スバル興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スバル興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スバル興業は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、道路維持管理や清掃等の道路関連事業を主力に、レジャー事業や不動産事業を展開しています。直近の業績は、売上高が微減となったものの、各事業での収益性向上や価格見直し等により、経常利益・営業利益ともに増益を達成し、堅調な推移を見せています。


※本記事は、スバル興業株式会社の有価証券報告書(第112期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. スバル興業ってどんな会社?


道路の維持管理からレジャー、不動産まで、安定的なインフラとサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1946年に映画興行を目的として設立されました。1949年に東京証券取引所に上場し、1964年には道路の清掃およびメンテナンス事業へと進出しました。2005年にハイウエイ開発を子会社化して道路関連事業を強化し、2008年にマリーナ事業、2012年に太陽光発電事業を開始するなど、多角的な事業展開を進めてきました。

従業員数は連結で704名、単体で213名です。筆頭株主は映画事業などを展開する親会社の東宝で、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は投資ファンドのSIMPLEX OYAKO FUNDです。

氏名 持株比率
東宝 52.74%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.85%
SIMPLEX OYAKO FUND 3.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役会長は小林憲治氏、代表取締役社長社長執行役員は永田泉治氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
小林憲治 代表取締役会長 1977年同社入社。道路関連事業本部長やレジャー事業本部長兼不動産経営担当などを歴任し、2018年4月より現職。
永田泉治 代表取締役社長社長執行役員 1983年同社入社。関西支社技術部長や道路関連事業本部長などを経て、2022年4月より現職。
今沢宏之 取締役専務執行役員道路関連事業本部長兼同本部技術部長 1985年同社入社。関西支社名古屋支店長などを経て、2023年4月より現職。
上野俊明 取締役執行役員管理本部長 1993年同社入社。管理本部総務部長などを経て、2023年4月より現職。
太古伸幸 取締役 1988年東宝入社。同社取締役副社長を経て、2021年5月より東宝取締役副社長執行役員。2014年4月より現職。


社外取締役は、宮家邦彦(外交政策研究所代表取締役)、野元三夏(弁護士)、上村多恵子(京南倉庫代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「道路関連事業」「レジャー事業」「不動産事業」を展開しています。

道路関連事業


道路インフラの維持管理業務、道路土木工事、清掃業務、および太陽光発電事業を提供しています。主な顧客は高速道路事業者や官公庁であり、道路利用者の安全を最優先とし、異常個所の早期発見や迅速な対応による重大事故の未然防止などに強みを持っています。

収益は、顧客である高速道路事業者や官公庁からの業務委託費および工事請負代金として受け取ります。同社のほか、東京ハイウエイやハイウエイ開発などの子会社が運営を担い、一部の業務は子会社間で委託・請負を行っています。

レジャー事業


飲食事業として店舗運営や物品販売を行い、マリーナ事業として浦安マリーナなどの管理運営や渡船・観光船事業を提供しています。飲食店舗の利用者や船舶を係留するオーナー、観光客などが主な顧客です。

収益は、飲食店舗でのサービス提供や商品販売による代金、マリーナ施設での船舶係留料や付帯業務の手数料などから得ています。同社がマリーナ運営や物品販売を行うほか、スバルラインサポートが飲食店の運営管理を行っています。

不動産事業


同社グループが所有する事業用地やオフィスビルなどの賃貸を行っています。オフィスや商業施設に入居するテナント企業、および駐車場などの利用者が主な顧客となります。

収益源は、テナントや駐車場利用者から受け取る不動産の賃貸料収入です。不動産の賃貸は主に同社が行い、所有する賃貸ビルの保守管理や清掃業務は子会社のビルメン総業が担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は概ね290億円前後で安定的に推移しています。利益面では、公共投資が底堅く推移する中で、利益率が15%〜18%の高水準を維持しており、経常利益および当期利益も継続して黒字を確保するなど、強固な収益基盤を確立しています。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 290億円 289億円 292億円 303億円 296億円
経常利益 45億円 52億円 49億円 49億円 50億円
利益率(%) 15.4% 18.0% 16.9% 16.1% 16.7%
当期利益 20億円 28億円 28億円 29億円 31億円

(2) 損益計算書


一部事業における発注抑制などの影響で売上高は減少したものの、レジャー事業や不動産事業での堅調な稼働と収益性向上の取り組みが寄与し、売上総利益および営業利益は増加しています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 303億円 296億円
売上総利益 70億円 71億円
売上総利益率(%) 23.0% 23.8%
営業利益 48億円 49億円
営業利益率(%) 15.9% 16.4%


販売費及び一般管理費のうち、人件費が12億円(構成比57%)、地代家賃が2億円(同8%)を占めています。売上原価においては、道路関連事業の経費が101億円(構成比45%)、外注費が57億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である道路関連事業は公共投資が底堅い一方で、一部案件の減少により売上高が微減となりました。一方、レジャー事業は価格改定やサービス品質の向上により増収となり、不動産事業も既存物件の賃料改定などにより増収を達成しました。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期)
道路関連事業 281億円 272億円
レジャー事業 12億円 13億円
不動産事業 10億円 11億円
連結(合計) 303億円 296億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業で利益を出し、その資金で投資を行いながら借入の返済も進める、手元資金で事業を回すことができる優良企業の状態である「健全型」となっています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 35億円 38億円
投資CF -23億円 -14億円
財務CF -13億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.3%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「社会に奉仕すること」を企業理念のモットー(信条)として掲げています。道路インフラの整備を通じた豊かな生活の提供をパーパス(目的)とし、「持続可能な社会に貢献できる企業であり続けること」をビジョン(将来像)に定めて事業活動を進めています。

(2) 企業文化


「スバル興業グループ行動憲章」のもと、安全で働きやすい環境の確保と、変革の精神を持ち挑戦し続ける人材の育成を重視しています。また、「安全・衛生・安心プロジェクト(AEAP)」を通じて、従業員からの改善提案や新規アイデアを広く募集し、自律的な組織文化の醸成とエンゲージメントの強化を図っています。

(3) 経営計画・目標


より一層の企業価値向上に資するため、2025年に3カ年計画である「中期経営計画2028」を策定し、過去最高売上高および営業利益の更新を目指しています。

* 売上高340億円
* 営業利益55億円

(4) 成長戦略と重点施策


主力の道路関連事業では、自社保有の特殊車両や機械を活かした確実な受注確保に加え、大規模更新・修繕事業の受注拡大やPFI/PPP事業への参画を目指します。また、BIM/CIM等の点群データを活用したDXの推進により施工管理の効率化を図ります。レジャー事業や不動産事業においては、収益性の高い新規店舗・物件の取得とポートフォリオの再評価を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材不足の解消とダイバーシティ推進に向け、国籍・性別を問わず多様な人材の確保に努めています。階層別研修や資格取得奨励、eラーニングによるリスキリングを通じた自律的なキャリア形成を支援するとともに、働き方においてもアクティビティ・ベースド・ワーキングの導入など、柔軟で働きやすい環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 43.1歳 13.2年 7,829,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は関連法令の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 公共事業への依存に伴うリスク


売上高に占める公共事業の割合が高いため、国や地方自治体の財政事情による関連予算の削減、あるいは競合増加による入札競争の激化が発生した場合、大型契約の受注機会が減少し、同社の業績や人員稼働に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 労働人員不足のリスク


高齢化の進行による労働人口の減少により、技術者をはじめとする人材不足が深刻化する懸念があります。適切な労働人員を確保できない場合、工事の受注機会の損失や円滑な業務遂行に支障をきたし、事業継続に影響を与える可能性があります。

(3) 労務費及び資機材価格の高騰リスク


労働人員不足に起因する労務単価の上昇や、地政学的リスクに伴う燃料・原材料費、各種資機材価格の高騰が長期化した場合、工事原価等の経費が増加し、同社グループの利益水準を圧迫する可能性があります。

(4) 法的規制に関するリスク


建設業法や独占禁止法などの関連法令の遵守が求められます。実際、同社は過去に独占禁止法違反の疑いで立入検査を受けた事実があり、重大な法令違反が発生した場合は、指名停止処分等による受注機会の減少や社会的信用の失墜を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。