**記事タイトル:ミサワ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**
※本記事は、株式会社ミサワの有価証券報告書(第67期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミサワってどんな会社?
同社は「unico」ブランドを中心に、家具やインテリア雑貨の企画開発から販売までを一貫して手がけています。
■(1) 会社概要
同社は1959年に三沢精機製作所として設立され、当初は精密機械の製造販売を行っていましたが、1988年にミサワへと商号変更し輸入雑貨の卸小売事業に参入しました。1998年には第1号店となるunico代官山をオープンし、現在の主力となるunicoブランドが誕生しました。2011年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2016年にはセカンドブランド「unico loom」を立ち上げるなど事業を拡大しています。
現在の従業員数は166名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長を務める三澤太氏で、第2位および第3位の株主も同社の取締役が名を連ねるなど、経営陣による保有比率が高い資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三澤 太 | 41.00% |
| 飯塚 智香 | 6.20% |
| 尾張 睦 | 2.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は三澤太氏が務めており、社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三澤 太 | 代表取締役社長 | 1984年報知新聞社入社。1986年ミサワ入社、取締役。1994年より現職。 |
| 飯塚 智香 | 取締役デザイン企画本部管掌兼デザイン企画本部本部長 | 1986年近代ビル管理入社。1988年ミサワ入社。2000年取締役。2020年より現職。 |
| 尾張 睦 | 取締役商品管理本部管掌兼商品管理本部本部長 | 1984年ジャックス入社。1989年ミサワ入社。2017年取締役。2020年より現職。 |
| 鈴木 裕之 | 取締役管理本部管掌兼unico事業本部管掌兼管理本部本部長 | 1993年第一生命保険相互会社入社。2002年ネクストジェン入社。2009年ミサワ入社。2020年より現職。 |
社外取締役は、関根章雄(元住友セメント内部監査室長)、宮本久美子(和田倉門法律事務所パートナー)、粟澤元博(粟澤税務会計事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「unico事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) unico事業
家具・ファブリック等およびインテリア・雑貨等の企画・販売を行っています。「自分にも地球にも心地良い、健康で感性豊かなライフスタイルの普及」という理念のもと、「unico」および「unico loom」ブランドを通じ、20代中盤から40代をメインターゲットに、情緒的で心の満足を追求するライフスタイルの提案を行っています。
収益源は、直営店やオンラインショップ、法人開発部門等を通じた商品の販売代金です。ほぼ全ての家具やファブリック商品の企画開発を自社で行い、製造は国内外の協力工場へ委託しています。事業の運営はミサワが行っており、品質と価格のバランスを重視したコストコントロールにより付加価値の高い商品を提供しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は110億円台から120億円台へと推移していますが、直近では適正在庫維持のための仕入調整等により微減となっています。利益面では、2024年1月期に一時的な落ち込みが見られましたが、その後は回復傾向にあり、経常利益率は概ね安定的に推移しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 116億円 | 122億円 | 121億円 | 126億円 | 122億円 |
| 経常利益 | 10億円 | 5億円 | 0.5億円 | 3億円 | 3億円 |
| 利益率(%) | 8.7% | 4.3% | 0.4% | 2.6% | 2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 3億円 | 0.1億円 | 2億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は50%前後で安定して推移しています。一方、営業利益率は前期から低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 126億円 | 122億円 |
| 売上総利益 | 63億円 | 62億円 |
| 売上総利益率(%) | 49.8% | 51.0% |
| 営業利益 | 3億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が14億円(構成比24%)、従業員給料及び手当が14億円(同24%)を占めています。
■(3) セグメント収益
unico事業への単一セグメント化に伴い、直営店およびオンラインショップでの販売に注力しています。厳しい競争環境のなか、客数維持および差別化を図ったものの、当期は減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| unico事業 | 126億円 | 122億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)です。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 6億円 |
| 投資CF | -3億円 | -5億円 |
| 財務CF | -1億円 | 2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「自分にも地球にも心地良い、感性豊かなライフスタイルをすべての人に。」を企業理念として掲げています。自分らしい感性を大切にライフスタイルを選択していくことが日々の暮らしの豊かさにつながると考え、商品やサービスを通してさまざまな人にとっての「心地良い暮らし」を叶え、健やかで過ごしやすい社会になることを目指しています。
■(2) 企業文化
「絶えず変化し、ひとところに留まらない、お客様も社員もワクワクして幸せになれる会社」というビジョンを掲げています。好きなことを仕事にするという想いを原点に、自己の成長のために変化を恐れず、積極的に挑戦する姿勢を評価し育成する方針のもと、教育や育成制度に力を入れる文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
企業価値を持続的に高めていくことが経営上の重要課題であると認識し、3年間の中期経営計画を策定しています。持続的に安定した成長を目指し、2027年1月期の目標として以下を掲げています。
* 売上高:132億円
* 営業利益:4億円
* 営業利益率:2.7%
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、展示金額の拡大による顧客接点の濃密化を図り、ファブリック・雑貨等の構成比率を高めて売上と認知の拡大を目指します。また、外部コンサルタントと連携したデジタルマーケティングの機能強化や、全社的なAI導入へのアプローチを開始し、業務の効率化と持続的な成長を実現していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社の成長を支える重要な要素として、人材の確保と育成は不可欠であると位置づけています。採用チームの体制を強化し、即戦力となる実務経験者の中途採用や新卒採用を継続的に行うとともに、評価制度の改定、職場環境の改善、福利厚生の充実を進めています。また、商品知識やコミュニケーション能力を備えた販売員の育成を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 36.0歳 | 7.7年 | 4,922,234円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 59.5% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 82.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 100.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替相場の変動
同社は主要商品である家具の多くを海外の製造委託先で生産・輸入しています。多品種小ロットでの商品開発や将来の為替変動を見込んだ価格設定で対応していますが、想定を超えて為替相場が急激かつ大幅に変動した場合、仕入価格の上昇により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保
自社で企画開発した差別化商品を特定の顧客層に向けて展開する経営戦略を採っているため、ブランドイメージを保ちつつ新商品を企画できる人材が不可欠です。計画通りに必要な時期に適切な人材を確保できなかった場合、事業の成長や業績に影響を与えるリスクがあります。
■(3) ITセキュリティ
生成AI技術の発展やサイバー攻撃の高度化により、情報セキュリティに関するリスクが高まっています。ランサムウェア等の被害による大規模なシステム停止や個人情報の外部漏洩が発生した場合、社会的な信用低下や対応コストの増加により業績に影響を与える可能性があります。



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