Mマート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

Mマート 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。飲食・宿泊業界等を対象としたBtoBのインターネット市場「Mマート」等の運営を行うeマーケットプレイス事業を展開しています。2025年1月期の連結業績は、売上高13億円(前期比10.5%増)、経常利益5.1億円(同4.7%増)と増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社 Mマート の有価証券報告書(第25期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. Mマートってどんな会社?


飲食業界や宿泊業界などの業者間取引(BtoB)を仲介するインターネット市場を運営する企業です。

(1) 会社概要


2000年に業務用食材卸サイト「Mマート」の運営を目的に設立されました。2003年には厨房機器等を扱う「Bnet」、2008年には食材のアウトレット市場を開設し、事業領域を拡大しています。2018年に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしました。直近では2024年12月に販売と集金の代行を行う「バルル」を開始するなど、新サービスの展開を続けています。

2025年1月31日時点の従業員数は66名です。筆頭株主は創業者で社長の村橋純雄氏、第2位は資産管理会社と見られる法人、第3位は同社取締役です。

氏名 持株比率
村橋 純雄 30.52%
合同会社エムホールディングス 15.54%
宇井 裕希乃 7.77%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は村橋純雄氏、社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
村橋 純雄 代表取締役社長 1954年より飲食業界に従事し、2000年2月に同社を設立。以来、代表取締役社長として経営を牽引。
九谷田 登志恵 常務取締役営業本部長 1990年丸和実業入社などを経て2012年に同社入社。2016年4月より現職。
宇井 裕希乃 取締役業務監理本部長 1992年水口病院入職などを経て2000年同社入社。社長室長などを歴任し2017年1月より現職。


社外取締役は、石田敦信(トキワユナイテッドパートナーズLLPパートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「eマーケットプレイス事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) Mマート


飲食・宿泊・中食業界などの買い手企業と、食材卸・メーカーなどの売り手企業を結ぶBtoBの食材卸サイトです。買い手は原則無料で利用でき、売り手は商品を出品して新規販路を開拓します。豊富な商品群から効率的に食材を仕入れられる点が特徴です。

収益源は、売り手企業から受け取る月額定額の出店料と、取引高に応じたマーケット利用料です。運営は主に同社が行っています。

(2) Bnet


食器、厨房機器、店舗用品などを扱うBtoBの卸サイトです。飲食店などの買い手企業が必要とする備品や設備を取り扱っています。Mマートと同様に、実店舗を持たずに販路拡大が可能となる点が売り手企業のメリットです。

収益源は、売り手企業から受け取る月額定額の出店料です。Mマートとは異なり、マーケット利用料は発生しません。運営は同社が行っています。

(3) 卸・即売市場他、ソクハン


「卸・即売市場他」は食材の余剰在庫や規格外品などを扱うアウトレット市場、「ソクハン」は食器・厨房機器のアウトレット市場です。廃棄ロスの削減や在庫処分を目的とした取引が行われています。

収益源は、売り手企業から受け取るシステム利用料です。定額の出店料は発生せず、売上に応じた出来高制の料金体系となっています。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高、利益ともに右肩上がりの成長を続けています。売上高は7.8億円から13億円へと約1.7倍に拡大し、経常利益も1.8億円から5.1億円へと順調に伸長しています。利益率も高い水準を維持しており、安定した収益基盤を確立していることがうかがえます。

項目 2021年1月期 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期
売上高 7.8億円 9.0億円 9.9億円 12億円 13億円
経常利益 1.8億円 2.7億円 3.5億円 4.8億円 5.1億円
利益率(%) 22.9% 30.0% 35.5% 41.2% 39.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.2億円 1.8億円 2.4億円 3.2億円 3.5億円

(2) 損益計算書


直近2期間の傾向を見ると、売上高の増加に伴い営業利益も増加しており、増収増益基調を維持しています。営業利益率は40%前後の非常に高い水準で推移しており、効率的な事業運営が行われていることが分かります。

項目 2024年1月期 2025年1月期
売上高 12億円 13億円
売上総利益 -億円 -億円
売上総利益率(%) -% -%
営業利益 4.8億円 5.2億円
営業利益率(%) 41.3% 40.3%


販売費及び一般管理費(営業費用)のうち、給料及び手当が3.7億円(構成比48%)、役員報酬が0.7億円(同9%)、地代家賃が0.7億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の「Mマート」が売上高の大部分を占めており、会員数の増加に伴い順調に成長しています。「卸・即売、ソクハン」などのアウトレット市場も需要を取り込み売上を伸ばしています。「Bnet」はやや減少傾向にありますが、全体としては主力事業の成長が業績を牽引しています。

区分 売上(2024年1月期) 売上(2025年1月期)
Mマート 8.7億円 9.9億円
Bnet 1.0億円 0.9億円
卸・即売、ソクハン 1.6億円 1.7億円
その他 0.5億円 0.5億円
連結(合計) 12億円 13億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ現金を借入金の返済や株主還元、投資に充てている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年1月期 2025年1月期
営業CF 4.3億円 3.5億円
投資CF -0.3億円 -0.3億円
財務CF -0.6億円 -0.9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「流通変革のためのインフラを創る」ことを使命とし、生産性が低いとされる流通業界の効率化を図ることを目的に設立されました。インターネット上のオープンマーケットを通じて、大手から中小企業まで業者間取引のあらゆる要望に対応できる市場やシステムを提供し、卸販売の無人化を目指すeマーケットプレイス事業を展開しています。

(2) 企業文化


DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進とともに、全社員の再教育と戦力化を積極的に進める文化があります。過去の知識や経験にとらわれず、柔軟な発想と素直な心で毎日学ぶ姿勢を持つ人材を重視しています。また、残業なし・休日出勤なしを徹底することで、生産性の向上とワークライフバランスの両立を図っています。

(3) 経営計画・目標


具体的な数値目標としての経営計画は記載されていませんが、持続的な成長の実現と収益基盤強化のための課題に取り組む方針を示しています。システム開発要員、デジタルマーケティング要員、営業要員への人材投資を継続し、人件費や採用費の増加を織り込みつつ、持続的な増収・増益の確保を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


競争力の強化、技術革新への対応、財務体質の強化、人材の確保・育成を対処すべき課題として挙げています。具体的には、AIを活用した営業戦略の強化や、新市場である「ラプター」「バルル」の展開による市場拡大を見込んでいます。また、システム開発の内製化を活かした常時設備投資や、顧客課題の解決に向けたIT技術・ビッグデータの活用を推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


新しい事業領域に対応できる、主体的かつ柔軟な発想を持つ人材の確保を必須としています。国籍、性別、年齢等を問わず、企業理念に共感し意欲のある多様な人材を中途採用で登用しており、管理職の100%が中途採用者です。また、代表取締役社長自らが講師となる研修など教育機会を頻繁に設け、専門知識と学ぶ力を持つ人材の育成を重視しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 53.2歳 4.3年 5,222,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界の動向と競合について


電子商取引市場は拡大傾向にありますが、取引先が独自のサイトを立ち上げて直接取引を行う可能性があります。また、多くの企業が既に同分野に進出しており、競争が激化しています。画期的なサービスを提供する新規参入や競合他社の動向により、売り手・買い手企業が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システムに関するリスク


サービスは通信ネットワークを通じて提供されており、システム障害や第三者からの攻撃による情報漏洩等のリスクがあります。システム開発を内製化し、サーバー分散やバックアップ等の対策を講じていますが、大規模な障害等が発生して業務が停止した場合、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成


事業運営には高度な専門知識を持つシステム開発要員などが不可欠です。事業拡大に応じた人材の確保・育成を進める方針ですが、必要な時期に十分な人材を確保できない場合や、責任ある立場の社員が予期せず退職した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定人物への依存


創業者であり代表取締役社長である村橋純雄氏は、経営方針や戦略決定において重要な役割を担っています。組織強化や権限委譲により経営リスクの軽減を図っていますが、不測の事態により同氏が職務を執行できなくなった場合、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。