ハウテレビジョン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハウテレビジョン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。新卒学生向け「外資就活ドットコム」や若手社会人向け「Liiga」など、ハイクラス層に特化したキャリアプラットフォーム事業を展開しています。第15期より連結決算へ移行し、売上高22億円、経常利益4億円を計上。M&Aや新規事業により事業規模を拡大しています。


※本記事は、株式会社ハウテレビジョン の有価証券報告書(第15期、自 2024年2月1日 至 2025年1月31日、2025年4月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハウテレビジョンってどんな会社?


難関大生や若手ハイクラス層に特化した就職・転職支援サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2010年に設立され、同年4月に新卒向けリクルーティング・プラットフォーム「外資就活ドットコム」をリリースしました。2016年には若手社会人向け「Liiga」を開始し、2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2024年にはエンジニア採用代行を行うログリオを子会社化し、2025年には米国に子会社を設立するなど事業拡大を進めています。

2025年1月31日時点の従業員数は連結81名、単体81名です。筆頭株主は創業者の音成洋介氏で、第3位には生活関連サービスを展開するくふうカンパニーホールディングスが名を連ねています。

氏名 持株比率
音成 洋介 49.25%
音成 恵里 9.85%
くふうカンパニーホールディングス 4.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は音成洋介氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
音成 洋介 代表取締役社長 2006年バークレイズ・キャピタル証券入社。アドバンテッジパートナーズを経て、2010年同社設立。2025年よりmond, Inc.代表を兼務。現職。
清水 伸太郎 取締役 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、UBS証券等を経て、2020年同社入社。執行役員コーポレート本部長等を経て、2021年より現職。
赤池 敦史 取締役 マッキンゼー、アドバンテッジパートナーズ等を経て、2015年シーヴィーシー・アジア・パシフィック・ジャパン代表取締役社長パートナー。2017年より現職。


社外取締役は、赤池敦史(CVCアジア・パシフィック・ジャパン代表)、奥谷直也(元住友商事・ティーガイア常勤監査役)、森下俊光(公認会計士・UNBALANCE取締役)、小栗久典(弁護士・弁理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「キャリアプラットフォーム事業」および「その他」事業を展開しています。

新卒サービス

国内・海外の難関大学に所属するプロフェッショナル志向の強い学生を対象とした「外資就活ドットコム」を運営しています。厳選された外資系企業や日系トップ企業の求人情報、コミュニティ機能などを提供し、優秀な学生と企業のマッチングを支援しています。

企業情報の掲載や登録会員へのアプローチ権限を提供し、採用企業から広告掲載料や手数料を受け取るモデルです。運営は同社が行っています。

中途サービス

若手社会人向けプラットフォーム「Liiga」を運営し、キャリアアップを目指すハイクラス層にコラムやケーススタディ等のコンテンツを提供しています。転職サービスの機能も備え、「外資就活ドットコム」出身者を中心とした登録会員基盤を有しています。

採用企業からのシステム利用料や採用成功報酬、および人材エージェントからの紹介成功報酬を収益源としています。運営は同社が行っています。

RPOサービス

エンジニア採用領域に特化したRPO(採用代行)サービスを展開しています。ダイレクト・リクルーティングの戦略設計やスカウト代行を中心に、専門性の高いコンサルティング・サービスを提供しています。

顧客企業から、採用支援業務に対するコンサルティング料や代行手数料を受け取っています。運営は子会社のログリオが行っています。

その他

キャリアプラットフォーム事業の知見を活かした新規事業として、CtoC形式の質問箱サービス「mond」などを運営しています。グローバル展開を視野に入れたサービス開発を進めています。

サービス利用者やプラットフォーム上の取引から収益を得るモデルを目指しています。運営は米国子会社のmond, Inc.などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


同社は2025年1月期より連結財務諸表を作成しています。連結初年度の売上高は22億円、経常利益は4億円、当期純利益は2.4億円となりました。売上高経常利益率は18.5%と高い収益性を確保しています。

項目 2025年1月期
売上高 22億円
経常利益 4億円
利益率(%) 18.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.4億円

(2) 損益計算書


2025年1月期の売上総利益率は82.1%、営業利益率は18.6%でした。プラットフォームビジネスの特性上、高い利益率を実現しています。

項目 2025年1月期
売上高 22億円
売上総利益 18億円
売上総利益率(%) 82.1%
営業利益 4億円
営業利益率(%) 18.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.3億円(構成比31%)、支払報酬が1.9億円(同14%)、通信費が1.4億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


当連結会計年度におけるサービス別の売上収益は以下の通りです。主力の新卒サービスが売上の大半を占めており、中途サービスや新たにグループ入りしたRPOサービスが続いています。

区分 売上(2025年1月期)
新卒サービス 18億円
中途サービス 3億円
RPOサービス 1億円
連結(合計) 22億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「積極型」です。本業で稼いだ営業キャッシュ・フローに加え、借入による資金調達を行い、子会社株式取得やソフトウェアへの投資を積極的に実施しています。

項目 2025年1月期
営業CF 4.2億円
投資CF -2.6億円
財務CF 0.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は55.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「全人類の能力を全面開花させ、世界を変える」をミッションステートメント(経営理念)として掲げています。この理念のもと、新卒・中途・採用代行等のサービスを通じたキャリアプラットフォーム事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社グループは、大切にしている価値観を「5つの価値観(five values)」として定義しています。役職員全員がこの価値観を共有し、日々の業務に取り組むことで、ミッションの実現を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高および営業利益を重要指標としています。また、潜在的顧客層の認知拡大の観点から、「累積取引社数」および「累積会員数」を重要な経営指標として重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「外資就活ドットコム」および「Liiga」の継続的な拡張とコンテンツの充実を最重要課題としています。また、認知度向上のためのプロモーション強化、事業ポートフォリオの多様化(新規事業「mond」のグローバル展開やM&A)、およびエンジニア領域等の専門性の高い人材ビジネスの強化を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、ミッションに共感しバリューを体現する人材の獲得・育成を重要課題としています。多様な人材を確保するため、内集団バイアスを排除し、採用活動を促進するとともに、リスキリングを含む社内研修の充実により実務能力の向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年1月期 34.3歳 2.7年 7,261,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規) -


※同社および連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性の育児休業等取得率(80%)、女性の育児休業等取得率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場への依存

同社グループの事業はインターネットを通じたサービス提供が中心であり、インターネット関連市場の拡大に依存しています。市場環境の変化に適切に対応できない場合や、新たな法的規制等により市場成長が鈍化した場合、事業展開や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定のサービスへの依存

現在の事業は、新卒向けプラットフォーム「外資就活ドットコム」に大きく依存しています。競合他社との競争激化や差別化の失敗により、同サービスの競争優位性が低下した場合、グループ全体の業績に大きな影響を与える可能性があります。

(3) のれんの減損リスク

2024年に株式会社ログリオを子会社化したことに伴い、多額ののれんを計上しています。同社の将来の収益性が低下し、事業計画が達成されない場合、減損損失の計上が必要となり、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 優秀な人材の確保および育成

事業の継続的な成長には、優秀な人材の確保と定着が不可欠です。必要な人材の採用が進まない場合や、育成した人材が流出した場合、また組織規模拡大に伴う内部管理体制の構築が遅れた場合、事業展開に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。