新都ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

新都ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

新都ホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、金属リサイクルやプラスチックリサイクルを中心とした事業を展開する企業です。直近の業績では、相次ぐM&Aにより金属リサイクル事業の規模が大幅に拡大し、売上高が前期比で急増して大幅な増収増益となり、黒字転換と成長基盤の強化を実現しています。


※本記事は、新都ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第42期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 新都ホールディングスってどんな会社?


金属・プラスチックのリサイクルを中心とした循環型ビジネスを展開し、M&Aで事業領域を拡大する企業です。

(1) 会社概要


1984年にクリムゾンとして設立され、カジュアルウェアの企画・販売から事業を開始しました。2004年にジャスダックに上場し、2017年に現社名へ変更後、不動産や貿易事業へ進出しました。近年は大都商会や北山商事等の子会社化により、金属・プラスチックリサイクル事業を主力とする体制へ転換しています。

現在の従業員数は連結で121名、単体で10名です。筆頭株主は同社取締役で子会社代表を務める北山聡明氏で、第2位は同じく子会社である栄新商事の会長を務める福田卓也氏、第3位はDADU(HONG KONG)CO.,LIMITEDとなっています。

氏名 持株比率
北山聡明 11.62%
福田卓也 11.25%
DADU(HONG KONG)CO.,LIMITED 6.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は塚本明輝氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
塚本明輝 代表取締役社長 大都商会代表取締役社長や大都ホールディングス代表取締役社長等を経て、2017年4月より現職。
塚本雄三 取締役 大都商会やアクロス商事等を経て、2021年1月に同社入社。2021年4月より現職。
半田紗弥 取締役 楽購思商貿易副社長や上海藍翼国際貿易社長等を経て、2017年4月より現職。
北山聡明 取締役 2008年4月に北山商事を設立し代表取締役社長就任。2025年4月より現職。
沖壮視 取締役 昭和産業やワコム等を経て、2022年6月に同社入社。2026年4月より現職。


社外取締役は、下村昇治(下村昇治税理士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金属リサイクル事業」「プラスチックリサイクル事業」「不動産関連サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 金属リサイクル事業


鉄や銅、アルミニウム、ステンレス等の非鉄を中心とした金属スクラップリサイクル商品の国内販売および輸出入業務を行っています。国内外の金属スクラップ業者から収集された資源をニーズに応じて破砕・選別・圧縮し、国内や中国・東南アジア等へ出荷しています。

収益源は、金属スクラップの販売代金です。運営は主に北山商事、龍一商事、栄新商事などの子会社が行い、各社が連携して仕入・販売チャネルを拡充し、収益性の改善と安定的な収益基盤の構築を図っています。

(2) プラスチックリサイクル事業


PET(ポリエチレンテレフタレート)の輸入や、PET・PP・PE等のプラスチック再生製品の国内販売および輸出入業務を行っています。廃プラスチックを自社工場において分別・解体・粉砕・圧縮・溶解し、再生可能な状態へと加工して出荷しています。

収益源は、加工されたプラスチック再生製品の販売代金です。運営は主に大都商会が行い、環境負荷の低減とカーボンニュートラルの実現に配慮した資源循環ビジネスとして展開しています。

(3) 不動産関連サービス事業


中華圏および在日中国人の顧客を対象とした、インバウンド向けの不動産事業として開発・売買・仲介業務等を提供しています。近年は水際対策の緩和によりインバウンドの購買意欲が回復し、海外マネーの獲得が増加しています。

収益源は、不動産の売買代金や仲介手数料などです。同社が主体となって展開するほか、グループ化を契機として建造物や住宅等の解体事業も不動産関連サービス事業に組み込んで運営しています。

(4) その他事業


従来のアパレル関連事業、日用雑貨品や酒類等の販売・輸出入を担う貿易事業、およびAI事業(GPU機器の国内販売・リース、AIデータセンターの運営等)を展開しています。

収益源は、商品やGPU機器等の販売・リース代金などです。運営は同社や、アパレル事業を担う上海鋭有商貿、AI事業を担う新都AIなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は直近で大幅な増収となっており、M&Aによる金属リサイクル関連の子会社化など事業規模の拡大が寄与しています。経常利益は前期に黒字化を果たし、当期も利益水準を大きく伸ばしていますが、当期利益はマイナスに転じています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 48億円 40億円 63億円 123億円 279億円
経常利益 0.2億円 -2.0億円 -2.7億円 0.5億円 5.4億円
利益率(%) 0.3% -4.9% -4.3% 0.4% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.8億円 -1.5億円 -4.7億円 0.2億円 -1.0億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で倍増以上となり、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率が概ね横ばいで推移する一方、売上拡大による経費吸収効果から営業利益率は改善し、営業利益の大幅な増益を達成しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 123億円 279億円
売上総利益 6.0億円 13.5億円
売上総利益率(%) 4.9% 4.8%
営業利益 0.4億円 5.9億円
営業利益率(%) 0.3% 2.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.6億円(構成比21%)、役員報酬が1.0億円(同13%)、支払手数料が0.9億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である金属リサイクル事業は、買収した子会社の売上が寄与し、大幅な増収を牽引しました。その他事業もAI関連機器の輸出販売が開始されたことで売上が急増しています。一方、プラスチックリサイクル事業は減収となりました。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
金属リサイクル事業 101億円 245億円
プラスチックリサイクル事業 20億円 15億円
不動産関連サービス事業 1.3億円 1.9億円
その他 0.7億円 17億円
連結(合計) 123億円 279億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

新都ホールディングスは、事業運営に必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の維持拡大に必要な資金を内部資金や借入で調達することで安定的に確保されています。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の成長に向けた設備投資やM&A等に活用されると考えられます。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入や返済、株式の発行等を通じて、資金調達と返済のバランスを取るために用いられます。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 3.5億円 -3.5億円
投資CF -2.7億円 -3.6億円
財務CF -1.6億円 12.1億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お客様には良質な価値あるサービスを、株主様には適正な利益還元を、お取引先様には公正なパートナーシップを、社員には最適な環境と公平な評価を提供することにより、社会貢献を果たし、成長し続ける」ことを基本使命として掲げています。持続可能な国際社会の実現と企業成長の両立を目指し、環境負荷低減を明確に意識した「総合リサイクル企業」として資源循環型社会へ貢献することを重要な価値観としています。

(2) 企業文化


公正かつ透明性の高い経営を実践し、すべてのステークホルダーから信頼される企業グループであり続けることを目指す文化を持っています。経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制を構築し、公正かつ誠実な企業活動を実践することで、社会から信頼される企業を目指しています。また、資源の有効活用を通じて地球環境と未来をつなぐことを重んじ、循環型社会の形成に向けた取り組みを推進しています。

(3) 経営計画・目標


経営資源の効果的な配分による利益率の向上と強固な財務基盤の構築を不可欠と考えており、収益性や投資効率の指標として「総資産経常利益率」を、財務バランスの指標として「自己資本比率」を重要な経営指標と位置づけています。国内外の売上債権の回転周期を短縮して資本回転率を向上させるほか、営業黒字を意識した経営による利益の積み上げ等を通じて、これらの指標を適切な水準で保持する方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


脱炭素化や循環経済への移行という世界的な潮流を事業機会と捉え、資源循環ビジネスの深化と事業基盤の強化に取り組んでいます。本社機能を刷新し、グループ企業間の事業領域の最適化を進めて持続可能かつ安定した収益基盤を強化します。また、生産性向上や作業プロセスの改善により製品品質・サービス水準を高めるとともに、M&A戦略を継続し、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した経営を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本が企業価値創造の重要な源泉であるとの考えのもと、人的資本への投資を重要な経営課題の一つと位置付けています。「人材の多様性尊重」「人材の育成・教育支援」「人権の尊重」「健全かつ安全な職場環境の整備」を4本のエンジンとして、労働災害の撲滅や柔軟な働き方改革の推進、多様な人材の登用などを通じて、安全で働きやすい魅力的な組織づくりを目指す方針を掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 49.7歳 1.1年 4,298,000円

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) M&A戦略の推進と子会社の影響


同社はM&A戦略を推進しており、今後も事業機会の創出を継続する方針です。子会社の業績がグループ全体の財務に大きな影響を及ぼす可能性があり、外部環境の急激な変化や子会社の経営管理体制の不備によるリスクが顕在化した場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 価格競争リスクと為替変動の影響


事業は厳しい価格競争に晒されており、海外企業の参入や関税引き下げによる輸入品の流入等がリスクとなります。また、海外取引は外貨建てで行われることが多く、為替レートの変動が競争力に影響を与えるほか、中国国内の環境変化による資材調達への影響が生じる可能性があります。

(3) 有利子負債の増大と資金繰りリスク


事業拡大に向けた用地取得や専用機械、トラックの購入等に伴う設備投資を持続的に行うため、金融機関からの借入等を行っています。有利子負債の増大により元金返済や支払利息が増加し、経営を圧迫して債務不履行等が生じた場合、将来の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

(4) 組織再編と事業構造の転換の遅延


金属リサイクル事業を主体とした製品領域の拡大やプラスチック加工技術を活かし、従前の損失体質から利益体質への転換を図っています。しかし、体質改善や採算性向上の時期が想定より遅れ、計画通りに収益を達成できない場合、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。