※本記事は、株式会社バリューゴルフの有価証券報告書(第22期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. バリューゴルフってどんな会社?
同社は1人でもゴルフ予約が可能なASPサービスを中心に、ゴルフ関連事業や旅行業を幅広く展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2003年のスリーベース設立後、2004年にバリューゴルフとして設立されました。2010年に主力サービス「1人予約ランド」の提供を開始しました。2016年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、その後トラベル事業などのM&Aを推進。直近の2025年には不動産事業へ新たに参入し、事業領域を拡大しています。
現在、同社グループは連結従業員数77名、単体従業員数42名の体制で事業を運営しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は同社創業者の水口通夫氏であり、第2位は事業会社のゼネラルアサヒとなっています。経営陣を中心に安定した資本構成を維持しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 水口通夫 | 36.73% |
| ゼネラルアサヒ | 11.79% |
| 渡辺薫 | 4.63% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長執行役員は水口通夫氏が務めており、社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 水口通夫 | 代表取締役社長執行役員 | 2004年2月同社設立 代表取締役社長就任。2016年9月ジープ取締役就任。2022年4月より現職。 |
| 渡辺和昭 | 取締役専務執行役員 | 2005年1月同社入社 管理部部長。2012年3月スクラム代表取締役就任。2022年4月より現職。 |
社外取締役は、廣田幹雄(元リクルートコスモス取締役)、曽我紀厚(弁護士法人TNLAW代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ゴルフ事業」「トラベル事業」および「その他の事業」を展開しています。
■ゴルフ事業
ゴルファーのニーズに応える各種サービスを提供しています。1人で予約可能な「1人予約ランド」等のASPサービス、フリーペーパーによる広告プロモーション、用品販売を行うECサービス、レッスン施設運営などを展開し、ゴルフ場と一般顧客を繋ぎます。
ASPサービスではゴルフ場から月額利用料と集客に応じた従量課金を受け取り、EC事業では一般顧客から商品代金を収受します。事業運営はバリューゴルフと子会社のジープが共同で行っています。
■トラベル事業
ゴルフと旅行を組み合わせたパッケージツアーや、在日外国人向けのバスツアー、企業の社員旅行・視察旅行などのオーダーメイドツアーを企画販売しています。また、他社パッケージツアーの販売や宿泊手配なども手がけています。
一般顧客や企業からツアー参加代金や手配手数料を収受して収益としています。同事業の運営は、旅行業法に基づく旅行事業を展開する子会社の産経旅行およびエスプリ・ゴルフが行っています。
■その他の事業
広告メディア制作事業、DX推進およびSES事業、不動産事業を展開しています。情報誌の広告・記事制作のほか、自社サービスのシステム開発や外部企業へのIT技術者派遣、ゴルフ場の遊休地を活用した系統用蓄電池施設の開発支援などを行っています。
広告主や外部企業から制作委託料やシステム開発に係る業務委託料、技術提供収入等を受け取ります。各事業の運営は、スクラム、ノア、バリューゴルフがそれぞれ担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績は、売上高が概ね40億円前後で推移し、直近では増収基調にある一方で、利益面は先行投資や原価上昇の影響から低下傾向が続いています。特に直近の当期では、売上高が増加したものの、利益率は1%を割り込み、最終利益は赤字に転落するなど、収益性の改善が課題となる局面を迎えています。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 42.8億円 | 44.4億円 | 36.6億円 | 41.3億円 | 44.3億円 |
| 経常利益 | 1.9億円 | 2.1億円 | 0.5億円 | 0.7億円 | 0.4億円 |
| 利益率(%) | 4.4% | 4.7% | 1.4% | 1.8% | 0.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.2億円 | 1.1億円 | 0.2億円 | 0.1億円 | -0.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の比較では、売上高が増加し売上総利益も伸びていますが、営業利益は減少しています。これは、積極的な事業拡大に向けた先行投資による販売費及び一般管理費の増加が売上総利益の伸びを上回ったことが主な要因であり、営業利益率も低下傾向にあります。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 41.3億円 | 44.3億円 |
| 売上総利益 | 14.7億円 | 15.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.6% | 35.0% |
| 営業利益 | 0.9億円 | 0.5億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | 1.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.9億円(構成比26%)、支払手数料が2.3億円(同15%)、地代家賃が1.7億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のゴルフ事業は、会員数の順調な増加により増収となりましたが、先行投資の影響で微減益となりました。トラベル事業はインバウンド需要や高単価ツアーが牽引し、大幅な増収増益を達成しています。その他の事業もDX推進などが順調で増収増益となりましたが、全社費用の増加が全体の利益を押し下げています。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) | 利益(2025年1月期) | 利益(2026年1月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ゴルフ事業 | 34.2億円 | 35.0億円 | 5.0億円 | 4.9億円 | 14.0% |
| トラベル事業 | 5.0億円 | 6.6億円 | 0.4億円 | 0.4億円 | 6.3% |
| その他の事業 | 2.0億円 | 2.6億円 | 0.1億円 | 0.1億円 | 5.6% |
| 調整額 | -億円 | -億円 | -4.6億円 | -5.0億円 | -% |
| 連結(合計) | 41.3億円 | 44.3億円 | 0.9億円 | 0.5億円 | 1.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
バリューゴルフは、ゴルフ事業、トラベル事業、その他の事業を展開しています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から得られた資金の減少を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資などによる資金の減少を示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減などによる資金の増加を示しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.3億円 | -4.7億円 |
| 投資CF | -0.8億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | -2.7億円 | 4.2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「世の中の『したい』を具現化する」という経営理念を掲げています。同社は、1人予約ランドやゴルフ専門メディア、ECショップなどのサービスを通じて、ゴルフ業界における消費活動を活発化させ、ゴルフに関わるあらゆる人々の希望を具現化してきました。事業を通じて社会課題の解決を図り、持続的な企業価値の向上を実現することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、環境の変化や多様化する消費者ニーズに迅速に対応することを重視し、年齢や性別、国籍等に関係なく能力に応じて積極的に人材を登用する文化を持っています。各事業領域のノウハウを相互に活用し、既存の枠にとらわれない柔軟な発想で、常に世の中にない新たなサービスを生み出していく姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、中長期的に企業価値を継続的に拡大していくため、以下の経営指標の達成を目標として掲げています。
・連結売上高100億円
・連結営業利益10億円
また、ゴルフ事業の主力サービス「1人予約ランド」においては、中長期的に契約ゴルフ場数1,800コース、会員数200万人を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
持続的な成長に向けて、現在は投資回収と利益成長を加速させる「収益化フェーズ」と位置づけています。グループ間の事業連携の強化や独自のAI技術を用いた新サービスの投入により、高収益・低コストな事業構造への転換を推進します。さらに、新規領域である不動産事業でも安定的な収益モデルを確立し、新たな事業の柱を構築していきます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、競争力の源泉は「人」であるとし、人的資本への投資を最重要の経営基盤と位置づけています。少子高齢化やテクノロジーの進化に対応しうる高度な専門性と柔軟な発想を備えた人材の確保・育成が急務としています。適材適所の人事配置や自律的なキャリア形成を支援し、労働生産性と従業員エンゲージメントを高める環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 38.7歳 | 6.3年 | 6,458,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) ゴルフ市場の動向と天候による影響
同社の主力であるゴルフ事業は、屋外レジャーという性質上、台風や猛暑、降雪といった天候や季節変動の影響を大きく受けます。これらによりゴルフ場の利用人数が減少した場合、主力サービスである「1人予約ランド」の従量課金収入が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) トラベル事業における外部環境の変化
トラベル事業は、個人消費や企業の福利厚生などに依存しており、景気動向の影響を受けやすい性質があります。また、渡航先での自然災害や感染症の流行、テロや地政学的リスクの高まりによって旅行需要が低下した場合、ツアー催行の中止などを余儀なくされ、収益が悪化するリスクがあります。
■(3) 新規事業拡大に伴う先行投資の未回収
同社は継続的な企業価値向上のため、不動産事業などの新たな事業領域の拡大やAI分野への先行投資を行っています。しかし、新規分野において競合他社に対して優位性を築けず、期待した収益化が遅れた場合や投資が未回収となった場合、一時的に利益水準が低下するリスクがあります。
■(4) 主要取引先への依存と競合激化
その他の事業における広告メディア制作やSES事業は、特定の情報誌発行会社や大手システム開発会社に取引を依存しています。主要取引先からの発注量減少が業績に影響するほか、インターネットサービス領域において資本力を持つ大手企業が参入することで競合が激化するリスクも存在します。



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