バリューゴルフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

バリューゴルフ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のゴルフ関連サービス企業です。「1人予約ランド」等のゴルフ事業と、ゴルフツアー企画等のトラベル事業を展開しています。直近決算では、会員数増加やインバウンド需要の回復により売上高は41億円と増収し、営業利益・経常利益も増益となりましたが、当期純利益は減益となっています。


※本記事は、株式会社バリューゴルフ の有価証券報告書(第21期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. バリューゴルフってどんな会社?


ゴルフ場予約サービス「1人予約ランド」や専門誌発行を行うゴルフ事業と、旅行企画を行うトラベル事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年に設立され、「月刊バリューゴルフ」の発行業務を開始しました。2010年に主力サービスとなる「1人予約ランド」を開始し、2016年に東証マザーズへ上場しました。その後、2018年に産経旅行を完全子会社化しトラベル事業を強化しています。直近では2024年にエスプリ・ゴルフおよびノアを完全子会社化し、事業領域の拡大とDX推進を進めています。

同グループの従業員数は連結79名、単体40名です。筆頭株主は創業者の水口通夫氏で、第2位は印刷事業などを手掛ける事業会社のゼネラルアサヒです。

氏名 持株比率
水口 通夫 36.69%
ゼネラルアサヒ 15.05%
渡辺 薫 5.14%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は水口通夫氏です。社外取締役比率は28.6%です。

氏名 役職 主な経歴
水口 通夫 代表取締役社長執行役員 2004年2月に同社を設立し代表取締役社長に就任。2016年ジープ取締役就任を経て、2022年4月より現職。
渡辺 和昭 取締役専務執行役員 2005年1月入社。スクラム代表取締役、産経旅行取締役などを歴任し、2022年4月より現職。管理部部長を兼任。


社外取締役は、廣田幹雄(ネクスト・ステージ・ラボ所長)、曽我紀厚(弁護士法人TNLAW代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ゴルフ事業」「トラベル事業」および「その他」事業を展開しています。

ゴルフ事業


「1人予約ランド」をはじめとするASPサービス、ゴルフ専門誌やWEBメディアによる広告プロモーション、ゴルフ用品販売、レッスンサービスなどを提供しています。ゴルフ場やゴルファーを主な顧客としています。

収益は、ゴルフ場からのシステム利用料や広告掲載料、ゴルファーからの商品購入代金やレッスン料などから構成されています。運営は主に同社および株式会社ジープが行っています。

トラベル事業


ゴルフと旅行を組み合わせた「1人予約ゴルフ旅」や海外ゴルフツアーの企画販売、インバウンド向けツアー、オーダーメイドツアーなどを提供しています。個人および法人の旅行者を顧客としています。

収益は、旅行者から受け取る旅行代金や手配手数料などが主な柱です。運営は株式会社産経旅行および株式会社エスプリ・ゴルフが行っています。

その他


ブライダルや旅行関連の広告制作受託、およびIT領域のサービス開発・運用支援(DX推進、SES)を行っています。情報誌発行会社やシステム開発を必要とする企業を顧客としています。

収益は、委託者からの原稿制作委託料や、システム開発・運用にかかる業務委託料、技術提供料などからなります。運営は株式会社スクラムおよび株式会社ノアが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は回復傾向にあり、直近では41億円を超えています。利益面では、経常利益が増益基調にあるものの、当期純利益は減少しており、利益率は低い水準で推移しています。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 43億円 43億円 44億円 37億円 41億円
経常利益 0.9億円 1.9億円 2.1億円 0.5億円 0.7億円
利益率(%) 2.1% 4.4% 4.7% 1.4% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.5億円 1.2億円 1.1億円 0.2億円 0.1億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益が増加し、営業利益も拡大しています。販管費も増加していますが、増収効果により利益率は改善傾向にあります。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 37億円 41億円
売上総利益 13億円 15億円
売上総利益率(%) 35.5% 35.6%
営業利益 0.6億円 0.9億円
営業利益率(%) 1.7% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.6億円(構成比26%)、支払手数料が2.3億円(同17%)を占めています。売上原価については、商品仕入等の費用が主要な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


ゴルフ事業は「1人予約ランド」の会員増などにより増収増益でした。トラベル事業はインバウンド需要の回復や新規子会社の寄与により大幅な増収増益となりました。その他の事業もM&Aにより売上が急拡大していますが、利益貢献は限定的です。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期) 利益(2024年1月期) 利益(2025年1月期) 利益率
ゴルフ事業 33億円 34億円 4.2億円 5.0億円 14.7%
トラベル事業 3.1億円 5.2億円 0.2億円 0.4億円 7.5%
その他 0.4億円 2.3億円 0.2億円 0.1億円 2.3%
連結(合計) 37億円 41億円 0.6億円 0.9億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 0.1億円 -0.3億円
投資CF -0.3億円 -0.8億円
財務CF 1.2億円 -2.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は0.5%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「世の中の『したい』を具現化する」という経営理念を掲げています。ゴルフ事業やトラベル事業など多様なサービスを通じて、ゴルフ業界における消費活動を活発化させるとともに、ユーザーの希望を具現化し、社会へ貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、グループ会社間の事業連携やアセットの有効活用を重視する姿勢を持っています。また、既存事業の枠にとらわれず、デジタル技術を積極的に活用して新たな領域に挑戦し、事業の枠を超えた価値創出に取り組むことを方針としています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは中長期的な目標として、以下の指標を掲げています。これらの達成に向けて、事業連携の強化や経営効率の向上、新規事業の柱の構築などを推進しています。

* 連結売上高100億円
* 連結営業利益10億円
* 自己資本利益率(ROE)10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な企業価値向上に向け、グループ間連携による新サービス創出や経営効率化、不採算事業の見直しを進めています。特にゴルフ業界のDX推進やAI活用に注力し、新たな価値創出を目指しています。また、有利子負債の圧縮による財務基盤強化や、ゴルフ・トラベルに続く第3の事業の柱の構築にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


少子高齢化による労働力減少を見据え、次世代の人材育成と確保を最重要課題としています。特にDX人材の育成を急務とし、ITスキル向上研修や教育プログラムを拡充する方針です。また、魅力的な職場づくりや新報酬制度の構築を通じて、社員の働きがいと能力発揮を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 41.7歳 8.1年 6,077,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ゴルフ市場の動向


同グループのゴルフ事業は売上の約8割を占めており、ゴルファー人口やゴルフ場利用客数の増減に影響を受けます。ゴルフ人口は底堅く推移しているものの、将来的にこれらが期待通りに増加しない場合、中長期的な成長が制約される可能性があります。

(2) 天候・季節変動および自然災害


ゴルフは屋外スポーツであるため、台風、降雪、猛暑などの天候や季節変動の影響を強く受けます。悪天候による予約キャンセルやゴルフ場の一時閉鎖が発生すると、「1人予約ランド」の従量課金収入等が減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 「1人予約ランド」の集客効果


主力サービス「1人予約ランド」の会員数や予約数が大幅に減少した場合、あるいはゴルフ場にとって十分な集客効果が得られなくなった場合、契約解除や更新拒否につながり、同グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(4) トラベル事業の外部環境


トラベル事業は、自然災害、感染症の流行、テロや戦争などの国際情勢、および景気変動による影響を受けやすい特性があります。旅行需要の低下や催行中止が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。