※本記事は、クロスプラス株式会社 の有価証券報告書(2026年1月期、2025年2月1日 ~ 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
クロスプラスは、衣料品及びライフスタイル商品の企画・製造・販売を主な事業とし、店舗・ECでの小売販売も展開しています。婦人衣料の製造卸売を主力に、ライフスタイル商品の卸売も拡大しています。
単体従業員数は595名、連結従業員数は705名です。
主な国内グループ会社は、サードオフィス(アパレル製品製造卸売)、アイエスリンク(化粧品製造卸売)、スタイルプラス、ディスカバリープラス(児童発達支援)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
クロスプラスは、アパレル業界において長年の歴史を持つ企業であり、従業員の働きがいとワークライフバランスを重視する姿勢が見られます。多様な人材が活躍できる環境づくりに力を入れ、個々の成長を支援する制度が整備されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を促し、長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,108,000円 |
| 平均勤続年数 | 15.4年 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 単体従業員数 | 595人 |
| 連結従業員数 | 705人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.4% |
同社グループは、確定給付企業年金制度と退職一時金制度、確定拠出制度を採用しています。これらの制度は、同社および連結子会社に適用されています。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は10.6億円、年金資産は8.5億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、社員一人ひとりの成長が持続的な企業価値向上の源泉であると考え、性別や年齢に関わらず多様な個性が活かされる組織づくりを推進しています。経験やキャリアに応じた階層別研修や専門スキル研修を体系的に整備し、さまざまなキャリア形成を支援しています。また、幅広い役割や実務経験の機会を提供することで、多角的な視点を持つリーダー候補の育成にも力を入れています。
社内環境整備においては、多様なスキル・経験・価値観を持つ社員が公正に評価され、互いを尊重しながら個性と能力を最大限に発揮できるよう、心理的安全性の高い組織文化と働きやすい環境づくりに取り組んでいます。新卒・中途採用者向けのオンボーディングプログラム導入や、育児短時間勤務制度の延長、中抜け休暇制度の導入など、柔軟な働き方を支援する制度を拡充しています。男性の育児休暇取得も積極的に促進し、性別やライフステージにとらわれない柔軟な働き方の実現に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。同社では男女平等の原則に基づき賃金規程や昇進・昇給の運用において性別による差を設けていませんが、上位役職者の性別比、職種による性別分布、勤続年数の差異が賃金差異の主な要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 33.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 86.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 91.9% |
人的資本に関する指標と目標
人材育成・社内環境整備は連結子会社各社で行われていますが、規模・制度の違いから一律に記載せず、人材の大多数が所属する同社単体について開示しています。
| 指標 | 目標 | 実績(当連結会計年度) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 35.0% | 33.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異 | 90.0% | 86.3% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
同社グループは、衣料品およびライフスタイル商品の企画・製造・販売を主な事業としています。これに加え、店舗やECサイトでの小売販売も展開しており、多角的なチャネルで事業を運営しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、クロスプラスを中核として、衣料品とライフスタイル商品の製造卸売および小売販売を手掛けています。婦人衣料の製造卸売を主力とし、専門店、量販店、無店舗販売など幅広い販路に展開しています。また、ライフスタイル商品の製造卸売も拡大しており、ドラッグストア、ホームセンター、コンビニエンスストアなどへの販売も行っています。
小売事業では、直営店舗での衣料・雑貨販売に加え、ECサイトを通じて衣料・雑貨・ライフスタイル商品を販売しています。アパレル卸売では、大手GMS向けや無店舗向けの販売が堅調に推移する一方、郊外型専門店向けは苦戦が見られました。ライフスタイル卸売では、新ブランド「Yoki」が順調に拡大したものの、ファッション雑貨の一部が苦戦しました。
小売事業は、アパレル店舗が苦戦する中で、雑貨ショップの好調が継続しています。特に「for/c」のボトムや機能性ブランド「クロスファンクション」のEC販売が大きく伸長し、収益に貢献しています。同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が主要な収益源となっています。また、株式会社しまむらが主要な顧客の一つとなっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高が変動しながらも推移しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した期もありましたが、直近の期間では回復傾向を示しています。売上高は前期から減少したものの、利益面では改善が見られます。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 591億円 | 571億円 | 602億円 | 620億円 | 599億円 |
| 経常利益 | △13.0億円 | 4.1億円 | 19.7億円 | 12.8億円 | 16.4億円 |
| 経常利益率 | △2.2% | 0.7% | 3.3% | 2.1% | 2.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △16.7億円 | 4.5億円 | 20.6億円 | 12.9億円 | 17.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △227.24 | 62.12 | 280.54 | 174.53 | 237.12 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しています。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から増加しており、収益性の改善が進んでいることが示唆されます。これは、売上高の減少があったものの、原価低減や広告宣伝費、販促費などの変動費削減、固定費削減といった収益性改善施策が成果を生み、組織の効率化に繋がっていると考えられます。
| 指標 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 88.7百万円 | 84.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.5百万円 | 2.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
クロスプラスグループの財務状況は、事業活動で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を確保している状態を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は65.5%と、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)も9.7%と、プライム市場平均と同程度の水準を示しています。手元資金である現金及び預金は50.0億円となっており、財務基盤は安定している状況です。これらの数値は、事業の継続性や将来的な成長に向けた投資余力があることを示しています。
| 指標 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 169億円 | 195億円 |
| 自己資本比率 | 61.1% | 65.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 8.0% | 9.7% |
| 現金及び預金 | 43.4億円 | 50.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当連結会計年度は営業活動によるキャッシュフローが9.5億円の収入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出などにより1.2億円の支出となっています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いにより1.7億円の支出となりました。
結果として、本業で得た資金で投資を賄い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは8.3億円の収入を確保しています。前期はフリーキャッシュフローが支出でしたが、当期は改善し、本業で安定的に資金を創出できている状況を示しています。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた基盤を維持していることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる要素であると考えられます。
| 項目 | 2025年1月期(前期) | 2026年1月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △4.9億円 | 9.5億円 |
| 投資CF | 2.3億円 | △1.2億円 |
| 財務CF | △11.1億円 | △1.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △2.5億円 | 8.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、衣料品を扱っているため、消費低迷や天候不順が販売不振や販売価格の低下をもたらし、業績に影響を与える可能性があります。また、ファッショントレンドや消費者嗜好の変化に対応できない場合にも、販売不振により業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、個人情報や秘密情報を保有しており、人為的ミスやサイバー攻撃等による情報漏洩のリスクがあります。情報管理の徹底や社員への教育を行っていますが、万一情報が外部漏洩した場合には、業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
クロスプラスは、「夢と喜びあふれるファッション」を提供し、豊かな社会の創造に貢献することを目指す企業です。共存共栄を旨とし、社員一人ひとりの個性や能力を尊重しながら、常に前向きに挑戦する企業風土を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
クロスプラスグループは、「共存共栄を旨とし、商道を通じ社会に貢献する」ことを社訓としています。経営理念には「夢と喜びあふれるファッションを提供し、豊かな社会の創造に貢献します」を掲げています。
長期ビジョンとしては、「ファッションの力で、ライフスタイルの新たな可能性を開く」企業を目指しています。このビジョンを実現するため、「いつもの毎日に、彩りとよろこびを。」をスローガンとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
クロスプラスグループは、お客様第一の行動を重視し、美しくありたい、楽しく幸せでありたいお客様へ価値ある商品を提供することを経営基本方針としています。社員一人ひとりの個性や能力を発揮する環境を整え、社員を大切にする姿勢も示されています。常に新しく、前向きに、高い目標にチャレンジする姿勢を大切にしています。
企業行動指針では、すべてのお客様に夢と喜びを安全な商品とサービスに託して届けることを目的としています。社会の一員として法令や規則を遵守し、株主に対して誠実かつ信頼のおける経営で応えることを責任ある企業活動としています。人権を尊重し、ハラスメントを行わず、意欲ある人材の育成に努め、成果を重視し公正な評価を行うことを掲げています。
また、企業情報を適切に管理し、広く社会とのコミュニケーションを行い、適時・適切に開示することも行動指針の一つです。サステナビリティを経営上の重要課題と認識し、心理的安全性の高い組織文化と働きやすい社内環境の整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
クロスプラスグループは、サステナビリティに関する重要課題として「環境に配慮するものづくり」「暮らしと社会の懸け橋」「一人一人が輝くワークライフ」の3つを特定し、取り組んでいます。環境配慮型素材の利用促進やリサイクル・リユースの促進、資材・副資材の循環利用の促進を進めています。
自治体との地方創生や企業とのコラボレーション企画、工場の監査とトレーサビリティ管理を通じて、社会とのつながりを深めています。ワークライフバランスの推進やQOL(生活の質)の向上、働きがいの向上と挑戦しやすい環境の整備にも力を入れています。
人材育成においては、社員一人ひとりの成長が企業価値向上の源泉であると考え、性別や年齢に関わらず多様な個性が活かされる組織づくりを推進しています。経験やキャリアに応じた階層別研修や専門スキル研修を体系的に整備し、多角的な視点を持つリーダー候補の育成にも注力しています。社内環境整備では、多様なスキル・経験・価値観を持つ社員が公正に評価され、能力を最大限に発揮できるよう、心理的安全性の高い組織文化と働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
クロスプラスは、監査等委員会設置会社として、取締役会による監督機能の強化と、執行役員制による迅速な業務執行を両立させています。これにより、経営の意思決定と業務執行の役割分担を明確にしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
クロスプラスの株主構成を見ると、筆頭株主は個人株主である辻村隆幸氏です。上位には事業会社が名を連ねるほか、同社の社員持株会や関連会社と見られる有限会社シーピーモアー、シーピーホールディングスも上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 辻村 隆幸 | 8.07% |
| 田村駒 | 4.34% |
| ヤギ | 3.31% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 3.03% |
| クロスプラス社員持株会 | 2.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は山本大寛氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 大寛 | 代表取締役 社長 | 2008年1月に同社に入社後、執行役員を経て2014年4月に代表取締役社長に就任。2019年2月より現職。 |
| 西尾 祐己 | 専務取締役 営業担当 | 1988年4月に同社に入社し、執行役員、常務執行役員を経て、2019年4月に常務取締役営業担当に就任。2024年4月より専務取締役営業担当、2025年2月より現職。 |
| 大口 浩和 | 専務取締役 営業担当 | 1988年4月に同社に入社し、執行役員、常務執行役員を経て、2019年4月に常務取締役営業担当に就任。2024年4月より専務取締役営業担当、2025年2月より現職。 |
| 白木 規博 | 常務取締役 管理担当 | 1989年4月に東海銀行(現、三菱UFJ銀行)に入行し、同行一宮支社長を経て2018年8月に同社に入社。執行役員、取締役を経て2023年4月に常務取締役管理担当に就任。2025年2月より現職。 |
社外取締役は、岩井恒彦氏(ワコールホールディングス社外取締役)、竹内俊昭氏(元花王代表取締役専務執行役員・クスリのアオキホールディングス社外取締役)、佐野清明氏(元損害保険事業総合研究所理事長・サウディ石油化学常勤監査役・監査等委員)、鬼頭潤子氏(鬼頭潤子公認会計士事務所開業・岐阜信用金庫監事・アルペン社外取締役・スズキ社外監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が独立した客観的な立場から経営への助言や意見を行うことで、取締役会の審議活性化と監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
クロスプラスの役員報酬制度は、固定報酬、業績連動報酬、および譲渡制限付株式報酬の3つの要素で構成されています。固定報酬は各役員の責任範囲に応じて設定され、業績連動報酬は売上高や利益の達成度を反映しています。また、譲渡制限付株式報酬は、株主との利益意識の共有と中長期的な目標達成への動機付けを目的としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.2億円 | 30.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 10百万円 | 10.0百万円 |
| 社外取締役(監査等委員を除く) | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
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