株主は代表取締役社長の三村博明氏が代表を務める資産管理会社で、第2位は創業者の三村博明氏、第3位は従業員持株会となっています。

氏名 持株比率
シエルトコミュニケーションズ 38.51%
三村博明 16.85%
VPJ社員持株会 11.93%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は三村博明氏が務めており、社外取締役比率は55.6%です。

氏名 役職 主な経歴
三村博明 代表取締役社長 1980年日本エヌ・シー・アール入社。1986年日本シリコングラフィックス営業本部長を経て、1994年同社設立。2023年よりシエルトコミュニケーションズ代表取締役。
吉川美幸 取締役営業本部長 2005年同社入社。2013年1月に同社営業担当執行役員を経て、同年11月より取締役営業本部長。
小菅暁史 取締役技術本部長 2005年同社入社。2013年1月に同社コンサルティング担当執行役員を経て、2023年3月より現職。
松本勝裕 取締役管理本部長 2005年キユーソー流通システム入社。2008年同社入社。2021年にコーポレイト本部取締役本部長を経て、2023年11月より現職。


社外取締役は、安藤秀樹(ドリームパイプライン代表取締役)、西堀敬(日本ビジネスイノベーション代表取締役社長)、藤川幸廣(ReEpoch代表社員)、西村洋二郎(The Foundry Visionmongers Limited日本支社代表)、佐々木暁子(トランジション・ワークス代表社員)です。

2. 事業内容


同社は「DXソリューション」事業を展開しています。

(1) CIERTO DAM・PIM


様々な業種業態の企業に向けて、デジタル素材や商品情報を一元管理する自社開発のDXソリューション「CIERTO」を提供しています。組織内のデータ散逸を解消し、媒体・コンテンツの制作時間を削減することで、生産性の向上と各種デバイス向けコンテンツのブランディング統一を実現します。

顧客企業からクラウド環境での月額利用収入を得るサブスクリプション型と、オンプレミス環境でのライセンス費用および月額保守収入を得るライセンス型で収益を獲得しています。運営は同社が行っています。

(2) 連携拡張サービス


海外他社との販売代理店契約に基づき、媒体・コンテンツ制作工程における進行とコミュニケーションを管理する「APROOVE WM」や、出版媒体向けの複数媒体配信管理システム「WoodWing Studio」を拡張機能として提供しています。

主に顧客企業からサブスクリプション型の月額サービス費用等を受け取るモデルです。同社が海外パートナー企業の製品を日本国内向けに販売代理店として提供し、基本的には「CIERTO」とセットでの導入を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間を通じて、売上高は継続して成長を遂げており、堅調な拡大傾向を示しています。経常利益などの利益面においても順調に推移し、特に直近の事業年度では利益率が大きく向上しており、収益性の高まりが確認できます。

項目 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上高 9.1億円 10.6億円 12.1億円 13.7億円
経常利益 1.4億円 1.4億円 1.8億円 2.5億円
利益率(%) 15.8% 13.3% 15.3% 18.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.7億円 0.9億円 1.2億円 1.8億円

(2) 損益計算書


直近の事業年度では、主力サービスの堅調な伸びを背景に増収を達成し、売上総利益や営業利益も大きく増加しています。利益率も改善傾向にあり、高付加価値なサービスの提供が進んでいることがうかがえます。

項目 2024年12月期 2025年12月期
売上高 12.1億円 13.7億円
売上総利益 7.1億円 8.5億円
売上総利益率(%) 58.9% 62.0%
営業利益 1.8億円 2.6億円
営業利益率(%) 15.2% 19.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.8億円(構成比30%)、地代家賃が0.8億円(同14%)を占めています。売上原価の内訳としては、商品仕入高が3.1億円(同59%)、労務費が1.8億円(同35%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はDXソリューション事業の単一セグメントで展開しています。主力製品であるデジタルアセットマネジメントシステムのクラウドサービスにおける新規納入が好調に推移し、前期間と比較して売上高が順調に拡大しています。

区分 売上(2024年12月期) 売上(2025年12月期)
DXソリューション事業 12.1億円 13.7億円
連結(合計) 12.1億円 13.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入(上場による株式発行等を含む)によって積極投資を行う状態です。

項目 2024年12月期 2025年12月期
営業CF 1.1億円 2.8億円
投資CF -0.4億円 -0.7億円
財務CF -0.1億円 3.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.1%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も75.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営理念として「ビジネスの自立と継続」を掲げています。これを実現するためには、顧客との長期的な信頼関係に基づく安定したビジネスが必要不可欠であり、「自社ブランドとして自立できるプロダクト」「成長が見込まれる十分なサイズのマーケット」そして「継続的な収益」が必要であると考えて事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は顧客との対話を通じた現場の声を重視し、知見とノウハウの蓄積を重んじる文化を持っています。最先端のIT技術を扱うため、技術者の育成やスキルアップ研修を徹底しています。また、オープンなオフィス環境でのフリーアドレス制などを導入し、部門間の活発なコミュニケーションを促進する風土が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は「継続的な収益」を重要な要素として位置づけており、サブスクリプション型の安定収益基盤となる以下の指標を重要な経営指標に定めています。

・ARR(年間計上収益)
・新規CIERTOライセンス数
・CIERTO解約率

(4) 成長戦略と重点施策


同社は市場競争力の維持・強化に向けて、専門的な知見を有する販売代理店の拡充など販売パートナーの強化を進めています。また、黎明期にあるAPAC(アジア太平洋)地域での市場調査を通じて海外展開の可能性も模索しています。さらに、AIの機能実装や外部のDXソリューションとの連携強化にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は事業拡大に伴う人員および組織力の強化を重要課題としており、新卒および中途採用に注力しています。また、従業員が能力を最大限に発揮できるよう、職務職階制度に基づく人事評価制度の改善、社内教育制度の拡充、オープンなオフィス環境の整備など、労働環境の充実を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年12月期 34.6歳 7.1年 5,245,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場環境と競合他社の動向


同社が属するデジタルアセットマネジメント市場は成長を続けていますが、市場の成長鈍化や、類似サービスを提供する国内ベンダーの参入等による競争激化が発生した場合、同社の優位性が損なわれ、業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 技術革新への対応


同社の事業領域は技術革新が速く、優位性を維持するためには即座な対応が求められます。技術革新の動向把握や新サービスの提供に努めていますが、対応が遅れた場合や想定外の技術革新が生じた場合、事業に影響を与える可能性があります。

(3) システム障害と情報セキュリティ


提供するクラウドサービスは通信ネットワークの安定稼働が前提となります。自然災害や不正アクセス等でサービス提供に支障をきたすリスクや、機密情報・個人情報が漏洩して信用失墜や損害賠償が発生するリスクがあります。

(4) 特定サービスへの依存


同社の売上高全体のうち、主力サービスである「CIERTO」が約9割を占めています。外部環境の変化等により同サービスの売上が著しく減少した場合、同社の経営成績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。