※本記事は、トミタ電機株式会社の有価証券報告書(第75期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トミタ電機ってどんな会社?
フェライトコアやコイルなどの電子部品材料の製造販売と不動産賃貸を展開する電子部品メーカーです。
■(1) 会社概要
1960年に富田電機として設立され、1968年にコイルおよびトランスの製造販売を開始しました。1970年にはMn-Zn系フェライトコアの生産を開始し、1971年に現在のトミタ電機へ商号変更しています。1996年には中国に生産拠点を設立するなど海外進出も進め、2004年にジャスダックに上場しました。
同社グループは連結従業員数271名、単体従業員数34名の体制で事業を運営しています。筆頭株主はプラニングカミヤで、第2位は創業・役員関係者の神谷哲郎氏、第3位は大和コネクト証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| プラニングカミヤ | 15.84% |
| 神谷哲郎 | 9.16% |
| 大和コネクト証券 | 8.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼管理本部長は神谷陽一郎氏が務めています。役員のうち社外取締役が占める割合は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 神谷陽一郎 | 代表取締役社長兼管理本部長 | 2006年Disco Hi-Tech America,Inc入社。2008年スター精密入社。2011年同社常勤監査役。2013年取締役。2016年取締役管理本部長を経て、2025年より現職。 |
| 白間広章 | 取締役総合技術部長 | 1985年同社入社。2009年総合技術部次長、取締役総合技術部次長を経て、2011年より現職。 |
社外取締役は、西尾愼一(元鳥取大丸取締役)、大田原俊輔(弁護士法人やわらぎ代表社員弁護士)、山本庄英(アピオン代表取締役など複数企業の代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「電子部品材料事業」および「不動産賃貸事業」を展開しています。
■(1) 電子部品材料事業
主に電子部品の基礎材料となるフェライトコア(磁性材料)や、それを応用したコイルおよびトランスなどの製造・販売を行っています。EV(電気自動車)、情報通信、産業機器、医療機器などの幅広い分野に向けて製品を供給しています。
収益源は、顧客である各機器メーカーへの製品販売代金です。同社が国内で製造・販売を行うほか、中国子会社の珠海富田電子有限公司が主な海外生産拠点として製造を担い、香港子会社のTOMITA FERRITE LTD.などが販売活動を行っています。
■(2) 不動産賃貸事業
同社が保有する事業用不動産の有効活用を目的として、国内において店舗施設などの賃貸事業を行っています。
収益源は、賃借人から受け取る賃貸収入です。事業の運営は同社単独で行っており、安定的な収益源としてグループ全体の経営基盤を支える役割を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は14億円から20億円のレンジで推移しています。電子部品業界の厳しい価格競争や中国市場の動向などの影響を受け、利益面では経常赤字が続く期間もありましたが、原価低減や経費削減の取り組みにより直近では赤字幅が縮小し、最終損益は黒字に回復しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18.3億円 | 20.0億円 | 14.9億円 | 14.2億円 | 16.0億円 |
| 経常利益 | 1.4億円 | 1.4億円 | -0.2億円 | -1.7億円 | -0.3億円 |
| 利益率(%) | 7.6% | 6.9% | -1.6% | -11.8% | -1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.2億円 | 0.4億円 | 0.1億円 | -0.5億円 | 1.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から増加し、売上総利益率も大きく改善しています。これにより営業赤字の幅が縮小しており、製造原価低減に向けた品質改善や自動化・省力化などの取り組みが奏功していることがうかがえます。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 14.2億円 | 16.0億円 |
| 売上総利益 | 2.8億円 | 4.1億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.9% | 25.9% |
| 営業利益 | -1.7億円 | -0.6億円 |
| 営業利益率(%) | -12.1% | -3.8% |
販売費及び一般管理費(4.8億円)のうち、給料が1.7億円(構成比35.5%)、荷造運賃が0.6億円(同13.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の電子部品材料事業は、中国市場でのEV需要の堅調な推移などにより増収となりました。不動産賃貸事業も安定して推移しており、全体としての増収に寄与しています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 電子部品材料事業 | 13.6億円 | 15.4億円 |
| 不動産賃貸事業 | 0.7億円 | 0.7億円 |
| 連結(合計) | 14.2億円 | 16.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業は赤字ですが、将来成長のため借入等で投資を継続している「勝負型」の状況です。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.1億円 | -1.2億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -0.3億円 |
| 財務CF | 0.8億円 | 0.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「テクノロジーを活用することにより、価値ある製品を市場に提供し、顧客の満足を得る一方で、適正に得られた利益を株主と従業員に還元し、グローバル化の推進と企業価値を高める経営を継続することで全世界の人々に貢献する」ことを基本方針として掲げています。
■(2) 企業文化
同社は安定的経営を重視し、「企業体質を強化するために内部留保を充実し、経営基盤の強化をはかる」という方針のもと、株主資本の充実を図ってきました。また、豊かな自然との共生を図りながら、環境保全の推進を経営上の重要課題と位置づける文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
安定した経営と強固な財務体質の維持を目指し、以下の経営指標を目標として掲げています。
・自己資本比率80%以上
・売上高経常利益率3%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中国市場の低迷や熾烈なグローバル競争に対応するため、EVや通信、医療機器などの分野で新規開拓を進めつつ、海外工場の品質改善や自動化・DXの推進による原価低減を図ります。
・EV関連やRFID、通信基地局等の新規受注の獲得
・品質改善と製造設備刷新、省力化、DXの推進
・高信頼性・高効率化を目的とした新材質開発の推進
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
性別や年齢、国籍などの属性によらない評価基準に基づき、個人の業績成果やプロセスを公正に評価しています。また、職位・職責に応じた教育機会を提供し、女性や外国人、中途採用者の管理職登用を推進することで多様性の確保に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 48.7歳 | 23.8年 | 3,877,074円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢及び景気動向
主な販売先である日本国内および東アジア地域の経済情勢や製品需要の動向が変化し、販売が減少した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 販売価格における競争激化
同社が事業を展開する電子部品業界は激しい価格競争に直面しています。先進技術の成果を反映させた製品開発や製造コストの低減に努めているものの、対抗しがたい価格競争が生じた場合には、業績に影響する可能性があります。
■(3) 新素材及び製品開発投資の不確実性
成長性の確保を目的として新素材および製品開発のための先行投資を積極的に行っていますが、需要が予測を下回り、一定期間内で投資に応じた成果や収益が上げられなかった場合には、財務状況や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 原材料価格の変動
提供する製品の主な原材料である酸化鉄ならびに非鉄金属は、国際取引相場の影響を受け上昇傾向にあります。徹底したコストダウンにより吸収する方針ですが、原材料価格の急激な変動は業績に影響を与える可能性があります。



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