丸千代山岡家 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

丸千代山岡家 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のラーメンチェーン。24時間営業の「ラーメン山岡家」を主要幹線道路沿いに全店直営で展開するラーメン事業が主力です。第32期は、既存店売上高が34ヶ月連続で前年を上回り、売上高は346億円(前期比30.5%増)、経常利益は38億円(同79.7%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社丸千代山岡家 の有価証券報告書(第32期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 丸千代山岡家ってどんな会社?


豚骨ベースの濃厚スープが特徴の「ラーメン山岡家」を、北海道から九州まで全国に直営展開する企業です。

(1) 会社概要


1980年に丸千代商事を設立し弁当FC店を開業した後、1988年に茨城県牛久市に「ラーメン山岡家」1号店を開店しました。1993年に北海道へ進出して株式会社山岡家を設立し、本格的な事業展開を開始。2006年にジャスダック証券取引所へ上場を果たしました。その後、2013年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、市場区分見直しに伴い現在はスタンダード市場に上場しています。

2025年1月31日現在の従業員数は単体で654名です。筆頭株主は創業者の山岡正氏で、第2位は山岡氏の資産管理会社であるMYコーポレーション、第3位はエヌ・ジー・シーです。

氏名 持株比率
山岡 正 17.12%
MYコーポレーション 13.40%
エヌ・ジー・シー 3.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は一由聡氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
一由 聡 代表取締役社長 丸千代商事入社後、営業部長、購買部長、専務取締役営業本部長等を経て、2021年に代表取締役社長兼営業本部長に就任。2023年2月より現職。
荒谷 健一 取締役営業本部長 同社入社後、営業本部各部の部長や管理本部長兼人材開発部部長などを歴任。2021年に取締役管理本部長となり、2023年2月より現職。
太田 真介 取締役管理本部長 財務経理部長、管理本部財務経理部長兼経営企画室長等を歴任。2021年に取締役財務経理部長となり、2024年5月より現職。
大島 正一 取締役経営企画室長 人事総務部、各営業部SVを経て、2017年に経営企画室長に就任。2024年4月より現職。


社外取締役は、南畑泰道(長野県信用組合チーフエキスパート)、坂本尚幸(SCCコンサルティング代表取締役)、斉藤世司典(オーバルマネジメント代表取締役)、渡辺剛(NTS総合司法書士法人社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲食事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 飲食事業(ラーメン事業)


直営によるラーメン専門店「ラーメン山岡家」を運営しています。北海道、関東、東北、東海地区などの主要幹線道路沿いを中心に、全店舗直営かつ24時間営業を基本として出店しています。また、郊外だけでなく都心への展開も可能な業態開発も行っています。

収益は、来店客への飲食提供の対価として得ています。運営は丸千代山岡家が行っており、全店直営とすることで、一定の品質・サービス・清潔さ(QSC)の水準を全店ベースで維持・管理するとともに、店舗のスクラップ・アンド・ビルドを機動的に実施しています。

(2) その他


報告セグメントに含まれない事業として、上記飲食事業以外の事業が含まれます。

収益の詳細な内訳等は記載がありませんが、売上高の規模は全社の1%未満と限定的です。運営は丸千代山岡家が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高は一貫して右肩上がりの成長を続けています。特に直近2期は大幅な増収となり、売上規模は5年前の約2.4倍に拡大しました。利益面でも、経常利益率が2%台から11%台へと劇的に改善しており、高収益体質へと変貌を遂げています。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 143億円 151億円 187億円 265億円 346億円
経常利益 4億円 3億円 6億円 21億円 38億円
利益率(%) 2.6% 2.3% 3.1% 8.1% 11.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 4億円 4億円 14億円 28億円

(2) 損益計算書


売上高が30%以上増加したことで、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しました。特に営業利益は前期比約80%増となり、営業利益率は7.8%から10.7%へ上昇しました。増収効果がコスト増を吸収し、利益率の向上に寄与しています。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 265億円 346億円
売上総利益 188億円 243億円
売上総利益率(%) 71.1% 70.4%
営業利益 21億円 37億円
営業利益率(%) 7.8% 10.7%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が72億円(構成比35%)、給料及び手当が35億円(同17%)を占めています。売上原価については、当期店舗食材仕入高が114億円(売上原価合計の約112%相当、棚卸資産変動前)となっています。

(3) セグメント収益


飲食事業(ラーメン事業)が全社売上のほぼ全てを占めており、同事業の好調が全社業績を牽引しました。既存店売上高の継続的な伸長と新規出店により、主力の飲食事業は前期比で大幅な増収となりました。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期)
飲食事業 264億円 344億円
その他 1億円 1億円
連結(合計) 265億円 346億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**:本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で投資(投資CFマイナス)を行い、同時に借入金の返済(財務CFマイナス)も進めている、財務体質が健全な状態です。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 24億円 30億円
投資CF -14億円 -13億円
財務CF -5億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は53.8%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.1%で市場平均とほぼ同じ水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ 全てのお客様に喜んでもらい、「お客様」「社会」「社員」に必要とされる企業であり続ける」を経営理念としています。従来からの「ラーメンでお客様に喜んでもらう」に加え、「食」を通じて地域貢献を行い、納税や雇用の創出など様々な形で地域社会の発展に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


経営理念を実現するために、「行動指針」と「8つの使命」を策定しており、従業員が自ら行動する上での指針としています。ラーメンは味が第一であるとの認識から、店内調理や直営店運営にこだわり、質の高い商品・サービス・清潔さ(QSC)の維持を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


中長期的な経営の重要指標として、店舗数の純増による売上規模の拡大に加え、事業の収益力を示す営業利益および営業利益率を位置付けています。次期を初年度とする中期経営計画では、以下の目標を掲げています。

* 新規出店:10店舗
* 売上高:390億300万円
* 経常利益:40億8100万円
* 当期純利益:29億5400万円

(4) 成長戦略と重点施策


経営ビジョンである300店舗、47都道府県への展開実現に向け、QSC(品質・サービス・清潔さ)の向上、人材の確保・育成、労務環境の整備などを重点課題としています。

* QSC向上:スーパーバイザー増員による指導強化、衛生管理の徹底、社内コンテストの実施。
* 採用・育成:新卒・中途採用の強化、特定技能外国人材の活用、教育体制の充実。
* 出店・改装:ラーメン山岡家を中心とした新規出店、西日本エリアの開拓、既存店の改装や設備増設。
* その他:農業事業の拡大と品質向上による食材の安定供給。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすい環境に関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な成長のため、店舗運営を行う従業員の成長と働きやすい環境整備を重要課題としています。キャリアアッププログラム「Y-CUP」により目指す方向性を明確化するとともに、週休3日制度や多様な働き方の提示、給与水準引き上げや確定拠出年金の会社拠出額拡充などの福利厚生充実により、人材の確保と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 40.9歳 7.4年 4,340,086円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 6.7%
男女賃金差異(全労働者) 73.2%
男女賃金差異(正規) 83.1%
男女賃金差異(非正規) 112.6%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 豚肉・豚骨への依存度について


同社のラーメンはチャーシュー用の豚肉やスープ用の豚骨など、豚を多く使用しています。仕入先を複数確保しリスク分散を図っていますが、主要食材である豚の安全性に問題が発生した場合、売上原価の高騰など業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保・育成について


直営店の出店拡大には、スーパーバイザーや店舗スタッフの確保・育成が不可欠です。中途・新卒採用や教育担当専任者による研修を行っていますが、人材確保や育成が計画通り進まない場合、サービスの質の維持や店舗展開に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 出店政策について


交通量の多い幹線道路沿いへの出店を基本方針とし、立地条件を重視しています。しかし、条件に合致する物件が確保できず計画通りに出店できない場合や、出店後の周辺環境の変化、競合他社との競争激化などにより、業績に影響が出る可能性があります。

(4) 食品衛生管理と法的規制について


飲食店として食品衛生法の規制を受けており、全店舗への食品衛生管理責任者の配置や衛生検査等を実施しています。しかし、食中毒等の衛生問題が発生した場合や、法規制の強化により新たな費用負担が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。