※本記事は、株式会社ネオジャパン の有価証券報告書(第33期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネオジャパンってどんな会社?
グループウェア「desknet's NEO」を主力製品とし、企業のDXや働き方改革を支援するIT企業です。
■(1) 会社概要
1992年に設立された同社は、1999年にWebグループウェアの販売を開始し、2012年には現在の主力製品である「desknet's NEO」をリリースしました。2015年に株式を上場し、2019年にはシステム開発を行うPro-SPIREを子会社化しました。2024年にはフィリピンに子会社を設立するなど、海外展開も進めています。
同社グループは、連結従業員数305名、単体164名の体制で事業を展開しています。筆頭株主は、代表取締役社長が代表を務めるプロシードゥスで37.15%を保有し、第2位は元専務取締役の大坪克也氏で9.77%、第3位は社長の齋藤晶議氏で8.86%となっており、創業者を中心とした安定的な株主構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| プロシードゥス | 37.15% |
| 大坪克也 | 9.77% |
| 齋藤晶議(戸籍名:齊藤章浩) | 8.86% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表取締役社長は齋藤晶議氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋藤 晶議 | 代表取締役社長 | 1992年同社設立、代表取締役社長就任。2006年プロシードゥス代表取締役などを兼任し、現職。 |
| 大神田 守 | 常務取締役DX事業部長 | 東芝エンジニアリングを経て2005年入社。プロダクト事業本部長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 常盤 誠 | 取締役管理部長 | 公認会計士。監査法人を経て2007年入社。経理財務担当などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 矢野 裕二 | 取締役技術開発事業部長 | 2000年入社。技術開発事業部担当部長などを経て、2025年4月より現職。 |
| 早馬 一郎 | 取締役営業事業部長 | 図研プロセスデザイン研究所を経て2002年入社。ソリューション営業部長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
社外取締役は、尾崎博史(税理士)、松本滋彦(元日本総合研究所専務)、細川早智子(弁護士・元消費者庁非常勤職員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソフトウエア事業」「システム開発サービス事業」および「海外事業」を展開しています。
■(1) ソフトウエア事業
グループウェア「desknet's NEO」、業務アプリ作成ツール「AppSuite」、ビジネスチャット「ChatLuck」等の開発・販売およびクラウドサービスを提供しています。主に法人や官公庁・自治体などの組織を顧客とし、業務効率化やコミュニケーション活性化を支援しています。
収益源は、クラウドサービスの月額利用料、パッケージ製品のライセンス販売料、およびサポートサービス料等です。クラウドサービスのストック収益が拡大しており、安定的な収益基盤となっています。運営は主にネオジャパンが行っています。
■(2) システム開発サービス事業
企業向けの基幹システムや情報系システムの開発・保守、組込系システムの開発などを行っています。長年培ってきたクラウドインテグレーションやシステムインテグレーションのノウハウを活かし、顧客のニーズに合わせたエンジニアリングサービスを提供しています。
収益源は、システム開発や技術者派遣等の対価として顧客から受け取るサービス料です。運営は、連結子会社のPro-SPIREが行っています。
■(3) 海外事業
ASEAN地域を中心に、同社製品・サービスの販売やクラウドサービスの提供を行っています。また、現地の市場調査やパートナー企業の開拓なども進めています。
収益源は、現地企業への製品ライセンス販売やクラウドサービス利用料です。運営は、米国子会社のDELCUI Inc.や、マレーシア、タイ、フィリピンにある海外子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益率は20%前後の高い水準を維持しており、特に直近期では大幅な増益となり、利益率も向上しました。
| 項目 | 2021年1月期 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 53億円 | 59億円 | 60億円 | 66億円 | 73億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 14億円 | 13億円 | 14億円 | 20億円 |
| 利益率(%) | 17.8% | 23.0% | 22.2% | 20.8% | 28.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 8億円 | 7億円 | 9億円 | 14億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は55%前後で安定しています。営業利益率は当期において大きく改善し、20%台後半の高い収益性を実現しています。
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 66億円 | 73億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 40億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.0% | 55.5% |
| 営業利益 | 13億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 19.6% | 26.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比26%)、広告宣伝費が3.5億円(同17%)を占めています。売上原価においては、人件費、減価償却費などが主要な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
ソフトウエア事業は、主力の「desknet's NEO」を中心としたグループウェアのクラウドサービス提供やライセンス販売などを行っています。クラウドサービスの利用が順調に拡大したこと等により、大幅な増収増益を達成し、グループ全体の業績を力強く牽引しています。
システム開発サービス事業は、子会社の株式会社Pro-SPIREを通じて、企業向けの基幹システム・情報系システムの開発等を行っています。売上高は前年同期とほぼ同水準(0.8%減)を維持したものの、利益面では減益となりました。
海外事業は、ASEAN地域等における自社製品の販売や開発を行っています。当期は新たにフィリピンに子会社を設立するなど事業を拡大しており、ASEAN地域での売上は増加しましたが、米国子会社での開発体制構築や新規子会社立ち上げに伴う先行投資(採用コストや人件費等)がかさみ、営業損失(赤字)が拡大しました。
| 区分 | 売上(2024年1月期) | 売上(2025年1月期) | 利益(2024年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウエア事業 | 45.8億円 | 52.1億円 | 12.2億円 | 20.1億円 | 38.6% |
| システム開発サービス | 20.5億円 | 20.3億円 | 1.0億円 | 0.7億円 | 3.2% |
| 海外事業 | 0.9億円 | 1.3億円 | -0.3億円 | -1.3億円 | - |
| 調整額 | -1.1億円 | -1.1億円 | 0.0億円 | 0.0億円 | - |
| 連結(合計) | 66.2億円 | 72.6億円 | 13.0億円 | 19.5億円 | 26.9% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」の優良企業です。
| 項目 | 2024年1月期 | 2025年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 21億円 |
| 投資CF | -4億円 | -5億円 |
| 財務CF | -4億円 | -15億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念としています。一部の先進企業だけでなく、すべての企業にすぐれたITのメリットを提供することを目指し、社会インフラとしてのビジネスICTツールの普及に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
経営理念を実践するための行動指針として、以下の三つを掲げています。「柔軟な思考と発想で、次世代のニーズをつかむ」「ゼロから何かを生み出す喜びをお客様とともに」「一人ひとりがパイオニア精神を持ち続けること」。これらを重視し、革新的な製品・サービスの開発に取り組む文化があります。
■(3) 経営計画・目標
2030年までに国内グループウェアのトップブランドとしてのポジションと評価を確立することを目指しています。具体的な数値目標としては、シェアNo.1および累計1000万ユーザーの達成を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向けて、クラウドサービスやサポートサービスなどの安定したストック型ビジネスを基盤としつつ、エンタープライズ向け製品のシェア拡大を図ります。また、システム開発サービス事業とのシナジー追求や海外展開にも挑戦します。
* 業務アプリ作成ツール「AppSuite」やビジネスチャット「ChatLuck」の拡販、セットプランによる同時利用の促進。
* 営業拠点の新設検討や人員拡充による営業力の強化。
* クラウドサービスの安定的・効率的な運用体制の構築と、官公庁・自治体のクラウド化に対応するためのセキュリティ認定取得等の推進。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
国内では新卒採用を中心に人材を確保し、優秀な技術者へと育成することを基本方針としつつ、少子高齢化を見据えて即戦力の中途採用も強化しています。海外では中途採用を中心に技術者や営業担当者を確保し、グループ内での人材交流を通じてシナジー創出を図ります。また、健康経営優良法人の認定を受けるなど、社員の健康と働きやすさの確保にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月期 | 36.3歳 | 8.7年 | 5,816,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システムダウン及び情報セキュリティ
同社のクラウドサービスはインターネット通信網に依存しており、自然災害や事故、サイバー攻撃等によるサービス停止や情報漏洩が発生した場合、業績や信用に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、複数のデータセンター利用によるリスク分散やバックアップ体制の整備を行っています。
■(2) 技術者の人材確保と育成
優秀な技術者の採用競争が激化しており、人材の確保や育成が計画通りに進まない場合、事業展開や成長に影響が生じる可能性があります。新卒採用の見直しやダイレクトリクルーティングの活用、社内外の研修充実により、人材の確保と定着に努めています。
■(3) 特定人物への依存
代表取締役社長である齋藤晶議氏は創業以来の経営者であり、事業推進において重要な役割を果たしています。同氏が業務に関与できなくなった場合、事業や業績に影響を与える可能性があります。役員構成の見直しや権限委譲を進め、組織的な経営体制の構築を図っています。
■(4) 海外事業の展開
ASEAN地域を中心とした海外展開を進めていますが、黒字化には時間を要する見込みです。計画通りに売上が拡大しない場合や、各国法規制の変更、社会的混乱などが生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現地経営陣による状況把握とモニタリングによりリスク低減に努めています。



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