アールプランナー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アールプランナー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アールプランナーは東京証券取引所グロース市場および名古屋証券取引所メイン市場に上場する企業です。「注文住宅」「分譲住宅」「土地」の3事業をワンストップで行う戸建住宅事業を中核としています。直近の業績は、販売棟数の増加により増収増益を達成しており、今後の首都圏エリアでのさらなる成長が期待されます。


※本記事は、株式会社アールプランナーの有価証券報告書(第23期、自 2025年2月1日 至 2026年1月31日、2026年4月21日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アールプランナーってどんな会社?


同社は東海エリアを基盤に、デザインと性能を兼ね備えた戸建住宅を適正価格で提供する住宅メーカーです。

(1) 会社概要


2003年10月にエクステリア・リフォーム事業を目的として設立されました。2008年8月に注文住宅事業を開始し、2014年5月には分譲住宅事業にも参入しました。2019年10月に首都圏エリアへ進出し、2021年2月に東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場を果たしています。

現在、同社グループの従業員数は連結で419名、単体で362名となっています。筆頭株主は資産管理を行うKo.Internationalで、第2位は代表取締役社長の梢政樹氏、第3位は資産管理を行うTreeTopとなっています。

氏名 持株比率
Ko.International 18.73%
梢政樹 17.61%
TreeTop 14.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は梢政樹氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
古賀祐介 代表取締役会長 1997年4月積水ハウス入社。2003年10月同社設立、代表取締役社長就任。2013年8月より現職。
梢政樹 代表取締役社長 1998年4月中部積和不動産(現積水ハウス不動産中部)入社。2009年12月同社取締役就任。2013年8月より現職。
舟橋和 取締役CFO 2008年12月新日本有限責任監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)入所。2017年10月同社入社。2022年5月より現職。


社外取締役は、安藤弘志(アラカン取締役副社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「戸建住宅事業」「中古再生・収益不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

戸建住宅事業


注文住宅の請負、分譲住宅の販売、土地の仕入・販売、リフォーム及びエクステリアの請負を行っています。デザイン性と性能を兼ね備えた住宅を、20代から40代を中心とした顧客層に向けて適正価格で提供しています。

顧客からの住宅請負代金や分譲住宅・土地の販売代金が主な収益源です。注文住宅事業や分譲住宅事業は同社が主体となって運営し、不動産仲介事業についてはアールプランナー不動産がサービスを提供しています。

中古再生・収益不動産事業


中古不動産や収益不動産の取得、再生、および販売を行っています。立地条件などの不動産情報を活用し、リノベーションなどによって価値を高めた物件を一般顧客や投資家に提供しています。

取得・再生した中古不動産や収益不動産物件の販売代金が主な収益源となります。この事業の運営は、主に同社が主体となって展開しています。

その他


住宅購入顧客などに対するサービス拡充の一環として、各種関連ビジネスを提供しています。主に住宅購入後のライフスタイルに寄り添う各種サポートを展開しています。

顧客紹介に関する手数料や、火災保険の代理店事業等による手数料が主な収益源です。火災保険の代理店事業については、アールプランナー不動産が主に担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が一貫して成長を続けており、特に直近2期で大幅な増収を達成しています。利益面については一時的に落ち込む時期があったものの、その後は急回復し、直近では過去最高益を更新して利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年1月期 2023年1月期 2024年1月期 2025年1月期 2026年1月期
売上高 281億円 312億円 321億円 402億円 486億円
経常利益 14億円 5億円 4億円 20億円 35億円
利益率(%) 4.9% 1.6% 1.1% 5.0% 7.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 5億円 2億円 14億円 23億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績は、販売単価の上昇と総販売棟数の増加により大幅な増収を達成しています。販売費及び一般管理費は人員増や拠点増加で増加したものの、コストコントロールによって売上総利益率および営業利益率ともに改善し、大幅な増益となっています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
売上高 402億円 486億円
売上総利益 67億円 89億円
売上総利益率(%) 16.8% 18.2%
営業利益 22億円 37億円
営業利益率(%) 5.4% 7.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が12億円(構成比23%)、広告宣伝費が9億円(同17%)を占めています。売上原価においては、不動産仕入が225億円(戸建住宅事業総費用に対する構成比49%)、外注費が202億円(同44%)を占めています。

(3) セグメント収益


中核となる戸建住宅事業は、注文住宅および分譲住宅ともに販売棟数が増加し、大幅な増収増益を牽引しました。一方で中古再生・収益不動産事業は、収益不動産物件の売却収入の減少により減収減益となっています。

区分 売上(2025年1月期) 売上(2026年1月期) 利益(2025年1月期) 利益(2026年1月期) 利益率
戸建住宅事業 399億円 483億円 31億円 48億円 10.0%
中古再生・収益不動産事業 3億円 2億円 0.3億円 0.1億円 5.1%
その他 0.5億円 0.4億円 0.5億円 0.4億円 99.9%
調整額 -億円 -億円 -10億円 -11億円 -%
連結(合計) 402億円 486億円 22億円 37億円 7.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業で資金流出となっているものの、将来成長のための借入等による資金調達を継続している局面(勝負型)です。ただし、営業利益は黒字であり、事業拡大に伴う棚卸資産の増加(在庫増)が営業CFマイナスの主な要因となっています。

項目 2025年1月期 2026年1月期
営業CF 19億円 -13億円
投資CF -3億円 -4億円
財務CF 3億円 24億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は36.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「All Satisfaction -『住。』を通じてすべての人に満足を提供する-」をパーパスとして掲げています。また、「デザイン×テクノロジーで人々の住生活を豊かにする」ことをミッションとし、日本一顧客満足度の高い住宅プラットフォーム企業となることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、“こだわりのある良質な住まいをよりリーズナブルに”をバリューとして掲げています。サステナビリティの観点に基づく企業活動を重視し、社会貢献度の高い企業となることを目指すとともに、多様な価値観を尊重した働きやすい職場環境の整備を通じて、個々の能力が最大限に発揮される組織風土の醸成に努めています。

(3) 経営計画・目標


同社は、「売上高」および「営業利益」をグループ全体の成長を示す経営指標と位置づけています。また、売上高に関連するより具体的な事業展開上の指標として、注文住宅と分譲住宅の「戸建販売棟数」、これに土地や中古不動産の販売棟数を加えた「総販売棟数」も重要な目標指標として設定し、業績管理を行っています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、独自のデザイン力とデジタルマーケティングを活用した集客力をもとに、首都圏エリアでの出店強化と東海エリアでのシェア拡大を図ります。また、LTV(ライフタイムバリュー)向上施策を通じた「生涯取引」の強化や、人的資本経営の推進による専門人材の確保・育成を進め、持続的な企業価値の向上を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は従業員を「人財」と位置付け、中長期的な企業価値向上のための源泉として「人的資本経営」を推進しています。専門性を有する即戦力人材と次世代を担う新卒人材の双方を安定的に確保し、教育体制の強化や多様な価値観を尊重した働きやすい職場環境の整備を通じて、会社と従業員の相互信頼を深める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年1月期 34.6歳 4.6年 5,947,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.0%
男性育児休業取得率 71.5%
男女賃金差異(全労働者) 52.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 57.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 130.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境の変動と金利上昇


戸建住宅の需要は、雇用・所得環境や住宅税制、地価動向などに影響を受けやすく、景気後退や急激な金利上昇が発生した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は不動産市況を絶えずモニタリングし、仕入の慎重な判断や商品力の訴求を通じてリスク軽減に努めています。

(2) 営業エリアへの集中と競合激化


同社グループは愛知県を中心として事業を展開しており、同エリアは戸建住宅需要が高い分、競合他社との競争が激化するリスクがあります。また、進出を進める首都圏エリアにおいても同様の競争環境にあり、他社の影響で仕入力や販売力が低下した場合、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 不動産の在庫保有と価格下落


同社グループは分譲用地や中古不動産などの在庫を常に保有しています。経済環境の変化で想定価格での販売が困難になり値引き販売を余儀なくされた場合や、在庫の保有期間が長期化して棚卸資産の評価損が発生した場合、同社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。