ミライアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミライアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するミライアルは、半導体向けシリコンウェーハ出荷容器などのプラスチック成形事業と、成形機事業を展開する企業です。直近の業績は、半導体業界の需要回復がまだら模様だったことや自動車業界の需要失速の影響を受け、売上高、経常利益ともに前期を下回る減収減益となっています。


※本記事は、ミライアル株式会社の有価証券報告書(第58期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミライアルってどんな会社?


半導体シリコンウェーハ出荷容器などのプラスチック製品や成形機の製造・販売を手掛けるメーカーです。

(1) 会社概要


1968年、高機能樹脂製品の製造・販売を目的に柿崎製作所として設立されました。1973年にシリコンウェーハ工程内容器の本格量産を開始し、1999年には主力製品となる300mmシリコンウェーハ出荷容器を発売しました。2003年に現在のミライアルへ商号を変更し、2005年にジャスダック市場に上場しています。

現在の従業員数は連結で449名、単体で323名です。大株主は、筆頭株主が資産管理等の事業を展開するとみられるワイエム管財であり、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行、第3位はMM Investmentsとなっています。

氏名 持株比率
ワイエム管財 22.59%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.62%
MM Investments 4.95%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は兵部匡俊氏が務めており、社外取締役の比率は50.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
兵部 匡俊 代表取締役社長社長執行役員 1998年三菱信託銀行入社。2004年同社入社。経営企画室長等を経て2012年取締役。山城精機製作所やミライアル東北の代表取締役社長を歴任し、2019年より現職。
加藤 孝政 取締役執行役員 1982年デュポンファーイースト日本支社入社。三井・ケマーズフロロプロダクツ代表取締役社長等を経て、2023年同社入社。同年より現職。
木部 永二 取締役監査等委員 1980年浅野工事入社。2007年同社入社。業務部長、人事総務部長、管理部長を歴任し、2019年より現職。


社外取締役は、後藤愛(R.D.Works入社)、松永夏也(松永公認会計士事務所代表)、渡邊寛(和田金法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラスチック成形事業」および「成形機事業」の2つの報告セグメントで事業を展開しています。

プラスチック成形事業


主要な製品として、シリコンウェーハ出荷容器や工程内容器などの半導体関連製品をはじめ、フルイドシステム、電子部品、金型などの関連製品を製造・販売しています。主に国内外の半導体メーカーなどを顧客としています。

製品の販売や製造による収益を顧客から得ています。半導体関連製品は主にミライアルが製造・販売し、中国での営業活動は米来迩商貿(上海)有限公司が担っています。その他の製品はミライアルとミライアル東北が製造・販売を行っています。

成形機事業


顧客のニーズに合わせた竪型射出成形機を中心とする成形機や金型、および関連部品を製造・販売しています。関連する自動車業界や電機業界などを主要な顧客層としています。

成形機や金型の販売、および付帯するサービスなどによる収益を顧客から得ています。本事業の運営は、子会社である山城精機製作所が担っており、成形機および金型の製造から販売までを一貫して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の連結業績を見ると、売上高は半導体市場の動向などにより130億円前後で推移してきましたが、直近では減収となりました。利益面に関しても、一時的に増加した時期があったものの、足元では原材料価格の高騰や顧客の在庫調整の影響などにより減少傾向にあり、利益率も低下しています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 116.6億円 142.7億円 132.6億円 140.0億円 125.7億円
経常利益 19.7億円 25.3億円 16.0億円 15.2億円 5.9億円
利益率(%) 16.9% 17.8% 12.1% 10.8% 4.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 13.0億円 15.0億円 9.7億円 11.9億円 5.0億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の減少にともなって売上総利益も減少しており、売上総利益率は低下しています。また、支払手数料などのコスト増加も影響し、営業利益および営業利益率も前期と比べて減少する結果となりました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 140.0億円 125.7億円
売上総利益 31.7億円 23.6億円
売上総利益率(%) 22.6% 18.8%
営業利益 14.3億円 5.1億円
営業利益率(%) 10.2% 4.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3.2億円(構成比17%)、支払手数料が3.2億円(同17%)、運送費が3.1億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の収益状況を見ると、プラスチック成形事業は半導体シリコンウェーハ業界の在庫調整の影響が長引き、緩やかな需要回復にとどまったため減収となりました。成形機事業も、自動車業界の需要失速により受注が軟調に推移したことで減収となっています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
プラスチック成形事業 121.4億円 110.7億円
成形機事業 18.6億円 15.0億円
連結(合計) 140.0億円 125.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ミライアルのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

営業活動によるキャッシュ・フローは、利益の計上や仕入債務の減少等によりプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等による支出が主な要因でマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等によりマイナスとなりました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 33.4億円 10.7億円
投資CF -32.4億円 -25.6億円
財務CF -3.9億円 -2.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「私たちは事業活動を通じて人と自然を大切にし、あらゆる人々に愛され、社会の発展に貢献します。先端技術をもって開発を推進し、世界の人々に喜ばれる価値を創造します」という経営理念を掲げています。この理念に基づき、常に技術革新を図りながら様々な先端産業の発展に貢献し続けることを目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、最先端のニッチな成長市場への事業展開を推進し、事業ライフサイクルに左右されない持続的な成長を図ることを重視しています。これまでに培ってきたプラスチック成形に関する技術力を活かし、高付加価値で高品質な製品を生産することで、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


「中期成長戦略2028」に基づき、シリコンウェーハ搬送容器事業を深耕しつつ、成長市場である高機能樹脂製品や成形機の事業へ経営資源を振り向ける計画です。また、株主還元を強化し、資本コスト低減による最適な資本構成も実現することで、PBR1倍の恒常的な達成と中長期的な企業価値の最大化を目指しています。

* 売上高:239億円
* 営業利益:47億円
* 営業利益率:20.0%
* ROE:11.1%

(4) 成長戦略と重点施策


プラスチック成形事業では、半導体の微細化による顧客要求の高度化に対応して品質改善に取り組むとともに、生産設備の導入や人材確保を通じて競争力を高めます。また、コア技術の他分野への応用も図ります。成形機事業では、竪型成形機の強みを活かした特殊機の拡販により安定的な利益を確保し、新規顧客開拓活動を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは「持続可能な人材育成」と「安心安全な労働環境」を重要なテーマとして掲げており、社会のニーズを先取りして自発的に行動する自立型人材の育成を目指しています。資格取得の支援や各種研修の整備を進めるとともに、女性や高齢者、外国人など多様な人材が柔軟に働きやすい環境の構築に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 39.7歳 16.9年 5,399,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.2%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 81.5%
男女賃金差異(正規雇用) 84.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動の影響


同社グループの事業は、販売先となる各業界の業績や設備投資の動向、資材などの市場価格や供給状況に大きく影響を受ける傾向があります。これに対して同社では、継続的な原価低減活動や調達先の見直しを進めるほか、自動化やAIなどの最新技術を取り入れた効率的な生産体制の構築を目指しています。

(2) シリコンウェーハの生産動向への依存


主力製品であるシリコンウェーハ出荷容器の需要は、半導体業界の生産動向に影響を受けます。特に300mmシリコンウェーハ向けの出荷容器は売上高に対する比率が高く、生産量や出荷量の変動が同社の業績に直結する可能性があります。また、デバイスメーカーでのリユース回数の増加も需要に影響を与える懸念があります。

(3) 原材料の市況変動と特定仕入先への依存


同社の製品の多くは石油化学製品を原材料としており、原油価格や製造・輸送費用の変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、特定の原料メーカーが製造する特注グレードの原料を使用している場合もあり、供給体制に問題が生じた際、代替品の確保や変更に時間がかかるリスクが存在します。

(4) 競合の激化による影響


半導体市場の拡大に伴い、シリコンウェーハ出荷容器の市場においても新規参入の増加や同業他社との競争激化が懸念されます。同社は機能の向上や生産プロセスの効率化によってシェアの確保・拡大を目指していますが、技術進歩が激しい業界において優位性が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。