ナイガイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナイガイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナイガイは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、靴下等繊維製品の製造・販売を行う企業です。卸売り事業と小売り事業を展開し、国内外で生産した商品を百貨店やEC等で販売しています。直近の業績は、量販店向けやECが好調で増収となった一方、先行投資等により営業赤字へと転落し、純利益も減益となりました。


※本記事は、株式会社ナイガイの有価証券報告書(第129期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ナイガイってどんな会社?


同社は、靴下を中心とした繊維製品の製造・販売を手がけ、国内外で卸売りと直販を行うアパレル企業です。

(1) 会社概要


1920年に名古屋市で靴下の製造販売を目的に設立されました。1949年に株式を上場し、国内外に販売拠点や工場を設立して事業を拡大しました。2001年にゴム糸製造会社を吸収合併し、現在は百貨店や量販店向けの卸売りのほか、ECや直営店での直販事業も展開しています。

従業員数は連結で164名、単体で96名です。筆頭株主は資本業務提携先であるタビオで、第2位は事業提携や商品の調達・販売において関係のある事業会社のMNインターファッションです。

氏名 持株比率
タビオ 11.74%
MNインターファッション 10.41%
THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LIMITED... 7.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長執行役員は今泉賢治氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。

氏名 役職 主な経歴
今泉賢治 代表取締役社長執行役員 1987年同社入社。靴下事業部商品第一部長、執行役員等を経て、2012年ナイガイ・イム代表取締役社長に就任。2015年同社代表取締役社長となり、2019年より現職。
市原聡 取締役常務執行役員 1982年同社入社。SPA事業部長、経営企画室統括部長等を経て、2008年取締役に就任し、2019年より現職。
髙原聡 取締役常務執行役員 1993年同社入社。営業第一部長、営業第二部長、商品部長、執行役員等を経て2024年より現職。同年タビオ社外取締役にも就任。
磯田裕 取締役(常勤監査等委員) 1979年同社入社。ポロ・ラルフローレン部長、ドームアンダーアーマー事業部部長、内部監査室部長、常勤監査役を経て2016年より現職。


社外取締役は、荻原正俊(元タビオ専務取締役)、野口光夫(東京シティ合同事務所代表)、松居智子(長野国助法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売り事業」および「小売り事業」を展開しています。

卸売り事業


自社ブランドおよびライセンスブランドの靴下、エプロン、パジャマ等を国内外の協力メーカーから仕入れ、国内の百貨店、量販店、専門店等に卸売りし、一部を海外へ輸出しています。また、タイの工場では靴下に使用するゴム糸の製造も行っています。

百貨店や量販店等の取引先からの商品卸売代金が主な収益源です。運営は同社が主体となって行うほか、ゴム糸製造の子会社や、物流業務を担う子会社インテクストがそれぞれの領域で事業を支えています。

小売り事業


靴下を品揃えの中心とした直営店舗の運営と、靴下等の繊維製品や革製品のインターネット通販およびカタログ通販を通じた直販サービスを一般消費者向けに提供しています。

店舗やECサイトを利用する一般消費者からの商品購入代金が主な収益源です。運営は同社が行うほか、革製品等のインターネット通販については子会社のセンティーレワンが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は回復基調にあり、直近では134億円まで増加していますが、利益面では苦戦が続いています。経常利益は数億円規模の黒字と赤字を繰り返しており、安定的な収益基盤の確立と構造改革の推進が課題となっています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 135億円 127億円 130億円 132億円 134億円
経常利益 -0.3億円 -12億円 2億円 2億円 -0.5億円
利益率(%) -0.2% -9.3% 1.3% 1.1% -0.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.9億円 -14億円 -0.5億円 -0.4億円 0.4億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しているものの、売上総利益率は約37%で横ばいとなっています。成長領域への戦略的投資として、EC販路拡大に伴う販売手数料やマーケティング費用などの販売費及び一般管理費が増加したため、当期は営業赤字へと転落しました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 132億円 134億円
売上総利益 49億円 49億円
売上総利益率(%) 37.1% 36.7%
営業利益 0.6億円 -1.4億円
営業利益率(%) 0.4% -1.0%


販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給料手当が15億円(構成比31%)、運賃及び物流諸掛が8億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


卸売り事業は、百貨店販路において消費者の節約志向やインバウンド需要の鈍化により厳しい状況が続き、微減収となりました。一方、小売り事業は、EC販路での独自商品の展開やSNS販促の強化、新規販路の開拓が奏功し、増収を達成しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
卸売り事業 109億円 108億円
小売り事業 22億円 25億円
連結(合計) 132億円 134億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ナイガイの当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して減少しました。営業活動では、税金等調整前当期純利益の減少や売上債権・棚卸資産の増加により、資金の使用となりました。投資活動では、投資有価証券の売却収入があったものの、取得等により資金を使用しました。財務活動では、長期借入金の返済や自己株式の取得により、資金の使用となりました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF -0.4億円 -2.8億円
投資CF 2億円 -0.6億円
財務CF -0.8億円 -2.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


最高の技術で最高の商品を創り、常に消費者に信頼され選ばれる企業であり続けるという創業の精神のもと、全ての人が心身ともに健康的で快適な生活を実現できるよう、常に消費者起点の発想で新しい市場や技術、商品の開発に挑戦し、最高の商品とサービスを提供することを基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


社会の課題解決と企業成長の両立を目指す「共有価値の創造(CSV)」の考え方を重視しています。人権や環境問題など業界が抱える社会的課題を重要な経営課題と認識し、事業活動を通じて課題解決に取り組むとともに、コンプライアンス意識の醸成と定着に向けた対話型モニタリングや勉強会を推進する文化があります。

(3) 経営計画・目標


第6次中期経営計画(N-Challenge 2027)に基づき、事業ポートフォリオ戦略の推進による収益構造の転換を進めています。TSR(株主総利回り)の向上を目標に、持続可能な成長事業ポートフォリオを構築し、安定的な収益構造を実現することで、中長期的な経営指標の達成を目指しています。

* 連結経常利益率3%以上の安定的達成

(4) 成長戦略と重点施策


「パーソナル・ソリューションカンパニー」としての地位確立に向け、百貨店における自主運営売場や直営店などの育成事業の領域拡大と、レッグEC事業および量販店といった成長加速事業の売上拡大を推進しています。また、海外事業の収益拡大やタビオとの協業促進、適地適産化によるサプライチェーン強化に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な企業価値の向上を実現するため、従業員一人ひとりの専門性および付加価値創出力の向上を目的とした人材育成を推進しています。靴下ソムリエ資格や繊維製品品質管理士(TES)の取得支援、ユニバーサルマナー検定の取得推進を通じて、誰もが働きやすい職場環境の構築とプロフェッショナル人材の育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 45.8歳 13.7年 5,631,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 50.3%
男女賃金差異(正規雇用) 86.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 53.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ユニバーサルマナー検定取得者数(85名)、靴下ソムリエ資格保有者数(75名)、TES資格保有者数(7名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 急激な為替変動の影響


海外での商品生産調達を行っているため、予期せぬ円安の進行は製品調達価格の上昇要因となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。適時為替予約を行うなどして、可能な限りのリスクヘッジに努めています。

(2) 主要販路への売上依存


売上全体の約90%が国内市場であり、特に百貨店や量販店向けの売上が約60%を占めます。これらの業態の経営方針の変更や出退店、業績変動が同社の業績に大きく影響する可能性があります。

(3) ライセンス契約の継続性


国内外企業から知的財産権の使用許諾を得たライセンスブランドによる売上が全体の80%近くを占めています。不測の事態でライセンス契約が継続できなくなった場合、経営に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 製品の品質トラブル


商品は品質管理部門や第三者機関による検査を実施していますが、予測しえない品質トラブルや製造物責任に関する事故が発生した場合、ブランドイメージの低下や多額の損失につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。