※本記事は、株式会社ハウテレビジョンの有価証券報告書(第16期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ハウテレビジョンってどんな会社?
同社は優秀な学生や若手社会人のキャリア形成を支援するプラットフォームを運営する企業です。
■(1) 会社概要
同社は2010年2月に設立され、同年4月に新卒向けリクルーティング・プラットフォーム「外資就活ドットコム」を開始しました。2016年に若手社会人向けサービス(現・外資就活ネクスト)をリリースし、2019年にマザーズ(現・スタンダード)市場へ上場しました。2024年にログリオを子会社化してRPOサービスを強化し、2025年には米国に子会社を設立して知見共有プラットフォーム「mond」のグローバル展開に着手しています。
同社グループの従業員数は連結で78名、単体で78名です。筆頭株主は創業者の音成洋介氏で、第2位も同姓の個人株主、第3位には事業会社のくふうカンパニーホールディングスが名を連ねており、創業家を中心としつつ事業会社からの資本も入る株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 音成 洋介 | 49.31% |
| 音成 恵里 | 9.86% |
| くふうカンパニーホールディングス | 5.00% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は音成洋介氏が務めており、社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 音成 洋介 | 代表取締役社長 | バークレイズ・キャピタル証券東京支店を経て、アドバンテッジパートナーズに入社。2010年2月に同社を設立。2025年2月よりmond, Inc.の代表も務める。 |
| 清水 伸太郎 | 取締役 | ゴールドマン・サックス・ジャパン・ホールディングス等を経て、2020年に同社入社。執行役員社長室室長等を経て、2021年4月より現職。Liigaやログリオの取締役も兼務。 |
社外取締役は、赤池敦史(シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン代表取締役日本共同代表マネージングパートナー)、奥谷直也(元ティーガイア常勤監査役)、森下俊光(公認会計士)、小栗久典(弁護士法人内田・鮫島法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「プラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) LIFEプラットフォーム
難関大学生向け「外資就活ドットコム」、若手ハイクラス層向け「外資就活ネクスト」、エンジニア特化の採用代行(RPO)サービスを提供しています。厳選された採用企業や優良エージェントの求人を掲載し、学生や社会人のキャリアアップを総合的に支援しています。
収益源は、採用企業からのシステム基本利用料、求人掲載料、スカウト利用料、およびエージェントからの転職成功報酬などです。RPOサービスではコンサルティング料金を受領します。これらtoB向けのサービス運営は、同社および子会社のLiiga、ログリオが行っています。
■(2) 知見共有プラットフォーム
事業ポートフォリオの多様化として、クリエイターや専門家などが匿名で質問を受け付ける新型質問箱サービス「mond」を提供しています。国内だけでなく、米国子会社を通じて英語圏へのグローバル展開も積極的に推進しています。
収益源は、ユーザーが投げ銭や月額メンバーシップ等を利用することによるtoCからの手数料収入です。法人顧客を収益源とするLIFEプラットフォームとは異なり、ユーザーからの収入をマネタイズの基盤としています。運営は同社および米国子会社のmond, Inc.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の連結業績を見ると、売上高はサービスの利用拡大により21.7億円から25.6億円へと着実に成長しています。一方で、新規事業の開発やマーケティング、人材採用などへの積極的な先行投資を行った影響により、経常利益は4.0億円から2.5億円へ、当期利益は2.6億円から1.7億円へと減益になっています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 21.7億円 | 25.6億円 |
| 経常利益 | 4.0億円 | 2.5億円 |
| 利益率(%) | 18.5% | 9.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.6億円 | 1.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い売上総利益も拡大していますが、利益率はわずかに低下しています。また、積極的な投資活動により販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益率は18.6%から9.8%に低下しています。将来のさらなる成長に向けた基盤構築のフェーズにあることがうかがえます。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 21.7億円 | 25.6億円 |
| 売上総利益 | 17.8億円 | 20.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 82.1% | 79.5% |
| 営業利益 | 4.0億円 | 2.5億円 |
| 営業利益率(%) | 18.6% | 9.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.1億円(構成比29%)、通信費が1.9億円(同11%)、支払報酬が1.5億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは単一セグメントですが、サービス別の販売実績を開示しています。新卒サービスや中途サービスが取引社数と単価の向上により堅調に伸長したほか、新規事業のmondサービスが急激な成長を見せ、全体の増収を牽引しました。
| 区分 | 売上(2025年1月期) | 売上(2026年1月期) |
|---|---|---|
| 新卒サービス | 17.7億円 | 20.8億円 |
| 中途サービス | 3.0億円 | 3.5億円 |
| RPOサービス | 1.0億円 | 1.0億円 |
| mondサービス | - | 0.3億円 |
| 連結(合計) | 21.7億円 | 25.6億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。
| 項目 | 2025年1月期 | 2026年1月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.2億円 | 3.4億円 |
| 投資CF | -2.6億円 | -2.1億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | -2.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は52.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「全人類の能力を全面開花させ、世界を変える」ことをミッションステートメント(経営理念)として掲げています。学生や社会人の潜在能力を最大限に引き出すプラットフォームを通じて、世界で挑戦・通用する人材を育み、未来を創ることを目指しています。
■(2) 企業文化
ミッションステートメントの実現に向けて、同社グループが大切にしている「5つの価値観(five values)」を定義し、役職員全員が共有して日々の業務に臨んでいます。ミッションに共感し、バリューを体現する人材を獲得・育成することが組織の土台となっています。
■(3) 経営計画・目標
継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高、営業利益、およびEBITDAを重要指標としています。また、潜在的顧客層の認知拡大の観点から、プラットフォームの「累積取引社数」および「累積会員数」を重要な経営指標として重視し、成長のトラッキングを行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
既存事業である「外資就活ドットコム」や「外資就活ネクスト」の継続的な拡張とコンテンツ充実を図るとともに、認知度の向上に努めています。また、新規CtoCサービス「mond」のプロダクト開発とグローバル展開を加速させ、事業ポートフォリオの多様化を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長を実現するため、人材採用と育成を事業戦略上の重要な経営課題に掲げています。多様な人材を確保すべく意識的に内集団バイアスを排除し、リスキリングを含む社内研修を充実させています。また、柔軟な働き方や従業員向け医療保険制度を導入し、健康で安全な環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月期 | 35.5歳 | 3.3年 | 8,506,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の法定開示指標の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性の育児休業等取得率(83%)、女性の育児休業等取得率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 他社との競合と特定サービスへの依存
同社グループの事業は「外資就活ドットコム」に大きく依存しています。人材ビジネス市場には多数の事業者が存在しており、競合他社との差別化が十分に図れない場合や競争が激化した場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 新規サービスへの先行投資と事業展開
継続的に新規サービス(「mond」など)の開発に取り組んでいますが、開発費用や広告宣伝費等の先行投資が必要となり、利益率の低下を招くリスクがあります。また、想定した収益が得られずに撤退判断を下す可能性もあります。
■(3) システムの安定性と不正アクセス
プラットフォームの安定稼働は不可欠ですが、アクセスの急増やサイバー攻撃、自然災害等によるサービスの中断・停止が発生した場合、社会的信用を喪失するリスクがあります。また、不正アクセスによる個人情報漏洩も重大なリスクとして認識しています。
■(4) 法的規制と上場維持基準
人材紹介サービスは職業安定法に基づく許可が必要であり、規制違反による業務停止等のリスクがあります。また、スタンダード市場の上場維持基準である「流通株式時価総額10億円以上」を満たせなくなった場合、株価や流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。



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