※本記事は、スバル興業株式会社の有価証券報告書(第111期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. スバル興業ってどんな会社?
道路の維持管理・清掃・補修工事を主力事業とし、高速道路事業者や官公庁を主要顧客としています。また、飲食・マリーナ運営のレジャー事業や、所有不動産を活用した不動産事業も展開する多角経営企業です。
■(1) 会社概要
同社は1946年2月に映画興行等を目的として設立され、1949年5月に東証へ上場しました。1964年6月には旧・東京ハイウエイを設立し、道路メンテナンス事業へ進出しています。2005年6月にはハイウエイ開発を子会社化し、道路関連事業を強化しました。祖業である映画興行事業は2019年10月に終了しています。
現在は連結従業員705名、単体221名の体制で事業を行っています。大株主については、筆頭株主は親会社である映画・演劇大手の事業会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 東宝 | 52.78% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.25% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE IEDP AIF CLIENTS NON TREATY ACCOUNT | 3.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は永田泉治氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 小林 憲治 | 代表取締役会長 | 1977年同社入社。道路関連事業本部長、レジャー事業本部長兼不動産経営担当などを歴任し、2004年代表取締役社長に就任。2018年より現職。 |
| 永田 泉治 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1983年同社入社。関西支社技術部長、道路関連事業本部長などを経て、2016年常務取締役に就任。2018年より現職。 |
| 今沢 宏之 | 取締役専務執行役員 | 1985年同社入社。関西支社技術部長などを経て、2018年道路関連事業本部長に就任。現在は同本部長兼管理部長兼技術部長を務める。 |
| 上野 俊明 | 取締役執行役員 | 1993年同社入社。管理本部総務部長などを経て、2022年執行役員管理本部長に就任。2023年より現職。 |
| 太古 伸幸 | 取締役 | 1988年東宝入社。同社グループ経営推進部長などを経て、2021年同社取締役副社長執行役員に就任。2014年より現職。 |
| 早川 健介 | 取締役(常勤監査等委員) | 1988年同社入社。管理本部経理部長、内部監査室長を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、宮家邦彦(外交政策研究所代表取締役)、野元三夏(弁護士)、上村多恵子(京南倉庫代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「道路関連事業」、「レジャー事業」、「不動産事業」を展開しています。
**(1) 道路関連事業**
高速道路事業者や官公庁などを顧客とし、道路の維持管理、清掃、補修などの土木工事を行っています。また、太陽光発電事業も手掛けています。
収益は顧客からの業務委託費や工事代金などで構成されます。運営は同社および東京ハイウエイ、ハイウエイ開発などの子会社が行っています。
**(2) レジャー事業**
飲食事業として店舗運営や売店商品の販売を行うほか、マリーナ事業としてマリーナの管理運営を行っています。一般消費者が主な顧客です。
収益は飲食代金、物品販売代金、マリーナ施設利用料などです。運営は主にスバルラインサポートなどの子会社が行い、同社は物品販売等を行っています。
**(3) 不動産事業**
所有するビルや倉庫、土地などの不動産賃貸を行っています。テナント企業や個人が顧客となります。
収益は賃貸料収入です。運営は同社が行い、子会社のビルメン総業が保守管理や清掃業務を担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は安定的に推移しており、直近5期間では275億円から303億円へと緩やかに拡大しています。経常利益も40億円台から50億円前後で推移し、利益率は15%以上の高水準を維持しています。親会社株主に帰属する当期純利益も安定的に確保されており、堅実な業績動向を示しています。
| 項目 | 2021年1月期 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 275億円 | 290億円 | 289億円 | 292億円 | 303億円 |
| 経常利益 | 41億円 | 45億円 | 52億円 | 49億円 | 49億円 |
| 利益率(%) | 15.0% | 15.4% | 18.0% | 16.9% | 16.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 18億円 | 20億円 | 28億円 | 28億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益状況を見ると、売上高は増加傾向にあるものの、売上原価の増加等により売上総利益および営業利益は微減となりました。売上総利益率は20%台前半、営業利益率は10%台後半を維持しており、依然として高い収益性を確保しています。
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 292億円 | 303億円 |
| 売上総利益 | 70億円 | 70億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.0% | 23.0% |
| 営業利益 | 49億円 | 48億円 |
| 営業利益率(%) | 16.8% | 15.9% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が12億円(構成比57%)、地代家賃が2億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
道路関連事業は増収となったものの、利益は横ばいでした。レジャー事業は一部管理運営業務の終了により減収減益となりました。一方、不動産事業は新規物件取得などが寄与し増収増益となり、高い利益率を示しています。
| 区分 | 売上(2024年1月期) | 売上(2025年1月期) | 利益(2024年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 道路関連事業 | 266億円 | 281億円 | 51億円 | 51億円 | 18.1% |
| レジャー事業 | 18億円 | 12億円 | 2億円 | 0億円 | 3.8% |
| 不動産事業 | 9億円 | 10億円 | 6億円 | 6億円 | 64.5% |
| 連結(合計) | 292億円 | 303億円 | 49億円 | 48億円 | 15.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 42億円 | 35億円 |
| 投資CF | -44億円 | -23億円 |
| 財務CF | -10億円 | -13億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は87.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
創業以来、「社会に奉仕すること」を企業理念として掲げています。道路の維持管理を通じた生活環境整備の推進や、飲食店経営を通じた豊かな生活の提供により、社会の発展に一層貢献することを基本的な考え方として事業活動を行っています。
■(2) 企業文化
「スバル興業グループ行動憲章」に基づき、サステナブルな社会づくりへの貢献を目指しています。また、安全・衛生・安心プロジェクト(技-waza-・新-arata-)を開催し、変革・改革の精神を鍛錬するとともに、DX環境の整備やリスキリングを通じて次世代の働き方を推進する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2025年3月に策定した新たな3カ年計画「中期経営計画2028」において、過去最高の売上高・営業利益の更新とサステナブルな社会づくりへの貢献を目指しています。
* 売上高340億円
* 営業利益55億円
■(4) 成長戦略と重点施策
主力である道路関連事業では、技術者の採用・育成強化による体制整備、年間契約案件の確実な受注、大規模更新・修繕等の単発案件の獲得、環境事業の拡大と新技術開発、コンセッション方式等による新たな業務への参画を推進します。また、不動産事業では優良な新規物件の取得、レジャー事業では収益性向上とサービス拡充に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材不足の解消とダイバーシティの推進に向け、国籍・性別を問わず、新卒および多様なスキルを持つ中途採用を積極的に行っています。また、部下育成研修の強化、実技講習会やリスキリングの実施、DX人材の育成などを通じて、変革・改革の精神を持ち挑戦し続ける人材の育成に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月期 | 44.0歳 | 14.1年 | 7,806,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間有給休暇平均取得日数(9.3日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
**(1) 公共事業への依存に伴うリスク**
売上高に占める公共事業の割合が非常に高いため、国や地方自治体の財政事情による公共事業の削減や、入札競争の激化が発生した場合、受注機会の減少や売上減少につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
**(2) 労働人員不足のリスク**
高齢化社会の進行に伴う労働人口の減少により、技術者をはじめとする労働人員が不足し、受注の確保や円滑な業務遂行に支障をきたす可能性があります。同グループでは外国人労働者を含む採用や資格取得奨励による育成に努めています。
**(3) 労務費及び資機材価格の高騰リスク**
労働人員不足に起因する労務単価の上昇や、地政学的リスクによる燃料・原材料・資機材価格の上昇が続いており、利益を圧迫する可能性があります。適材適所な配置や調達ルートの確保等により対処に努めています。
**(4) 自然災害のリスク**
大規模地震、津波、洪水等の自然災害や事故災害が発生した場合、同グループや主要取引先の事業活動が停止または阻害され、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。安全衛生管理計画に基づく初動対応や後方支援体制を整備しています。



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