OSGコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

OSGコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場。電解水素水生成器などの環境・健康関連機器の製造・販売および「銀座に志かわ」等の食パン専門店運営を行う。2025年1月期は、水関連機器事業が好調で増収となる一方、FOOD事業における海外展開の先行投資や店舗統廃合コスト等により大幅な減益となった。


※本記事は、株式会社OSGコーポレーション の有価証券報告書(第55期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. OSGコーポレーションってどんな会社?


家庭用・業務用の水関連機器やメンテナンス事業を主軸に、高級食パンなどの食品事業も展開する企業です。

(1) 会社概要


1970年に大阪市で設立され、家庭用浄水器の販売を開始しました。2001年に日本証券業協会へ店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2018年には「水にこだわる高級食パン」専門店の「銀座に志かわ」銀座本店をオープンし、食品事業へ参入しました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は349名、単体従業員数は186名です。筆頭株主は会長の湯川剛氏が代表を務める資産管理会社の三愛コスモスで、38.50%を保有しています。第2位はOSG社員持株会、第3位は会長の湯川剛氏個人の保有となっており、創業者一族と社員による持株比率が高い構成です。

氏名 持株比率
三愛コスモス 38.50%
OSG社員持株会 4.22%
湯川  剛 2.34%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は山田啓輔氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
湯川 剛 取締役会長(代表取締役.CEO) 1970年大阪三愛(現同社)設立、代表取締役社長。ジーエーティ研究所代表取締役社長、OSGウォーターテック代表取締役会長等を歴任。2007年より同社代表取締役会長兼CEO。
山田 啓輔 取締役社長(代表取締役) 1994年同社入社。営業部長、西日本担当営業本部長を経て、2013年ウォーターネット代表取締役社長。2021年より同社代表取締役社長。
溝端 雅敏 取締役 1986年同社入社。取締役事業部長、代表取締役社長、OSGウォーターテック代表取締役社長などを経て2023年より現職。
大垣 雅宏 取締役(営業本部長) 1994年同社入社。営業部長、東日本担当営業本部長を経て、2021年より同社取締役営業本部長。
安岡 正彦 取締役(管理部長) 1987年同社入社。業務部長、経理部長、財務部長を経て、2020年より同社取締役管理部長。
佐藤 八枝子 取締役(監査等委員) 1974年三菱金属(現三菱マテリアル)入社。ニチデン(現OSGウォーターテック)入社後、同社代表取締役社長などを経て2023年より現職。


社外取締役は、山口克隆(公認会計士・税理士)、岡村英祐(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「水関連機器事業」「メンテナンス事業」「HOD(水宅配)事業」「FOOD事業」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

(1) 水関連機器事業


電解水素水生成器、浄水器、衛生管理機器、水自動販売機、ウォータークーラー等の製造・販売を行っています。家庭用から業務用・産業用まで幅広い製品を取り扱っています。

主な収益源は、製品の販売代金です。国内販売は同社および連結子会社が担い、製造はOSGウォーターテックが行っています。中国市場では欧愛水(上海)環保科技有限公司が製造し、現地の販売代理店を通じて販売しています。

(2) メンテナンス事業


同社製品である電解水素水生成器や浄水器等の交換用カートリッジ、および衛生管理機器用添加液などの消耗品供給とメンテナンスサービスを提供しています。

顧客からカートリッジ代金やメンテナンス料を受領します。販売は同社が行い、カートリッジ等の製造はOSGウォーターテック、欧愛水(上海)環保科技有限公司、および外部協力会社が担当しています。

(3) HOD(水宅配)事業


冷温水サーバーを消費者に貸し出し、同社開発のプラントで製造されたミネラルウォーターを宅配する事業です。エリアライセンスチェーン形式で全国展開しています。

加盟店へのミネラルウォーター製造プラントやサーバー等の販売が主な収益源です。運営主体は子会社のウォーターネットであり、同社はエリアライセンスチェーン加盟店の獲得に協力しています。

(4) FOOD事業


業務用アルカリイオン水を使用した「水にこだわる高級食パン」専門店の運営およびフランチャイズ展開を行っています。また、介護宅配弁当や中華総菜の製造・販売も手掛けています。

直営店でのパン販売による売上や、加盟店からの食材・食パン販売代金、ロイヤルティ、介護弁当等の販売代金が収益源です。運営は銀座仁志川等が担当し、加盟店獲得には同社が協力しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年1月期の102億円をピークに減少傾向にありましたが、直近は79億円前後で横ばいとなっています。利益面では、利益率の低下傾向が続いています。当期は最終利益を確保したものの、低水準にとどまっています。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 102億円 99億円 81億円 79億円 79億円
経常利益 13億円 12億円 4.5億円 3.5億円 1.3億円
利益率(%) 12.3% 11.8% 5.5% 4.4% 1.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.8億円 6.4億円 2.0億円 0.5億円 0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は前期とほぼ同水準を維持しましたが、営業利益は大幅に減少しました。売上総利益率は高い水準を維持していますが、販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 79億円 79億円
売上総利益 47億円 47億円
売上総利益率(%) 58.9% 58.7%
営業利益 3.1億円 1.3億円
営業利益率(%) 3.9% 1.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が18億円(構成比39%)、旅費交通費が3億円(同7%)を占めています。

(3) セグメント収益


水関連機器事業は増収となり黒字転換しました。HOD事業も増収増益と堅調です。一方、FOOD事業は減収となり、営業損失が拡大しました。メンテナンス事業は減収減益となりました。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
水関連機器事業 19億円 22億円 -0.2億円 0.4億円 1.7%
メンテナンス事業 21億円 20億円 4.4億円 3.4億円 16.8%
HOD(水宅配)事業 12億円 13億円 0.4億円 0.5億円 3.9%
FOOD事業 26億円 24億円 -1.5億円 -2.9億円 -11.8%
連結(合計) 79億円 79億円 3.1億円 1.3億円 1.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**パターン:事業検討型**
営業CFがわずかにマイナスとなり、定期預金の取り崩し等による投資CFのプラスで資金を確保し、借入返済や配当金支払を行っている状況です。本業でのキャッシュ創出が一時的に滞っている可能性があります。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 4.5億円 -0.0億円
投資CF -2.3億円 4.0億円
財務CF -1.5億円 -2.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.3%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「より良い健康で快適なライフスタイルを追求し、暮らしや社会の喜びに貢献する」という使命と企業理念を掲げています。この理念のもと、環境・健康関連機器の製造・販売や食品事業などを通じて、顧客の生活の質向上を目指した事業活動を行っています。

(2) 企業文化


同社グループには「明るさの磁場経営」や「LMPノート」といった独自の企業文化があります。これらを醸成し広く伝えていくことで、一人ひとりの「ウェルビーイング」を高め、その輪を広げていくことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2026年1月期を初年度とする「第11次5ヶ年計画」を策定しています。具体的な数値目標の記載はありませんが、周年記念イベントや万博などの大きなイベントを控えており、これらに向けた販売促進企画を積極的に実施していく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


大阪・関西万博や創立55周年記念式典、「ステハジ」EXPOといったイベントを契機に販売促進を強化します。また、探索領域である「FOOD事業」の新ブランド展開やグローバル展開を推進します。さらに、アルカリイオン水のペットボトル飲料市場開拓や衛生管理ビジネスの海外展開、インドへの現地法人設立など、グローバル戦略を加速させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を大切な財産と捉え、事業戦略に沿った人材育成に注力しています。また、独自の企業文化の醸成を通じて社員のウェルビーイングを高めることを目指しています。営業体制強化のために、効率の良い拠点展開を行い、担当従業員の確保と育成に取り組むことを課題として挙げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 41.0歳 14.2年 4,969,000円


※平均年間給与は、賞与支給額及び基準外賃金を含んでおり、就業1年未満の社員を除いて算出しております。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.1%
男性育児休業取得率 55.6%
男女賃金差異(全労働者) -%
男女賃金差異(正規雇用) -%
男女賃金差異(非正規) -%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 個人情報について


メンテナンス事業において多数の個人情報を保有しています。これらが漏洩した場合、賠償責任や社会的信用の低下により、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 医薬品医療機器等法の規制


主力製品である電解水素水生成器などは医薬品医療機器等法の規制対象です。製造販売業許可の維持や販売管理者の設置、広告規制などの遵守が求められます。法改正等により活動が制限された場合、業績に影響する可能性があります。

(3) 特定商取引に関する法律の適用


メンテナンス担当者が顧客宅を訪問し販売を行う場合、訪問販売として特定商取引法のクーリングオフ制度の対象となることがあります。同社は自主的にクーリングオフ制度を導入していますが、法令違反等があれば営業活動が制限されるリスクがあります。

(4) 中国及び海外市場


中国子会社での製造・販売やその他の海外展開において、予期せぬ法規制の変更、インフラ整備の遅れ、社会的混乱などが発生した場合、操業停止や販売困難な状況に陥り、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。