オーエムツーネットワーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーエムツーネットワーク 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オーエムツーネットワークは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、食肉等の小売業および外食業を展開する企業です。スーパー等のテナントを中心とした食肉小売や焼肉等の飲食店を運営しています。直近の業績は、外食需要の回復等により増収となったものの、原材料価格やエネルギー高騰の影響を受けて減益となりました。


※本記事は、株式会社オーエムツーネットワークの有価証券報告書(第67期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オーエムツーネットワークってどんな会社?


同社は食肉小売業を中核とし、スーパーのテナント出店や焼肉・ステーキ店などの外食事業を展開しています。

(1) 会社概要


1989年に食肉小売業のオオクボとして設立され、1999年に株式を店頭登録しました。2000年にオーエムツーネットワークへ商号変更しています。その後、2011年のステーキ店事業譲受や、2021年のマルチョウ神戸屋、2024年のオオタ総合食品の子会社化など、M&Aも活用しながら継続的に事業を拡大しています。

現在の従業員数は連結で753名、単体で13名です。筆頭株主は親会社で食肉製造・卸売業を営むエスフーズで、第2位はオーエムツーネットワーク取引先持株会、第3位はエムとなっています。

氏名 持株比率
エスフーズ 53.83%
オーエムツーネットワーク取引先持株会 7.87%
エム 3.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は森田竜太郎氏が務めており、社外取締役の比率は約42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
森田竜太郎 代表取締役社長 1997年丸紅畜産入社。2000年オーエムツーネットワーク入社。2022年取締役管理部長を経て、2025年4月より現職。
大竹繁 取締役 1991年セントラルフーズ入社。2003年オーエムツーミート入社。2025年4月同社代表取締役社長に就任し、オーエムツーネットワーク取締役として現職。
外原寿也 取締役 1989年オーエムツーミート入社。2022年同社取締役、2025年4月同社取締役副社長に就任し、オーエムツーネットワーク取締役として現職。
吉村直樹 取締役(監査等委員) 1989年エスフーズ入社。2019年同社取締役経営企画室長兼経理部長などを経て、2021年4月オーエムツーネットワーク取締役(監査等委員)として現職。


社外取締役は、野村雅弘(東銀座綜合法律事務所経営者弁護士)、飯塚順子(弁護士法人遠藤綜合法律事務所所属弁護士)、渡川圭司(フーズハーモニーとがわ代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「食肉等の小売業」および「外食業」を展開しています。

(1) 食肉等の小売業


スーパーマーケット等のテナントを中心とした食肉専門小売店および惣菜店を運営しています。一般消費者に向けて、鮮度管理や衛生管理を徹底した安心・安全な食肉や食肉加工品、惣菜を加工・販売しています。

収益源は一般消費者への商品販売による小売収入です。運営は主にオーエムツーミート、マルチョウ神戸屋、およびオオタ総合食品が行っています。店舗内での加工作業による鮮度の高さや、対面販売によるきめ細やかなサービスを強みとしています。

(2) 外食業


一般消費者に向けて、消費者に密着した食肉関連ビジネスである飲食店を直営店やフランチャイズ店として展開しています。主な業態として、焼肉やしゃぶしゃぶ、ステーキレストランを運営しています。

収益源は店舗における一般消費者からの飲食代金などです。運営は焼肉およびしゃぶしゃぶ店を展開する焼肉の牛太や雄和、ステーキレストランを展開するオーエムツーダイニングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は新規出店やM&A、外食需要の回復などにより継続的に増加傾向にあります。一方で経常利益は2024年1月期をピークに減少しており、直近では原材料価格やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇などの影響を受けて減益となっています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 297.2億円 315.4億円 321.1億円 327.8億円 353.7億円
経常利益 13.1億円 15.1億円 19.3億円 16.8億円 15.8億円
利益率(%) 4.4% 4.8% 6.0% 5.1% 4.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.6億円 4.3億円 5.7億円 6.0億円 4.8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も拡大し、売上総利益率は改善しています。しかし、販売費および一般管理費の増加幅が大きく、営業利益および営業利益率は低下する結果となりました。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 327.8億円 353.7億円
売上総利益 126.5億円 140.4億円
売上総利益率(%) 38.6% 39.7%
営業利益 14.7億円 13.0億円
営業利益率(%) 4.5% 3.7%


販売費および一般管理費のうち、給与手当等が51億円(構成比40%)、テナント経費が19億円(同15%)、地代家賃が11億円(同8%)を占めています。

(3) セグメント収益


食肉等の小売業は新規ディベロッパーとの取り組みや店舗の入れ替えを進め、増収となりました。外食業もインバウンドや大型パーティー需要の取り込み、新規子会社の寄与により大きく売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
食肉等の小売業 240.5億円 248.5億円
外食業 87.3億円 105.2億円
連結(合計) 327.8億円 353.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 12.7億円 14.7億円
投資CF -24.4億円 -3.2億円
財務CF -10.8億円 0.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.4%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「活力ある個人を創造し食文化の向上に貢献する」という社会的使命を全ての活動の指針としています。お客様の満足を追求しお応えする「お客様第一主義」を創業以来の精神とし、食肉小売および外食を主体とした事業活動を通じて、お客様や地域社会などに対して責任を継続的に果たすことを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


食の安心・安全をグループを挙げて取り組むべき課題と位置づけ、日常の鮮度管理や衛生管理の徹底はもちろん、生産履歴のはっきりとした商品や生産者の顔がわかる商品開発を進めています。また、サプライチェーンの中でグループ内外の企業と密接に連携し、安心で安全かつ競争力のある商品を提供することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、株主資本コストを上回るROEを継続して達成することを目標とする経営指標としています。この目標を実現するため、持分法投資損益を除いた売上高経常利益率を安定的に確保することを指針と捉えています。

* 売上高経常利益率(持分法投資損益を除く)5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


食肉小売店をテナントとして展開する事業を中核に、日本一の食肉小売店グループを実現することを目標としています。また、消費者に密着した外食事業も今後の強化領域と位置づけています。店舗の立地や規模に応じた業態強化を図るとともに、惣菜部門や新業態店舗の開発、および働き方改革とIT技術の活用による収益性向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


多様性を含む人材の育成を進めており、性別や国籍に関係なく適切な人員配置ができるよう人材育成を行っています。女性の活躍支援や外国人人材の積極的な採用、さらに高齢者の継続雇用や新規採用も進めています。また、肉のプロフェッショナルを目指したマイスター制度による資格取得支援など、スキル向上のサポート体制を構築しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 36.4歳 8.8年 4,771,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 72.6%
男女賃金差異(正規雇用) 72.3%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社は女性管理職比率および男性育児休業取得率について、法令による公表義務の対象ではないため有報には本項の記載がありません。また、非正規雇用労働者の男女賃金差異は男性の対象者がいないため算出されていません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性正社員の採用人数比率(26.7%)、グループ全体での正規雇用労働者の男女賃金差異(77.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 食肉の安全性に関するリスク


集団食中毒などの衛生問題や、BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザなどの疫病の発生により、消費者による敬遠ムードが高まった場合、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。日常の鮮度管理や衛生管理の徹底などを通じてリスクの低減に努めています。

(2) 大口ディベロッパーとの取引関係リスク


同社グループの店舗の多くはスーパーマーケットなどのディベロッパー内にテナントとして出店しています。販売実績や総合的な取引関係によっては退店を迫られるリスクがあり、大口先の対応によっては業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(3) 出店政策と競合に関するリスク


国内の多くの地域においてオーバーストアの状態にあり、競合店との競争に打ち勝てない場合、営業収益の悪化や閉鎖コストの増額などで特別損失が膨らむ可能性があります。新店の開設は成長の重要な課題ですが、事業環境の悪化リスクも常に存在しています。

(4) 人材確保・育成に係るリスク


同社グループが更なる成長を目指すには、優秀な人材の確保と育成が不可欠です。事業展開に必要な人材を十分に確保・育成できない場合には、同社グループの事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。