ソフィアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ソフィアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、調剤薬局の運営、インターネット関連のシステム開発、通信サービス(MVNO)を主要事業としています。直近の業績は、主力事業である調剤薬局事業の減収や子会社の売却などが影響し、売上収益、利益ともに前期を下回る減収減益となりました。


※本記事は、株式会社ソフィアホールディングス の有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ソフィアホールディングスってどんな会社?


調剤薬局の運営を中核に、システム開発や通信サービスも展開する純粋持株会社です。医療とICTの融合を推進しています。

(1) 会社概要


1975年に前身となるソフィアシステムズが設立され、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。2007年に純粋持株会社体制へ移行し、現商号へ変更しています。2018年にはナノメディカルがルナ調剤へ商号変更し、現在の主力である調剤薬局事業の基盤を固めました。2024年には子会社2社の全株式を譲渡しています。

連結従業員数は201名、単体では9名です。筆頭株主は同社のシステム開発等のパートナー企業であるアレクシアで、第2位は親会社であり調剤薬局等の医療関連事業を展開するE-BONDホールディングスです。第3位には米国の証券会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
アレクシア 31.39%
E-BONDホールディングス 21.60%
INTERACTIVE BROKERS LLC 2.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は飯塚 秀毅氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
飯塚 秀毅 代表取締役社長 2006年サンリツメディカル取締役、2012年水野薬局代表取締役、2017年同社執行役員等を経て、2020年6月より現職。
佐藤 元彦 取締役 2010年ITKエンジニアリングジャパン代表取締役、2016年3C代表取締役、2023年同社取締役等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、赤羽根 秀宜(JMP法律事務所パートナー弁護士)、水野 信次(日比谷パーク法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「インターネット関連事業」、「通信事業」、「調剤薬局及びその周辺事業」および「その他」事業を展開しています。

インターネット関連事業


インターネット関連のシステム開発業務サービスの提供や、システムエンジニアリングの派遣サービス等を行っています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を背景としたICT投資需要に対応しています。

収益は、顧客企業からのシステム開発受託料や、エンジニア派遣に対する対価から得ています。運営は主にソフィア総合研究所が行っています。

通信事業


MVNO(仮想移動体通信事業者)を中心とした情報通信サービス全般や、ISP(インターネットサービスプロバイダ)の企画・開発・運営を行っています。

収益は、通信サービスの利用者からの利用料や通信機器の販売代金等から得ています。運営は主にソフィアデジタルが行っています。

調剤薬局及びその周辺事業


地域医療を支える調剤薬局の運営を行っており、かかりつけ薬局としての機能強化や在宅医療への対応を進めています。グループ全体の売上の大半を占める主力事業です。

収益は、患者への調剤医薬品の販売や調剤技術料、一般用医薬品の販売等から得ています。運営は主にルナ調剤、泉州薬局、長東などが行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、人材紹介事業等を行っています。外国人労働者を対象とした人材紹介や、アジア圏内での新規事業を展開しています。

収益は、人材紹介手数料等から得ています。運営は主にソフィアグローバルワークス、SOPHIA SG MANAGEMENT PTE. LTD.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上収益は減少傾向にあります。利益面でも、税引前利益、当期利益ともに減少しており、減収減益となっています。これは主力事業の一部での競争激化や子会社の売却等が影響しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 90億円 84億円
税引前利益 4億円 3億円
利益率(%) 4.2% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円

(2) 損益計算書


売上収益が減少する中、売上総利益率は前年と同水準を維持しています。一方、販売費及び一般管理費の増加などにより、営業利益および営業利益率は低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 90億円 84億円
売上総利益 34億円 31億円
売上総利益率(%) 37.3% 37.3%
営業利益 4億円 3億円
営業利益率(%) 4.5% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が15億円(構成比44%)、租税公課が5億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


インターネット関連事業は子会社売却の影響で減収減益となりました。通信事業も競争激化により減収となり損失が続いています。主力の調剤薬局事業は処方箋枚数等の減少で減収減益となりましたが、依然としてグループの利益の大半を稼ぎ出しています。その他事業は赤字幅が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
インターネット関連事業 17億円 13億円 2億円 0.5億円 3.9%
通信事業 2億円 2億円 -0.7億円 -0.3億円 -16.5%
調剤薬局及びその周辺事業 72億円 69億円 5億円 2億円 3.0%
その他 - 0.1億円 -0.2億円 -0.4億円 -443.7%
調整額 -0.2億円 -0.3億円 -2億円 2億円 -
連結(合計) 90億円 84億円 4億円 3億円 4.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラスを維持し、投資CFは子会社売却による収入等でプラスとなりました。これらを原資に借入金の返済を進めており、財務体質の改善を図る「改善型」のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8億円 3億円
投資CF -0.3億円 4億円
財務CF 2億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.3%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


インターネット関連事業・通信事業においては「たえずお客様のニーズを先取りし、先進的なICTサービスを提供することで社会貢献をする」こと、調剤薬局事業においては「調剤薬局を通して、地域に根差した明るい未来をサポートする」ことを目指しています。

(2) 企業文化


企業の成長を推進していくために人材の確保・育成が不可欠との認識の下、優秀な人材の確保や社員教育、研修制度の充実化を図る方針を持っています。また、社員が心身ともに健康で安心して働くことができる職場・環境づくりを目指しています。

(3) 経営計画・目標


中長期の経営目標として、本業の収益力の指標である「売上収益営業利益率」を重視しています。また、財務基盤強化の観点から、親会社所有者帰属持分比率の向上を目指し、有利子負債の返済等による財務体質の改善に努めるとしています。

* 中長期の売上収益営業利益率目標:8.0%

(4) 成長戦略と重点施策


グループ各社が培ってきたICTと医療周辺事業を有機的に結合させ、医療・介護・調剤のオンライン化など高品質なソリューション提供によるシナジー創出を目指しています。また、M&Aやアライアンスを活用した新規事業開拓、調剤薬局の機能強化や店舗数増加による収益向上に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業の成長には人材の確保・育成が不可欠であるとし、開発エンジニアやインフラエンジニア、薬剤師、管理部門のキャリア採用を強化しています。また、新卒薬剤師への3年間の研修プログラムや認定薬剤師取得支援、エンジニアへの技術研修などを通じて育成を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.1歳 2.9年 4,454,861円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 50.0%


同社および連結子会社は常時雇用する労働者の数が300人を超えないため、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については公表義務の対象ではなく、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンジニアの採用数(20名)、薬剤師の採用数(14名)、女性管理職数(4名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 内部統制及びコンプライアンス


過去に子会社役員が逮捕された事件を契機に再発防止策を策定しましたが、これが適切に実行されない場合や、新たな法令違反等が発生した場合には、社会的信用の低下や損害賠償請求等により、業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 薬価・調剤報酬改定の影響


調剤薬局事業の売上は国の定める薬価基準や調剤報酬に基づいています。これらが引き下げられた場合、収益性が低下する可能性があります。同社はかかりつけ薬局機能の充実やオンライン服薬指導への対応などで影響の緩和に努めています。

(3) 投資・M&A


事業拡大のためにM&Aや資本提携を行うことがありますが、事前の調査にもかかわらず期待した効果が得られない場合や、対象企業の業績悪化、のれん等の減損損失が発生した場合、同社の業績や財務状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保


ICT業界におけるエンジニアや、調剤薬局における薬剤師の確保は事業継続に不可欠です。人材獲得競争が激化する中で必要な人材を確保できない場合や、既存人材が流出した場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。