タカショー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカショー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカショーは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、庭空間を構成する各種庭園資材の製造販売を主力としています。直近の業績では、プロユース事業における非住宅分野の伸長や照明事業の拡大が牽引し、売上高が増加するとともに収益性が大きく改善し、前年同期比で増収増益のトレンドにあります。


※本記事は、株式会社タカショーの有価証券報告書(第46期、自 2025年1月21日 至 2026年1月20日、2026年4月17日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. タカショーってどんな会社?


庭空間を構成するガーデニング資材や屋外照明などの製造・販売をグローバルに展開する企業です。

(1) 会社概要


1980年、和歌山県海南市にて造園および庭園資材の販売を目的として設立されました。1998年には日本証券業協会に株式を店頭登録し、その後海外展開を加速させ、欧州や中国、オーストラリアなどに拠点を設立しました。2018年に東京証券取引所市場第一部へ指定され、現在はスタンダード市場に上場しています。

従業員数は連結で891名、単体で320名です。筆頭株主はタカオカ興産で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は創業者の高岡伸夫氏となっています。

氏名 持株比率
タカオカ興産 9.19%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.87%
高岡伸夫 6.41%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は高岡伸夫氏が務めています。社外取締役は3名で、取締役全体の37.5%を占めています。

氏名 役職 主な経歴
高岡伸夫 代表取締役社長 1975年松本金物入社。1980年同社専務取締役。1989年より同社代表取締役社長。国内外のグループ会社の代表や取締役を歴任し、2019年タカショーデジテック代表取締役会長に就任。
寒川浩 取締役経営管理本部長 1988年同社入社。総務部長や管理本部長を経て、2008年取締役経営管理本部長兼総務部長。グループ会社の代表などを歴任し、2022年8月より取締役専務執行役員経営管理本部長。


社外取締役は、百瀬伸夫(元電通スペース開発部長)、宝田めぐみ(宝田グローバルアドバイザーズ代表取締役)、有江敬寛(ケーティーコンサルティング専務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「欧州」「中国」「韓国」「米国」および「その他」のセグメントで事業を展開しています。

日本


同社グループの中核として、住宅メーカーやホームセンター向けに造園・エクステリア資材、天然竹木製品、屋外照明などを提供しています。一般住宅市場から公共・商業施設などの非住宅分野まで幅広く対応しています。

収益は、製品の販売や空間デザイン、ウェブサイトの企画運営等による売上から構成されています。事業の運営は同社およびタカショーデジテック、GLD-LAB.などの子会社が担い、DXを活用した営業やプロユース向け提案を行っています。

欧州


イギリスやドイツなどの欧州市場において、現地のガーデンセンターやホームセンターなどを通じて、環境に配慮した庭園資材や高付加価値商品を提供しています。日本文化と自然の共生を体現する人工強化竹垣などの提案も行っています。

収益は、提携先や直販チャネルを通じた庭園資材の販売代金から得ています。事業の運営は主に子会社のTakasho UK LimitedやVegTrug Europe GmbH(清算手続き中)が行い、展示会への出展を通じて未開拓地域への営業を展開しています。

中国


中国市場において、国内外向けの庭園資材や照明機器の製造および販売を行っています。自社工場の強みを活かし、コスト競争力の強化や生産効率の向上を図り、グループ全体の製品供給を支える重要な生産拠点としても機能しています。

収益は、製造した製品のグループ内供給および外部顧客への販売代金によって構成されています。事業の運営は佛山市南方高秀電子科技有限公司や江西高秀進出口貿易有限公司などの子会社や関連会社が担い、製造と販売の両面で事業を展開しています。

韓国


韓国市場において、現地のホームセンターや高級住宅、商業施設などをターゲットとし、差別化戦略に基づいた庭園資材の販売を展開しています。

収益は、直送取引などを通じた製品の販売代金から得ています。同社の韓国支店を中心に、現地の市場環境に合わせた営業活動や製品提案を行っています。

米国


米国市場において、大手有力チェーンストアやホームセンターなどの店舗販売チャネルを中心に庭園資材を提供しています。関税対策として現地調達体制の構築も進め、安定供給を図っています。

収益は、製品の販売代金から構成されています。事業の運営は子会社のTakasho USA Inc.が行い、高付加価値商品の提案を通じて中長期的な成長に向けた基盤構築を進めています。

その他


オーストラリアやインド、フィリピンなどの地域において、各国の経済情勢に合わせた庭園資材の販売やデザイン・動画等の制作サービスを展開しています。

収益は、製品の販売や制作サービスの提供による代金から得ています。事業の運営はTakasho Australasia Pty. Ltd.やTakasho Garden Living India Private Limitedなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は194億円から207億円の間で推移しており、堅調な事業基盤を維持しています。利益面では一時的に赤字を計上した時期もありましたが、当期は販売費の効率化や為替差益の寄与により経常利益が大幅に改善し、黒字転換を果たしました。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 208億円 204億円 194億円 199億円 202億円
経常利益 15億円 10億円 3億円 1億円 7億円
利益率(%) 7.4% 4.8% 1.3% 0.4% 3.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 10億円 5億円 -1億円 -2億円 2億円

(2) 損益計算書


売上高は微増ながら、売上総利益率は42%台を維持しています。生産自動化等の先行投資による原価低減効果が現れ、販管費の適正化も進んだ結果、営業利益は前期の赤字から当期は黒字へと大きく改善しました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 199億円 202億円
売上総利益 84億円 86億円
売上総利益率(%) 42.2% 42.4%
営業利益 -2億円 2億円
営業利益率(%) -0.8% 1.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が25億円(構成比30%)、運搬費が11億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別に見ると、主力である日本が全体の約87%を占め、非住宅分野の伸長により増収と大幅な増益を達成しました。中国やその他地域も増収増益または赤字幅の縮小を示しましたが、欧州・韓国・米国は物価高騰等の影響により減収とセグメント損失の計上となりました。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期) 利益(2025年1月期) 利益(2026年1月期) 利益率
日本 173億円 177億円 5億円 9億円 5.1%
欧州 7億円 6億円 -3億円 -4億円 -64.7%
中国 9億円 10億円 -1億円 0.5億円 5.0%
韓国 2億円 2億円 -0.6億円 -0.6億円 -38.6%
米国 5億円 5億円 -3億円 -4億円 -76.7%
その他 3億円 3億円 -0.4億円 -0.4億円 -11.6%
連結(合計) 199億円 202億円 -2億円 2億円 1.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

タカショーは、営業活動で得た資金を積極的に活用し、事業基盤の強化を図っています。営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加し、本業で稼ぐ力が向上していることがうかがえます。一方で、将来の成長に向けた設備投資や資産取得のための支出も見られます。財務活動では、資金調達と返済のバランスを取りながら、安定的な財務基盤の維持に努めています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF -3億円 6億円
投資CF -9億円 -4億円
財務CF 6億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、基本コンセプトとして「やすらぎのある空間づくり」を掲げています。住まいの庭空間を構成する各種庭園資材を提供し、環境との共生や「心で感動する」をテーマに、日本発のグローバルなトータルエクステリア企業として都市環境庭文化を実践し、安定した業績と適正な利益の確保を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「人が成長することにより会社が成長する人材型企業としての職場を実現します」という理念のもと、多様な人材が個性を生かして健やかに働ける環境構築を重視しています。常に変化を先取りして新たな価値を創造し、業界トップ企業としての責任と誇りをもって顧客の信頼を高め、関係の維持増進を図る行動様式を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、具体的な目標とする経営数値を定めていませんが、企業の成長性を判断する指標として「売上高」、収益力を判断する指標として「売上総利益率」および「経常利益率」を重要な指標と位置付け、これらの継続的な向上を目標として経営を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


現場に合わせて提供できる「マスカスタマイゼーション」に基づく商品開発と生産体制を構築し、WEBプラットフォームによる情報発信を強化しています。また、環境に配慮した「スマートリビングガーデン」や「ガーデンセラピー」を基軸とした新市場の創造、DXの推進による業務効率化やサービス向上、物流体制の強化、グローバル市場への展開を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、個々の従業員の技術力や営業力が直接的に業績に影響すると認識し、多様な人材の活躍や働きがいの追求、心身の健康増進を実現するための環境整備を進めています。優秀な人材を確保するため、成功報酬型の給与体制の導入や積極的なジョブ・ローテーション(組織再配置)などを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 42.1歳 14.1年 5,070,158円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.8%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 57.9%
男女賃金差異(正規雇用) 73.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(57.24%)、障がい者雇用率(2.81%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上債権の回収遅延


同社グループは国内外の問屋やホームセンター等に商品を販売しています。債権管理には細心の注意を払っていますが、販売先が予測し得ない財務上の問題に直面した場合、業務や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外国為替相場の変動


商品の約50%を海外(主に中国)からドル・ユーロ等の通貨建てで輸入しているため、仕入原価等が為替レートの影響を受けます。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、予測を超えた為替変動が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料・資材の価格高騰


製品に使用するアルミニウム地金や鋼材等の価格は市況や為替の影響を受けます。価格高騰時はコストダウンや価格転嫁に努めていますが、全てを吸収できる保証はなく、調達コストの増加が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 商品の長期滞留と評価減


多種多様な商品を取り扱う同社は、在庫リスクを負っています。季節変動や天候不順等で売上が予想を下回り、商品在庫の長期滞留や評価減が発生した場合、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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