※本記事は、株式会社ネオジャパンの有価証券報告書(第34期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ネオジャパンってどんな会社?
ネオジャパンは、グループウェア等のソフトウエア開発とシステム開発サービスを展開するIT企業です。
■(1) 会社概要
1992年2月に設立され、1999年よりWebグループウェアの開発・販売を開始しました。2012年に主力製品である「desknet's NEO」の販売を開始し、その後クラウド提供型サービスの強化を図っています。2015年に東京証券取引所マザーズに上場し、2018年には東証一部へ市場変更しました。また、2019年にはPro-SPIREを連結子会社化し、システム開発事業を拡大しています。
現在の従業員数はグループ全体で322名、単体で163名となっています。大株主の状況を見ると、筆頭株主は代表取締役社長が代表を務める資産管理会社のプロシードゥスで、第2位は前専務取締役の大坪克也氏、第3位は創業者の齋藤晶議氏であり、経営陣や創業関係者による安定した資本基盤を有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| プロシードゥス | 37.09% |
| 大坪克也 | 9.76% |
| 齋藤晶議 | 8.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は齋藤晶議氏が務めており、取締役8名のうち3名(37.5%)が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 齋藤晶議 | 代表取締役社長 | 元日本電信電話公社(現日本電信電話)入社。1992年同社設立。プロシードゥス代表取締役などを経て現職。 |
| 大神田守 | 常務取締役DX事業部長 | 元東芝エンジニアリング(現東芝)入社。同社プロダクト事業本部本部長等を経て現職。 |
| 常盤誠 | 取締役管理部長 | 元太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所。公認会計士。同社執行役員経理財務担当部長等を経て現職。 |
| 矢野裕二 | 取締役技術開発事業部長 | 2000年同社入社。同社技術開発事業部部長、執行役員等を経て現職。 |
| 早馬一郎 | 取締役営業事業部長 | 元図研プロセスデザイン研究所(現図研テック)入社。同社カスタマーサクセス部長等を経て現職。 |
社外取締役は、尾崎博史(尾崎博史税理士事務所所長)、松本滋彦(元日本総合研究所取締役専務執行役員・指名・報酬委員会委員長)、細川早智子(クリアリバー法律事務所共同経営・弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ソフトウエア事業」「システム開発サービス事業」および「海外事業」を展開しています。
■ソフトウエア事業
グループウェア「desknet's NEO」を主力製品とするソフトウエアの開発、クラウドサービスの運営、パッケージ製品のライセンス販売、および関連するカスタマイズやサポートサービスを提供しています。官公庁や大規模ユーザーから中小企業まで、幅広い顧客ニーズに対応しています。
主な収益源は、顧客企業からのクラウドサービス利用料やパッケージライセンス販売の対価、継続的なサポートサービス料です。事業の運営は、ネオジャパンおよび米国子会社のDELCUI Inc.が行っています。
■システム開発サービス事業
顧客企業のIT投資動向を背景に、企業向けの基幹システムおよび情報系システムの開発・保守、さらには組込系システムの開発など、専門技術を活用したシステムエンジニアリングサービスを提供しています。
顧客との準委任契約などに基づき、技術者の労働力を提供することで一定期間にわたり収益を認識するビジネスモデルです。事業の運営は、連結子会社のPro-SPIREが行っています。
■海外事業
ASEAN地域において、ネオジャパンの製品・サービス(グループウェア等)の販売やサポート、現地でのパートナー企業の発掘などを行い、グローバルな事業機会の創出を目指しています。
現地企業向けに「desknet's NEO」および「AppSuite」のクラウドサービスの提供等を中心に収益を得ています。事業の運営は、マレーシア、タイ、フィリピンの海外子会社3社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実な成長を続けており、特に直近の2期間ではクラウドサービスの好調により利益率が大きく改善し、大幅な増収増益を達成しています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 59億円 | 60億円 | 66億円 | 73億円 | 82億円 |
| 経常利益 | 14億円 | 13億円 | 14億円 | 20億円 | 26億円 |
| 利益率(%) | 23.0% | 22.2% | 20.8% | 28.2% | 31.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 8億円 | 7億円 | 9億円 | 14億円 | 18億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は改善傾向にあり、利益率の高いストック型収益の積み上げが収益性の向上に寄与しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 73億円 | 82億円 |
| 売上総利益 | 40億円 | 47億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.5% | 57.6% |
| 営業利益 | 20億円 | 25億円 |
| 営業利益率(%) | 26.9% | 30.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比26%)、広告宣伝費が4億円(同17%)、役員報酬が3億円(同14%)を占めています。また、売上原価の内訳としては、経費が14億円(同66%)、労務費が7億円(同34%)となっています。
■(3) セグメント収益
ソフトウエア事業が価格改定とクラウドサービスの利用拡大により牽引し、全社の増収増益に大きく貢献しています。海外事業は戦略的な投資フェーズにあり損失を計上していますが、売上自体は増加傾向にあります。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益(2026年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトウエア事業 | 52億円 | 62億円 | 20億円 | 25億円 | 40.4% |
| システム開発サービス事業 | 20億円 | 19億円 | 0.7億円 | 0.7億円 | 3.8% |
| 海外事業 | 0.4億円 | 0.8億円 | -0.9億円 | -0.9億円 | -119.5% |
| 連結(合計) | 73億円 | 82億円 | 20億円 | 25億円 | 30.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済や配当支払いを行い、必要な投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 21億円 | 22億円 |
| 投資CF | -5億円 | -5億円 |
| 財務CF | -15億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.9%であり、いずれもプライム市場の平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「リアルなITコミュニケーションで豊かな社会形成に貢献する」ことを経営理念として掲げています。一部の先進企業だけでなく、規模を問わず全ての企業に優れたITのメリットを提供し、社会全体の生産性向上と新しい働き方のサポートを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
経営理念を実践するための行動指針として、「柔軟な思考と発想で、次世代のニーズをつかむ」「ゼロから何かを生み出す喜びをお客様とともに」「一人ひとりがパイオニア精神を持ち続けること」の3つを掲げています。高い技術力を社内に蓄積しつつ、常に新しいITの実用化にいち早く挑戦し続ける姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2030年までに国内グループウェアのトップブランドとしてのポジションと評価を確立し、シェアNo.1、累計1000万ユーザーの達成を目指しています。また、技術的優位性を維持しながら革新的な製品・サービスを適切な時期に市場投入することで、売上高成長率および売上高経常利益率の持続的な向上を目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
クラウドサービスとサポートサービスによる安定したストック型ビジネスの成長と、エンタープライズ向け製品のシェア拡大を成長の基軸としています。また、AI技術の進化に対応し、生成AIプラットフォーム等を活用した製品機能の拡充を進めています。
あわせて、以下の課題への対応を重点施策としています。
・AI技術の進化への対応と競争力の強化
・営業活動の変革と製品・サービス価値の最大化
・クラウドサービスの安定的・効率的な運用体制の構築・維持
・官公庁・自治体のクラウド化への対応
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材の能力を最大限発揮できる機会を提供し、イノベーションを生み出すことを人材戦略の柱としています。少子高齢化を見据え、国内では新卒採用に加えて即戦力の中途採用を強化し、海外でも優秀な人材の獲得を進めます。また、社員一人ひとりの技術力維持・向上のため、OJTと各種研修を充実させるとともに、資格取得奨励制度を通じて自律的な学びを支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 36.3歳 | 9.0年 | 6,154,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、採用者に占める女性の割合(14.3%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システムダウン及び情報セキュリティに係るリスク
同社の提供するクラウドサービスはインターネット通信網に依存しており、自然災害や急激なアクセス増加によるサーバーダウン、データセンター障害等によりサービスが停止するリスクがあります。これに対し、耐性やセキュリティを考慮したデータセンターの選定、複数センターへのリスク分散、定期的なデータバックアップの確保等で対策を講じています。
■(2) AI技術の進展及び競争環境の変化
AI技術の急速な進展により、ソフトウエアの開発手法や提供価値が変化し、大手IT企業や新規参入企業との競争が激化しています。同社の技術開発が市場ニーズの変化に追いつかない場合、競争優位性が低下するリスクがあります。対策として、技術動向の継続的な把握、研究開発投資の強化、外部企業との連携を通じて競争力の維持向上に努めています。
■(3) 特定人物への依存について
創業以来の代表取締役社長である齋藤晶議氏が、事業立案や開発活動の遂行において重要なリーダーシップを発揮しており、同氏への依存度が高い状況にあります。同氏が不測の事態により業務遂行が困難になった場合、事業に影響が及ぶ可能性があります。そのため、社内役員構成の見直しや権限委譲を進め、依存しない経営体制の構築を図っています。



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