イムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イムラは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、各種封筒の製造販売およびダイレクトメール等の発送代行を主力事業とする企業です。直近の業績では、官公庁需要の取り込みなどにより売上高が増加し増収を達成したものの、原価率の上昇等の影響により経常利益は減益となりました。当期純利益は特益の計上により増益です。


※本記事は、イムラの有価証券報告書(第76期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イムラってどんな会社?


イムラは、各種封筒の製造販売とダイレクトメールの発送代行を主力とし、長年の実績を持つ企業です。

(1) 会社概要


1950年に井村荷札封筒として奈良県で設立されました。1962年にイムラ封筒へ商号変更し、2000年に東京証券取引所および大阪証券取引所の市場第二部に上場しています。2022年に東証スタンダード市場へ移行し、2023年に現在のイムラへ商号を変更しました。近年はベトナム法人の子会社化なども行っています。

連結従業員数は973名、単体従業員数は639名です。大株主については、筆頭株主が従業員の資産形成を目的としたイムラ社員持株会であり、第2位は創業家等の個人株主である井村優氏、第3位は有限会社ケイ・アンド・アイコーポレーションとなっています。

氏名 持株比率
イムラ社員持株会 5.35%
井村優 4.63%
有限会社ケイ・アンド・アイコーポレーション 3.85%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)の井村優氏が経営を牽引しています。取締役6名のうち2名が社外取締役です。

氏名 役職 主な経歴
井村優 代表取締役社長最高経営責任者(CEO) 1987年日興證券入社。1993年同社入社。常務取締役製造本部長、専務取締役営業本部長などを経て、2019年より現職。
吉川伸昭 取締役専務執行役員製造本部長 1981年同社入社。筑波工場長、相模原工場長、製造部長などを歴任。2013年より取締役を務め、2019年より現職。
和田寿一 取締役常務執行役員営業本部長 1986年三和銀行入行。三菱UFJ銀行営業第九部長等を経て、2023年同社入社。取締役執行役員管理本部長などを経て、2025年より現職。
松本哲明 取締役執行役員管理本部長 1990年第一勧業銀行入行。みずほ銀行支店長等を経て、2020年同社入社。人事部長、経営企画部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、田中公子(日本薬科大学招聘講師)、安井祐子(オペララボ代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「パッケージソリューション事業」「メーリング&デジタルソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

パッケージソリューション事業


一般事務用や株主総会招集通知用、官公庁の各種通知用として使用される封筒をはじめ、ポストイン対応包装資材、紙製商品パッケージなどの製造販売を行っています。また、不織布製封筒や造園資材等の各種印刷物の製造のほか、運送および倉庫業のサービスを顧客に対して提供しています。

製品の販売および各種サービス提供による対価を顧客から受け取って収益を上げるモデルです。事業の運営は主にイムラが行うほか、イムラプリンティングやロジテックなどの子会社が製造や物流などの領域を担ってサービスを提供しています。

メーリング&デジタルソリューション事業


ダイレクトメールの企画から製作、発送代行までをワンストップで提供するほか、冊子類や販売促進用商品の封入・梱包発送を担っています。また、顧客リストの管理やデータプリントサービス、キャンペーン事務局の運営、メディアマッチング業務などの幅広いサービスを展開しています。

顧客に対するダイレクトメール発送やデータ処理、関連サービスの提供に対する手数料を主な収益源としています。ソフトウェアの開発業務やコンピュータ周辺機器の販売を含め、本セグメントの事業運営は主にイムラが単独で行っています。

その他


報告セグメントに含まれないその他の事業として、医療機関向けの印刷物や各種物品の販売を行っています。加えて、紙器や段ボール箱、包装用品の製造販売事業も手掛けており、国内外での需要に対応した幅広い製品の供給を行っています。

製品の販売代金を顧客から受け取ることで収益を獲得しています。事業の運営については、医療機関向け事業を東杏印刷が担当し、紙器や段ボール製品の製造販売についてはベトナムに拠点を置く子会社のSONGLAM TRADING AND PACKAGING PRODUCTION JOINT STOCK COMPANYが展開しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は200億円台で安定して推移しており、直近では官公庁需要の取り込みにより増加しています。一方で経常利益は、原材料価格の高騰や原価率の上昇などを背景に緩やかな減少傾向にあります。最終的な当期純利益は、特別利益の計上などもあり直近で大きく回復しました。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 202億円 217億円 209億円 209億円 218億円
経常利益 13億円 16億円 14億円 13億円 12億円
利益率(%) 6.3% 7.2% 6.8% 6.4% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 11億円 10億円 9億円 12億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しているものの、製造コストの増加により売上総利益は微増にとどまり、売上総利益率が低下しています。また、販売費及び一般管理費が上昇した結果、営業利益および営業利益率ともに減少する結果となりました。コスト管理と価格適正化が今後の課題となっています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 209億円 218億円
売上総利益 56億円 57億円
売上総利益率(%) 27.0% 25.9%
営業利益 13億円 11億円
営業利益率(%) 6.3% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料が12億円(構成比26%)、支払手数料が9億円(同20%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるパッケージソリューション事業は、事務用封筒の構造的な需要減や郵便料金改定の影響を受けながらも官公庁需要を取り込み売上を維持しましたが、原価率上昇で減益となりました。メーリング&デジタルソリューション事業は新規案件の獲得により増収増益を達成しています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期) 利益(2025年1月期) 利益(2026年1月期) 利益率
パッケージソリューション事業 150億円 151億円 12億円 10億円 6.6%
メーリング&デジタルソリューション事業 40億円 45億円 2億円 3億円 6.7%
その他 19億円 22億円 -0.3億円 -2億円 -9.1%
調整額 - - -0.1億円 0.3億円 -
連結(合計) 209億円 218億円 13億円 11億円 5.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態にあります。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 17億円 10億円
投資CF -30億円 -35億円
財務CF 11億円 24億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「潤創(じゅんそう) 社会と人生に潤いを創造する」というパーパス(PURPOSE)を経営理念の起点として掲げています。これは、持続可能な社会を建設していく上での基本精神であり、受け継がれてきた経営思想の源です。また、「Give&Give&Give 全ての人に最高の付加価値を届け続ける」というスピリットのもと、社会や顧客が求める価値を創造し続ける企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、社員一人ひとりが会社や社会に対して守るべき行動指針として「PROMISE」を定めています。正しい倫理観で行動する「品格と尊重」、顧客満足を第一に考える「貢献と奉仕」、勇気をもって新たな価値創造に挑む「変革と挑戦」、コミュニケーションを大切にする「対話と協働」、そして最後まで粘り強くやり遂げる「執念と完遂」という5つの価値観を共有し、自由闊達な組織風土の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2030年のあるべき姿として、長期ビジョン「IMURA VISION 2030」を策定し、2026年度までの中期経営計画「IMURA VISION 2030 StageⅡ」を推進しています。持続的成長軌道の確立と企業価値の向上を図るため、以下の数値を2030年度の経営目標として掲げています。

* 売上高:250億円以上
* 経常利益:30億円以上
* 自己資本利益率(ROE):10.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、変革とイノベーションをさらに加速させ、強固な事業基盤を構築するための重点施策を推進しています。戦略的市場へのアプローチや、包材・商品パッケージ分野での売上拡大に注力しています。また、紙とデジタルの融合による新領域のサービス拡充を図るとともに、新工場稼働に伴う生産体制の効率化と高度化、海外子会社の営業強化を通じて、新たな需要の創出と収益力の強化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、経営理念と人的資本経営の融合により社員エンゲージメントを向上させることを目指しています。人材育成においては、階層別・専門研修や通信教育制度を活用し、継続的な成長を支援しています。また、多様性(ダイバーシティ)の確保を重要課題と捉え、女性社員が能力を高めつつ継続して就業できる社内環境の整備や、DXによる業務効率化と柔軟な働き方の実現を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 43.0歳 19.5年 5,531,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 69.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 86.5%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 封筒・DMの国内需要減少


デジタル化の進展に伴う情報伝達手段の多様化により、封筒による発送需要は減少する可能性があります。また、需要動向は郵便制度と密接な関わりを持っているため、郵便料金の改定や制度変更の内容次第では、同社グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 情報漏洩によるセキュリティリスク


同社は顧客のデータベースを取り扱うため、プライバシーマーク等の認証を取得し情報漏洩防止策を講じています。しかし、ウイルス感染やサイバー攻撃といった外的要因によるシステム障害や社内情報の流出が発生した場合、社会的信用の低下により業績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料の調達難と価格高騰


封筒原紙やフィルムなどの補助材料について、複数のメーカーから購入して安定的な確保と最適な価格維持に努めています。しかしながら、原材料の調達が極めて困難になった場合や、仕入価格が著しく高騰した場合には、同社グループの業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。