※本記事は、株式会社石井表記 の有価証券報告書(2026年1月期、2025年2月1日 ~ 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
石井表記は、電子機器部品製造装置、ディスプレイ及び電子部品、その他の3部門にわたり、製品の開発から生産、販売、サービスまで幅広い事業活動を展開しています。同社グループは、石井表記と6社の連結子会社(孫会社1社を含む)で構成されています。
単体従業員数は301名、連結従業員数は695名です。セグメントは電子機器部品製造装置、ディスプレイ及び電子部品、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、当社、<連結子会社>、CAP、トリアスなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
石井表記は、電子機器部品製造装置やディスプレイ関連事業を手掛ける企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、安定した環境でキャリアを築いている方が多い傾向が見られます。同社では、社員が長く安心して働けるような職場環境の整備に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、従業員の平均年齢も高めであることから、長期にわたってキャリアを形成している社員が多い傾向がうかがえます。安定した環境で専門性を深めながら働きたいと考える方にとって、魅力的な職場環境であると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,357,558円 |
| 平均勤続年数 | 21.6年 |
| 平均年齢 | 47.0歳 |
| 単体従業員数 | 301人 |
| 連結従業員数 | 695人 |
| 単体のグループ内比率 | 43.3% |
同社グループは、退職給付制度として、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型と、会社が拠出した資金を従業員が運用する確定拠出型の両方を採用しています。同社は退職金規程に基づく社内積立の退職一時金制度のほか、確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度を設けており、連結子会社であるJPN,INC.では外部拠出型の退職給付制度を採用しています。退職一時金制度も設けられていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。当連結会計年度末における退職給付債務は10.6億円、年金資産は8.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
石井表記グループは、持続的な成長において「人」を最も重要な資源と位置づけ、社員が最大限に能力を発揮できる職場環境の実現を目指しています。特に「人的資本」を重要課題の一つとして掲げ、社員が安心・安全に働ける環境づくりに注力しています。
具体的な取り組みとして、2023年には「健康宣言」を行い、健康イベントの定期開催や「健康経営優良法人2025」への認定を通じて、社員の心身の健康を支援しています。また、育児や介護に携わる社員をサポートするための短時間勤務制度や、有給休暇の取得を促進する時間有休制度を導入し、柔軟な働き方を推進しています。
「自己申告制度」により、社員の希望や能力に応じた適材適所の人員配置を行い、組織全体の活性化と社員の成長を両立させています。人材の多様性確保にも力を入れており、女性社員のキャリア形成支援として働きやすい環境整備や育児休暇、短時間勤務制度の活用を促し、女性採用も積極的に進める方針です。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は公表義務の対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 55.5% |
人材の多様性確保
提出会社単体のデータを示します。男性育児休業取得率は目標50%に対し0.0%の実績となりました。女性管理職比率や賃金格差は、製造業である同社の男性社員比率の高さや管理職人数の差異が影響していますが、人事制度上性差による差異はありません。女性社員のキャリア形成支援や女性採用に積極的に取り組む方針です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.0% |
| 男女間賃金格差 | 77.8% |
| 育児休業取得率(女性) | - |
| 育児休業取得率(男性) | 0.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社石井表記グループは、電子機器部品製造装置、ディスプレイ及び電子部品、その他の3つの部門で事業を展開しています。製品の開発から生産、販売、サービスまで一貫して手掛けるビジネスモデルです。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、多岐にわたる製品とサービスを提供し、国内外で事業活動を行っています。主力はディスプレイ及び電子部品事業であり、電子機器部品製造装置事業がこれに続きます。海外での売上高が全体の大部分を占めており、特に中国市場が重要な収益源となっています。為替変動による影響も受ける事業構造です。特定の大口顧客への売上集中は見られません。
電子機器部品製造装置
プリント基板製造装置やインクジェットコーターなどの製造・販売を行っています。収益は、AI関連向けパッケージ基板の設備投資増加や高機能材料向けメッキ設備の販売から得ています。前連結会計年度と比較して売上高は増加しました。液晶関連分野では、液晶パネル製造装置の販売が減少し、売上高は減少傾向にあります。
ディスプレイ及び電子部品
メンブレンスイッチパネル、シルク印刷、ネームプレートなどの製造・販売を行っています。収益は、連結子会社である上海賽路客電子有限公司における主要顧客からの受注増加が主な要因です。前連結会計年度と比較して売上高は増加しました。自動車向け印刷製品や操作パネルについては、顧客の生産調整により売上高は減少しました。
その他の事業セグメント
報告セグメントに含まれない事業や付随的な収益を獲得する構成単位で構成されています。
| セグメント | 売上高(2025年1月期) | 売上高(2026年1月期) |
|---|---|---|
| ディスプレイ及び電子部品 | 102億円 | 108億円 |
| 電子機器部品製造装置 | 45.8億円 | 48.8億円 |
| その他の事業セグメント | 9百万円 | 9百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で変動が見られます。売上高は2023年1月期に最も高い水準を記録した後、一時的に減少しましたが、直近の2026年1月期には増加に転じました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、2023年1月期をピークに減少傾向にありましたが、2026年1月期には増加となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは各期でプラスを維持しており、本業での資金創出力は継続しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 144億円 | 182億円 | 167億円 | 148億円 | 157億円 |
| 経常利益 | 17.3億円 | 20.2億円 | 17.2億円 | 11.1億円 | 11.8億円 |
| 経常利益率 | 12.0% | 11.1% | 10.3% | 7.5% | 7.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 14.9億円 | 16.4億円 | 11.0億円 | 7.9億円 | 8.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 182.85 | 201.13 | 135.09 | 96.70 | 110.62 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの生産性を見ると、直近の2026年1月期において従業員1人あたり売上高、従業員1人あたり営業利益ともに前期から増加しています。これは、同社グループ全体の売上高と営業利益の増加傾向と一致しており、組織全体の効率性が向上していることを示しています。
| 指標 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.1百万円 | 22.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.3百万円 | 1.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
石井表記グループの財務状況は、安定した基盤を築いていることを示しています。本業で得た資金を元手に、投資活動も行いながら資金を創出している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
石井表記グループは、高い自己資本比率を維持しており、強固な財務基盤を築いていることがうかがえます。当期の自己資本比率は66.9%であり、プライム市場の製造業平均(46.8%)を上回る水準です。これは、外部環境の変化に対する耐性が高く、安定した事業運営に繋がる要素です。
ROE(自己資本利益率)は当期8.7%となっており、プライム市場平均(9.4%)と比較するとわずかに下回っています。手元資金である現金及び預金も十分に確保されており、不測の事態にも対応できる体制が整っています。
| 指標 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 97.4億円 | 106億円 |
| 自己資本比率 | 62.0% | 66.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.6% | 8.7% |
| 現金及び預金 | 40.9億円 | 43.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
石井表記グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に13.0億円のプラスとなりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費の増加が主な要因となっています。前期と比較すると減少していますが、引き続き事業活動で安定的に資金を創出している状況です。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に1.8億円のプラスとなりました。これは定期預金の払戻による収入や有形固定資産の売却による収入が、定期預金の預入や有形固定資産の取得による支出を上回ったことによるものです。前期はマイナスでしたが、当期は資金を創出する流れに転じています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に△9.4億円のマイナスとなりました。これは主に長期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得による支出が要因です。フリーキャッシュフローは14.8億円のプラスとなっており、本業で得た資金が投資を上回り、返済や再投資の余力がある状態を示しています。この資金の流れは、安定した経営基盤と将来に向けた柔軟な対応力を持ち合わせていることを示唆しており、雇用や給与の安定性にも繋がる要素と言えます。
| 項目 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 22.9億円 | 13.0億円 |
| 投資CF | △6.3億円 | 1.8億円 |
| 財務CF | △17.9億円 | △9.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 16.7億円 | 14.8億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
石井表記グループは、新製品開発において、将来のニーズに見合った製品をタイムリーに開発できない場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産活動に必要な資材や部品の調達において、急激な環境変化により原材料価格が高騰したり、一時的に確保が困難になったりするリスクも認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
石井表記グループは、従業員の退職給付債務及び費用について、数理計算上の前提条件や年金資産の期待収益率に基づいて算出しています。実際の結果が前提条件と相違した場合、退職給付債務及び費用が増加し、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
石井表記は、「独創的」な製品作りに情熱を持って「挑戦」し、会社と社員の永遠の幸福を目指すことを経営理念に掲げています。技術を原点としたハイテク企業として、社会の発展に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営理念は「独創的な製品作りに情熱を持って挑戦し、会社と社員の永遠の幸福を目指す」です。1963年の創業以来、技術を原点としたハイテクに情熱を傾ける技術集団として、高い信頼性を得て社会の発展に貢献してきました。
今後も高付加価値製品の技術開発に注力し、既存市場だけでなく新規市場の開拓を続けていく方針です。この経営理念を実現するため、「世界一の技術集団として永遠の成長を目指す」「人を大切にし、活躍の場を提供する」「地域に根ざした企業活動を通じ、経済社会に貢献する」という3つの目標を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
石井表記は「人」を大切にし、社員が最大限に能力を発揮できる職場環境の実現を重視しています。経営理念である「会社と社員の永遠の幸福」を実現するため、「健康宣言」を行い、社員一人ひとりが心身ともに健康でイキイキと働ける職場環境の整備を進めています。
「自己申告制度」を通じて、社員の希望や能力、適性に基づいた適材適所の人員配置を行い、組織全体の活性化と社員・企業の成長を目指しています。また、事業活動を通じて持続可能な社会に貢献するとともに企業価値向上を目指しており、「気候変動」と「人的資本」を重要課題(マテリアリティ)として取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、変化が速くグローバルな市場環境で成長するため、適時・適材・適所をボーダレスに実現する人事制度の再構築を進めています。人的資本経営の推進を収益性向上の取り組みの一つとして掲げています。
社員が安心・安全に働ける職場環境の実現を目指し、短時間勤務制度や時間有休制度を設けています。女性社員のキャリア形成支援として、育児休暇や短時間勤務等の働きやすい環境整備を進め、子育てをしながらも昇格・昇進を目指せるよう努めています。また、女性採用にも積極的に取り組む方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
石井表記は、取締役会が経営に関する重要な意思決定と業務執行の監督を行い、監査役会が独立した立場から監査機能を担う体制を構築しています。これにより、企業価値の向上と法令遵守を両立させるガバナンス体制を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
石井表記の株主構成を見ると、筆頭株主は株式会社アイエフエムであり、同社の代表取締役会長である石井峯夫氏の資産管理会社です。また、個人株主である石井敏博氏やイシイヒョーキ従業員持株会も上位株主として名を連ねており、創業家や従業員による安定した資本構成が特徴となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アイエフエム | 24.62% |
| 石井敏博 | 7.70% |
| イシイヒョーキ従業員持株会 | 7.31% |
| 大善彰総 | 2.23% |
| 大和証券 | 1.95% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性10名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は山本晋宏氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石井 峯夫 | 代表取締役会長 | 1963年4月石井表記製作所創業、1973年4月同社設立代表取締役社長。2004年2月同社代表取締役会長、2023年4月より現職。 |
| 山本 晋宏 | 代表取締役社長 | 1994年5月同社入社。2015年4月同社取締役装置事業本部長兼インクジェット事業本部長。2023年4月より現職。 |
| 松井 忠則 | 常務取締役 管理本部長 | 1991年1月同社入社。2018年4月同社取締役管理本部副本部長。2023年4月より現職。 |
| 岩永 浩司 | 取締役 デバイス事業本部長 | 1991年3月同社入社。2021年4月同社執行役員デバイス事業本部長。2024年4月より現職。 |
| 松井 誠治 | 取締役 装置事業本部長 | 1992年3月同社入社。2021年4月同社執行役員装置事業本部長。2024年4月より現職。 |
社外取締役は、石井裕工氏(元広島県庁 大阪情報センター所長兼企業立地監)、本田祐二氏(ばらのまち法律事務所弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による意思決定と業務執行の監督、および監査役会による監査を通じてガバナンス体制を構築しています。社外取締役と社外監査役が連携し、外部からの経営に対する監査・監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、常勤取締役に対しては基本報酬と業績連動報酬である役員賞与、社外取締役および監査役に対しては基本報酬のみで構成されています。基本報酬は月額固定報酬であり、業績や職責等を総合的に勘案して決定されます。役員賞与は親会社株主に帰属する当期純利益を指標とした業績連動報酬ですが、当事業年度においては不支給と決定されました。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 68百万円 | 13.6百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 11百万円 | 2.8百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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