イムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

イムラ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(スタンダード市場)に上場する、各種封筒の製造販売およびダイレクトメール発送代行を行う企業です。当連結会計年度の業績は、官公庁需要や海外子会社の寄与により売上高は微増となりましたが、投資有価証券評価損等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社イムラ の有価証券報告書(第75期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. イムラってどんな会社?


各種封筒の製造販売やダイレクトメール発送代行を主力とし、業界トップクラスのシェアを持つ老舗企業です。

(1) 会社概要


同社は1950年に井村荷札封筒として設立され、1962年にイムラ封筒へ商号変更しました。2000年に株式上場を果たし、2022年に市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。2023年には現在のイムラへと商号を変更し、事業領域の拡大を図っています。2024年にはベトナムの紙器メーカーを子会社化するなど、海外展開も推進しています。

同社グループ(連結)の従業員数は994名、提出会社(単体)では649名です。筆頭株主は同社社員による持株会であり、第2位は代表取締役社長である井村優氏、第3位は資産管理会社と見られる有限会社ケイ・アンド・アイコーポレーションとなっています。

氏名 持株比率
イムラ社員持株会 5.39%
井村 優 4.59%
有限会社ケイ・アンド・アイコーポレーション 3.86%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名的計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長最高経営責任者(CEO)は井村優氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
井村 優 代表取締役社長最高経営責任者(CEO) 日興證券(現SMBC日興証券)を経て1993年同社入社。営業本部長等を経て2013年より現職。
吉川 伸昭 取締役専務執行役員製造本部長 1981年同社入社。各工場長や製造部長を歴任し、2019年より現職。
和田 寿一 取締役常務執行役員営業本部長 三和銀行(現三菱UFJ銀行)入行。関連会社役員等を経て2023年同社入社。2025年より現職。
松本 哲明 取締役執行役員管理本部長 第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。支店長を経て2020年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、田中公子(元シミックホールディングス社長室執行役員)、安井祐子(オペララボ代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「パッケージソリューション事業」「メーリング&デジタルソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) パッケージソリューション事業

各種請求書や通知用に使用される長形・角形・窓付き封筒、不織布製封筒、軽量ECパッケージ商材、各種印刷物等の製造販売を行っています。また、運送・倉庫業も手掛けています。

運営は主にイムラ、イムラプリンティング、ロジテックが行っています。収益は、顧客である一般企業や官公庁等からの製品販売代金やサービス対価によって構成されています。

(2) メーリング&デジタルソリューション事業

ダイレクトメールの企画・制作・発送代行、データプリントサービス、キャンペーン事務局運営、情報処理サービス等を提供しています。近年ではデジタルとの融合サービスも展開しています。

運営は主にイムラが行っています。収益は、顧客企業からの業務受託料、制作費、発送代行手数料等から得ています。

(3) その他

医療機関用印刷物・物品の販売、機械器具の自動制御装置・電子回路の設計製造販売、紙器・ダンボール箱等の製造販売を行っています。

運営は東杏印刷、メトロテック、ベトナムの子会社等が行っています。収益は、医療機関や一般顧客からの製品販売代金等によって構成されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年1月期から2025年1月期までの業績推移です。売上高は200億円台で安定的に推移していますが、利益面では2023年1月期をピークに減少傾向が見られます。直近では売上高は横ばいながら、経常利益および当期純利益は減益となりました。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 212億円 202億円 217億円 209億円 209億円
経常利益 11億円 13億円 16億円 14億円 13億円
利益率(%) 5.0% 6.3% 7.2% 6.8% 6.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.5億円 10億円 11億円 10億円 9.1億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向として、売上高はほぼ横ばいで推移しました。売上原価率は微増傾向にあり、売上総利益率は若干改善しています。営業利益は前期と同水準を維持していますが、営業利益率はわずかに低下しました。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 209億円 209億円
売上総利益 56億円 56億円
売上総利益率(%) 26.9% 27.0%
営業利益 13億円 13億円
営業利益率(%) 6.3% 6.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料が15億円(構成比35.0%)、運賃及び荷造費が7.0億円(同16.2%)を占めています。売上原価に関しては、材料費や外注費などが主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


パッケージソリューション事業は販売数量減少の影響を受けましたが、コスト抑制により増益を確保しました。一方、メーリング&デジタルソリューション事業は既存案件の縮小等により減収減益となりました。その他事業は海外子会社の寄与により大幅な増収となりましたが、営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
パッケージソリューション事業 153億円 150億円 9.8億円 12億円 7.9%
メーリング&デジタルソリューション事業 43億円 40億円 3.2億円 1.5億円 3.8%
その他 12億円 19億円 0.2億円 -0.3億円 -1.4%
調整額 12億円 19億円 -0.2億円 -0.1億円 -
連結(合計) 209億円 209億円 13億円 13億円 6.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 20億円 17億円
投資CF -12億円 -30億円
財務CF -3.1億円 11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、創業100年を超え「第二の創業」として長期ビジョンを実現するため、新たな経営理念構造「IMURA PHILOSOPHY STRUCTURE(IPS)」を制定しました。「PURPOSE」として「潤創 社会と人生に潤いを創造する」を掲げ、持続可能な社会建設の基本精神としています。

(2) 企業文化


同社は「SPIRIT」として「Give&Give&Give 全ての人に最高の付加価値を届け続ける」を掲げています。これは、顧客、社員、家族など身の回りの人々を幸せにすることで成果が返ってくるという価値観です。また、「PROMISE」として品格と尊重、貢献と奉仕、変革と挑戦などの行動指針を定めています。

(3) 経営計画・目標


同社は2030年のあるべき姿として長期ビジョン「IMURA VISION 2030」を策定し、その実現に向けた中期経営計画「IMURA VISION 2030 Stage II」を推進しています。
* 2026年度目標:売上高250億円以上
* 2026年度目標:経常利益17億円
* 2026年度目標:自己資本利益率(ROE)6.8%

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では「変革とイノベーションの加速」を基本方針とし、既存主力製品のコスト優位性確立やDX推進による高付加価値業務へのシフトに取り組んでいます。また、軽量ECパッケージ分野や公共サービスのデジタル融合、海外パッケージ事業への参入による成長市場への進出を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「IPSと人的資本経営の融合による社員エンゲージメントの向上」を目指し、社内研修等の啓発活動を継続的に実施しています。資格階層別や専門分野別研修、社外派遣型研修などを複層的に整備し、社員全員が一丸となって企業価値向上と持続可能な社会への貢献を目指す人材育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 42.8歳 19.8年 5,787,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 7.6%
男性労働者の育児休業取得率 60.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 67.3%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 68.2%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 89.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率の向上目標(2027年1月末時点で15%以上)、女性役員比率の目標(2027年1月末時点で概ね20%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 情報セキュリティリスク

ウイルス感染やサイバー攻撃、システム障害等による社内情報や顧客データの流出リスクがあります。プライバシーマーク等の認証を取得し対策を講じていますが、万一の漏洩時には社会的信用の低下により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 国内需要減少(ペーパーレス化)

デジタル化の進展により情報伝達手段が多様化し、封筒発送需要が減少する可能性があります。郵便制度の変更や料金改定の内容次第では、発送代行を含む関連事業の需要動向に変化が生じ、業績に影響を与える懸念があります。

(3) 原材料等の調達リスク

封筒原紙やフィルム等の原材料を複数メーカーから調達していますが、供給難や価格高騰が発生した場合、製造コストの上昇や生産への支障が生じ、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。