※本記事は、群栄化学工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
群栄化学工業は、化学品(合成樹脂・高機能繊維)、食品(澱粉糖類)、不動産活用業を主な事業内容とする企業です。同社グループは、これら3つの事業領域で多角的な事業活動を展開しています。
単体従業員数は356名、連結従業員数は541名です。セグメントは化学品事業、食品事業、不動産活用業の3つです。
主な国内グループ会社は、ビッグトレーディング、東北ユーロイド工業(化学品事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
群栄化学工業は、化学の知識とアイデアで社会に貢献するという企業理念のもと、持続的な成長を支える人材の育成とエンゲージメント向上を重視しています。従業員が安心して長く働ける環境を整備し、多様な人材が活躍できる風土づくりに取り組んでいる会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている従業員が多い傾向にあると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,385,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.9年 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 単体従業員数 | 356人 |
| 連結従業員数 | 541人 |
| 単体のグループ内比率 | 65.8% |
退職給付制度
同社は、確定給付年金制度と確定拠出年金制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。これらの制度は、同社および一部の連結子会社に適用されています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
同社の退職給付債務は14.2億円、年金資産は19.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「GCIグループ中期経営方針2030」において「持続的成長を支える人材の育成、エンゲージメント向上」を重要な方針の一つとして掲げています。従業員のエンゲージメント向上が企業の収益向上に直結すると位置づけ、組織の力を最大化するための人材戦略を推進しています。
従業員の給与等の決定方針は、「人材の確保・定着」「従業員の生活安定」「企業の持続的成長」の観点から、継続的な処遇改善を重要な経営施策と位置づけています。外部環境の変化と内部の経営資源を総合的に勘案しながら、毎年の賃金改定を実施し、役割や成果にしっかりと報いる報酬体系を構築しています。
具体的には、管理職未満層では職能給と年齢給の組み合わせに役付手当を加え、人事評価による昇格制度を設けています。賞与は個人の業績評価による差を設けず会社の業績に連動させることで、組織全体の一体感醸成を図っています。管理職層では職能給1本に役付手当を加え、年齢や勤続年数に依存せず役割や専門性を評価し、賞与は会社業績に加え個人の業績にも連動させています。また、年齢や勤続年数にかかわらず優秀な人材を早期に抜擢できる早期昇進制度を運用し、次世代リーダーの育成と挑戦できる組織風土の強化につなげています。
人材育成においては、「主体的に変化を起こす力」「広く興味を持って学び続ける力」「結果に責任を持ち最後までやり遂げる力」の3つを重点スキルとして求めています。従業員一人ひとりの主体的なキャリア形成をサポートする自己啓発教育制度や、各階層に必要なスキル向上を目的とした階層研修を定期的に実施し、マネジメントの強化に努めています。社内環境整備では、職場の安全と心身の健康を軸とした働きやすい環境を整備し、多様な考え方を尊重し、誰もが挑戦できる風土の醸成に取り組んでいます。健康経営の一環として敷地内および就業時間内の全面禁煙を実施し、健康教室も毎年開催しています。新卒採用だけでなくキャリア採用を含めた多様な人材の確保に努め、キャリア開発申告制度により、新たにチャレンジできる環境整備も行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。パート・有期労働者については、女性のパート・有期労働者がいないため、男女賃金差異の集計対象外となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 70.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 89.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 88.5% |
人材育成・エンゲージメント
同社が人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標として開示しているデータです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異 | 89.3% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
群栄化学工業は、化学品、食品、不動産活用業の3つの事業を展開しています。同社グループは、これら多角的な事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、化学品、食品、不動産活用業を主な事業内容としています。各事業は、製品・サービス別の製造販売体制を基盤としており、国内外で事業活動を展開しています。
収益は、主に顧客との契約に基づく商品や製品の販売から得ています。海外にも事業を展開しており、日本、タイ、台湾、その他アジア地域などで売上を計上しています。特定の顧客への売上集中は見られず、複数の顧客基盤を持つ事業構造となっています。
化学品事業
同社グループの事業の中で最も大きな割合を占めるのが化学品事業です。工業用フェノール樹脂や高機能繊維などの製造販売を手掛けています。収益は、主にこれらの化学品の販売から得ています。直近では、電子材料関連向け樹脂が堅調に推移し、事業全体の売上を伸ばしています。
食品事業
食品事業では、異性化糖や穀物糖化液などを製造販売しています。収益は、主に澱粉糖類などの食品の販売から得ています。直近では、商品構成の見直しにより販売数量が減少し、売上は縮小しています。
不動産活用業
不動産活用業は、同社が保有する土地や建物の賃貸を行っています。収益は、不動産の賃貸収入から得ています。直近の売上は前期とほぼ同水準で推移しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 化学品事業 | 255億円 | 265億円 |
| 食品事業 | 48.4億円 | 45.6億円 |
| 不動産活用業 | 2.5億円 | 2.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で変動が見られますが、当連結会計年度は前期から増加に転じています。経常利益も同様に変動しながらも、当連結会計年度は前期を上回る水準となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益も、当連結会計年度は前期から増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 294億円 | 314億円 | 303億円 | 305億円 | 313億円 |
| 経常利益 | 28.1億円 | 19.4億円 | 31.6億円 | 27.2億円 | 29.6億円 |
| 経常利益率 | 9.6% | 6.2% | 10.4% | 8.9% | 9.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.3億円 | 12.0億円 | 20.4億円 | 19.2億円 | 19.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 291.13 | 181.26 | 307.83 | 289.60 | 297.49 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、当連結会計年度において前期から増加しています。これは、従業員一人ひとりの売上貢献度が高まっている傾向を示しています。
また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、組織全体の収益効率が向上していることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 56.9百万円 | 57.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.3百万円 | 4.7百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した基盤と健全な資金の流れを示しています。事業活動で得た資金を投資に回しつつ、手元資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率を維持しており、安定した経営状況を示しています。ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る水準で推移していますが、手元資金は増加傾向にあり、不況時にも耐えうる資金力を確保している状況です。これらの財務状況は、長期的な視点での雇用や給与の安定性につながる要素と考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 517億円 | 569億円 |
| 自己資本比率 | 78.9% | 80.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.9% | 3.8% |
| 現金及び預金 | 92.5億円 | 102億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローがプラスで推移しており、安定した事業運営を示しています。これは主に棚卸資産の増減額が減少したことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が増加した一方で、投資有価証券の取得による支出等が減少したため、支出が減少しました。フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、事業活動で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額が減少したことにより支出が減少しています。これらの資金の流れは、同社グループが安定した財務基盤を維持し、将来に向けた投資も継続していることを示しており、雇用や給与の安定性、そして事業の成長性につながる要素と考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 43.3億円 | 45.8億円 |
| 投資CF | △28.1億円 | △27.6億円 |
| 財務CF | △8.8億円 | △8.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.2億円 | 18.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、為替変動リスクを認識しており、外国通貨建ての原材料調達コストや製品売上高、在外子会社を含む連結決算への影響を想定しています。また、農業政策に関するリスクとして、農林水産省の糖業政策変更や方針変更が、法令制度の制約の中で事業を行う糖化事業へ影響を及ぼす可能性を挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、人材確保に関するリスクを認識しています。少子高齢化に伴う採用困難化や人材不足、ITなど高度な専門性を持つ人材獲得コストの上昇、他社への人材流出が想定されるリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
群栄化学工業は、化学の知識とアイデアで社会に貢献し、持続可能な未来を創造することを目指しています。顧客やステークホルダーとの信頼関係を重視し、サステナビリティへの対応を積極的に進める企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「化学の知識とアイデアでソリューションを提供し、より豊かな未来社会創りに貢献する」ことを経営理念として掲げています。サステナビリティを巡る課題への対応に積極的に取り組み、顧客を中心としたステークホルダーと共に繁栄することを目指しています。GCIグループ中期経営方針2030では、「化学の力でグローバルにソリューションを提供し、社会の持続的成長に貢献する“Green Chemical Industry(GCI)”となる」ことをありたい姿としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、持続的成長を支える人材の育成とエンゲージメント向上を基本方針の一つとしています。人材育成においては、「結果に責任を持ち最後までやり遂げること」、「自ら主体的に変化を起こすこと」、「広く興味を持ち、関心を持って学び続けること」をコア・バリューとし、組織の力を最大化するため「個」と「リーダー」の育成を重視しています。社内環境整備では、職場の安全と「からだ」と「こころ」の健康を軸とした働きやすい職場環境を整備し、多様な考え方を尊重し誰もが挑戦できる風土の醸成に取り組むとともに、多様な人材の活躍促進や従業員エンゲージメント強化を重要なテーマとしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、国内市場の縮小や成熟段階にあるタイ市場への対応を課題と捉えています。顧客を含めたエネルギーコスト削減などのニーズに応えることで、グループ全体の経営基盤強化に取り組んでいます。中東情勢の緊迫化をはじめとする地政学リスクへの対応を強化し、収益基盤の安定化を図るとともに、様々な社会環境の変化を新たな事業機会と捉え、サステナブルな社会に貢献することにより企業価値を高めることを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
群栄化学工業は、監査等委員会設置会社として、取締役会、監査等委員会、会計監査人による企業統治体制を構築しています。経営の意思決定と執行の迅速化、監督機能の強化を図るため、執行役員制度や各種諮問会議も導入しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
群栄化学工業の株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行が退職給付信託として保有する形式となっています。次いで取引先持株会や別の信託銀行が上位に名を連ねています。特定の事業会社や創業家が突出して多くの株式を保有しているわけではなく、幅広い機関投資家や関係者によって支えられている資本構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本カストディ銀行(三井住友信託銀行再信託分・三井化学株式会社退職給付信託口) | 8.70% |
| 群栄化学取引先持株会 | 8.30% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.00% |
| 信越化学工業 | 5.00% |
| 群馬銀行 | 4.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役社長執行役員は有田喜一郎氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 有田 喜一郎 | 代表取締役社長執行役員 | 1998年4月同社入社。取締役管理本部長、取締役副社長を経て、2016年6月代表取締役社長に就任。2018年6月より代表取締役社長執行役員として経営全般・監査室・品質保証チーム管掌より現職。 |
| 有田 喜一 | 代表取締役会長 | 1967年4月同社入社。取締役、代表取締役副社長を経て、1988年7月代表取締役社長に就任。2016年6月より代表取締役会長として経営全般を担当し現職。 |
| 丸山 克浩 | 取締役執行役員コーポレート本部長 | 1992年4月同社入社。Thai GCI Resitop Company Limited取締役社長を経て、2021年6月執行役員管理本部主管に就任。同年7月より取締役執行役員コーポレート本部長より現職。 |
| 新井 光浩 | 取締役執行役員営業・マーケティング本部長 | 1994年4月同社入社。東京支店長、経営企画室長を経て、2019年4月執行役員営業・マーケティング本部長に就任。2025年6月より取締役執行役員営業・マーケティング本部長より現職。 |
社外取締役は、大村康二氏(元三井化学副社長執行役員・指名・報酬諮問会議議長)、平澤洋一氏(元群馬信用保証代表取締役社長・監査等委員・指名・報酬諮問会議構成員)、鈴木宏子氏(共和産業代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社へ移行しており、社内取締役5名と独立性の高い社外取締役3名で取締役会を構成しています。社外取締役は、外部の客観的な意見や幅広い助言を通じて、経営の公正性確保と監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
群栄化学工業の役員報酬は、取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)に対し、固定報酬、業績連動報酬、そして譲渡制限付株式報酬を組み合わせた体系を採用しています。業績連動報酬は連結営業利益を指標とし、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして譲渡制限付株式報酬も導入されています。一方、監査等委員である取締役と社外取締役の報酬は、その独立性を考慮し固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 2.2億円 | 54.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 17百万円 | 17.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 14百万円 | 4.7百万円 |
当事業年度における役員報酬等の総額は2.47億円で、対象となる役員の総数は8名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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