ミライアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミライアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のプラスチック成形メーカー。シリコンウェーハ出荷容器などの半導体関連製品や成形機の製造販売を主軸としています。当期の連結業績は、売上高140億円(前期比5.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11億円(前期比3.2%増)と、増収増益を達成しました。


※本記事は、ミライアル株式会社 の有価証券報告書(第57期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミライアルってどんな会社?


半導体関連のプラスチック製品と成形機事業を展開するメーカーです。特にシリコンウェーハ出荷容器で高い技術力を有しています。

(1) 会社概要


同社は1968年に株式会社柿崎製作所として設立され、翌年にはシリコンウェーハ工程内容器の製品化に成功しました。2003年に現在のミライアルへ商号変更を行い、2005年にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後、2011年に株式会社山城精機製作所を完全子会社化して事業領域を拡大し、2012年には東証一部へ上場しました。

連結従業員数は450名、単体では330名体制です。筆頭株主は資産管理会社の株式会社ワイエム管財で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は金融機関の常任代理人となっています。

氏名 持株比率
ワイエム管財 22.58%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.88%
MSIP CLIENT SECURITIES 4.50%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名、計6名で構成され、女性役員比率は16.6%です。代表取締役社長は兵部匡俊氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
兵部 匡俊 代表取締役社長社長執行役員 三菱信託銀行を経て2004年同社入社。経営企画室長、取締役、専務取締役などを歴任し、2019年より現職。
加藤 孝政 取締役執行役員 デュポンファーイースト日本支社などを経て、2023年同社入社。三井・ケマーズフロロプロダクツ社長などを歴任し、2023年より現職。
木部 永二 取締役監査等委員 浅野工事を経て2007年同社入社。業務部長、人事総務部長、管理部長などを歴任し、2019年より現職。


社外取締役は、後藤愛(R.D.Works社員)、松永夏也(公認会計士)、渡邊寛(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラスチック成形事業」および「成形機事業」を展開しています。

(1) プラスチック成形事業


シリコンウェーハ出荷容器や工程内容器といった半導体関連製品、フルイドシステム、金型などの関連製品を製造・販売しています。半導体メーカーなどが主な顧客となります。

収益は主に製品の販売代金から得ています。運営は主にミライアルが担当し、製造・販売を行っています。また、連結子会社のミライアル東北も製造・販売を担い、米来迩商貿(上海)有限公司が営業活動を行っています。

(2) 成形機事業


竪型射出成形機や金型、およびそれらの関連製品の製造・販売を行っています。自動車業界や電機業界などが主な顧客層となります。

収益は成形機や金型などの製品販売代金から得ています。運営は、連結子会社である山城精機製作所が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は97億円から140億円へと拡大傾向にあります。2023年1月期に売上高143億円、経常利益25億円のピークを記録した後、翌期は減益となりましたが、当期は増収となり業績は底堅く推移しています。利益率は10%前後を維持しています。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 97億円 117億円 143億円 133億円 140億円
経常利益 10億円 20億円 25億円 16億円 15億円
利益率(%) 9.8% 16.9% 17.8% 12.1% 10.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 13億円 15億円 10億円 11億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、売上原価の増加により売上総利益は若干減少しました。営業利益率は10.2%と前期から低下していますが、依然として二桁の利益率を確保しています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 133億円 140億円
売上総利益 32億円 32億円
売上総利益率(%) 24.5% 22.6%
営業利益 15億円 14億円
営業利益率(%) 11.5% 10.2%


販売費及び一般管理費のうち、運送費が3.5億円(構成比20%)、給料が2.6億円(同15%)、支払手数料が2.4億円(同14%)を占めています。売上原価は108億円で、売上高に対する構成比は77%となっています。

(3) セグメント収益


プラスチック成形事業は微増収ながら減益となりましたが、成形機事業は大幅な増収増益を達成しました。成形機事業の利益率改善が全体の収益を下支えする形となっています。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
プラスチック成形事業 121億円 121億円 20億円 18億円 15.2%
成形機事業 11億円 19億円 1億円 3億円 14.6%
連結(合計) 133億円 140億円 15億円 14億円 10.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業で稼いだ資金をもとに、投資活動を行いながら借入金の返済なども進めている健全な状態です。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 3億円 33億円
投資CF -46億円 -32億円
財務CF -5億円 -4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は78.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、事業活動を通じて人と自然を大切にし、社会の発展に貢献することを経営理念としています。先端技術による開発を推進し、世界の人々に喜ばれる価値を創造することを目指しています。技術革新により先端産業の発展に寄与し、豊かな未来のための価値創造を追求しています。

(2) 企業文化


「ずっと、必要とされ続ける」企業グループであることを目指し、自らを革新し独自性ある開発に挑み続ける姿勢を重視しています。また、サステナブル経営や強固なガバナンス、株主還元強化の視点を踏まえ、すべてのステークホルダーを尊重しながら持続可能な社会の発展を目指す文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期成長戦略 2028」を掲げ、最先端のニッチな成長市場への事業展開を推進し、持続的な成長を図ることを目標としています。収益性においては売上高と営業利益率の向上、効率性においてはROEの向上を重視し、財務基盤の強化と企業価値の向上を目指しています。

* 売上高:239億円
* 営業利益率:20.0%
* 自己資本利益率(ROE):11.1%

(4) 成長戦略と重点施策


プラスチック成形事業では、半導体市場の拡大を見込み、増産体制の構築や生産設備の導入、品質改善に取り組みます。また、コア技術の他分野への応用により新事業創出を図ります。成形機事業では、特殊機の拡販により利益を確保しつつ、EV市場拡大に伴う需要取り込みや新規顧客開拓を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、社会のニーズを先取りし自発的に行動する自立型人材の育成を目指しています。従業員持株会を活用したインセンティブ制度や階層別研修の整備、資格取得支援を推進しています。また、経験者採用の強化や、多様な人材が働きやすい職場環境の整備、DX推進による業務効率化に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 39.5歳 16.8年 5,620,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.9%
男性育児休業取得率 20.0%
男女賃金差異(全労働者) 80.1%
男女賃金差異(正規雇用) 83.3%
男女賃金差異(非正規) 34.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動リスク


プラスチック成形事業および成形機事業は、顧客の設備投資動向や資材価格、供給状況の影響を大きく受けます。同社は原価低減や生産技術の高度化により効率的な生産体制を目指していますが、急激な景気変動は業績に影響を与える可能性があります。

(2) シリコンウェーハ生産動向の影響


主力製品である300mmシリコンウェーハ出荷容器の需要は、ウェーハメーカーの生産量や出荷量に連動します。また、デバイスメーカーでのリユース回数増加も需要減退の要因となり得ます。同社は他分野への展開も進めていますが、ウェーハ市場の変動が業績に影響する可能性があります。

(3) 原材料の市況変動および調達リスク


製品の多くは石油化学製品を原料としており、原油価格や物流費の変動がコストに影響します。また、一部製品では特定の原料メーカーの特注グレードを使用しており、供給体制に問題が生じた場合、代替品の確保が困難となり業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。