※本記事は、株式会社ストリームの有価証券報告書(第27期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ストリームってどんな会社?
同社グループは、インターネット通販事業を中心に生活必需品の販売や物流支援事業を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1999年7月に設立され、2002年にECサイトを「ecカレント」としてリニューアルしインターネット通販へ本格参入しました。2007年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしています。その後、イーベストの完全子会社化や特価COMの事業譲受、エックスワンの子会社化などを経て事業を拡大しました。
現在の従業員数は連結で74名、単体で56名です。筆頭株主は同社とフランチャイズ契約および資本提携を結び、重要な商品仕入先でもある事業会社のヤマダデンキです。第2位株主は劉海涛氏となっており、上位株主には提携先企業や個人名が名を連ねる株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ヤマダデンキ | 20.48% |
| 劉 海涛 | 20.11% |
| ラッキー | 2.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長営業本部長は市村智樹氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 市村智樹 | 代表取締役社長営業本部長 | ベスト電器、ヤマダ電機、エックスワン社長などを経て電響社入社。2025年4月に同社代表取締役社長に就任し、同年7月より現職。 |
| 斉向東 | 取締役管理本部長 | オーテック等を経て2002年同社取締役副社長。営業本部副本部長などを歴任し2025年7月より現職。エックスワン取締役も兼任。 |
社外取締役は、小野浩司(元ベスト電器代表取締役社長)、淵邊善彦(ベンチャーラボ法律事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「インターネット通販事業」、「ビューティー&ヘルスケア事業」、および「その他」事業を展開しています。
■インターネット通販事業
家電、パソコン、周辺機器、デジタルカメラなどを取り扱うインターネット通信販売事業を展開しています。主に「ecカレント」「イーベスト」「特価COM」といった自社サイトのほか、「Yahoo!ショッピング」「楽天市場」「Amazon」などの外部モールを通じて一般消費者向けに商品を販売しています。
収益源は、自社サイトおよび外部モールを通じた商品の販売代金です。また、他社が運営するポイント制度にかかる負担金を控除した純額で収益を認識しています。本事業の運営は同社が直接行っており、効率的なローコストオペレーションシステムを駆使して仕入から配送までの一貫したサービスを提供しています。
■ビューティー&ヘルスケア事業
「XLUXES」シリーズに代表される化粧品や健康食品を中心とした生活必需品の販売事業を展開しています。免税店舗を通じた訪日外国人旅行者向けの卸販売のほか、会員向けのオンラインセミナーや対面講座を通じたきめ細やかなコミュニケーションによる会員向けビジネスを行っています。
収益源は、自社ブランドの化粧品や健康食品の一般消費者向け販売代金、および免税店への卸売代金です。販売手数料などの対価は売上高から控除して計上しています。本事業の運営は、同社の連結子会社であるエックスワンが行っており、商品開発から販売までを手掛けています。
■その他事業
国内免税店舗等でのシステム・物流支援等を行う各種販売支援事業、物流倉庫・受注管理・出荷を包括的に担う3PL事業、不動産の売買・賃貸等に関する仲介事業を展開しています。特に3PL事業では、ネット通販サイト運営で培ったノウハウを活かし、他社の通販事業者向けに柔軟なサービスを提供しています。
収益源は、免税店等への販売支援に対する手数料、3PL事業における物流支援サービスの提供対価、および不動産仲介事業における仲介手数料などです。本事業の運営は同社が行っており、主力事業で蓄積したシステムノウハウや物流インフラを外部向けに展開することで多角的な収益機会を創出しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は第25期に一時的に減少したものの、その後は回復傾向にあり、第27期には直近5期で最高となる水準を記録しています。経常利益と当期利益については減少傾向が続きましたが、第27期は増収効果や販促施策の奏功等により増益へと転じています。利益率は概ね1%前後で推移しており、薄利多売のビジネスモデルであることがうかがえます。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 303億円 | 302億円 | 275億円 | 303億円 | 328億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 4億円 | 2億円 | 2億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 2.2% | 1.2% | 0.6% | 0.8% | 0.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 2億円 | 1億円 | 417万円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で堅調な伸びを示しており、それに伴い売上総利益、営業利益ともに増加しています。一方で売上総利益率は前期からわずかに低下しており、商品ミックスの変化や販促費用の増加が影響していると推測されます。営業利益率は横ばいで推移しており、コストコントロールが維持されています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 303億円 | 328億円 |
| 売上総利益 | 50億円 | 52億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.5% | 15.9% |
| 営業利益 | 3億円 | 3億円 |
| 営業利益率(%) | 0.9% | 0.9% |
販売費及び一般管理費(当期49億円)のうち、広告宣伝費が14億円(構成比28%)、給料手当及び賞与が8億円(同17%)を占めています。売上原価(当期275億円)は、大部分が商品の仕入原価で構成されています。
■(3) セグメント収益
主力のインターネット通販事業は、スマートフォンや家電などの販売が好調で増収増益を牽引しました。一方、ビューティー&ヘルスケア事業は免税店向け卸が堅調だったものの、会員向けビジネスの伸び悩みや人員増強による費用増で減収減益となりました。その他事業は売上が横ばいながら、黒字転換を果たしています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益(2026年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| インターネット通販事業 | 291億円 | 316億円 | 6億円 | 6億円 | 2.0% |
| ビューティー&ヘルスケア事業 | 9億円 | 8億円 | 1億円 | 0.3億円 | 3.2% |
| その他事業 | 4億円 | 4億円 | -0.1億円 | 170万円 | 0.4% |
| 連結(合計) | 303億円 | 328億円 | 3億円 | 3億円 | 0.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ストリーム社の2026年1月期決算におけるキャッシュ・フローの状況を見てみましょう。
同社は、本業である営業活動を通じて、前年度よりも多くの資金を生み出すことに成功しました。一方で、事業拡大や将来への投資のために、設備投資などへの支出は前年度よりも抑えられています。また、財務活動においては、借入金の返済や配当金の支払いなどにより、資金の流出がありました。これらの結果、同社の現金及び現金同等物は、期末において増加しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 9億円 |
| 投資CF | -3億円 | -2億円 |
| 財務CF | -4億円 | -3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は経営の基本方針として、「お客様のライフスタイル作りのサポートとして、『より良い商品』『より良い価格』『より良いサービス』をモットーに、新しい価値観の提案・提供を通して社会の発展に貢献すること」を掲げています。消費者の日常に寄り添い、価値あるサービスを提供することで社会に貢献する姿勢を明確にしています。
■(2) 企業文化
同社は、「既成概念にとらわれることなくチャレンジを続け」ることを重視し、インターネット通販事業を中心に事業活動を行っています。また、独自に開発したローコストオペレーションシステムを駆使し、徹底した効率化と顧客サービスの充実、利便性の高いサービスの提供等に注力する実務的かつ合理的な組織文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、主力であるインターネット通販事業の成長性を計るバロメーターとして、受注件数および資本効率の観点から棚卸資産回転率を重要な経営指標と認識しています。持続的な成長に向けて、これらの指標の達成に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、インターネット通販サイトで培ったノウハウを基に、物流支援サービス(3PL)の強化に努めます。また、SNSを活用した集客導線の拡大や、生成AIを活用した「AIチャット」サービスの導入など新技術への対応を進めます。さらに、中古家電販売サービス「ちゅうとこ」を通じたリユース活動も推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、IT・ネット技術に関する高度な専門スキルと、幅広い視野に基づくコミュニケーション能力を持ち、コストパフォーマンスを意識しながらプロジェクトをマネジメントできる有能な人材の確保および育成を重要な課題と認識しています。潜在能力の高い人材の獲得を進めるとともに、社内の育成環境の強化に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 45.1歳 | 6.4年 | 6,077,388円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット通販市場の競合激化
主力事業のインターネット通販市場は参入障壁が比較的低く、大手家電量販店やネット通販事業者との競争が激化しています。相対的な競争力が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はWEB接客ツールの活用など、付加価値の高いリアル店舗に近いサービス提供により差別化を図っています。
■(2) フランチャイズ契約先への仕入依存
同社はヤマダデンキとフランチャイズ契約を締結しており、家電商品を中心に当期仕入額の大部分を依存しています。同契約が解消されたり、不利な条件に変更されたりした場合、安定的な商品供給に支障が生じ、事業展開や業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 検索サイト等への集客依存とアルゴリズム変動
インターネット通販事業における集客は、価格比較サイトや検索エンジン経由等に大きく依存しています。検索エンジンのアルゴリズム変更等で集客や新規顧客獲得が想定通りに進まない場合、業績に悪影響を及ぼす懸念があります。同社はSNS活用やWEB広告等による集客導線の多角化に取り組んでいます。
■(4) システム障害およびセキュリティリスク
通販事業の運営は通信ネットワークやシステムに大きく依存しているため、アクセス集中、サイバー攻撃、災害等によるシステム機能不全が発生した場合、営業機会の損失や信用の低下を招く恐れがあります。同社はサーバーインフラ強化や脆弱性診断などセキュリティ対策の強化を継続しています。



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