※本記事は、株式会社コーセーアールイーの有価証券報告書(第36期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月9日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. コーセーアールイーってどんな会社?
福岡都市圏を中心に、ファミリー向けおよび資産運用型の分譲マンション開発を展開する不動産会社です。
■(1) 会社概要
1990年に不動産の売買・賃貸の仲介を目的に福岡市でエステート栄和として設立されました。1992年にコーセーへ商号変更し、1993年に「ラフォーレ」シリーズの販売を開始しています。2001年に資産運用型マンションの販売に参入し、2005年に現在のコーセーアールイーに商号変更しました。2007年には福岡証券取引所へ上場を果たしています。
同社グループは連結で81名、単体で69名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者である諸藤敏一氏で、第2位は有価証券の保有および運用などを行う関連会社のTMIトラストです。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 諸藤敏一 | 24.65% |
| TMIトラスト | 20.68% |
| グランフォーレ会 | 2.78% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は諸藤敏一氏です。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 諸藤敏一 | 取締役社長(代表取締役) | 1980年ダイア建設入社。1982年すまい入社、同社専務等を経て1992年より現職。 |
| 山本健 | 専務取締役営業本部長 兼アセットマネジメント営業部長 | 1989年ダイナ入社。クローバーホーム代表取締役等を経て2003年同社入社。2023年より現職。 |
| 西川孝之 | 取締役レジデンシャル営業部長 | 1990年すまい入社。1999年同社入社。常務取締役等を経て2023年より現職。 |
| 國分正剛 | 取締役事業部長 | 1988年住総入社。1996年ダイア建設入社。2006年同社入社。2019年より現職。 |
| 土橋一仁 | 取締役管理部長 | 1986年福岡銀行入社。2018年同社管理部副部長(出向)。2019年同社入社し現職。 |
社外取締役は、井手森生(元監査法人トーマツ・三和税理士法人代表)、柳澤賢二(柳沢法律事務所代表)、森川康朗(元福岡銀行代表取締役副頭取)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ファミリーマンション販売事業」「資産運用型マンション販売事業」「不動産賃貸管理事業」「ビルメンテナンス事業」および「その他」事業を展開しています。
■ファミリーマンション販売事業
福岡都市圏を中心に、首都圏や九州各県の中核市において、高品質を追求した分譲マンション「グランフォーレ」シリーズなどの企画・開発・販売を行っています。戸建や中古ファミリーマンションの販売も含みます。
マンション購入者からの販売代金が主な収益源です。当事業の運営は親会社であるコーセーアールイーが中心となって展開しています。
■資産運用型マンション販売事業
賃貸需要の高い福岡市中心部において、資産運用を目的とした分譲マンション「グランフォーレ」シリーズの企画・開発・販売を行っています。中古資産運用型マンションの販売も含まれます。
投資用マンションの購入者からの販売代金が主な収益源となります。当事業の運営は親会社であるコーセーアールイーが行っています。
■不動産賃貸管理事業
主に同社グループが販売した資産運用型マンションのオーナーから賃貸管理を受託するほか、自社所有ビルの賃貸業を展開しています。
オーナーからの管理委託手数料や、入居者・テナントからの賃料が主な収益源です。運営は親会社のコーセーアールイーと、家賃保証を行う子会社のみらい保証が行っています。
■ビルメンテナンス事業
主に同社グループが供給するファミリーマンションおよび資産運用型マンションの管理事務や、点検・保守などのアフターサービスを受託しています。
マンション管理組合からの管理委託費や工事請負代金が主な収益源です。運営は子会社のアールメンテナンスが行っています。
■その他の事業
報告セグメントに含まれない事業として、不動産売買の仲介業などを展開しています。
不動産取引に伴う仲介手数料が主な収益源となります。運営は親会社であるコーセーアールイーが担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は100億円台で推移していましたが、前期に一部物件の販売の偏り等の影響で落ち込みました。しかし当期は、ファミリーマンションおよび資産運用型マンションの引き渡し戸数が順調に増加したことにより、売上高、経常利益ともに大幅な増収増益へと回復しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 113億円 | 110億円 | 102億円 | 76億円 | 100億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 18億円 | 18億円 | 5億円 | 10億円 |
| 利益率(%) | 11.3% | 16.8% | 18.0% | 6.6% | 9.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 12億円 | 12億円 | 3億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。利益率は若干低下したものの、販売費および一般管理費のコントロールにより、営業利益率の改善につながっています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 76億円 | 100億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.0% | 23.1% |
| 営業利益 | 3億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 4.2% | 7.7% |
販売費および一般管理費のうち、給与・賞与が5億円(構成比31%)、広告宣伝費が4億円(同25%)を占めています。売上原価の多くは販売用不動産の原価等が占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるファミリーマンション販売事業は、複数物件の完成および引き渡しが進み、売上高・利益ともに大幅な増収増益を牽引しました。資産運用型マンション販売事業も新規物件の完成により順調に推移し、管理部門も安定した収益基盤を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益(2026年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ファミリーマンション販売事業 | 37億円 | 63億円 | 1億円 | 7億円 | 11.3% |
| 資産運用型マンション販売事業 | 23億円 | 30億円 | 0.2億円 | 2億円 | 7.9% |
| 不動産賃貸管理事業 | 3億円 | 3億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 20.0% |
| ビルメンテナンス事業 | 3億円 | 4億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 18.1% |
| その他 | 10億円 | 0.7億円 | 4億円 | 0.5億円 | 68.5% |
| 連結(合計) | 76億円 | 100億円 | 3億円 | 8億円 | 7.7% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、プロジェクト開発の進捗及び固定資産の取得に伴い、財務活動により多額の資金調達を行っています。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益はあったものの、棚卸資産の増加により資金の使用となりました。投資活動では、定期預金の払戻しによる収入があったものの、固定資産の取得や定期預金の預入により資金を使用しました。財務活動では、長期借入金の返済はあったものの、それを上回る長期借入れや短期借入金の増加により、多額の資金を獲得しました。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -11億円 | -13億円 |
| 投資CF | -8億円 | -1億円 |
| 財務CF | 17億円 | 18億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「理想の住まいづくり」や「理想のすまいへ飽くなき挑戦」を経営理念として掲げ、高品質を追求した分譲マンションの開発を通じて顧客の住生活を充実させることを使命としています。街並みを変え、地域社会を活性化するなど、社会的な意義を重視した事業運営を行っています。
■(2) 企業文化
「顧客利益の重視」と「コンプライアンス優先」の営業姿勢を基本としています。また、社員の学び直し(リスキリング)を支援するなど、新しいことに果敢にチャレンジする企業風土の醸成を図っており、成果は個人に還元し、成長へのモチベーションを育む好循環を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画(2027年1月期〜2029年1月期)において、適正な利益水準を保持しつつ、資産価値の高いマンションを継続して供給し、堅実な成長を果たすことを目的としています。
* 売上高110億円
* 営業利益6.5億円
* 経常利益7.5億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
ファミリーマンションでは、土地が高騰している福岡都市圏にこだわらずより広域にリサーチし、首都圏でも安定したペースの開発を目指します。資産運用型マンションでは、無理な仕入れは行わず市場動向や賃貸需要を踏まえ開発エリアを柔軟に選定します。また、DX化を推進し生産性向上に取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材の多様化を図り、能力と適性を発揮できる職場を整備することを方針としています。著しい環境変化に対応できる柔軟な経営幹部の育成や、資格取得支援、外部研修受講などを通じたスキルアップを推進しており、総合不動産業としてのビジネスに果敢に挑戦できる人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 41.5歳 | 8.8年 | 6,151,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法的規制等への対応
不動産業界において宅地建物取引業法などの法的規制を受けており、免許の取り消しや法令改正があった場合、事業の継続や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 事業用地の仕入れの競合・コスト高騰
福岡都市圏を中心に事業用地を取得していますが、地価の上昇や他社との競合によって取得が困難になった場合、また着工後に土壌汚染等の問題が発覚した場合、開発計画に支障をきたすリスクがあります。
■(3) 金利上昇に伴う資金調達リスク
マンション開発のために金融機関から多額の資金を調達しており、有利子負債の比率が高い水準にあります。市場金利が想定以上に上昇した場合、支払利息の増加により業績へ悪影響を与える可能性があります。
■(4) 建設工事の外注と建築コスト上昇
マンションの建設は外部の建設会社に委託していますが、人手不足等による想定外の建築コストの上昇や、建設会社の経営破綻、施工品質の欠陥等が発生した場合、プロジェクトに影響を及ぼす恐れがあります。



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