※本記事は、新都ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第41期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 新都ホールディングスってどんな会社?
貿易事業を中核として、資源循環型社会への貢献を目指す総合リサイクル事業等を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は1984年にカジュアルウェアの企画・販売を目的に設立されました。2004年にジャスダックに上場し、2017年に新都ホールディングスへ社名変更しました。2018年から貿易事業を開始し、2024年には北山商事を子会社化して金属全般のスクラップ・リサイクル事業を強化しています。
現在、同社グループの従業員数は連結で70名、単体で8名となっています。大株主の状況について、筆頭株主は同社取締役で北山商事代表取締役の北山聡明氏、第2位は同社代表取締役社長の鄧明輝氏、第3位は鄧明輝氏が取締役を務める大都(香港)實業有限公司となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 北山 聡明 | 15.89% |
| 鄧 明輝 | 8.56% |
| DADU(HONG KONG)CO.,LIMITED DIRECTOR DENG MINGHUI | 8.52% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は鄧明輝氏が務めています。また、取締役のうち社外取締役が占める割合は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鄧明輝 | 代表取締役社長 | 1992年に大都商会を設立し代表取締役専務に就任。2000年に同社代表取締役社長。2016年に大都ホールディングスを設立し代表取締役社長。2017年より現職。 |
| 塚本雄三 | 取締役 | 2013年に大都商会に入社。アクロス商事、CLICKTECH、奢奢等を経て2021年に同社入社。2021年より現職。 |
| 半田紗弥 | 取締役 | 1994年に東方企画に入社。楽購思商貿易副社長、上海藍翼国際貿易社長などを経て、2017年より現職。 |
| 北山聡明 | 取締役 | 2008年に北山商事を設立し、代表取締役社長に就任。2025年より現職。 |
社外取締役は、下村昇治(下村パートナーズ税理士法人代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「貿易事業」、「アパレル事業」および「不動産関連サービス事業」を展開しています。
■貿易事業
廃プラスチックおよび廃金属のリサイクル資材を中心とした輸出入取引を行っています。日用雑貨品などの輸出に加え、ポリエチレンテレフタレート(PET)の輸入、アルミニウムや銅、ステンレスなどの廃金属や再生製品を取り扱い、資源循環型社会の実現に貢献しています。
国内外の仕入先から再生資源や製品を調達し、販売先企業に提供することで売上を得ています。同社のほか、子会社の大都商会、北山商事、北都金属新材料が事業を展開しており、業界大手とのアライアンスを強化しながら国内外の販売網を拡大し収益の柱としています。
■アパレル事業
カジュアルウェアの企画、国内外のメーカーへの生産委託を行い、卸売を中心とした商品販売を行っています。Tシャツやトレーナーなどのカットソー商品を主力とするほか、中国市場向けにユニフォームブランドの企画や販売も展開しています。
商品の卸売による販売収入のほか、保有するブランドのマスターライセンスを他企業に供与するライセンス業務による収入を得ています。事業の運営は同社が主体となって行うとともに、中国子会社の上海鋭有商貿がユニフォームの企画販売を担っています。
■不動産関連サービス事業
主に中華圏および在日中国人の顧客を対象としたインバウンド不動産事業を展開しています。インバウンド向けの水際対策緩和に伴い購買意欲が回復するなか、海外マネーの獲得に向けた開発や売買、仲介業務などのサービスを提供しています。
顧客に対する不動産の開発、売買、賃貸、仲介業務などを通じて、販売代金や手数料、賃貸料収入を得ています。同社が主体となって事業を展開しているほか、新たに子会社化した北山商事による不動産関連売上もこのセグメントに含まれています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績推移を見ると、売上高は第39期の40億円から第41期には123億円へと急速に拡大しています。利益面では第40期まで経常損失と親会社株主に帰属する当期純損失が続いていましたが、事業再編や北山商事の子会社化などの効果により、第41期には黒字転換を果たしています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48億円 | 40億円 | 63億円 | 123億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | -2億円 | -3億円 | 0.5億円 |
| 利益率(%) | 0.3% | -4.9% | -4.3% | 0.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.8億円 | -1億円 | -5億円 | 0.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が前期の63億円から123億円へと大きく伸長しています。売上総利益も1億円から6億円へと増加し、売上総利益率は2.1%から4.9%に改善しました。販売費及び一般管理費は増加したものの、結果として営業利益は前期の赤字から黒字に転換しています。
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 63億円 | 123億円 |
| 売上総利益 | 1億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 2.1% | 4.9% |
| 営業利益 | -3億円 | 0.4億円 |
| 営業利益率(%) | -4.7% | 0.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.4億円(構成比25%)、発送配達費が0.6億円(同11%)、役員報酬が0.6億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
貿易事業が全体の売上の大部分を占めており、北山商事の子会社化などにより前期比で大幅な増収を達成しました。一方、アパレル事業は売上が減少していますが、不動産関連サービス事業は不動産関連売上の連結などにより大きく伸長しています。
| 区分 | 売上(2024年1月期) | 売上(2025年1月期) |
|---|---|---|
| 貿易事業 | 63億円 | 122億円 |
| アパレル事業 | 0.2億円 | 0.1億円 |
| 不動産関連サービス事業 | 0.1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 63億円 | 123億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -2億円 | 4億円 |
| 投資CF | 0.1億円 | -3億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は23.6%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「お客様には良質な価値あるサービスを。株主様には適正な利益還元を。お取引先様には公正なパートナーシップを。社員には最適な環境と公平な評価を提供する。ことにより、社会貢献を果たし、成長し続けます」を基本使命として掲げています。この使命に基づき、企業の社会的責任(CSR)を果たしながら「総合リサイクル企業」として社会に貢献し続けることを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
利益の追求と環境維持を両立させるビジネスモデルを進化させ、世界の環境負荷の低減に貢献することを目指す企業文化を持っています。地球環境と未来をつなぐ資源の有効利用により社会貢献を果たすことをフィロソフィーとし、ステークホルダーからの信頼を得るために公正で透明性の高い経営を重視し、持続可能な国際社会の実現と中・長期的な企業成長の両立に向けて取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
同社は持続的な成長を図っていく方針であり、そのための重要な経営指標として「総資産経常利益率」および「自己資本比率」を掲げています。具体的には、国内外における売上債権の回転周期を短縮することで資本回転率を向上させて総資産経常利益率を伸長させるとともに、営業黒字による利益の積み上げや資本市場での資金調達を通じて、自己資本比率を適切な水準で保持することを目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
激しく変化する経営環境の中で、持続可能かつ安定した収益の確保が実現できる企業体質を構築するため、本社機能の刷新やグループ企業間事業領域の最適化に取り組んでいます。また、廃プラスチックや廃金属のリサイクル事業の採算性向上を図りながら取扱製品領域の拡大や営業強化を推し進め、グループ企業を含むコーポレート・ガバナンス体制や組織管理体制の強化により、経営品質のさらなる向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本が企業価値創造の重要な源泉であるとの考えのもと、人的資本への投資を重要な経営課題の一つと位置付けています。「人材の多様性尊重」「人材の育成・教育支援」「人権の尊重」および「健全かつ安全な職場環境の整備」を経営課題解決のための4つの柱とし、労働災害の撲滅や柔軟な働き方改革の推進を通じて、多様な人材がのびのびと活躍できる組織づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月期 | 46.2歳 | 1.6年 | 3,930,000円 |
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は常用労働者数が100人以下であり、規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 海外での事業活動リスク
同社グループは海外での事業拡大に取り組んでおり、業績に占める割合も拡大しています。各地域における政治や経済、為替の動向、様々な法的規制、商習慣、社会的混乱などの影響を受けやすく、これらにより海外での事業活動に悪影響が生じた場合、経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 資材調達と為替変動等の影響
リサイクル資材の調達において中国メーカーからの輸入等を行っており、中国国内の環境変化や為替相場の変動が業績に影響する可能性があります。また、輸出や海外取引の多くが米ドルや中国人民元などの外貨建てで行われているため、為替レートの変動が製品のコスト競争力に影響を与えるリスクがあります。
■(3) 価格競争リスク
同社の事業は厳しい価格競争に晒されています。海外企業の国内市場への参入や関税引き下げによる輸入品の流入、国内競合他社の台頭などにより、取り扱う原材料や製品は価格競争を余儀なくされています。同社はコスト低減に努めていますが、価格競争を克服できない場合は経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。



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