※本記事は、Mマートの有価証券報告書(第26期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. Mマートってどんな会社?
飲食業界等の買い手と卸業者等の売り手を結ぶBtoBのインターネットオープンマーケットを運営する企業です。
■(1) 会社概要
2000年に創業者が飲食業経営の経験から仕入先の確保の苦労を解消する目的で有限会社を設立し、BtoB業務用食材卸サイト「Mマート」を開始しました。2003年には厨房機器等を扱う「Bnet」、2008年には余剰在庫取引サイトを開設するなど事業を拡大。2018年に株式を上場しました。
現在は単体で53名の従業員を擁し、事業を展開しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者である村橋純雄氏で、第2位はエムホールディングス、第3位は宇井裕希乃氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 村橋純雄 | 30.50% |
| エムホールディングス | 15.54% |
| 宇井裕希乃 | 7.77% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は村橋純雄氏が務めています。社外取締役の比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 村橋純雄 | 代表取締役社長 | 1954年別府市観光喫茶田園入社等を経て、2000年同社設立代表取締役社長より現職。 |
| 九谷田登志恵 | 常務取締役営業本部長 | 1977年帝人パピリオ入社等を経て、2012年同社入社。2016年より現職。 |
| 宇井裕希乃 | 取締役業務監理本部長 | 1992年水口病院入職等を経て、2000年同社入社。2017年より現職。 |
社外取締役は、石田敦信氏(トキワフィナンシャルアドバイザリー代表取締役)です。
2. 事業内容
同社はeマーケットプレイス事業を展開しています。
■(1) eマーケットプレイス事業
飲食業界、宿泊業界、中食業界等を買い手とするインターネット上のオープンマーケットを運営しています。主に食材を扱う「Mマート」や「卸・即売市場」、厨房機器や食器等の各種商品を扱う「Bnet」や「ソクハン」などの市場区分を設け、買い手企業に必要な商品を安価に仕入れる機会を提供しています。
主な収益源は、出店企業からの毎月定額の出店料と、売買取引成立に応じた出来高制のマーケット利用料およびシステム利用料です。市場への出店か出品かは売り手企業が選択可能で、取引は売り手と買い手間で行われます。当事業の運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の単体業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
経常利益は毎期着実に増加しており、直近5年間で順調な成長を続けています。当期純利益も同様に拡大基調にあり、利用基盤の拡大を背景とした堅調な業績推移が見られます。
| 項目 | 2022年1月期 | 2023年1月期 | 2024年1月期 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 3億円 | 4億円 | 5億円 | 5億円 | 6億円 |
| 当期純利益 | 2億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
営業利益、経常利益ともに前期から増加しており、高い収益性を確保しています。当期純利益も増益となっており、各種施策の奏功による良好な事業進捗がうかがえます。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業利益 | 5億円 | 6億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 6億円 |
| 当期純利益 | 3億円 | 4億円 |
販売費に属する費用のおおよその割合は61.6%、一般管理費が38.4%です。営業費用の主要な費目として、給料及び手当が3.4億円、役員報酬が0.7億円、地代家賃が0.7億円となっています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、運転資金・設備資金を主に自己資金で賄い、十分な財源と流動性を確保しています。
営業活動では、増収・増益を背景に資金を得ており、投資活動では定期預金の預入を行いました。
財務活動では、配当金の支払いにより資金が支出されました。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 5億円 |
| 投資CF | -0.3億円 | -0.4億円 |
| 財務CF | -0.9億円 | -1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「流通変革のためのインフラを創る」という使命を掲げています。生産性が低いとされる流通業界の効率化を図り、流通・卸業界・社会に必要不可欠なインフラとなることを目指しています。また、労働力不足や食品廃棄ロス問題の解決を通じて、第一次産業の持続可能性にも貢献する姿勢を示しています。
■(2) 企業文化
同社は、過去の知識や経験にとらわれず、柔軟な発想と素直な心で毎日学ぶ姿勢を重視しています。意欲があり多様なキャリアを持つ人材を登用し、能力と成果に基づく評価を実施しています。また、残業や休日出勤をなくすことを徹底し、生産性の向上とワークライフバランスの実現を両立しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、中長期的に安定成長を続けることによって企業価値を高め、フリーキャッシュ・フローを最大化する、キャッシュ・フロー重視の経営を推進しています。また、人件費や採用費の増加を織り込みつつ、持続的な増収・増益の確保を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は持続的な成長に向け、デジタルトランスフォーメーションのさらなる推進とAIを活用した営業戦略の強化に取り組んでいます。AIによる原価・利益予測ツールの提供や社内でのAI活用を進めるほか、既存サイトの新規出店増加や新市場の拡大を図ります。また、システム開発やデジタルマーケティング、営業部門への積極的な人材投資を継続します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業全体で主体的に取り組める人材の確保・育成を重視しています。国籍や性別、年齢等に関わらず、柔軟な発想と学ぶ意欲を持つ多様な人材の中途採用に注力しています。また、代表取締役をはじめとする役員自らが講師となる教育研修を頻繁に実施し、専門的知識と学ぶ力を持つ人材の育成を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 51.6歳 | 4.5年 | 5,416,000円 |
※平均年間給与には、基準外賃金が含まれています。
■(3) 人的資本開示
同社は女性活躍推進法等に基づく公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用管理職比率(100%)、外国人管理職数(0名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) eマーケットプレイス事業の競合リスク
電子商取引市場への新規参入や競合他社の動向、あるいは出店・出品企業が独自サイトを立ち上げて直接取引を実施するなどにより、同社の取引先数や売買成約数が大幅に減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システム障害およびセキュリティに関するリスク
同社のサービスは通信ネットワークに依存しているため、サイバー攻撃による不正アクセスや情報漏えい、あるいは大規模なシステム障害が発生した場合、業務停止に陥り業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 特定人物への依存に関するリスク
創業者の村橋純雄代表取締役社長が事業方針の決定等で重要な役割を担っています。経営組織の強化や人材育成等により同氏への過度な依存を軽減する方針ですが、不測の事態により同氏が職務執行できなくなった場合、事業活動に影響を与える可能性があります。



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