※本記事は、株式会社丸千代山岡家の有価証券報告書(第33期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 丸千代山岡家ってどんな会社?
直営ラーメン専門店「ラーメン山岡家」を全国展開し、全店舗直営・24時間営業を特徴としています。
■(1) 会社概要
1980年に弁当のFC店を開業した丸千代商事を前身とし、1983年にラーメン事業を開始しました。1988年に現在の原型となる「ラーメン山岡家」を茨城県に開店後、1993年に北海道展開を目的に山岡家を設立しました。2002年に両社が合併して現在の社名となり、2006年にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後も全国各地へ出店エリアを拡大しています。
現在の従業員数は単体で776名です。筆頭株主は創業者の山岡正氏で、第2位はMYコーポレーション、第3位はエヌジーシーとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山岡 正 | 17.77% |
| MYコーポレーション | 13.45% |
| エヌジーシー | 3.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は一由聡氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 一由 聡 | 代表取締役社長 | 1994年丸千代商事入社。取締役営業部長などを経て、2002年同社取締役営業部長。人事総務部長兼経営企画室長などを歴任し、2021年4月より現職。 |
| 荒谷 健一 | 取締役営業本部長 | 2004年同社入社。営業本部西日本営業部部長、人材開発部部長などを経て、2017年4月取締役管理本部長兼人材開発部部長に就任。2023年2月より現職。 |
| 大島 正一 | 取締役経営企画室長 | 2002年10月同社入社。人事総務部人材開発チーム課長などを経て、2014年8月経営企画室副室長。2017年4月経営企画室長に就任し、2024年4月より現職。 |
| 吉村 薫 | 取締役北海道営業部部長 | 2001年ネッツトヨタ道南入社。2005年3月同社入社。北海道営業部SV、第三営業部部長などを経て、2024年2月北海道営業部部長に就任。2026年4月より現職。 |
社外取締役は、南畑泰道(長野県信用組合チーフエキスパート)、坂本尚幸(SCCコンサルティング代表取締役)、斉藤世司典(オーバルマネジメント代表取締役)、渡辺剛(NTS総合司法書士法人社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「飲食事業」を展開しています。
■飲食事業
同社は、直営によるラーメン専門店「ラーメン山岡家」を運営するラーメン事業を主として展開しています。北海道から本州、九州地区の主要幹線道路沿いを中心に、全店舗直営店・24時間営業を基本に出店しています。また、「極煮干し本舗」や「極味噌本舗」などの新業態の開発・運営も行い、来店客の幅広いニーズに応えています。
収益源は、各店舗に来店する一般顧客からの飲食代金です。商品の維持管理とサービスレベルの均一化を図るため、従来通り直営店舗での営業にこだわり、店舗内調理のチェーン店でナンバーワンのブランド構築を目指しています。運営は丸千代山岡家が単体で行っており、農業事業による自社栽培ネギの提供なども進めています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、店舗網の拡大と既存店の好調に支えられ、一貫して右肩上がりの成長を続けています。売上高は151億円から430億円へと大幅に増加し、利益面でも経常利益率が2%台から11%台へと大きく改善しました。最終利益も毎期過去最高を更新するなど、高い収益性を伴った急成長を実現しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 151億円 | 187億円 | 265億円 | 346億円 | 430億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 6億円 | 21億円 | 38億円 | 48億円 |
| 利益率(%) | 2.3% | 3.1% | 8.1% | 11.1% | 11.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 4億円 | 14億円 | 28億円 | 37億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の拡大に伴い売上総利益が大きく増加しており、売上総利益率は約70%と高い水準を維持しています。原材料価格の高騰などで原価率はわずかに上昇したものの、販売費及び一般管理費の効率化が進んだことで、営業利益率も前期を上回る水準で着地し、本業の収益力強化が確認できます。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 346億円 | 430億円 |
| 売上総利益 | 243億円 | 299億円 |
| 売上総利益率(%) | 70.4% | 69.5% |
| 営業利益 | 37億円 | 47億円 |
| 営業利益率(%) | 10.7% | 10.9% |
販売費及び一般管理費のうち、雑給(パート・アルバイト給与など)が92億円(構成比37%)、給料及び手当が43億円(同17%)と人件費が大きな割合を占めています。また、売上原価の多くは店舗食材仕入高などが占めています。
■(3) セグメント収益
同社は「飲食事業」の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載します。新規出店や既存店売上の好調により、売上高は前期比で大きく伸長しました。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 飲食事業 | 346億円 | 430億円 |
| 連結(合計) | 346億円 | 430億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」に該当します。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 30億円 | 51億円 |
| 投資CF | -13億円 | -20億円 |
| 財務CF | -5億円 | -10億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は43.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.4%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「食を通じて、人と地域社会をつなぐ企業へ 全てのお客様に喜んでもらい、「お客様」「社会」「社員」に必要とされる企業であり続ける」を経営理念として掲げています。ラーメンでお客様に喜んでもらうことを起点とし、食を通じた地域貢献や雇用の創出など、様々な形で地域社会の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
経営理念を実現するために、「行動指針」と「8つの使命」を策定し、従業員が自ら行動する上での指針や使命としています。味が第一であるとの認識のもと、商品の維持管理とサービスレベルの均一化を図るため、原則として直営店舗での営業にこだわり、店舗内調理のチェーン店でナンバーワンのブランド構築を目標とする文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
「300店舗・47都道府県への店舗展開」という経営ビジョンを掲げ、着実な事業拡大を通じた企業価値の向上を重要な経営目標と位置付けています。次期を初年度とする中期経営計画では、以下の数値目標を設定し、全社一丸となって計画達成に取り組んでいます。
* 新規出店:15店舗
* 売上高:484億円
* 経常利益:53億円
* 当期純利益:36億円
■(4) 成長戦略と重点施策
店舗網の拡大に向けて、売上好調なエリアへのドミナント出店強化や、全都道府県出店に向けた物件候補地調査を推進しています。また、主にラーメン店を195店舗運営する中で、商品品質や接客、店舗設備・衛生面の改善を継続的に実施し、QSC(商品の品質、サービス、清潔さ)の向上に取り組むことで、持続的な成長と収益基盤の強化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長の実現に向けて、従業員の成長と働きやすい環境の整備を重要課題と認識しています。中途社員の計画的な採用やパート・アルバイトからの社員登用を積極的に進めるほか、キャリアアッププログラム「Y-CUP」を通じた研修やトレーニングセンターの運営など、人的資本への継続的な投資を行い、店舗運営を支える人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 40.9歳 | 7.1年 | 4,359,419円 |
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.0% |
| 男性育児休業取得率 | 15.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 77.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 82.6% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 114.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 豚肉・豚骨への依存度
同社のラーメンはチャーシュー用の豚肉やスープ用の豚骨など、豚を多く使用しています。複数の取引先から調達してリスク分散を図っていますが、主要食材である豚の安全性に問題が発生した場合や仕入価格が高騰した場合には、売上原価の上昇などを通じて同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 立地・出店政策の制約
出店方針は原則として郊外型を主体とし、一定数以上の駐車スペースを確保できる幹線道路沿いを基本としています。立地条件が売上高を大きく左右するため、条件に合致する物件がなく計画通りに出店できない場合や、出店後に周辺環境の変化や同業他社等との競合が発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 人材の確保・育成の遅れ
直営店の出店を推進するためには、店舗スタッフや担当エリアを管理するスーパーバイザーの確保・育成が不可欠です。中途・新卒採用やOJT等の教育を進めていますが、人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、店舗のサービス品質の低下や店舗展開の遅れを招き、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 法的規制や衛生管理問題
飲食店として主に食品衛生法による規制を受けており、安全な食品を提供するために全店舗で衛生管理マニュアルを徹底しています。しかし、法的規制が強化された際の新たな費用負担の発生や、万が一衛生上の問題・食中毒の発生、風評被害等が生じた場合には、同社の業績やブランドイメージに影響を及ぼす可能性があります。



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