※本記事は、モロゾフの有価証券報告書(第96期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. モロゾフってどんな会社?
洋菓子の製造・販売および喫茶・レストラン運営を主力事業とし、全国に店舗を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1931年に神戸モロゾフ製菓として創立され、1972年に現在のモロゾフへ商号変更しました。1974年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、1983年に東京証券取引所市場第二部へ上場、1984年には第一部銘柄に指定されました。2020年には鎌倉ニュージャーマンを子会社化しています。
現在の従業員数は連結で573名、単体で547名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は平和、第3位はみずほ銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 7.66% |
| 平和 | 4.65% |
| みずほ銀行 | 3.79% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は山口信二氏です。社外取締役は4名(比率36.4%)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山口信二 | 代表取締役社長 | 1981年同社入社。マーケティングセンター長等を経て、2011年代表取締役社長マーケティングセンター長に就任。2018年日本チョコレート工業協同組合理事長。2025年より現職。 |
| 山岡祥記 | 代表取締役副社長管理部門統括 | 1980年第一勧業銀行入行。2008年同社監査役。常務取締役、専務取締役を経て、2020年代表取締役副社長経営統括本部長に就任。2024年より現職。 |
| 鈴木正人 | 常務取締役マーケティング本部長 | 1994年同社入社。マーケティング本部商品企画部長、営業本部福岡支店長等を経て、2020年執行役員。2023年取締役営業本部長に就任。2025年より現職。 |
| 高田耕治 | 取締役生産本部長 | 1989年同社入社。生産本部六甲アイランド工場長、同西神工場長等を経て、2016年執行役員生産本部副本部長。2020年より現職。 |
| 磯野健治 | 取締役経営統括本部長 | 1989年同社入社。営業本部関西支店営業部長を経て、2021年執行役員経営統括本部副本部長兼人事総務部長に就任。2024年より現職。 |
| 佐々木誉之 | 取締役営業本部長 | 1990年同社入社。営業本部名古屋支店長、同関西支店長等を経て、2023年執行役員営業本部副本部長兼東京支店長に就任。2025年より現職。 |
| 木村雅一 | 取締役(常勤監査等委員) | 1986年同社入社。2018年経営統括本部経理部長を経て、2024年経営統括本部経理部付。2024年より現職。 |
社外取締役は、笠原かほる(元ピジョンウィル代表取締役社長)、森澤武雄(森澤武雄法律事務所開設)、渡邊純子(京都大学大学院経済研究科教授)、松尾茂樹(元河淳常務執行役員管理本部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「洋菓子製造販売事業」および「喫茶・レストラン事業」を展開しています。
■洋菓子製造販売事業
チョコレートやクッキーなどの干菓子製品、チーズケーキやプリンなどの洋生菓子製品、その他菓子製品の製造・販売を行っています。販売形態は主に直接販売で、直営店や準直営店を通じて顧客に提供しています。
一般消費者や全国の主要百貨店等から製品の対価を受け取ります。運営は同社のほか、子会社の鎌倉ニュージャーマンや香港の子会社が担っています。
■喫茶・レストラン事業
ケーキ、コーヒー、パスタなどを提供するフードサービスを展開しており、全国に喫茶店などの店舗を有しています。
来店客への飲食メニューの提供により収益を得るモデルであり、運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績を見ると、売上高は順調に拡大を続けていますが、経常利益および当期利益は減少傾向にあります。原材料価格の高騰などが影響し、利益率も低下傾向にあります。
| 項目 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 325億円 | 349億円 | 360億円 | 363億円 |
| 経常利益 | 26億円 | 25億円 | 21億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 8.0% | 7.2% | 5.8% | 3.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 17億円 | 18億円 | 13億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は微増となったものの、売上原価の増加に伴い売上総利益は減少しました。これにより営業利益および営業利益率も前期と比較して低下しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 360億円 | 363億円 |
| 売上総利益 | 183億円 | 175億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.8% | 48.3% |
| 営業利益 | 21億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 3.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が53億円(構成比33%)、販売手数料が33億円(同20%)、運賃及び荷造費が18億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である洋菓子製造販売事業は、新ブランドの展開や限定商品の発売などにより売上が微増しました。喫茶・レストラン事業も実質的な価格改定により増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 洋菓子製造販売事業 | 340億円 | 342億円 |
| 喫茶・レストラン事業 | 20億円 | 21億円 |
| 連結(合計) | 360億円 | 363億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
モロゾフのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
同社は、洋菓子製造販売事業を中心に、営業活動により資金を生み出しています。投資活動では、事業拡大に向けた設備投資等で資金を使用しており、財務活動では、借入や株式の増減を通じて資金調達や返済を行っています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -6億円 | 4億円 |
| 投資CF | -7億円 | -22億円 |
| 財務CF | -18億円 | 3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Be Prime,Be Sweet.」を経営理念に掲げています。すべてはお客様の笑顔のために、最高のおいしさを追求し、安心・安全な品質を確保し、最良のサービスを提供するため、一流をめざして日々進化することで、常に感動をお届けすることを約束しています。
■(2) 企業文化
企業スローガン「こころつなぐ。笑顔かがやく。」を掲げ、スイーツを通して「こころ」と「こころ」をつなぐ架け橋となり、かがやく笑顔を広げたいという想いを重視しています。お客様にわくわくする感動やドキドキする感動をお届けすることを原点としています。
■(3) 経営計画・目標
2031年の創立100周年を見据え、中期経営計画「つなぐ ~next stage 2031~」を推進しています。最終年度となる2032年1月期の目標として以下を掲げています。
* 売上高 410億円
* 営業利益 30億円
* ROA 9%
* ROE 8%水準への早期回復
■(4) 成長戦略と重点施策
「焼菓子」を成長戦略の中心に据え、基盤事業でのマスターブランド戦略、戦略事業でのプロダクトブランド戦略、新規事業での新市場戦略を推進します。また、価格改定や省人化によるコスト抑制と生産性向上を図りつつ、人事制度改革等を通じた人的資本経営の推進にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的成長の基盤は「人」であるとの認識のもと、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出すための人事制度改革を進め、人的資本経営を推進しています。人事理念の制定、等級・賃金・評価制度の改定を通じて従業員満足度とエンゲージメントの向上を図り、将来のコア人材や現場人材の確保を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 40.9歳 | 13.4年 | 5,283,750円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 18.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 62.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 68.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 87.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、育児短時間勤務利用者率(51.2%)、子育て女性の勤務率(38.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 得意先の経営破綻等による影響
同社グループは直営店や全国主要百貨店等を中心とした直接販売を行っているため、販売先の経営破綻により債権が回収不能となるリスクがあります。継続的な情報収集や与信管理を行っていますが、予期せぬ破綻が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気候変動の影響
カカオや乳製品などの農畜産物を主原料としているため、気候変動による不作で原料調達価格の上昇や必要量の不足が生じるリスクがあります。また、想定を超える自然災害が発生した場合、生産や物流、販売体制に支障をきたすおそれがあります。
■(3) 原材料の調達および価格の変動
天候不順や自然災害、需給状況により原材料の仕入価格が変動するリスクがあります。輸入原料の為替変動影響や、原油価格変動に伴う包装材料等の価格変動リスクに対しても、調達先の多様化などで回避を図っていますが、急激な高騰は業績に影響を及ぼす可能性があります。



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