ナイガイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ナイガイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のナイガイは、靴下を中心とした繊維製品の卸売りおよび直営店・ECでの小売りを展開する企業です。2025年1月期は、卸売り事業の堅調な推移やEC販売の成長により増収となりました。営業利益は増加しましたが、経常利益および当期純利益は減益となりましたが、2期連続の黒字を確保しています。


※本記事は、株式会社ナイガイの有価証券報告書(第128期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ナイガイってどんな会社?


靴下などの繊維製品の企画・販売を行う老舗企業です。百貨店や量販店への卸売りを主力としつつ、直営店やECでの小売りも展開しています。

(1) 会社概要


1920年8月に名古屋市で内外編物として設立され、1949年5月に株式を上場しました。1985年9月に現在の商号であるナイガイに変更しています。2007年3月には革製品ECを手掛けるセンティーレワンを完全子会社化しました。2015年9月に本社を東京都港区赤坂に移転し、事業体制の効率化を進めています。

2025年1月31日時点で、連結従業員数は156名、単体では86名です。筆頭株主は資本業務提携先であるタビオで、第2位は取引先であるMNインターファッションとなっています。第3位にはナイガイ協力会社持株会が名を連ねており、取引先や関係会社との安定的な資本関係が構築されています。

氏名 持株比率
タビオ 10.00%
MNインターファッション 9.99%
ナイガイ協力会社持株会 4.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名、計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は今泉賢治氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
今泉 賢治 代表取締役社長社長執行役員 1987年同社入社。執行役員、取締役を経て、2012年に子会社ナイガイ・イム社長に就任。2015年同社代表取締役社長に就任し、2019年より現職。
市原 聡 取締役常務執行役員 1982年同社入社。経営企画室統括部長、執行役員事業革新推進室長などを歴任。2008年取締役に就任し、2019年より現職。
髙原 聡 取締役常務執行役員 1993年同社入社。営業第一部長、商品部長などを経て、2016年執行役員に就任。2021年取締役となり、2024年より現職。タビオ社外取締役を兼任。
磯田 裕 取締役(監査等委員) 1979年同社入社。ポロ・ラルフローレン部長、内部監査室部長などを歴任。2015年常勤監査役を経て、2016年より現職。


社外取締役は、荻原正俊(タビオ相談役)、野口光夫(東京シティ合同事務所代表)、松居智子(長野国助法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「卸売り事業」「小売り事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 卸売り事業


同社およびグループ会社が企画・調達した靴下、エプロン、パジャマなどの繊維製品を、国内の百貨店、量販店、専門店などへ販売しています。また、タイの子会社で製造するゴム糸などの販売や、物流業務も含まれます。

収益は主に取引先への商品販売代金です。運営は同社が中心となり、製造をRONDEX(Thailand)、物流をインテクストが担当しています。海外市場への輸出も行っています。

(2) 小売り事業


靴下を中心とした直営店の運営や、インターネット通販・カタログ通販を通じて、消費者に直接商品を販売しています。また、子会社を通じて革製品やバッグなどのEC販売も展開しています。

収益は消費者からの商品販売代金です。運営は同社およびセンティーレワンが行っています。EC事業では自社サイトやモール出店を行い、直営店事業と連携した販売戦略を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は130億円前後で推移しており、直近では微増傾向にあります。利益面では過去に赤字を計上していましたが、直近2期間は経常利益、当期純利益ともに黒字を維持しており、業績の回復基調が見られます。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 117億円 135億円 127億円 130億円 132億円
経常利益 -17.5億円 -0.3億円 -11.8億円 1.7億円 1.5億円
利益率(%) -14.9% -0.2% -9.3% 1.3% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -18.5億円 1.2億円 -14.1億円 1.1億円 1.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増し、売上総利益も増加しました。営業利益は大きく伸長しましたが、利益率自体は依然として低い水準です。コストコントロールと売上拡大の両立により、営業黒字の幅を広げています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 130億円 132億円
売上総利益 48億円 49億円
売上総利益率(%) 36.7% 37.1%
営業利益 0.2億円 0.6億円
営業利益率(%) 0.2% 0.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が14億円(構成比29%)、運賃及び物流諸掛が8億円(同16%)、広告宣伝費が4億円(同9%)を占めています。売上原価は83億円で、売上高に対する構成比は約63%となっています。

(3) セグメント収益


卸売り事業は、百貨店での販売強化や量販店向け新規販路の開拓により、売上高は微増、営業利益も増加しました。小売り事業は、EC販売の好調やインバウンド需要を取り込んだ直営店の売上増により増収となり、営業利益も黒字転換を果たしました。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
卸売り事業 109億円 109億円 0.2億円 0.3億円 0.3%
小売り事業 21億円 22億円 -0.0億円 0.3億円 1.2%
連結(合計) 130億円 132億円 0.2億円 0.6億円 0.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF -4.0億円 -0.4億円
投資CF -1.1億円 2.1億円
財務CF -1.6億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


創業の精神として「最高の技術で最高の商品を創り、常に消費者に信頼され選ばれる企業であり続ける」ことを掲げています。全ての人が心身ともに健康的で「素足以上に足どり軽く」快適な生活を実現できるよう、消費者起点の発想で新しい市場や技術に挑戦し、最高の商品とサービスを提供することを基本方針としています。

(2) 企業文化


社会課題の解決と企業の成長を両立させる「共有価値の創造(CSV)」を重視し、持続可能な社会・環境の実現への貢献を目指しています。「サステナブルへの取り組み」として、環境に優しいものづくりや、多様性を活かした全員活躍の推進を掲げ、人権問題や環境問題にも積極的に取り組む姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


第6次中期経営計画(N-Challenge 2027)を策定し、2030年に「パーソナル・ソリューションカンパニー」としての地位確立を目指しています。TSR(株主総利回り)向上と持続可能な成長事業ポートフォリオの構築により、以下の数値目標の達成を掲げています。

* 連結経常利益率:3%以上(安定的な達成)
* 2026年1月期連結売上高:135億円
* 2026年1月期連結経常利益:1.5億円

(4) 成長戦略と重点施策


「育成事業」「成長加速事業」「収益深耕事業」「構造改革事業」の4つのポートフォリオ戦略を推進しています。百貨店や直営店の領域拡大、EC事業と量販店の売上拡大、海外事業の収益化、ホームウェア事業の再構築に取り組むとともに、タビオ社との協業促進やサステナビリティ経営を強化します。

* レッグEC事業および量販店の更なる売上拡大
* 百貨店事業の自主運営売場拡大と直営店事業の新戦略推進
* タビオ社との協業型OMOショップ出店や商品供給の加速

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「多様性を活かした全員活躍の推進」を掲げ、性別・年齢・国籍を問わない適材適所の配置や、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方ができる人事制度の構築を目指しています。また、靴下ソムリエやTES資格、ユニバーサルマナー検定の取得支援など、専門性と人間力を高める人材育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 46.8歳 16.0年 565万円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.3%
男性育児休業取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 50.6%
男女賃金差異(正規) 79.6%
男女賃金差異(非正規) 59.7%


※男性育児休業取得率については、配偶者が出産した男性労働者が0名のため算出されていません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、販売員を含む常時雇用の正社員・契約社員合計の女性比率(77.0%)、契約社員からの正社員登用者数(25名(直近5年間))などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済動向・消費動向に伴うリスク


主力である衣料品は、ライフスタイルの変化や個人消費の低迷、気象状況などの影響を強く受けます。これらの変動により売上が計画を下回る可能性があります。同社は市況や気象予報をモニタリングし、企画・生産プロセスでの迅速な対応に努めています。

(2) ライセンス契約への依存リスク


売上の80%近くをライセンスブランドが占めており、契約が継続できない事態が発生した場合、経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。ブランドポートフォリオの見直しや自社ブランドの育成により、特定のライセンスへの依存度低減を図っています。

(3) 生産トラブルとサプライチェーンリスク


商品はすべて外部の協力工場に生産委託(ファブレス)しているため、生産地の政治経済の混乱や工場の経営悪化、物流障害などが起きると、商品供給に支障が出る恐れがあります。協力工場の状況確認や進捗管理を徹底し、リスクの最小化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。