※本記事は、株式会社ユークスの有価証券報告書(第34期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ユークスってどんな会社?
家庭用ゲームやXRなどのデジタルコンテンツの企画・開発を主力とするエンタテインメント企業です。
■(1) 会社概要
同社は1993年にコンピュータソフトウェアの企画・開発等を目的として有限会社として設立され、1996年に株式会社へ組織変更しました。2001年には大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場に株式を上場しています。2016年にユークスミュージックを設立し、直近の2025年にはアクアプラスの全株式を取得して完全子会社化するなど、継続的に事業領域の拡大を図っています。
現在の従業員数は連結で333名、単体で214名です。大株主の状況は、筆頭株主が事業会社のトラッドで37.12%を保有しており、第2位は創業者の谷口行規氏、第3位は自社の従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| トラッド | 37.12% |
| 谷口 行規 | 8.95% |
| ユークス従業員持株会 | 2.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は谷口行規氏が務めています。社外取締役の比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷口 行規 | 代表取締役社長 | 1993年2月ユークス有限会社代表取締役社長。1996年6月同社組織変更に伴い代表取締役社長。ファイン、アクアプラスの代表取締役会長を経て現職。 |
| 橋木 孝志 | 取締役開発本部 本部長 | 1991年4月CSK入社。1997年1月同社入社、同年2月取締役。ファイン代表取締役社長、同社システム担当、管理担当などを経て、2024年10月より現職。 |
| 宮地 大輔 | 取締役 | 1996年7月TOY'S FACTORYプロデューサー契約。フォーミュラミュージックエンタテインメント代表取締役、DICE代表取締役等を経て、2022年4月より現職。 |
| 吉原 謙太 | 取締役コーポレート本部 本部長 | 1999年10月Deloitte&Touche LLP入社。グリー等を経て2023年2月同社入社。2024年10月コーポレート本部本部長、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、五島洋(弁護士法人飛翔法律事務所代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、デジタルコンテンツ事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■デジタルコンテンツ事業
家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、モバイル向けコンテンツの企画・開発・販売や、音楽・映像コンテンツの原盤の企画制作、パチンコ・パチスロの画像開発、ARライブシステムを利用したイベント企画など、幅広いエンタテインメントサービスを提供しています。国内外のゲームパブリッシャー等が主な顧客となっています。
収益は、顧客からの受託開発に伴う開発費のほか、自社開発タイトルの販売やIPを活用したライセンス収入から得ています。事業の運営は主に同社が行うほか、ファインやアクアプラスなどのグループ各社がコンテンツの制作・販売や音楽スタジオの運営を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績を見ると、売上高は大型案件の進捗や有無により変動が見られますが、直近では受託開発の受注回復や事業買収効果により大幅な増収を達成しています。利益面では、2024年1月期に一時的に赤字を計上したものの、その後は開発体制の見直しや稼働率の改善が進み、黒字基調へと回復しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 36億円 | 43億円 | 41億円 | 33億円 | 43億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 11億円 | 3億円 | 2億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | 26.7% | 25.4% | 6.9% | 5.0% | 4.3% |
| 当期利益 | 9億円 | 8億円 | -14億円 | 1億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
受注状況の好転と子会社化による事業規模の拡大を背景に、売上高が大きく伸長しています。利益率の高い案件の増加や開発効率の向上により、売上総利益率および営業利益率ともに改善が進んでおり、本業の収益力が高まっていることがわかります。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 33億円 | 43億円 |
| 売上総利益 | 8億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 25.4% | 27.6% |
| 営業利益 | 1億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 4.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3億円(構成比28%)、役員報酬が1億円(同12%)、研究開発費が1億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はデジタルコンテンツ事業の単一セグメントです。当期は、ゲーム分野における受託開発の稼働率改善や、アクアプラスの完全子会社化による自社開発タイトルの売上寄与などにより、全体の売上高が前期比で大幅に増加しました。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| デジタルコンテンツ事業 | 33億円 | 43億円 |
| 連結(合計) | 33億円 | 43億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 8億円 | 1億円 |
| 投資CF | 1億円 | -10億円 |
| 財務CF | -4億円 | 4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均をわずかに下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
唯一無二の価値を創造し、驚きと感動のエンタテインメントで世界中を笑顔にすることを目標としています。既存技術の向上と新技術の研究開発に重点を置き、常に表現力の向上と新しい遊びの提供を目指すとともに、海外企業とも連携し、世界中の多くの人に楽しんでいただける商品を提供することを経営方針に掲げています。
■(2) 企業文化
知りたいという衝動から新しい世界を拡げる「好奇心」、変化や失敗を恐れず挑み可能性を切り拓く「挑戦心」、自ら考え行動し夢をつかむ「主体性」、コンプライアンスを遵守し社会の信頼を築く「誠実さ」、価値観を認め合い幸せの形を進化させる「多様性」という感性を磨き抜くことを大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
事業展開に際しては、高収益体質を目指すために経常利益を増加させることを目標としています。一方で、収益性と資本効率を測る尺度としてROE(株主資本利益率)を重視し、事業投資と株主還元のバランスを取りながら継続的な企業価値の向上を図る方針を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
受託開発事業では、海外営業を含む新規クライアントの開拓や外注・品質管理の徹底により収益性の向上と安定した開発体制の構築を図ります。自社開発事業では、子会社化したアクアプラスの保有IPを活用し、グループ全体でのシナジー創出を推進します。また、すべての事業で予実管理と品質保証を強化しリスクの極小化に努めます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
世界最高品質のコンテンツを生み出すために、人的資本への取り組みを最重要課題と位置づけています。優秀な開発人材の確保・育成・定着に向け、新卒および中途の積極的な採用を継続し、女性や外国人の活躍を推進しています。また、従業員の成長を促すための各種研修の実施や、評価・処遇制度の適宜見直しを行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 38.8歳 | 11.4年 | 5,510,415円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女の賃金の差異 | - |
※労働者の男女の賃金の差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 感染症および世界情勢の影響
新型コロナウイルスのような感染症の再流行や世界情勢の変動により、開発プロジェクトの遅延や中断、ARライブなど各種イベントの中止や延期が発生する可能性があります。これにより、同社グループの業績に影響が及ぶリスクがあります。
■(2) 優秀な人材の確保と育成
急速な技術革新に対処し質の高いコンテンツを開発するには、優秀な技術者や柔軟な発想を持つ新卒者の確保と育成が不可欠です。求める人材の確保ができない場合や育成が十分でない場合、開発力の低下を招き業績に影響を与える懸念があります。
■(3) 知的財産権の侵害
商品やサービスには多くの知的財産権が関わっています。他者の権利使用時の調査には万全を期していますが、第三者から権利侵害の訴訟を提起された場合、予期せぬ追加費用の発生やサービスの提供停止など、事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 新技術や新型ゲーム機への対応遅れ
家庭用ゲーム機の高性能化に伴い、開発期間の長期化と費用の高騰が進んでいます。新型ゲーム機への技術対応が遅れたり、新型機の市場浸透が想定を下回ったりした場合、ソフトの発売遅延や制作費の回収不能が生じ、業績に影響を与えるリスクがあります。



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